裁判官 ☆ データベース - 神戸地判H25.9.27 業務上過失致死傷被告事件
遺族ら深いため息 尼崎脱線、3社長に無罪判決 「事故の責任誰に」
 兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線脱線事故の裁判で、神戸地裁は27日、強制起訴されたJR西日本の井手正敬元相談役(78)ら歴代3社長に無罪を言い渡した。検察が唯一起訴した山崎正夫元社長(70)の無罪判決=確定=に続く司法判断。「事故の責任は誰にあるのか」。司法に託した遺族の思いはかなわず、法廷内に深いため息が漏れた。
 「被告は無罪」――。27日午前10時すぎ、法廷内に主文を読み上げる宮崎英一裁判長の声が響くと、証言台に横一列に並んだ歴代3社長は裁判長に向かって頭を下げた。
 井手元相談役は無罪判決の理由が読み上げられる間、何度もうなずいた。南谷昌二郎元会長(72)は時折メモの手を止め、上を向いた。垣内剛元顧問(69)は表情を変えずメモを取り続けた。
 無罪判決が言い渡されると、法廷内の遺族らはぼうぜんとした表情に。判決文が読み上げられる間は口を固く結び、裁判長の言葉に聞き入った。
 判決言い渡し後、宮崎裁判長は遺族らに「106人が亡くなり、今も多くの方が苦しんでいるのに、誰ひとり刑事責任を負わないのはおかしいとの考えがあるかもしれないが、個人の責任を追及するには厳格に考えなければいけない」と語りかけ、「裁判所としてもお見舞い申し上げます」と頭を下げた。
 閉廷後、遺族は無罪判決への不満を訴えた。事故で次男の昌毅さん(当時18)を亡くした上田弘志さん(59)は「JR西の主張だけが認められ、理解できない。どのように受け止めたらいいのか」と話した。
 「亡くなった娘に報告できない」と述べたのは長女の容子さん(当時21)を失った奥村恒夫さん(66)。長女の早織さん(当時23)を亡くした大森重美さん(65)は「誰も事故の責任が問われず、司法の限界がはっきりした。大規模な事故を起こした組織の責任が問われるよう、法律を変えてほしい」と話した。
(日経新聞 2013/9/27付)

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