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ウ被告東電の過失について
被告東電に過失がある一方で,故意があったとは認められず,過失の程度も重過
失までは認められないことは,上記第4の3で判示したとおりであるが,被告東電
にそのような過失があることを考慮しても,上記損害額は左右されない。
(4)損害賠償の終期
ア包括賠償によって継続的賠償を終了させ得ること
帰還困難区域の旧居住者が継続的に精神的苦痛を被っていることは上記のとおり
であるが,帰還困難区域への帰還は相当長期間にわたって困難であり,社会通念上
帰還不能となったものといって差し支えないと認められるところ,このような場合
に,帰還可能となるまで精神的損害の賠償を長期にわたって継続させるよりも,社
会通念上帰還が不能となった後の一定の時期をもって,平穏生活権侵害による継続
的損害の賠償は終了し,帰還不能による損害に包括評価して定額の賠償を行うこと
によることも許されるというべきである(このことは,交通事故による入通院慰謝
料が症状固定により後遺症慰謝料として包括評価され,以後,入通院が継続しても
別の損害とは評価されないことと対比することもできる。)。
イ中間指針等による継続的賠償の終期
中間指針第四次追補は,「長年住み慣れた住居及び地域が見通しのつかない長期間
にわたって帰還不能となり,そこでの生活の断念を余儀なくされた精神的苦痛等」
の一括賠償として,帰還困難区域からの避難者に対し,中間指針第二次追補の一人
600万円に一人1000万円を加算し,上記600万円を月額に換算した場合の
将来分(平成26年3月以降)の合計額(ただし,通常の範囲の生活費の増加費用
を除く。)を控除した金額を賠償することとしている(丙A5・4〜7頁)。
平成26年3月以降の将来分を控除するということは,中間指針第二次追補の6
00万円は60か月分の日常生活阻害慰謝料の一括払いであり,その日常生活阻害
慰謝料の発生は平成26年3月1日から1000万円の帰還困難慰謝料として包括
評価されるものとみているものといえるから,平成23年3月から平成26年2月
までの日常生活阻害慰謝料(36か月分360万円)は本件訴訟でいう平穏生活権
侵害に対応し,帰還困難慰謝料1000万円は本件訴訟でいう「ふるさと喪失」損
害に対応するものとみて,それぞれその「中間指針等による賠償額」を超える損害
が発生しているか判断するのが相当である。
自主賠償基準では一括賠償金額を700万円としている(丙C17)が,これは,
上記に述べたところと対比すると,中間指針第四次追補の1000万円から,第2
期の始期を平成24年6月とした場合の600万円を月額に換算した場合の将来分
(通常の範囲の生活費の増額分を除く。)として300万円を控除した額と解される。
したがって,損害費目との対応としては,日常生活阻害慰謝料を平成26年2月分
まで360万円,帰還困難慰謝料を1000万円,生活費増加分を90万円として
いるものとして,平穏生活権侵害では360万円を超える損害が,「ふるさと喪失」
では1000万円を超える損害が生じているかを判断することとする。
ウ継続的賠償の終期は平成26年4月とすべきこと
前記イのとおり,中間指針第四次追補は平成26年2月を継続的賠償の終期とし
ていると解されるところ,その根拠は,中間指針第四次追補策定後,被害者の被告
東電に対する損害賠償請求が可能になると見込まれる時期を平成26年3月とみて,
それ以降の日常生活阻害慰謝料を帰還困難慰謝料に包括評価することが可能である
とみたことによるものと認められ(丙A5・6頁,丙A8・6頁,丙A20・4
頁),第3期の始期(避難指示見直しの時点)や中間指針第四次追補の作成時(平成
25年12月)ではなく平成26年2月としたことに,それ以外の理由(例えば,
本件事故から3年という期間に特別の意味を込めたといった事情)は見いだし難い。
ところで,帰還困難区域旧居住者は,避難指示見直しによって旧居住地が帰還困
難区域に指定された時点(南相馬市につき平成24年4月16日,飯舘村につき平
成24年7月17日,大熊町につき平成24年12月10日,葛尾村につき平成2
5年3月22日,富岡町につき平成25年3月25日,浪江町につき平成25年4
月1日,双葉町につき平成25年5月28日)で,旧居住地への帰還が相当長期に
わたって困難となったことを確定的に認識したものと認められるが,上記のとおり
避難指示見直しの時期は市町村によって異なっていた上,中間指針等による日常生
活阻害慰謝料の賠償も継続しており,仮に,一括賠償を被告東電に請求していたと
しても,被告東電としてこれに応じていたとは考えられないことからすると,個別
の避難指示見直しの時期をもって継続的賠償の終期とするのは相当でない。
中間指針第四次追補が出された後,請求者において請求可能な金額を具体的に認
識でき,被告東電に対する損害賠償請求が実質的に可能な状態になった段階で,平
穏生活権侵害による継続的賠償を確定的,不可逆的損害(「ふるさと喪失」損害)に
包括評価させて終了させることが可能になるというべきである。
そして,実際に被告東電が中間指針第四次追補に対応する自主賠償基準(丙C1
8)を策定し,従前,自主賠償基準において,中間指針上の「第2期」の始期にか
かわらず,帰還困難区域旧居住者に対する包括賠償を平成24年6月1日から平成
29年5月31日までの60か月分600万円としていたこと(丙A16)に対応
して,帰還困難慰謝料も,中間指針上の「第2期」の始期にかかわらず,中間指針
第四次追補の例示する700万円に統一して支払うことを明らかにしたのは,平成
26年3月26日であり,請求書類発送の受付を開始したのは平成26年4月14
日であった(丙C18)。
そうすると,帰還困難区域旧居住者の平穏生活権侵害による継続的損害を確定的,
不可逆的損害(「ふるさと喪失」損害)としての包括評価を可能とする時期は,確定
的損害として請求可能な金額を具体的に認識でき,被告東電に対する損害賠償請求
が実質的に可能な状態となった平成26年4月14日以降とみるのが相当である。
したがって,平成26年3〜4月分については月額10万円(合計20万円)の
平穏生活権侵害による精神的損害の賠償を認めるのが相当である。その結果,「中間
指針等による賠償額」を超える損害として20万円を認める。
()大熊町・双葉町の居住制限区域・避難指示解除準備区域の取扱い
大熊町及び双葉町は,町の大半(人口の96%の居住していた区域)が帰還困難
区域であって,人口,主要インフラ及び生活関連サービスの拠点が帰還困難区域に
集中しており,居住制限区域又は避難指示解除準備区域であっても,帰還困難区域
の避難指示が解除されない限り住民の帰還は困難であるため,中間指針第四次追補
において帰還困難区域と同様に扱われており(丙A5・4〜6頁,丙A8・5頁),
自主賠償基準においても同様である(丙C17)。
原告H−122の旧居住地は,双葉町大字中浜の避難指示解除準備区域である
(甲H122の1,丙C29)。
大熊町の居住制限区域・避難指示解除準備区域を旧居住地とする原告はいない。
双葉町は大半が帰還困難区域であって,避難指示解除準備区域の放射線量が低下
したとしても,主要インフラや生活関連サービスが復旧するまで帰還は困難である
と認められるから(甲C35,丙C69),帰還困難区域と同様に扱うのが相当であ
り,帰還困難区域と同様,平成26年4月までは月額10万円の平穏生活権侵害に
よる精神的損害の発生を認め,その後は確定的,不可逆的損害(「ふるさと喪失」損
害)として包括評価されるものと認めるのが相当である。
したがって,帰還困難区域旧居住者と同様,「中間指針等による賠償額」を超える
損害として20万円を認める。
(6)原告H−201について
原告H−201の旧居住地について,原告らは,浪江町の帰還困難区域であると
主張するのに対し,被告東電は,南相馬市原町区の旧緊急時避難準備区域であると
主張している(被告東京電力準備書面(33))。
同原告の住民票所在地は浪江町であり(甲H201の2),その陳述書(甲H20
1の1)でも,旧居住地は浪江町であり(1頁),「自宅又は家族が一軒家を所有」
であり(4頁。南相馬市の住所はアパートの一室である。),旧「警戒区域」,現「帰
還困難区域」である(6頁),「自宅は井戸水だった」(11頁),「帰還困難区域なの
で,帰れないんだろうと思う。不安」(19頁)と記載している。
これらを総合すると,同原告の旧居住地は浪江町の帰還困難区域であったと認め
るのが相当である。
同原告が,旧居住地を南相馬市として賠償請求をし(丙H201の1),平成11
年から南相馬市のアパートを賃借し(丙H201の2),本件事故前の平成23年1
〜2月時点で,南相馬市のアパートの電話料金,ガス料金,電気料金を支払い,そ
の請求書を南相馬市のアパートで受領していたこと(丙H201の3〜5)は,「仕
事の都合で南相馬市でアパートを借り,実家のある浪江町と行き来して生活してい
た」(平成29年3月21日第23回口頭弁論調書)とすれば,生活の本拠が浪江町
にあったことと矛盾するものではなく,上記認定を左右するものではない。
したがって,同原告の旧居住地は,浪江町の帰還困難区域と認め,「中間指針等に
よる賠償額」を超える損害として20万円を認める。
(7)原告兼亡T−1370承継人T−1369について
亡T−1370の旧居住地は富岡町の帰還困難区域であったが,亡T−1370
