報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

御坊食中毒 処分取り消し

 今年1月に発生した御坊市と日高川町の集団食中毒で、県から営業停止処分を受けた給食調理委託業者「シダックス大新東ヒューマンサービス」(東京都)が、処分の取り消しを求めた訴訟の判決が27日、地裁であった。中山誠一裁判長は「処分を命じた県の書面は記載が不十分で、手続きに違法性が認められる」として、処分取り消しを命じた。
 判決では、県が同社に営業停止処分を命じた書面について、「同社のいかなる行為が食品衛生法違反であるか、全く記載されていない」と指摘。「行政手続法が定める処分理由の提示が十分になされておらず、違法な手続きと認められ、処分取り消しは免れない」と結論付けた。
 県は、「被害拡大防止のため速やかな措置が求められていた」「14日間の営業停止処分に過ぎない」などと主張したが、「正当化できる事情ではない」と退けた。
 判決を受け、県は、「主張が認められず、残念。県民の生命と健康を守るため、良識のある判決を求めて控訴する」としている。
 ◇公権力行使に一石 「対応柔軟に」専門家指摘
 御坊市と日高川町での集団食中毒を巡る訴訟は、手続きの違法性から県が敗訴した。ただ、議論を通じて浮かび上がってきたのは、そうした手続き論ではなく、処分という公権力行使のあり方だ。(葉久裕也)
 中山裁判長は判決文の末尾に、「処分の目的の一つに被害拡大の防止があるとしても、事案に対する責任の重さや(業者が)被った不利益の程度も考慮すべき」と異例の「付言」を記した。
 また、判決に先立つ9月28日には、処分が原因で他の自治体の入札に参加できなくなっている業者の窮状をかんがみ、「行政目的の達成を一時的に犠牲にしてもなお、これを停止して同社を救済することを検討すべきである」として、判決が出るまで処分の効力を止める決定をしている。
 武田真一郎・成蹊大教授(行政法)は「給食という多くの人に影響を及ぼす重要な問題と認識していたため、あえて付言したのではないか」と裁判長の意図を推し量った上で、「県は行政指導で対処する方法もあった。公権力の行使は必要最小限でなければならない」と指摘する。
 一方、県は、「今回の処分が違法なら、今後、保健所長は処分をちゅうちょしてしまう。原因の判明や特定まで処分できないとなると、その間に患者がどんどん増えてしまう」とする。
 食の安全に詳しい有路昌彦・近畿大教授は「被害を食い止めるには水際対策が重要で、そのためには素早い営業停止処分もやむを得ない。ただ、原因が分かり対策できた時点で、すぐに解除する柔軟な対応が求められる」とする。
 その上で、今後の改善点として、「給食の提供を確実にストップして被害を食い止められるような対処法を、あらかじめ業者との契約に盛り込んだり、マニュアルに組み込んだりしておくべきだ」と提案する。
 <御坊市と日高川町の集団食中毒> 御坊市立給食センターで調理した給食を食べた児童・生徒ら計約800人が発症。県は、おかずの「磯あえ」を原因食品と断定し、委託業者を14日間の営業停止処分とした。その後、東京都内で集団食中毒が連続発生し、ウイルス発生源と特定された「刻みのり」の加工業者の商品が、御坊市でも用いられていたことが判明した。
(2017年10月28日 読売新聞)

営業停止処分「取消」 御坊食中毒で判決

 ことし1月に和歌山県御坊市や日高川町の幼稚園や小・中学校などで給食を介した集団食中毒が発生し、県から営業停止処分を受けた調理受託業者が処分の取り消しを求めた裁判で、和歌山地方裁判所は27日、業者側の主張を認め、処分を取り消す判決を言い渡した。県は控訴する方針。
 集団食中毒では、園児や児童ら800人以上が下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴え、県は市給食センターを14日間の営業停止処分とした。食中毒の原因は市が調達した刻みのりであることが判明しており、給食センターでの調理を受託していたシダックス大新東ヒューマンサービス(東京都)は「過失はなく、処分は不当」と主張。県は「被害の拡大を防ぐために必要だった」と反論していた。
 判決で和歌山地裁の中山誠一裁判長は原告側の主張を認め、県が提示した営業停止命令書に事実関係や処分理由の具体的な記載がないことを指摘し、手続き自体を違法とした。
 判決に対し、県は「主張が認められず残念。被害の拡大防止を優先した処分が違法となるなら、原因が特定されるまで営業停止処分を行えず、県民の生命と健康を守れなくなる」とコメントした。
(17年10月28日 18時58分 和歌山新報)

このページへのコメント

<集団食中毒>無関係の調理委託業者が和解 和歌山県と

 和歌山県御坊市で昨年1月に起きた学校給食の集団食中毒で、原因とは無関係だったのに営業停止処分を受けたとして、調理委託業者「シダックス大新東ヒューマンサービス」(東京)が県に処分取り消しを求めた訴訟は、裁判外で和解が成立した。県と、同社の親会社シダックスが24日、それぞれ発表した。シダックス大新東ヒューマンサービスが県に損害賠償や補償を求めない代わりに、県が処分を取り消し、大阪高裁への控訴も取り下げた。和解は今月16日付。【阿部弘賢】
(1/24(水) 18:14 毎日新聞)

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Posted by 名無し(ID:oyEkS8189A) 2018年01月29日(月) 22:50:59 返信

判決文読んでみたい…
どんな理由があったのか、新聞とかで載ってる以上に知りたい

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Posted by shidax 2017年11月29日(水) 00:32:03 返信

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