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「茶に睡眠剤」介護施設元従業員に有罪判決 名古屋地裁

 愛知県東海市の介護施設で従業員用のお茶に睡眠導入剤が混入された事件で、傷害罪に問われた同施設の元従業員、高屋律子被告(51)の判決が3日、名古屋地裁であった。山田耕司裁判官は同被告に懲役2年6月、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。
 判決で、山田裁判官は動機について「職場の教育態勢や自分への処遇に一方的に不満を募らせた犯行で、誠に身勝手」と指摘。ほかの職員がいないことを見計らって睡眠導入剤をお茶に混入しており、「その態様は計画的で悪質」としながらも、被害者らは大事には至っておらず、「刑の執行を猶予するのが相当」と判断した。
 判決などによると、高屋被告は昨年12月9日、東海市の介護施設「大田デイサービスセンタールピナ」で、従業員用休憩室のお茶に睡眠導入剤を混ぜ、従業員の男女10人に傷害を負わせた。うち2人が入院したが、いずれも軽傷だった。
(2017/10/3 12:45 日経新聞)

介護施設で茶に睡眠薬、被告に有罪判決 保護観察付き

 愛知県東海市の介護施設で昨年12月、茶に睡眠薬を入れて従業員10人を体調不良にさせたとして、傷害の罪に問われた元従業員高屋律子被告(51)=同市=の判決公判が3日、名古屋地裁であった。山田耕司裁判官は懲役2年6カ月保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)を言い渡した。
 判決によると、高屋被告は昨年12月9日、施設の従業員用休憩室の容器に睡眠薬を混ぜ、茶を飲んだ男女10人に体調不良を起こさせた。山田裁判官は「処遇などに不満を募らせ、恨みを晴らそうと考え犯行に及んだ。行為は正当化できず動機は身勝手だ」と指摘。一方、「長期入院や後遺症が発現した被害者はおらず、大事に至ってはいない」と執行を猶予した理由を述べた。
(2017年10月3日13時51分 朝日新聞)

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判決
主文
被告人を懲役2年6月に処する。
未決勾留日数中30日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,愛知県東海市A町BC番地所在の株式会社Dに介護職員として勤務
していたものであるが,新規採用者の教育態勢や自分への処遇等に対する不満を
募らせ,職員が利用するドリンクキーパー内の焙じ茶に睡眠薬を投入して恨みを
晴らそうなどと考え,平成28年12月9日午前8時頃,上記D2階職員用休憩
室において,同所に設置されていた職員用のドリンクキーパー内の焙じ茶に睡眠
薬成分であるトリアゾラムを含有する液体を混入させ,同日午後0時10分頃か
ら同日午後2時頃までの間,同所において,情を知らないEら10名に上記焙じ
茶を飲ませ,よって,同人らにそれぞれ睡眠薬による薬物中毒の各傷害を負わせ
た。
(法令の適用)
罰条被害者毎に刑法204条
科刑上一罪処理同法54条1項前段,10条
(1罪として犯情の最も重いEに対する傷害罪の刑で処断)
刑種の選択懲役刑
未決勾留日数算入同法21条
刑の執行猶予同法25条1項
保護観察同法25条の2第1項前段
訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)
(量刑の理由)
被告人は,職場の新規採用者に対する教育態勢が十分でなかったことや,自己に
対する処遇(正社員に昇格させることなく,パートとして働かされていたこと)な
どに不満を募らせ,職員が睡眠薬を混入した飲料を飲めば,職場等への恨みが晴ら
せるなどと考えて本件犯行に及んだものである。自分の勤務意欲や能力の不足を棚
に上げ,自己中心的な受け止めや思考をする傾向があることもあって,職場での対
応に一方的に不満や恨みを募らせていき,上司等に十分な相談をするなど常識的な
対応を採ることなく,理不尽にも職員の健康等を損なう悪辣な手段を選択したもの
で,被告人の行為はおよそ正当化できるものではなく,動機は誠に身勝手であり,
強い非難に値する。
被告人は,介護中の母親に処方されていた即効性のある多数の睡眠薬(トリアゾ
ラム錠0.25咫砲魎浜していたことをよいことに,同睡眠薬約二,三〇錠を自
宅で砕いて湯に溶かして液体を作り,これを職場に持参した上で,他の職員のいな
いことを見計らって職員用のドリンクキーパーの焙じ茶内にその液体を混入して,
多くの職員が飲める状態にしたものであり,その態様は,計画的かつ巧妙で,悪質
である。現に,そのことを知らずに焙じ茶を飲んだ職員10名がいずれも眠気,目
眩,ふらつき等の薬物中毒の症状を呈し,うち2名は2日間の入院治療が必要な状
態となっており,生じた結果も看過することができない。被害者の中には運転手も
含まれており,もし車両運転中に症状が出たら,人命にかかわる重大事故に至る危
険性もあった。
以上の事情によると,本件の犯情は悪く,被告人の刑事責任は相応に重いといわ
ざるを得ず,この際,被告人を実刑に処することも考えられる。
しかしながら,幸いなことに長期入院や後遺症の発現など深刻かつ重大な症状が
出た被害者はおらず,大事には至っていないこと,被告人は,前科前歴がなく,初
めて公判請求を受けて反省と謝罪の弁を述べていること,認知症を患う母と障害を
有する子を抱えていることなど,酌むべき事情も認められるから,被告人に対し,
社会内更生の機会を与えるため,主文の刑を定めた上でその刑の執行を猶予するの
が相当である。
もっとも,職員全員に対し恨みがあるというわけではなく,多数の職員に害が及
ぶことを容易に認識できたのに,後先を考えずに抵抗感なく,飲料に薬物を混入す
るという対象は職員に限られるとはいえ無差別的な犯行に及んだことからも明らか
なとおり,規範意識の鈍麻が認められる上,自己中心的な発想・思考をしがちで,
他者への配慮に欠けるところがあり,社会適応が十分にできていない傾向がうかが
えることや,身近に適切な監督者が見当たらないこと等に照らすと,被告人に対し,
社会性を涵養させて再犯の防止を図るためには,保護観察所の指導支援を受けさせ
る必要があるから,刑の執行猶予の期間中被告人を保護観察に付すこととした。
(求刑―懲役2年6月)
平成29年10月3日
名古屋地方裁判所刑事第1部
裁判官 山田耕司

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