は平成25年5月16日死亡しているため,平成26年3〜4月分の「中間指針等
による賠償額」を超える損害は発生していない。
したがって,原告兼亡T−1370承継人T−1369については,「中間指針等
による賠償額」を超える損害として,原告T−1369につき生じた20万円のみ
を認める。
(8)帰還困難区域旧居住者の損害のまとめ
以上によれば,帰還困難区域及び双葉町を旧居住地とする原告らにつき,平穏生
活権侵害による「中間指針等による賠償額」を超える損害として20万円を認める。
7旧居住地が居住制限区域(大熊町を除く。)又は旧居住制限区域である原告らに
ついて
(1)居住制限区域の概要
居住制限区域は,旧避難区域及び旧計画的避難区域のうち,年間積算線量が20
mSvを超えるおそれがあり,住民の被曝線量を低減する観点から引き続き避難を
継続することが求められる地域であり,除染や放射性物質の自然減衰などによって,
年間積算線量が20mSv以下であることが確実であることが確認された場合には
避難指示解除準備区域に移行することが予定されている(丙C13・10頁)。
本件口頭弁論終結時(平成29年3月21日)現在,飯舘村の半分以上(平成2
4年7月17日再編,平成29年3月31日解除予定),大熊町の一部(平成24年
12月10日再編。自主賠償基準では帰還困難区域と同様に扱う。),富岡町の一部
(平成25年3月25日再編,平成29年4月1日解除予定),浪江町の一部(平成
25年4月1日再編。平成29年3月31日解除予定),川俣町の一部(平成25年
8月8日再編,平成29年3月31日解除予定)が指定されている(丙C28,2
9,159,161〜163,216,236,237,301)。
居住制限区域においては,宿泊は禁止されるが,住民の一時帰宅,通過交通,公
共目的の立入りなどは可能である(丙C13・10頁,丙C34)。
(2)居住制限区域指定中の損害
居住制限区域においても,\験茲遼楜鬚砲いて居住を継続するという当然の権
利(居住及び移転の自由)を制約されていること,避難生活において正常な日常
生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたこと,K楫鏤故から6か月
が経過した後も,避難指示区域の見直しまで今後の生活の見通しが立たない不安が
増大する状況にあり,避難指示区域が見直された後も,いつ自宅に戻れるか分から
ないという不安な状態が継続したこと,ざ間線量も居住できるほど低くはないこ
と,ダ験菷颪増加していること,は帰還困難区域と同様又はそれに類するもので
あるから,その精神的苦痛に対する慰謝料も,帰還困難区域と同様,月額10万円
と評価するのが相当である。そして,「中間指針等による賠償額」も同様に月額10
万円とされている(丙A2・18,21頁,丙C67)。
そうすると,平成23年3月11日から本件口頭弁論終結日まで,「中間指針等に
よる賠償額」を超える損害は認められない。
(3)旧居住制限区域の取扱い
葛尾村の一部(平成25年3月22日再編,平成28年6月12日解除),川内村
の一部(平成24年4月1日再編,平成26年10月1日避難指示解除準備区域に
再編,平成28年6月14日避難指示解除),南相馬市の一部(平成24年4月16
日再編,平成28年7月12日解除)は,居住制限区域に指定されていたが,その
指定は解除された(丙C159,160,238,239)。
居住制限区域の指定が解除されたとしても,直ちに旧居住制限区域旧居住者の不
安が解消されるわけではなく,相当期間が経過して合理的な不安が解消されるに至
るまでは精神的苦痛が継続すると考えられるところ,中間指針は解除後相当期間経
過後までは月額10万円の日常生活阻害慰謝料の継続を認め(丙A2・12,14,
23頁),自主賠償基準(丙C67)は,平成30年3月まで月額10万円の精神的
損害の賠償の継続を認めている。
この賠償は少なくとも本件口頭弁論終結時において継続されているところ,居住
制限区域指定解除から本件口頭弁論終結時まで,「中間指針等による賠償額」を超え
る損害は認められない。
(4)居住制限区域旧居住者の損害のまとめ
以上によれば,居住制限区域(大熊町の居住制限区域を除くが,同区域を旧居住
地とする原告はいない。)及び旧居住制限区域の旧居住者につき,「中間指針等によ
る賠償額」を超える損害は認められない。
8旧居住地が避難指示解除準備区域(大熊町,双葉町を除く。)又は旧避難指示解
除準備区域である原告らについて
(1)避難指示解除準備区域の概要
避難指示解除準備区域は,旧避難区域及び旧計画的避難区域のうち,年間積算線
量20mSv以下となることが確実であることが確認された地域である。電気,ガ
ス,上下水道,主要交通網,通信など日常生活に必須なインフラや医療・介護・郵
便などの生活関連サービスが概ね復旧し,子供の生活環境を中心とする除染作業が
十分に進捗した段階で,県,市町村,住民との十分な協議を踏まえ,避難指示を解
除することが予定されている(丙C13・8頁)。
本件口頭弁論終結時(平成29年3月21日)現在,飯舘村の一部(平成24年
7月17日再編,平成29年3月31日解除予定),大熊町の一部(平成24年12
月10日再編。中間指針等では帰還困難区域と同様に扱う。),富岡町の一部(平成
25年3月25日再編,平成29年4月1日解除予定),浪江町の一部(平成25年
4月1日再編,平成29年3月31日解除予定),双葉町の一部(平成25年5月2
8日再編。中間指針等では帰還困難区域と同様に扱う。),川俣町の一部(平成25
年8月8日再編,平成29年3月31日解除予定)が指定されている(丙C28,
29,159,161〜163,216,236,301)。
避難指示解除準備区域においても,宿泊は禁止されるが,住民の一時帰宅,通過
交通,公益目的の立入りなどは可能である(丙C13・8〜9頁,丙C34)。
(2)避難指示解除準備区域指定中の損害
避難指示解除準備区域においても,\験茲遼楜鬚砲いて居住を継続するという
当然の権利(居住及び移転の自由)を制約されていること,避難生活において正
常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたこと,K楫鏤故か
ら6か月が経過した後も,避難指示区域の見直しまで今後の生活の見通しが立たな
い不安が増大する状況にあり,避難指示区域が見直された後も,いつ自宅に戻れる
か分からないという不安な状態が継続したこと,ざ間線量率も必ずしも継続的な
居住を容認できるほど低くはないこと,ダ験菷颪増加していること,は帰還困難
区域,居住制限区域と同様又はそれに類するものであるから,その精神的苦痛に対
する慰謝料も,帰還困難区域,居住制限区域と同様,月額10万円と評価するのが
相当である。「中間指針等による賠償額」においても同様に月額10万円とされてい
る(丙A2・18,21頁,丙C67)。
そうすると,平成23年3月11日から本件口頭弁論終結日まで,「中間指針等に
よる賠償額」を超える損害は認められない。
(3)旧避難指示解除準備区域の取扱い
田村市の一部(平成24年4月1日再編,平成26年4月1日解除),川内村の一
部(平成24年4月1日再編,平成26年10月1日解除。居住制限区域から避難
指示解除準備区域に再編された区域については旧居住制限区域として扱う。),楢葉
町の一部(平成24年8月10日再編,平成27年9月5日解除),葛尾村の一部
(平成25年3月22日再編,平成28年6月12日解除),南相馬市の一部(平成
24年4月16日再編,平成28年7月12日解除)は,避難指示解除準備区域に
指定されていたが,その指定は解除された(丙C28,29,丙C30の1〜3,
丙C31の1・2,丙C159,160,235,238)。
避難指示解除準備区域の指定が解除されたとしても,直ちにこれらの区域を旧居
住地としていた原告らの不安が解消されるわけではなく,相当期間が経過して合理
的な不安が解消されるに至るまでは精神的苦痛が継続すると考えられるところ,中
間指針は解除後相当期間経過後までは1か月10万円の日常生活阻害慰謝料の継続
を認め(丙A2・12,14,23頁),自主賠償基準において平成30年3月まで
月額10万円の精神的損害の賠償の継続が認められている(丙C67)。
この賠償は少なくとも本件口頭弁論終結時において継続されているところ,避難
指示解除準備区域指定解除から本件口頭弁論終結時までについても,「中間指針等に
よる賠償額」を超える損害は認められない。
(4)避難指示解除準備区域旧居住者の損害のまとめ
以上によれば,避難指示解除準備区域(大熊町,双葉町の避難指示解除準備区域
を除く。)及び旧避難指示解除準備区域の旧居住者につき,「中間指針等による賠償
額」を超える損害は認められない。
9旧居住地が旧特定避難勧奨地点であった原告らについて
(1)特定避難勧奨地点の概要
特定避難勧奨地点は,本件事故発生後1年間の積算線量が20mSvを超えると
推定される特定の地点であり,住居単位で指定され,避難が強制されるものではな
いが,その住民に対して注意喚起,自主的な避難の支援・促進を行うこととされ,
伊達市霊山町,月舘町,保原町の117地点128世帯,南相馬市鹿島区橲原,原
りようぜんまちつきだてまちほばらまちじさばら
町区大原,大谷,高倉,押釜,馬場,片倉の142地点153世帯,川内村下川内
おおがいたかのくらおしがま
の1地点1世帯が指定されていた(丙C10,丙C11の1・2・4〜6,丙C2
7,丙C33の1,丙C298,299)。伊達市及び川内村の特定避難勧奨地点は
