裁判官 ☆ データベース - 東京地判H27.9.29 業務上過失致死被告事件
シンドラー社エレベーター死亡事故 点検責任者に無罪判決 保守会社側は有罪 東京地裁

 東京都港区のマンションで平成18年6月、都立高2年の市川大輔(ひろすけ)さん=当時(16)=がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われたシンドラーエレベータの点検責任者、原田隆一被告(46)ら4人の判決公判が29日、東京地裁で開かれた。杉山慎治裁判長は「(争点だった)16年11月時点で、ブレーキ部品の異常摩耗が起きていたと認めることはできない」として原田被告に無罪判決を言い渡した。原田被告の求刑は禁錮1年6月だった。
 一方、事故時の保守点検会社「エス・イー・シーエレベーター」の会長、鈴木孝夫被告(72)ら3人を、禁錮1年6月〜1年2月、いずれも執行猶予3年(求刑禁錮1年6月〜1年2月)の有罪判決とした。
 検察側が鑑定をやり直すなど公判前整理手続きが長期化し、事故から1審判決までに9年以上かかった。
 主な争点は、事故原因とされるブレーキ部品の異常な摩耗がいつ始まったかや、4人が事故を予見できたかどうかだった。
 検察側は、原田被告は事故機を点検した16年11月時点で、停止したエレベーターを固定するブレーキ部品に異常が起きていたのに、適切な対策を怠ったと指摘。しかし、判決では「異常摩耗が発生、進行したと認める科学的な根拠はない」として退けた。
 その上で、エス社が事故機を最終点検した事故の9日前には異常が発生していたと認定。「人身事故が発生する恐れがあることを予見でき、適切な保守管理体制を構築すべき義務があったのに怠った」と結論づけた。
 判決によると、18年6月3日に港区のマンションで発生。市川さんが自宅のある12階で降りようとしたところ、エレベーターのドアが開いたまま上昇し、かごの床と外枠に挟まれ死亡した。事故はブレーキ部品が摩耗し、ブレーキが利かなくなり起きた。
 ■シンドラーのエレベーター事故
 平成18年6月3日、東京都港区の高層マンションで、都立高2年の市川大輔さんが自宅のある12階で降りようとしたところ、エレベーターのドアが開いたまま上昇しかごの床と外枠に挟まれ死亡した。東京地検は21年7月にシンドラーエレベータの元東京支社保守部長ら5人を在宅起訴。元部長は公判中に病死した。遺族は製造元のシンドラー社などに損害賠償を求めて提訴し、東京地裁で現在も係争中。消費者安全調査員会(消費者事故調)でも調査している。
(2015.9.29 11:30 産経ニュース)