裁判官 ☆ データベース - 東京地判R1.6.21 損害賠償請求事件
稲川会トップにも責任 特殊詐欺で2例目 「暴力団の威力を背景」

 指定暴力団稲川会系の組員らによる特殊詐欺事件の被害者4人が、清田次郎(本名・辛炳圭)会長らに計約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。氏本厚司裁判長は辛会長が暴力団対策法上の使用者責任を負うと認め、計約1500万円の支払いを命じた。特殊詐欺事件で暴力団トップに使用者責任を認定したのは住吉会会長らに賠償を命じた5月の水戸地裁判決に続き2例目。
 特殊詐欺が、使用者責任の要件となる「威力利用資金獲得行為」に当たるかなどが争点だった。
 氏本裁判長は、特殊詐欺は、暴力団の新たな資金獲得行為として社会に認識されており、「それ自体が暴力団の威力を利用する犯罪類型とまではいえないものの、暴力団の威力を背景に実行されている」と指摘。
 今回の詐欺については「組織的で、暴力団の資金獲得の類型にあたる。組員が実行した以上、威力利用資金獲得行為と関連する行為であるというほかない」と認定した。
 水戸地裁判決は、組員が暴力団員として恐れられていることを利用して知人の男に受け子を探させ、詐欺グループを構成したと認定したが、氏本裁判長は、組員らの威力と、詐欺行為の具体的な関係については踏み込まなかった。
 判決後に会見した山縣秀樹弁護士は「暴力団の現在の活動実態に沿った判断で、特殊詐欺にも暴対法の規制が及ぶことを明らかにした。被害者救済にとって(意義の)大きな判決だ」と評価した。
(2019.6.21 18:40 産経新聞)

稲川会会長の使用者責任認める 特殊詐欺巡り賠償命令 東京地裁判決

 暴力団稲川会系組員らによる特殊詐欺事件の被害者4人が、稲川会の辛炳圭(通称清田次郎)会長に計約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。氏本厚司裁判長は同会長に暴力団対策法上の使用者責任があると認定し、計約1500万円の支払いを命じた。
 原告弁護団によると、特殊詐欺に絡んで暴力団トップの使用者責任を認めた判決は5月23日の水戸地裁に続き2例目となる。一方、同月24日の東京地裁判決は使用者責任を認めず、司法判断が割れている。
 2008年施行の改正暴対法は、暴力団組員が資金を獲得する際に組織の威力を利用して他人の生命や財産を侵害した場合、暴力団の代表者も賠償責任を負うと規定している。
 氏本裁判長は判決で、今回の特殊詐欺は詐欺グループのメンバーが役割を分担するなどしており、組織的、計画的だったと指摘。暴力団構成員が加担し、組織の威力を背景に資金を獲得する活動にあたると判断した。
 原告弁護団によると、他に提訴されていた詐欺グループの組員ら3人については既に賠償命令が確定しており、4人で連帯して支払うことになるという。
 判決後に記者会見した原告弁護団は「被害者救済にとって非常に大きな判決だ」と評価した。「みかじめ料の受け取りなどが警察の摘発で減るなか、資金獲得は特殊詐欺などの犯罪にシフトしている。特殊詐欺が抑止できれば資金源が狭まることにもつながる」とした。
 原告は関東地方や中部地方に住む60〜80代の女性4人で、14年9〜10月、稲川会系組員が関与する詐欺グループにそれぞれ250万〜400万円をだまし取られた。
(2019/6/21 16:42 日経新聞)