平成24年12月14日に,南相馬市の特定避難勧奨地点は平成26年12月28
日に,それぞれ解除された(丙C11の3,丙C33の1,丙C77,300)。
(2)特定避難勧奨地点指定中の損害
中間指針(丙A2)は,特定避難勧奨地点からの避難者に月額10万円の賠償を
認め,自主賠償基準は,避難の有無を問わず同様の賠償を認めている(丙C19,
弁論の全趣旨)。
特定避難勧奨地点指定中は,これら「中間指針等による賠償額」を超える損害は
認められない。
(3)特定避難勧奨地点指定解除から3か月後までの損害
中間指針第二次追補は,特定避難勧奨地点からの避難者につき,特定避難勧奨地
点指定解除から3か月間は月額10万円の賠償が継続されるものとし(丙A4・9
頁),自主賠償基準は,避難の有無を問わず同様の賠償を認めている(丙C19,弁
論の全趣旨)。
この3か月間についても,これら「中間指針等による賠償額」を超える損害は認
められない。
(4)特定避難勧奨地点指定解除後4か月目以降の損害
ア平成27年4月以降の特定避難勧奨地点の状況
伊達市及び川内村の旧特定避難勧奨地点を旧居住地とする原告は本件訴訟にいな
い。
原告らのうち,原告H−142,143の旧居住地は南相馬市原町区大原の,原
告H−362〜365,T−1528,1530(なお,原告T−1529は,特
定避難勧奨地点指定中の平成25年11月12日に死亡しているから,平成27年
4月以降の損害を判断する必要はない。)の旧居住地は南相馬市原町区片倉の,それ
ぞれ特定避難勧奨地点であるから,南相馬市の特定避難勧奨地点の指定が解除され
た平成26年12月から3か月経過後である平成27年4月1日以降につき,賠償
すべき損害が認められるか検討する。
福島県が測定した(以下,特に断らない限り,空間線量率の値は福島県の測定に
よるもの),南相馬市原町区片倉に所在する南相馬市馬事公苑の平成27年4月1日
の空間線量率は0.17μSv/h(0.68mSv/y相当)(丙C71の5・6
7頁)であり,追加被曝線量1mSv/y相当値を下回っていた。
南相馬市原町区高倉字吹屋峠に所在する高の倉ダム助常観測所の平成27年4月
たかのくら
1日の空間線量率は1.33μSv/h(6.79mSv/y相当),原町区馬場字
五台山に所在する鉄山ダムで2.12μSv/h(10.95mSv/y相当),原
町区馬場字滝に所在する横川ダム管理事務所で0.40μSv/h(1.89
mSv/y相当),原町区高倉字尻掛に所在する高倉ダム(高倉ダム管理事務所)で
0.60μSv/h(2.95mSv/y)であるが,非生活圏の山林の除染が未
了であること(丙C87)を考えると,非生活圏であるダム付近の空間線量率を
もって生活圏である旧特定避難勧奨地点の状況の参考とすることはできない。
平成25年11月19日第8次モニタリング結果から計算した原告H−142,
143,362〜365,T−1528,1530の旧居住地の空間線量率は
0.96〜1.03μSv/h(4.84〜5.21mSv/y相当)であった
(甲B203別表1の8,21頁)が,特定避難勧奨地点指定中の数値であるから,
平成27年4月1日以降の同原告ら旧居住地の状況の参考になるとはいえない。
南相馬市原町区の公共サービス,生活関連サービスは,平成27年4月1日まで
には概ね復旧していたものと認められる(丙C42,64,81〜87,丙C12
5の1〜3,丙C175,223〜229,246,260,261)。
イ平成27年4月以降の南相馬市の旧特定避難勧奨地点旧居住者の損害
上記アの事情を総合すると,南相馬市の旧特定避難勧奨地点の空間線量率は,平
成27年4月以降は十分に低くなっていたものと認められ,公共サービス,生活関
連サービスも概ね復旧し,生活に大きな支障はない状況に至っていたものと認めら
れるから,南相馬市の旧特定避難勧奨地点の旧居住者について,平成27年4月1
日以降,賠償すべき精神的損害が発生しているとは認められない。
()旧特定避難勧奨地点旧居住者の損害のまとめ
以上によれば,旧特定避難勧奨地点旧居住者につき,「中間指針等による賠償額」
を超える損害があるとは認められない。
10旧居住地が旧緊急時避難準備区域であった原告らについて
(1)緊急時避難準備区域の概要
緊急時避難準備区域は,避難が強制されたものではないが,常に緊急時に避難の
ための立退き又は屋内待避が可能な準備を行うこととされ,自主的な避難が求めら
れていた区域であり,広野町,楢葉町,川内村,田村市及び南相馬市の各一部が指
定されていた(丙C8,27,68)が,平成23年9月30日に一括して解除さ
れた(丙C9)。
(2)緊急時避難準備区域指定中の損害
旧緊急時避難準備区域から現に避難した原告らについては,帰還困難区域と同様
に正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたものであり,旧
緊急時避難準備区域に滞在を続けた原告らについても,今後の本件事故の進展に対
する不安,いつ避難を強いられるか分からない不安,生活による被曝の不安等を感
じたものと認められ,その精神的苦痛は,避難者であるか滞在者であるかを問わず,
1か月10万円と評価するのが相当である。避難者については中間指針(丙A2)
において,滞在者については自主賠償基準(丙C19,20,88)において同様
であり,「中間指針等による賠償額」を超える損害は認められない。
(3)緊急時避難準備区域指定解除から11か月後までの損害
緊急時避難準備区域の指定が解除された後も,直ちにこれらの区域を旧居住地と
していた原告らの不安や生活の支障が解消されるわけではなく,相当期間が経過し
て合理的な不安や生活の支障が解消されるに至るまでは精神的苦痛が継続すると考
えられるところ,中間指針第二次追補は解除の11か月後である平成24年8月3
1日まで(楢葉町の旧緊急時避難準備区域については,楢葉町の避難指示解除後相
当期間経過後まで)1か月10万円(累計180万円)の日常生活阻害慰謝料の継
続を認め(丙A4・7〜8頁),自主賠償基準においても同様である(丙C19)。
さらに,自主賠償基準では,平成24年9月1日時点において高校生以下の者(中
学生以下の者,高校在学中であって15歳以上18歳以下の者)について,平成2
4年9月1日から平成25年3月31日まで月額5万円(累計215万円)の賠償
が認められている(丙C19,144)。
平成24年8月までの期間については,「中間指針等による賠償額」を超える損害
は認められない。
(4)平成24年9月以降の損害
子供・妊婦以外の者について中間指針等による賠償の対象となっていない平成2
4年9月1日以降(楢葉町を除くが,旧居住地が楢葉町の旧緊急時避難準備区域で
ある原告は本件訴訟にいない。)について,賠償すべき損害が発生しているか検討す
る。
ア広野町
広野町は全域が旧緊急時避難準備区域であったところ(丙C27),広野町役場を
ひろのまち
含む町内18箇所の平成25年4月1日の空間線量率は,0.11〜0.22
μSv/h(0.37〜0.95mSv/y相当)であり,いずれも追加被曝線量
1mSv/y相当値を下回っている(丙C71の3)。
原告H−522,T−1322の旧居住地は広野町の旧緊急時避難準備区域であ
るところ,平成24年12月28日第6次モニタリングから平成25年11月19
日第8次モニタリングまでの結果から計算した同原告らの旧居住地の空間線量率は
0.38〜0.60μSv/h(1.79〜2.95mSv/y相当)(甲B203
別表1の29,104頁)であり,1mSv/y相当値は上回っていたが,5
mSv/y相当値は下回っていた。同期間の広野町内の空間線量率は0.05〜
1.80μSv/h(0.05〜9.26mSv/y相当),平均0.51〜
0.58μSv/h(2.47〜2.84mSv/y相当)であった(甲B203
別表2)が,これは,非生活圏である山林なども含めての数値である。
広野町は,政府による避難指示等(3月12日福島第二原発10km圏内である
町北端の一部に避難区域指定,3月15日町全域に屋内待避区域指定,4月22日
緊急時避難準備区域指定)と別に,3月12日,町全域の住民に対し自主的な避難
を要請し,3月13日には独自の避難指示を出し,広野町役場は,3月15日には
小野町に,4月15日にはいわき市に移転していたところ,平成24年3月1日に
は広野町役場を再開し,平成24年3月31日には独自の避難指示も解除し,広野
町の公共サービス,生活関連サービスは,平成24年9月までには概ね復旧してい
たと認められる(甲B1の1本文編283頁,甲B1の2本文編379〜380頁,
甲B4・340頁,甲B52の17,甲C36,42,丙C73,255,25
6)。
イ川内村
(ア)川内村の概況
川内村下川内字貝ノ坂,字萩の区域は旧居住制限区域であり,平成26年10月
かわうちむら
1日に避難指示解除準備区域に再編され(丙C28,丙C30の1〜3),平成28
年6月14日に避難指示が解除された(丙C159,160)。
川内村下川内地区の一部(20km圏内)は旧避難指示解除準備区域であり,平
成26年10月1日に避難指示が解除された(丙C28,丙C30の1〜3)。
川内村下川内地区には特定避難勧奨地点があり,平成24年12月14日に解除
された(丙C27,77)。
川内村のその余の地域は,旧緊急時避難準備区域であった(丙C27)。
(イ)平成24年9月以降の川内村の旧緊急時避難準備区域の状況
20km圏内であるいわなの郷,保健福祉医療複合施設ゆふね,下川内坂シ内付
