報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

「真相究明自助努力を」県内下請け信頼回復期待 神鋼罰金1億円

 日本のものづくりへの信頼をゆるがせた事件に、司法判断が下った。アルミニウム製品などの品質データ改ざん事件で13日、罰金1億円の有罪判決を受けた神戸製鋼所(神戸市中央区)。兵庫県内の下請け企業や関係先からは、判決を機に信頼回復を願う声が相次いだ。
 立川簡裁(東京)にはこの日、神鋼の山下淳二法務部長が出廷。八木正一裁判官が「企業体質に根差す常習的な犯行」などと判決理由を述べる間、目線を落とすことなく、神妙な面持ちで聞き入った。
 神鋼の不祥事は、兵庫の関連企業にも動揺を招いた。改ざん発覚以降、予定していた投資を控えた下請け企業もあったという。
 部品加工を請け負う神戸市内の社長は「これで次に進める」と胸をなで下ろす。発覚を機に、神鋼の担当者と品質管理の徹底を約束した。取引に影響は出ていないが「神鋼は神戸の中心企業。今後もついていく。一刻も早く信頼を取り戻してほしい」と話す。
 大手製造業で相次いだ品質不正に、「業界全体で襟を正すべきだ」と神鋼OBの経営者。「判決を機に、品質管理や法令順守に率先して取り組む企業に」と切望する。中小製造業でつくる神戸市機械金属工業会の藤浪芳子会長(昭和精機会長)は「神鋼は、大手から中小までつながるピラミッド構造の頂点にいる。地域経済のけん引役であることを再認識してほしい」と願った。
 判決では、責任の所在や経営陣の関与などは明らかにならなかった。企業のコンプライアンス問題に詳しい久保利英明弁護士は「誰に責任があるのかなど真相は分からないまま。刑事裁判ではこれが限界」と述べ、「ブランドの失墜は明らか。神鋼はこれで終わりではなく、自助努力で真因に迫っていく必要がある」とくぎを刺した。(横田良平、西井由比子)
(2019/3/14 06:02 神戸新聞)

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平成30年(ろ)第5号
不正競争防止法違反
平成31年3月13日宣告立川簡易裁判所
主文
被告人を罰金1億円に処する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社a(以下「被告会社」という。)は,鉄鋼・非鉄金属及び
その合金等の製造販売等の事業を営むものであるが,
第1被告会社b事業部門c工場d室長であったA及び同工場e室長で
あったBらにおいて,被告会社の業務に関し,別表1(添付省略)記
載のとおり,平成28年9月16日頃から平成29年8月28日頃ま
での間,三重県いなべ市(以下省略)所在の同工場において,被告会
社がf株式会社及びg株式会社から受注して製造した油圧鍛造品又
は砂型鋳造品の製品合計297個について,同工場で検査した結果で
は各製品が発注会社との間で合意した仕様を満たしていなかったに
もかかわらず,同仕様を満たした旨記載した内容虚偽の材料検査証明
書合計167通を作成した上,平成28年9月26日頃から平成29
年9月12日頃までの間,167回にわたり,運送業者等を介し,東
京都府中市(以下省略)所在のh株式会社事務所ほか1か所において,
前記内容虚偽の材料検査証明書各1通を,前記f株式会社から前記油
圧鍛造品の受入検査業務の委託を受けた前記h株式会社の従業員で
あるC及び前記砂型鋳造品等の受入検査業務に当たった前記g株式
会社の従業員であるDらに交付し
第2被告会社b事業部門i製造所j工場k室長であったEらにおいて,
被告会社の業務に関し,別表2(添付省略)記載のとおり,平成28
年11月7日頃から平成29年5月11日頃までの間,山口県下関市
(以下省略)所在の同製造所において,被告会社がl株式会社から受
注して製造した銅板条製品合計約4万9563キログラムについて,
同製造所で検査した結果では各製品が発注会社との間で合意した仕
様を満たしていなかったにもかかわらず,同仕様を満たした旨記載し
た内容虚偽の検査成績書合計90通を作成した上,平成28年11月
18日頃から平成29年8月3日頃までの間,90回にわたり,運送
業者等を介し,長野県中野市(以下省略)所在の同社m工場において,
前記内容虚偽の検査成績書各1通を同社の従業員であるFらに交付

第3被告会社b事業部門n製造所o部p室長であったGらにおいて,被
告会社の業務に関し,別表3(添付省略)記載のとおり,平成28年
9月7日頃から同年12月9日頃までの間,栃木県真岡市(以下省略)
所在の同製造所において,被告会社がq株式会社から受注して製造し
たアルミ板製品合計約18万7072キログラムについて,同製造所
で検査した結果では各製品が発注会社との間で合意した仕様を満た
していなかったにもかかわらず,同仕様を満たした旨記載した内容虚
偽の材料検査証明書合計48通を作成した上,平成28年9月8日頃
から同年12月12日頃までの間,48回にわたり,運送業者等を介
し,同市(以下省略)所在の同社r工場内s株式会社t部u営業所ほ
か3か所において,前記内容虚偽の材料検査証明書各1通を,前記q
株式会社から資材受入業務の委託を受けた前記s株式会社の従業員
であるHらに交付し
もって,取引に用いる書類に商品の品質について誤認させるような虚偽の
表示をしたものである。
(証拠の標目):省略
(法令の適用):省略
(量刑の理由)
本件は,被告会社のb事業部門を担当する3つの製造所等において,被
告会社の従業員であるk室長らが,発注先であるf株式会社,g株式会社,
l株式会社,q株式会社から受注して製造した製品について,発注先との
間で合意した仕様(以下「顧客仕様」という。)を満たしていなかったに
もかかわらず,検査数値を改ざんして,顧客仕様を満たした旨記載した内
容虚偽の証明書を作成して,発注先に交付し,取引に用いる書類に商品の
品質について誤認させるような虚偽の表示をしたという事案である。
被告会社は,v業界における最大手の事業者として,市場において大き
な競争力を有していたにもかかわらず,品質検査によって得た数値を改ざ
んし虚偽の表示をするという悪質な方法により,顧客仕様に従って製品を
提供するという,取引上,最も基本的で重要なルールに違反し,その結果,
多額の売り上げを得ていたものである。しかも,被告会社による虚偽の表
示は,多年にわたって繰り返されており,本件は,生産至上主義のもと納
期を優先する企業風土,経営陣においても品質コンプライアンス意識が不
足していたことなどが指摘されている被告会社の企業体質に根差す,常習
的な犯行であったといわざるを得ない。
本件により,発注先である各企業に与えた経済的損害や顧客対応などの
負担も多大であり,さらには,我が国の製造業全体に対する信頼を揺るが
せたことも見過ごすことはできない。
以上のような本件犯行に至る経緯,犯行の態様,結果等に照らすと,被
告会社の刑事責任は重いというべきである。
他方において,被告会社は,自発的に行った品質自主点検により,本件
犯行にかかる不正行為を認知し,その事実を公表したこと,発注先企業と
の間で,製品の安全性を確認し,金銭的な補償の点も解決を見たか,解決
の見通しが立っていること,被告会社において,本件犯行に至った原因を
分析した上,再発防止策を策定し,これを実施し始めていることなど,被
告会社にとって有利とすべき情状が認められる。
以上の諸情状に照らすと,本件に対しては,法定刑が3億円以下の罰金
刑と定められているところ,検察官が求める罰金1億円の刑は,本件に相
応な刑と考えられ,被告会社を,この刑に処することとする。
平成31年3月13日
立川簡易裁判所
裁判官 八木正一

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