裁判官 ☆ データベース - 東京高判R2.3.17 損害賠償請求控訴事件
原発避難集団訴訟...賠償「減額」 東京高裁、原則1人110万円

 東京電力福島第1原発事故で避難指示区域となった南相馬市小高区(旧小高町)の住民ら305人が、古里の暮らしを奪われたなどとして東電に約58億円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決で、東京高裁は17日、一審・東京地裁判決を変更し、認容額計約11億円を減額し、3分の1となる計約3億6000万円を支払うよう命じた。全国で約30件ある同様の避難者訴訟で、控訴審判決が出るのは12日の仙台高裁に続き2例目。
 村田渉裁判長は、長期間避難していたことに対する避難慰謝料について「正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害され、多大な精神的苦痛を受けた」とし、中間指針に基づき支払われた850万円が相当と算定。また生活基盤が変わったことに基づく慰謝料を認める一方、「避難慰謝料の支払いで精神的損害の一部が補填(ほてん)されており、帰還困難区域と異なり従前の生活の本拠地へ帰還自体は可能だ」などとして金額については原則1人当たり110万円が相当と判断。330万円だった一審の認容額を減額した。
 村田裁判長は生活基盤が変わったことへの慰謝料の上積みについては「生活基盤から得ている利益の程度などは多種多様で、一部限定的に算定されることはやむを得ない」とし、「個別事情に基づき別途慰謝料の追加支払いを求めるほかない」とした。
 原告は事故当時、南相馬市小高区と原町区に住んでいた住民。控訴審では東電の賠償額のみを争っていた。
 2018(平成30)年2月の一審判決は、古里に生きる利益の侵害を認め、「ふるさと喪失」や、長期の避難生活による損害を認定。国の指針に基づく慰謝料に原則として1人当たり330万円を上乗せし、原告318人に計約11億円の賠償を命令。双方が控訴した。
 東電は「今後、内容を精査して対応を検討する」とのコメントを出した。
(2020年03月18日 08時45分 福島民友新聞)