さかしうち
近,村営バス停留所(貝ノ坂地区),五枚沢集会所,毛戸集会所,割山トンネルの電
波時計脇を除いた,川内村役場を含む川内村内8箇所の平成25年4月1日の空間
線量率は,0.09〜0.52μSv/h(0.26〜2.53mSv/y相当)
であり,川内村大字下川内字小田代付近と下川内地区農業集落排水処理施設で5
mSv/y相当値を,それ以外の6箇所ではいずれも1mSv/y相当値を,それ
ぞれ下回っている(丙C71の3)。
川内村も,政府による避難指示等(3月15日屋内待避地域指定,4月22日緊
急時避難準備区域指定。丙C27)と別に,3月16日には村全域に独自の避難指
示を出し,郡山市に役場機能を移転していたところ,平成24年3月26日までに
はこの独自の避難指示も解除して川内村役場を再開し,川内村の公共サービス,生
活関連サービスは,平成24年9月までには概ね復旧していたと認められる(甲B
1の1本文編279頁,甲B4・340頁,甲B52の9・17,丙C43,65,
77,248,258,319)。
川内村の旧緊急時避難準備区域を旧居住地とする原告は本件訴訟にいない。
ウ田村市
(ア)田村市の概況
田村市のうち,20km圏内である都路町古道の一部は避難指示解除準備区域
みやこじまちふるみち
(平成26年4月1日解除)に指定されていた(丙C28,丙C31の1・2)。
概ね30km圏内である都路町,船引町横道,常葉町堀田及び常葉町山根(20
ふねひきまちよこみちときわまち
km圏内の旧避難指示解除準備区域を除く。)は,旧緊急時避難準備区域(9月30
日解除)に指定されていた(丙C8,27)。
その余の区域は,自主的避難等対象区域である。
(イ)平成24年9月以降の田村市の旧緊急時避難準備区域の状況
田村市の20〜30km圏内の,田村市都路行政局を含む8箇所の平成25年4
月1日の空間線量率は0.09〜0.48μSv/h(0.26〜2.32
mSv/y相当)であり(丙C71の3),いずれも5mSv/y相当値を下回って
いる。
原告H−231,H−431,432,T−1813,T−3316,3317
の旧居住地は,いずれも田村市都路町の旧緊急時避難準備区域であるところ,平成
24年12月28日第6次モニタリングから平成25年11月19日第8次モニタ
リングまでの結果から計算した同原告らの旧居住地の空間線量率は0.65〜
1.10μSv/h(3.21〜5.58mSv/y相当)であった(甲B203
別表1の13,24,131,215頁)。
同期間の田村市内の空間線量率は0.06〜1.70μSv/h(0.11〜
8.74mSv/y相当),平均0.38〜0.44μSv/h(1.79〜
2.11mSv/y相当)であるが(甲B203別表2),これは一方に田村市の
20km圏内の旧避難指示解除準備区域を含み,他方に30km圏外の自主的避難
等対象区域を含んだ数値である。
田村市の公共サービス,生活関連サービスは,平成24年9月までには概ね復旧
していたと認められる(丙C33の1・3頁,丙C79,259,313〜31
8)。
エ南相馬市
(ア)南相馬市の概況
南相馬市のうち,小高区の一部は帰還困難区域,小高区,原町区の一部は旧居住
制限区域(平成28年7月12日解除),小高区,原町区の一部は旧避難指示解除準
備区域(平成28年7月12日解除)であった(丙C28,29,159,16
0)。
鹿島区橲原,原町区大谷,大原,高倉,押釜,片倉,馬場の一部は特定避難勧奨
じさばらおおがいたかのくらおしがま
地点(平成26年12月28日解除)に指定されていた(丙C11の4〜6,丙C
27,丙C33の1,丙C77)。
南相馬市のうち,30km圏内である鹿島区の一部と原町区の大半は,旧緊急時
避難準備区域(9月30日解除)であった(丙C8,27,68)。
その余の原町区の一部と鹿島区の大半は,旧一時避難要請区域(4月22日解
除)であった。
(イ)平成24年9月以降の南相馬市の旧緊急時避難準備区域の状況
南相馬市の旧緊急時避難準備区域の,非生活圏である高倉ダム(高倉ダム管理事
務所),高の倉ダム助常観測所,鉄山ダム,南相馬市横山ダムを除いた,南相馬市役
所(福島第一原発から約26km)を含む7箇所の平成25年4月1日の空間線量
率は,0.12〜0.91μSv/h(0.42〜4.58mSv/y相当)であ
り(丙C71の3),いずれも5mSv/y相当値を下回っている。
南相馬市の旧緊急時避難準備区域を旧居住地とする原告らは相当数いるが,例え
ば,原告T−311の旧居住地は南相馬市原町区中太田の旧緊急時避難準備区域で
あるところ,平成24年12月28日第6次モニタリングから平成25年11月1
9日第8次モニタリングまでの結果から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は,
0.38〜0.52μSv/h(1.79〜2.53mSv/y相当)であり,1
mSv/y相当値は上回っているが,5mSv/y相当値は下回っていた。同期間
の南相馬市の空間線量率は0.05〜17.00μSv/h(0.05〜
89.26mSv/y相当),平均1.51〜1.70μSv/h(7.74〜
8.74mSv/y相当)であるが,これは,一方に小高区の帰還困難区域等を,
他方に鹿島区の旧一時避難要請区域を含んだ数値である。
南相馬市原町区の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復
旧していたものと認められる(丙C42,64,81〜87,丙C125の1〜3,
丙C175,223〜229,246,260,261)。
オ旧緊急時避難準備区域旧居住者の平成24年9月以降の損害について
上記ア〜エの事情を総合し,平成24年9月以降の旧緊急時避難準備区域の空間
線量率は概ね5mSv/yを下回っていたこと,旧緊急時避難準備区域の旧居住者
に対しては,平成24年8月分まで合計180万円が支払われていること,公共サ
ービス,生活関連サービスは概ね復旧していたことなどを考慮すると,空間線量率
が1mSv/yを上回っている区域が多く,旧緊急時避難準備区域の指定解除から
11か月が経過した後も旧緊急時避難準備区域旧居住者の放射線被曝に対する不安
や生活の支障が完全に解消されたわけではないことを考慮しても,旧緊急時避難準
備区域旧居住者に,平成24年9月以降,賠償すべき損害があるとは認められない。
カ子供・妊婦について
平成24年9月1日時点で高校生以下であった者(例えば,原告H−416は,
平成13年4月4日生の子供であった。)は,自主賠償基準により,平成24年9月
から平成25年3月まで月額5万円の賠償が認められているところ(丙C144),
この「中間指針等による賠償額」を超える損害があるとは認められない。
妊婦(例えば,原告H−419は,平成23年11月13日に原告H−422を
出産した妊婦であった。)についても,「中間指針等による賠償額」を超える損害が
あるとは認められない。
()旧緊急時避難準備区域旧居住者の損害のまとめ
以上によれば,旧緊急時避難準備区域を旧居住地とする原告らにつき,「中間指針
等による賠償額」を超える損害があるとは認められない。
11旧居住地が旧一時避難要請区域であった原告らについて
(1)旧一時避難要請区域の概況
南相馬市は,平成23年3月16日,市民の生活の安全確保等を理由として,そ
の独自の判断に基づいて,南相馬市の住民に対して一時避難を要請し,4月22日,
一時避難要請区域から避難していた住民に対して,自宅での生活が可能な者の帰宅
を許容する旨の見解を示した(丙A2・8頁)。
南相馬市のうち,30km圏内は帰還困難区域,旧居住制限区域,旧避難指示解
除準備区域,旧緊急時避難準備区域に,30km圏外であっても鹿島区橲原地区の
一部は旧特定避難勧奨地点となっており,旧一時避難要請区域はその余の区域(鹿
島区の大半,原町区の一部)である。
中間指針は,旧一時避難要請区域から現に避難した者に対し,平成23年7月末
まで月額10万円(合計50万円)を賠償することとし(丙A2・14,18,2
3頁),自主賠償基準は,避難の有無を問わず,9月30日まで月額10万円(合計
70万円)を賠償することとしている(丙C19,20)。
(2)平成23年9月までの損害
平成23年9月までの期間については,「中間指針等による賠償額」を超える損害
は認められない。
(3)平成23年10〜12月の状況
南相馬市が測定した,鹿島区役所を含む鹿島区内17箇所の9月29日から9月
30日までの空間線量率(地上1m)は,0.08〜2.89μSv/h
(0.21〜15.00mSv/y相当)であった(丙C72の2)。
南相馬市の旧一時避難要請区域の,南相馬市役所鹿島区役所(福島第一原発から
約32km),鹿島公民館橲原分館(同約32km)の10月31日から12月31
じさばら
日までの空間線量率は,0.28〜1.8μSv/h(1.26〜9.3
mSv/y相当)であった(丙C91)。
南相馬市の旧一時避難要請区域を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,
原告T−133の旧居住地は南相馬市鹿島区南柚木の旧一時避難要請区域であると
みなみゆぬき
ころ,平成23年11月5日第4次モニタリングの結果から計算した同原告の旧居
住地の空間線量率は,0.31μSv/h(1.42mSv/y相当)であった
(甲B203別表1の38頁)。
同期間の南相馬市の空間線量率は0.05〜24.00μSv/h(0.05〜
