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名古屋地裁 介護の妻の嘱託殺人 80歳被告有罪

 介護していた妻(当時79歳)に頼まれ殺害したとして、嘱託殺人罪に問われた名古屋市北区の無職、村田利夫被告(80)に対し、名古屋地裁(山田耕司裁判長)は23日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑・懲役2年6月)の判決を言い渡した。
(2018年3月23日 18時47分(最終更新 3月23日 18時47分) 毎日新聞)

介護殺人、夫に猶予判決 名古屋地裁「同情余地」

 老老介護の末、持病に苦しむ妻本人からの依頼で首を絞めて殺害したとして、嘱託殺人の罪に問われた夫の無職村田利夫被告(80)=名古屋市北区=の判決公判で、名古屋地裁は23日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。
 判決で、山田耕司裁判長は「周囲が感銘を受けるほどの献身的な介護で、妻の苦しみが増す中、(殺害を)強く求められ、犯行に及んだ。同情の余地は大きく、社会の中で立ち直ってもらうべきだ」と執行猶予の理由を説明した。
 裁判長が最後に「奥さんに思いをいたして余生を全うしてほしい」と語り掛けると、村田被告は静かにうなずいた。判決後は嘆願書を集めるなど支援してきた近所の住民らと抱き合った。
 村田被告は、関節リウマチや腎不全に苦しむ妻のチヱ子さん=当時(79)=の介護を約50年続け、食事や入浴など生活全般の世話をしてきた。被告人質問で、被告は「楽にしてほしい」とすがる妻とのやりとりなどを証言。被告自身も「要支援」と判定され、「生活の9割が家内の介護だった」と厳しい老老介護の実態を語った。村田被告の苦労を知る住民らが証言に応じ、寛大な判決を求める嘆願書を300通以上、提出した。
 判決によると、医師から今後の治療は困難と告げられたチヱ子さんから殺害を依頼され、2017年10月24日深夜、自宅でタオル地のひもでチヱ子さんの首を絞めて窒息死させた。
(2018年3月24日 01時44分 中日新聞)

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平成29年(わ)第2063号嘱託殺人被告事件
判決
主文
被告人を懲役2年6月に処する。
未決勾留日数中90日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
(犯行に至る経緯)
被告人の妻であるA(以下「被害者」という。)は,長年にわたり関節リウマ
チ及び腎不全に罹患していたところ,平成25年頃から右肘に埋め込んでいた人
工関節の細菌感染による強い痛みに苦しむようになった。被告人は,自身も要支
援認定を受けていた中で,家事全般を行うほか,被害者の入浴や痛みの緩和等に
つき,昼夜を問わない介護を献身的に続けていた。
そのような中,被害者は,平成29年10月11日頃から,左肘にも強い痛み
を訴えてそれまでにないような苦しみ方をするようになった上,医師から治療が
困難である旨告げられて,かなり気落ちした様子をみせるようになった。被告人
は,負担を増した介護に疲弊の度合いを強めていた中で,同月24日夜になり,
被害者から殺害してくれるよう繰り返し求められたため,当初はこれを拒絶して
いたものの,被害者を楽にさせようとの思いから,被害者の殺害を決意した。
(罪となるべき事実)
被告人は,被害者(当時79歳)から嘱託を受けて同人の殺害を決意し,平
成29年10月24日午後11時頃から同日午後11時20分頃までの間,名古
屋市b区c町d丁目e番地のf被告人方において,殺意をもって,被害者の頸部
にタオル地のひもを巻いて締め付け,よって,その頃,同所において,同人を頸
部圧迫による窒息により死亡させ,もって嘱託を受けて人を殺害した。
(法令の適用)
被告人の判示所為は刑法202条後段に該当するところ,所定刑中懲役刑を選
択し,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役2年6月に処し,同法21条を適用
して未決勾留日数中90日をその刑に算入し,情状により同法25条1項を適用
してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予し,訴訟費用は刑訴法
181条ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
犯行に至る経緯は前記のとおりであり,被告人は,周囲が感銘を受けるほど
の献身的な介護を長期間にわたり続けた末,被害者が苦しみの度合いを増すのを
目の当たりにし,自身も疲弊する中で,被害者から強く求められて本件に及んだ
もので,同情の余地は大きく,非難の程度は限定的である。
犯行の態様は,被害者の首を紐で長時間絞めるという,強固な殺意を示すもの
であるが,犯行を決意した経緯が上記のようなものであり,被害者からも,しっ
かり絞めるよう求められていたことを考慮すると,かかる態様による殺害に及ん
だことについても強く非難することはできない。
以上によれば,被告人の行為に対する責任は,同種事案の中でも軽い方に位
置づけられるというべきである。
加えて,被告人が本件犯行後自首をし,その後も事実を素直に認める態度を示
していること,被告人と交流のあった近隣住民や,被告人及び被害者を担当して
いたケアマネージャーが出廷して,今後の被告人の支援を約束しており,同ケア
マネージャーらの尽力によって今後の居住先も確保されていること等の事情も併
せ考慮して,主文の刑を量定した。
(求刑懲役2年6月)
平成30年3月23日
名古屋地方裁判所刑事第1部
裁判長裁判官 山田耕司
裁判官 諸徳寺聡子
裁判官 荻原惇

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