126.11mSv/y相当),平均2.80μSv/h(14.53mSv/y相
当)であるが,これは,小高区の帰還困難区域等を含んだ数値である。
南相馬市鹿島区の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復
旧していたものと認められる(丙C42,64,81〜87,丙C125の1〜3,
丙C175,223〜229,246,260,261)。
(4)平成24年1〜8月の状況
鹿島区役所,鹿島公民館橲原分館の平成24年1月31日から4月12日までの
空間線量率は,0.28〜1.7μSv/h(1.26〜8.7mSv/y相当)
であった(丙C71の2,丙C91)。
南相馬市が測定した,鹿島区役所を含む鹿島区内13箇所の平成24年3月17
日から5月23日までの空間線量率(地上1m)は,0.18〜2.53
μSv/h(0.74〜13.11mSv/y相当)であった(丙C125の2・
3)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−1
33の旧居住地の空間線量率は,0.33μSv/h(1.53mSv/y相当)
であった(甲B203別表1の38頁)。
()平成24年9月以降の状況
鹿島区役所,鹿島公民館橲原分館の平成25年4月1日の空間線量率は,
0.25〜0.37μSv/h(1.11〜1.74mSv/y相当)であった
(丙C71の3)。
平成24年12月28日第6次モニタリングから平成25年11月19日第8次
モニタリングまでの結果から計算した原告T−133の旧居住地の空間線量率は,
0.15〜0.26μSv/h(0.58〜1.16mSv/y相当)であった
(甲B203別表1の38頁)。
(6)平成23年10〜12月の損害
上記(3)の事情に加え,平成23年10〜12月については,鹿島区橲原字地蔵木
(坂下橋付近)で10mSv/y相当値を超える空間線量率が計測されていること
(丙C72の2),収束宣言により福島第一原発の冷温停止状態の達成が確認された
のが平成23年12月16日であること(丙C12),自主的避難等対象区域旧居住
者につき,子供・妊婦は平成23年3〜12月分が「中間指針等による賠償額」の
対象となり(丙A3・6頁),子供・妊婦以外の者についても,後記のとおり平成2
3年12月分までの賠償が認められるべきことなどを考慮すると,橲原地区で20
mSv/y以上の追加被曝線量が見込まれた地点は特定避難勧奨地点に指定されて
いること,平成23年9月分まで合計70万円の「中間指針等による賠償額」が認
められていること,公共サービス,生活関連サービスは概ね復旧していたことなど
を考慮しても,旧一時避難要請区域旧居住者が平成23年10〜12月に抱いてい
た放射線被曝に対する不安,今後の本件事故の進展に対する不安は,平成23年9
月までと同等の程度とまでは認められないものの,引き続き賠償に値するものと認
めるのが相当である。
その額は,平成23年10月1日から12月31日までの3か月間を包括して3
万円程度と認めるのが相当である。
(7)平成24年1〜8月の損害について
ア子供・妊婦以外の者について
上記(4)の事情に加え,平成24年1〜8月については,鹿島区橲原字地蔵木(坂
下橋付近)においては引き続き10mSv/y相当値を超える空間線量率が計測さ
れていた(丙C125の2・26頁,丙C125の3・22頁)ものの,橲原地区
で20mSv/y以上の追加被曝線量が見込まれた地点は特定避難勧奨地点に指定
されていること,平成23年9月分まで合計70万円の「中間指針等による賠償
額」が認められ,上記(6)のとおりさらに平成23年10〜12月分として3万円の
賠償が認められること,平成23年12月16日には収束宣言により福島第一原発
の冷温停止状態の達成が確認され,今後の本件事故の進展に関する不安も減少して
いたこと,公共サービス,生活関連サービスは概ね復旧していたことなどを考慮す
れば,子供・妊婦以外の者については,平成24年1月以降,賠償すべき損害があ
るとは認められない。
イ子供・妊婦について
他方,子供・妊婦(例えば,原告H−538は,平成21年10月6日生の子供,
原告T−754は,平成17年12月9日生の子供,原告T−755は,平成22
年2月2日生の子供,原告T−842は,平成6年10月4日生の子供であった。
本件訴訟の原告に,旧一時避難要請区域旧居住者で平成24年1月以降に妊婦で
あった者はいない。)については,平成24年1月以降の不安が子供・妊婦以外の者
に比べて大きかったであろうこと,旧一時避難要請区域よりも福島第一原発から遠
い相馬市などの自主的避難等対象区域旧居住者の子供・妊婦には自主賠償基準によ
り平成24年1〜8月分として8万円の賠償が認められていること(丙C24)な
どを考慮すれば,旧一時避難要請区域旧居住者の子供・妊婦についても,自主的避
難等対象区域旧居住者の子供・妊婦と同様,平成24年1〜8月分として8万円
(「中間指針等による賠償額」を超える損害としては,平成23年10〜12月分3
万円と合わせて合計11万円)の賠償を認めるのが相当である。
上記()の事情によれば,平成24年9月以降については,旧一時避難要請区域旧
居住者の子供・妊婦について賠償すべき損害があるとは認められない。
(8)旧一時避難要請区域の損害のまとめ
以上によれば,旧一時避難要請区域旧居住者のうち,子供・妊婦以外の者につい
ては,「中間指針等による賠償額」を超える損害として3万円を認める。
旧一時避難要請区域旧居住者のうち子供・妊婦については,「中間指針等による賠
償額」を超える損害として合計11万円を認める。
12旧居住地が旧屋内待避区域であった原告らについて
(1)旧屋内待避区域の概況
原災本部長である内閣総理大臣は,3月15日,福島第一原発から30km圏内
を屋内待避区域に指定した(丙C5)。4月22日,屋内待避区域の指定は解除され
た(丙C8,27)。
旧屋内待避区域のうち,計画的避難区域にも緊急時避難準備区域にも指定されな
かったのは,いわき市のうち福島第一原発から30km圏内の区域(久之浜町,大
久町,小川町,川前町の一部)のみである(丙C27)。
中間指針は,旧屋内待避区域から現に避難した者に対し,平成23年7月末まで
月額10万円(合計50万円)を,旧屋内待避区域に滞在して屋内待避をしていた
者に10万円を,それぞれ賠償することとし(丙A2),自主賠償基準は,避難の有
無を問わず,9月30日まで月額10万円(合計70万円)を賠償することとして
いる(丙C20)。
(2)旧屋内待避区域を旧居住地とする原告はいないこと
旧屋内待避区域を旧居住地とする原告は本件訴訟にいないから,同区域の旧居住
者に「中間指針等による賠償額」を超える損害が生じたか否かは判断しない。
13旧居住地が自主的避難等対象区域である原告らについて
(1)自主的避難等対象区域の概況
中間指針第一次追補は,県北地域,県中地域,相双地域,いわき地域の23市町
村(避難指示等対象区域を除く。)を自主的避難等対象区域と定義している(丙A
3・2〜3頁)。
中間指針第一次追補は,避難の有無を問わず,自主的避難等対象区域の子供及び
妊婦に対し,3月11日から12月31日までの損害として40万円を,子供及び
妊婦以外の者に対し,本件事故発生当初の時期(概ね本件事故発生から4月22日
頃までの時期が目安となる。)の損害として8万円を賠償することとし(丙A3・6
〜8頁,丙A7・13頁),自主賠償基準は,子供及び妊婦に対し,平成24年1月
1日から8月31日までの損害として8万円を追加して賠償することとしている
(丙C21,24)。
これらは,いずれも中間指針等に定める精神的損害の賠償額と認められるので
(丙C24),これらの額を超える損害が認められるかを検討する。
このほか,自主賠償基準は,子供及び妊婦で実際に避難した者に20万円,平成
24年1月1日から8月31日までの追加的費用等につき4万円を,それぞれ賠償
することとしているが,これらはいずれも追加的費用等に対する賠償であって,精
神的損害に対する賠償ではないものと認める(丙C24)。
(2)福島市
ア平成23年3月の状況
福島市御山町に所在する県北保健福祉事務所事務局では,3月15日に
おやまちよう
24.24μSv/h(127.37mSv/y相当)という,追加被曝線量
100mSv相当値を超える空間線量率が計測され,3月27日の空間線量率も
3.61μSv/h(18.79mSv/y相当)に達していた(甲C157資料
1,丙C122の3)。
3月15日に県北保健福祉事務所事務局で計測された24.24μSv/hとい
う値は,この値が24時間365日継続すれば年間追加被曝線量127.37
mSv/yにも相当する値であるが,上記の値は一時的なものであり,その後の放
射線量の推移によれば,福島市内の積算線量は,3月12日から4月5日までの積
算で0.4〜2.1mSv,3月12日から平成24年3月11日までの1年間の
積算線量推定値(4月6日以降は4月5日の測定値が継続すると仮定)で2.4〜
16.8mSv(丙C122の4・2頁)であり,福島市民の実際の追加被曝線量
は20mSv/yを超えるものではなかった。
3月15日に計測された上記放射線量は,2号機から放出された放射性物質を含
む蒸気雲(プルーム)が風に乗って北北西の方向に流れたためと考えられるが(甲
B1の1本文編268〜269頁,乙B173・17頁,丙B41の1・275〜
276頁,丙B53・21頁),そのような情報は事前に住民に伝えられなかったた
め,福島市民が適切な放射線被曝回避措置を取ることは困難であった。
3月17日から3月31日までにも,福島市杉妻町で2.0〜8.0μSv/h
すぎつまちよう
(10.3〜41.9mSv/y相当),福島市大波字滝ノ入で4.0〜18.3
たきのいり
μSv/h(20.8〜96.1mSv/y相当)といった,20mSv/y相当
値を超える空間線量率が計測され,福島市荒井字原宿でも0.5〜1.0
μSv/h(2.4〜5.1mSv/y相当)の空間線量率が計測されていた(甲
A25)。
福島市五老内町に所在する福島市役所(福島第一原発から約62km)の3月3
ごろううちまち
1日の空間線量率は2.61μSv/h(13.53mSv/y相当),農業総合セ
ンター果樹研究所,福島西インターチェンジ,ふくしま自治研修センターの同日の
空間線量率は0.64〜1.93μSv/h(3.16〜9.95mSv/y相
当)であった(丙C91)。
福島市では,本件地震により,14万7000戸の停電,市内全域の断水,大規
模な電話の不通,2726戸のガス供給停止などが発生したが,平成23年4月頃
までには,福島市内の公共サービス,生活関連サービスは概ね復旧していたものと
認められる(丙C122の1〜41,丙C266〜268)。
イ平成23年4月の状況
福島市役所,農業総合センター果樹研究所,福島西インターチェンジ,ふくしま
自治研修センターの4箇所の4月1日から4月9日までの空間線量率は0.62〜
2.31μSv/h(3.05〜11.95mSv/y相当),福島市役所で
1.53〜2.31μSv/h(7.84〜11.95mSv/y相当)であり
(丙C71の1),平成23年4月時点では,福島市役所のような市街地においても,
10mSv/y相当値を超える線量が計測されていた。
上記4箇所に県北保健福祉事務所事務局を加えた5箇所の4月12日から4月1
4日までの空間線量率は,0.49〜1.83μSv/h(2.37〜9.42
mSv/y相当)であった(丙C122の3)。
福島市杉妻町,大波字滝ノ入,荒井字原宿の4月1日から4月29日までの空間
線量率は,0.1〜3.8μSv/h(0.3〜19.8mSv/y相当)であっ
た(甲A25,丙C122の4)。
福島市役所の4月30日の空間線量率は1.49μSv/h(7.63
mSv/y相当)であった(丙C91)。
4月6日から4月29日にかけて第1次航空機モニタリングが実施され,福島市
にも1.9〜3.8μSv/h(10〜20mSv/y相当)の区域が分布してい
ることが確認された(甲B195)。
福島市を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−622の旧居住
地は福島市笹木野であるが,4月29日第1次航空機モニタリング結果から計算し
ささきの
た同原告の旧居住地の空間線量率は1.10μSv/h(5.58mSv/y相
当)(甲B203別表1の65頁),福島市内の空間線量率は0.05〜3.20
μSv/h(0.05〜16.63mSv/y相当),平均0.70μSv/h
(3.47mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
福島市が測定した,福島市役所を含む18箇所の5月2日から5月11日までの
空間線量率は,0.20〜2.87μSv/h(0.84〜14.89mSv/y
相当)であった(丙C122の5)。
県北保健福祉事務所事務局の5月12日の空間線量率は,1.45μSv/h
(7.42mSv/y相当)であった(丙C122の5)。
福島市役所の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.93〜
1.36μSv/h(4.68〜6.95mSv/y相当)であった(丙C91)。
福島市が6月17日から6月20日までに行った全市一斉放射線量測定の結果,
1118地点中,0.5μSv/h未満が93件,0.5〜1.0μSv/h未満
が214件,1.0〜1.5μSv/h未満が321件,1.5〜2.0
μSv/h未満が309件,2.0〜2.5μSv/h未満が134件,2.5〜
3.0μSv/h未満が33件,3.0〜3.4μSv/h未満が8件,3.4
μSv/h以上が6件,市内19地区の平均空間線量率は0.26〜2.24
μSv/h(1.16〜11.58mSv/y相当),全市平均で1.33
μSv/h(6.79mSv/y相当)であった(甲B63,丙C122の28)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−622の旧居住地の空間線量率は,0.81〜
1.10μSv/h(4.05〜5.58mSv/y相当)(甲B203別表1の6
5頁),福島市内の空間線量率は0.05〜3.10μSv/h(0.05〜
16.11mSv/y相当),平均0.58〜0.79μSv/h(2.84〜
3.95mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
福島市役所の平成24年1月31日から2月16日までの空間線量率は,
1.06〜1.08μSv/h(5.37〜5.47mSv/y相当)であった
(丙C91)。
福島市が平成24年3月8日から3月23日に行った市内2916地点の全市一
斉放射線量測定の結果,783区画中,0.23μSv/h未満が29件,
0.23〜0.5μSv/h未満が144件,0.5〜0.75μSv/h未満が
212件,0.75〜1.0μSv/h未満が178件,1.0〜1.25
μSv/h未満が146件,1.25〜1.5μSv/h未満が39件,1.5〜
1.75μSv/h未満が23件,1.75〜2.0μSv/h未満が10件,
2.0〜2.25μSv/h未満が2件,平均0.77μSv/h(3.8
mSv/y相当)で,全体の71.9%が1μSv/h未満であり,2μSv/h
以上の区画が存在するのは大波地区と渡利地区であった(甲B63,丙C122の
18)。
福島市内22箇所の平成24年4月1日の空間線量率は,0.04〜1.39
μSv/h(0〜7.11mSv/y相当)であった(丙C71の2)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングから計算した原告T−622の
旧居住地の空間線量率は0.82μSv/h(4.11mSv/y相当)(甲B20
3別表1の65頁),福島市内の空間線量率は0.05〜1.90μSv/h
(0.05〜9.79mSv/y相当),平均0.47μSv/h
(2.26mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
福島市が平成25年3月1日から3月15日までに行った全市一斉放射線量測定
の結果,916区画中,0.23μSv/h未満が48件,0.23〜0.5
μSv/h未満が389件,0.5〜0.75μSv/h未満が258件,
0.75〜1.0μSv/h未満が175件,1.0〜1.25μSv/h未満が
34件,1.25〜1.5μSv/h未満が9件,1.5〜1.75μSv/h未
満が3件,平均0.56μSv/h(2.74mSv/y相当)であり,
95.0%が1.0μSv/h未満であった(甲B63,丙C122の28)。
平成25年4月1日から平成29年3月2日までの福島市内22箇所の空間線量
率は,0.04〜0.63μSv/h(0〜3.11mSv/y相当)であった
(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空モニタリングまでの結果から計算した原告T−622の旧居住地の空間
線量率は0.47〜0.67μSv/h(2.26〜3.32mSv/y相当)(甲
B203別表1の65頁),福島市内の空間線量率は,0.05〜1.50
μSv/h(0.05〜7.68mSv/y相当),平均0.33〜0.41
μSv/h(1.53〜1.95mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(3)二本松市
ア平成23年3月の状況
二本松市太田では,3月17日から3月31日までに,1.1〜5.2
μSv/h(5.6〜27.2mSv/y相当)といった,20mSv/y相当値
を超える空間線量率が計測されていた(甲A25)。
二本松市による測定では,平成23年3月,二本松市岩代支所で10μSv/h
(52mSv/y相当),二本松市役所本庁(福島第一原発から約56km)でも8
μSv/h以上(42mSv/y相当)といった,20mSv/y相当値を大きく
上回る空間線量率が測定されていた(丙C276)。
二本松市役所,二本松市役所東和支所の3月31日の空間線量率は1.64〜
3.3μSv/h(8.42〜17.2mSv/y相当)であった(丙C91)。
二本松市の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧して
いたものと認められる(丙C119の1〜3,丙C276,277)。
イ平成23年4月の状況
二本松市役所,二本松市役所東和支所の4月1日から4月30日までの空間線量
率は,0.77〜2.93μSv/h(3.63〜15.21mSv/y相当)で
あった(丙C71の1,丙C91,92)。
二本松市の測定では,二本松市役所本庁,安達支所,岩代支所,東和支所の4月
1日から4月15日までの空間線量率は,0.78〜3.11μSv/h
(3.89〜16.16mSv/y相当)であった(丙C276)。
二本松市太田の4月3日から4月20日までの空間線量率は,0.8〜2.2
μSv/h(4.0〜11.4mSv/y相当)であった(甲A25)。
二本松市を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−1257の旧
居住地は二本松市針道であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から
計算した同原告の旧居住地の空間線量率は1.20μSv/h(6.11
mSv/y相当)(甲B203別表1の101頁),二本松市内の空間線量率は
0.05〜3.50μSv/h(0.05〜18.21mSv/y相当),平均
1.12μSv/h(5.68mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
二本松市役所東和支所,二本松市田沢集会場の5月31日から12月31日まで
の空間線量率は,0.4〜0.64μSv/h(1.9〜3.16mSv/y相
当)であった(丙C91)。
二本松市が測定した,二本松市役所本庁,安達支所,岩代支所,東和支所の5月
1日から5月15日までの空間線量率は,0.59〜1.89μSv/h
(2.89〜9.74mSv/y相当)であった(丙C276)。
福島県や二本松市が測定した,二本松市役所東和支所,二本松市田沢集会場,二
本松市役所安達支所,二本松市役所岩代支所の6月1日から10月1日までの空間
線量率は0.38〜1.67μSv/h(1.79〜8.58mSv/y相当),原
子力災害対策現地本部及び福島県が測定した,二本松市沼ヶ作,坊主滝,針道の7
ぬまがさく
月19日の空間線量率は0.21〜3.52μSv/h(0.89〜18.32
mSv/y相当)であった(丙C92)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−1257の旧居住地の空間線量率は0.76〜
1.10μSv/h(3.79〜5.58mSv/y相当)(甲B203別表1の1
01頁),二本松市内の空間線量率は0.05〜3.50μSv/h(0.05〜
18.21mSv/y相当),平均0.96〜1.27μSv/h(4.84〜
6.47mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
二本松市内の2〜17箇所の平成24年1月31日から4月12日までの空間線
量率は,0.22〜0.87μSv/h(0.95〜4.37mSv/y相当)で
あった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−1
257の旧居住地の空間線量率は0.86μSv/h(4.32mSv/y相当)
(甲B203別表1の101頁),二本松市内の空間線量率は0.12〜1.90
μSv/h(0.42〜10.21mSv/y相当),平均0.89μSv/h
(4.47mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
二本松市内の18箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間
線量率は,0.07〜0.76Sv/h(0.16〜3.79mSv/y相当)で
あった(丙C56,丙C71の3〜6,丙C202,211)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングから平成25年11月19日第
8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−1257の旧居住地の空
間線量率は0.49〜0.86μSv/h(2.37〜4.32mSv/y相当)
(甲B203別表1の101頁),二本松市内の空間線量率は,0.05〜1.90
μSv/h(0.05〜9.79mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(4)伊達市
ア伊達市の概況
伊達市のうち,霊山町上小国,下小国,石田,月舘町月舘,保原町富沢には特定
りようぜんまちつきだてまちほばらまち
避難勧奨地点に指定された地点があり,平成24年12月14日に解除された(丙
C11の1〜3)。
その余の地域は自主的避難等対象区域である。
イ平成23年3月の状況
伊達市保原町舟橋に所在する伊達市役所保原本庁舎(福島第一原発から約
61km)の3月31日の空間線量率は,2.25μSv/h(11.63
mSv/y相当)であった(丙C91)。
伊達市霊山町では,3月17日から3月30日までに,3.6〜14.0
μSv/h(18.7〜73.5mSv/y)といった,20mSv/y相当値を
超える空間線量率が計測されていた(甲A25)。
伊達市の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(丙C281)。
ウ平成23年4月の状況
伊達市役所保原本庁舎の4月1日から4月30日までの空間線量率は,1.21
〜2.09μSv/h(6.16〜10.79mSv/y相当)であった(丙C7
1の1,丙C91)。
伊達市霊山町では,4月1日から4月29日までに,2.1〜4.0μSv/h
(10.8〜20.8mSv/y)といった,20mSv/y相当値を超える空間
線量率が計測されていた(甲A25)。
伊達市を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告H−16の旧居住地
は伊達市梁川町であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算し
やながわまち
た同原告の旧居住地の空間線量率は0.53μSv/h(2.58mSv/y相
当)であった(甲B203別表1の1頁)。伊達市内の空間線量率は0.37〜
6.30μSv/h(1.74〜32.94mSv/y相当),平均1.32
μSv/h(6.74mSv/y相当)であった(甲B203別表2)が,これは,
伊達市内の特定避難勧奨地点を含んだ数値である。甲B203別表2の元データは,
別表1の原告ら旧居住地のデータに限らず,航空機モニタリングの全データ(特定
避難勧奨地点を含む。)を元にしているものと認められ(甲B203・7頁),伊達
市の自主的避難等対象区域を旧居住地とする原告らの中には,4月29日の旧居住
地の空間線量率が3.8μSv/h(20mSv/y相当)を超える者はいない
(甲B203別表1)。
第1次航空機モニタリング結果を色分けした図(甲B195)を見ても,伊達市
南東部(霊山町石田,月舘町月舘地区)に,飯舘村から続く,3.8〜9.5
μSv/hを示す黄色の領域が広がっている。
エ平成23年5〜12月の状況
伊達市役所保原本庁舎の5月31日の空間線量率は1.06μSv/h
(5.37mSv/y相当),小国ふれあいセンター,下小国中央集会所,霊山パー
キング,月舘相葭公民館の6月30日から12月31日までの空間線量率は
つきだてあいよし
0.84〜2.18μSv/h(4.21〜11.26mSv/y相当)であった
(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告H−16の旧居住地の空間線量率は0.43〜
0.54μSv/h(2.05〜2.63mSv/y相当)であった(甲B203
別表1の1頁)。伊達市内の空間線量率は0.23〜6.80μSv/h(1.00
〜30.32mSv/y相当),平均0.80〜1.43μSv/h(4.00〜
7.32mSv/y相当)であった(甲B203別表2)が,これは,伊達市内の
特定避難勧奨地点を含んだ数値である。
オ平成24年1〜8月の状況
伊達市役所保原本庁舎を含む,伊達市内の4〜14箇所の平成24年1月31日
から4月12日までの空間線量率は,0.17〜1.59μSv/h(0.68〜
8.16mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告H−1
6の旧居住地の空間線量率は0.46μSv/h(2.21mSv/y相当)で
あった(甲B203別表1の1頁)。伊達市内の空間線量率は,0.29〜3.90
μSv/h(1.32〜20.32mSv/y相当),平均0.92μSv/h
(4.63mSv/y相当)であった(甲B203別表2)が,これは,伊達市内
の特定避難勧奨地点を含んだ数値である。
カ平成24年9月以降の状況
伊達市役所保原本庁舎を含む,伊達市内の14〜15箇所のモニタリング地点の
平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率は,0.05〜
0.58μSv/h(0.05〜2.84mSv/y相当)であった(丙C56,
丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告H−16の旧居住地の空間
線量率は,0.25〜0.40μSv/h(1.11〜1.89mSv/y相当)
(甲B203別表1の1頁),伊達市内の空間線量率は,0.15〜3.00
μSv/h(0.58〜15.58mSv/y相当),平均0.58〜0.71
μSv/h(2.84〜3.53mSv/y相当)であった(甲B203別表2)
が,これは,伊達市内の特定避難勧奨地点を含んだ数値である。
()本宮市
ア平成23年3月の状況
本宮市役所(福島第一原発から約57km)の3月31日の空間線量率は,
2.11μSv/h(10.89mSv/y相当)であった(丙C91)。
本宮市の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
本宮市役所の4月1日から4月30日までの空間線量率は,1.06〜2.09
μSv/h(5.37〜10.79mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙
C91)。
本宮市を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−351の旧居住
地は本宮市であるが,4月29日第1次航空機モニタリング結果から計算した同原
告の旧居住地の空間線量率は1.50μSv/h(7.68mSv/y相当)(甲B
203別表1の50頁),本宮市内の空間線量率は0.61〜2.20μSv/h
(3.00〜11.37mSv/y相当),平均1.24μSv/h(6.32
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
本宮市役所,白沢総合支所,旧白沢総合支所の5月31日から12月31日まで
の空間線量率は,0.52〜0.9μSv/h(2.53〜4.5mSv/y相
当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−351の旧居住地の空間線量率は1.00〜
1.40μSv/h(5.05〜7.16mSv/y相当)(甲B203別表1の5
0頁),本宮市内の空間線量率は0.55〜3.10μSv/h(2.68〜
16.11mSv/y相当),平均1.02〜1.44μSv/h(5.16〜
7.37mSv/y相当)であった。
エ平成24年1〜8月の状況
本宮市の2〜7箇所の平成24年1月31日から4月12日までの空間線量率は,
0.18〜0.65μSv/h(0.74〜3.21mSv/y相当)であった
(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−3
51の旧居住地の空間線量率は0.84μSv/h(4.21mSv/y相当)(甲
B203別表1の50頁),本宮市内の空間線量率は0.48〜1.90μSv/h
(2.32〜9.79mSv/y相当),平均0.98μSv/h(4.95
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
本宮市の7箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率
は,0.07〜0.26μSv/h(0.16〜1.53mSv/y相当)であっ
た(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−351の旧居住地の空
間線量率は0.54〜0.67μSv/h(2.63〜3.32mSv/y相当)
(甲B203別表1の50頁),本宮市内の空間線量率は0.30〜1.30
μSv/h(1.37〜6.63mSv/y相当),平均0.58〜0.73
μSv/h(2.84〜3.63mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(6)桑折町
ア平成23年3月の状況
桑折町(測定場所不詳)においては,3月20日から3月22日までに,
こおりまち
3.98〜6.33μSv/h(20.74〜33.11mSv/y相当)といっ
た,20mSv/y相当値を超える空間線量率が計測されていた(丙C135の
1)。
福島北警察署桑折分庁舎(福島第一原発から約66km)の3月31日の空間線
量率は2.1μSv/h(10.8mSv/y相当)であった(丙C91)。
桑折町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(丙C135の1〜6)。
イ平成23年4月の状況
福島北警察署桑折分庁舎の4月1日から4月30日までの空間線量率は1.18
〜2.02μSv/h(6.00〜10.42mSv/y相当),桑折町が測定した
桑折町内4箇所(桑折公民館,睦合公民館,伊達崎公民館,半田公民館)の4月2
2日から4月30日までの空間線量率は0.74〜1.02μSv/h(3.68
〜5.16mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C135の3,丙C13
6)。
桑折町を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告H−73の旧居住地
は桑折町であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同原
告の旧居住地の空間線量率は1.10μSv/h(5.58mSv/y相当)(甲B
203別表1の5頁),桑折町内の空間線量率は,0.20〜1.70μSv/h
(0.84〜8.74mSv/y相当),平均1.07μSv/h(5.42
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
福島北警察署桑折分庁舎の5月31日から12月31日までの空間線量率は
0.67〜0.98μSv/h(3.32〜4.95mSv/y相当)であった
(丙C91)。
桑折町が測定した,桑折町内4〜5箇所の5月1日から12月28日までの空間
線量率は0.44〜0.97μSv/h(2.11〜4.89mSv/y相当),町
民運動場,桑折テニスコート,ふれあい公園,桑折町内11の児童館,保育所,幼
稚園,小中学校の,6月1日から6月14日までの空間線量率(地上50cm)は,
0.65〜3.28μSv/h(3.21〜17.05mSv/y相当)であった
(丙C135の4,丙C136)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告H−73の旧居住地の空間線量率は0.69〜
1.20μSv/h(3.42〜6.11mSv/y相当)(甲B203別表1の5
頁),桑折町内の空間線量率は0.17〜1.90μSv/h(0.68〜9.79
mSv/y相当),平均0.71〜1.05μSv/h(3.53〜5.32
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
桑折町の1〜4箇所のモニタリング地点の平成24年1月31日から4月12日
までの空間線量率は,0.19〜0.71μSv/h(0.79〜3.53
mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
桑折町が測定した5箇所の平成24年1月4日から8月31日までの空間線量率
は,0.33〜0.72μSv/h(1.53〜3.58mSv/y相当)であっ
た(丙C136)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告H−7
3の旧居住地の空間線量率は0.68μSv/h(3.37mSv/y相当)(甲B
203別表1の5頁),桑折町内の空間線量率は0.19〜1.20μSv/h
(0.79〜6.11mSv/y相当),平均0.68μSv/h(3.37
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
桑折町の4箇所のモニタリング地点の平成25年4月1日から平成29年3月2
日までの空間線量率は0.05〜0.34μSv/h(0.05〜1.58
mSv/y相当),桑折町が測定した5箇所の平成24年9月3日から平成28年7
月22日までの空間線量率は0.08〜0.53μSv/h(0.21〜2.58
mSv/y相当)であった(丙C56,丙C71の3〜5,丙C136,丙C20
2,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告H−73の旧居住地の空間
線量率は0.30〜0.57μSv/h(1.37〜2.79mSv/y相当)(甲
B203別表1の45頁),桑折町内の空間線量率は0.10〜1.02μSv/h
(0.32〜5.16mSv/y相当),平均0.39〜0.55μSv/h
(1.84〜2.68mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(7)国見町
ア平成23年3月の状況
国見町役場(福島第一原発から約66km)の3月31日の空間線量率は
くにみまち
1.15μSv/h(5.84mSv/y相当)であった(丙C91)。
国見町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
国見町役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.69〜1.21
μSv/h(3.42〜6.16mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
国見町を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告H−28の旧居住地
は国見町であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同原
告の旧居住地の空間線量率は1.10μSv/h(5.58mSv/y相当)(甲B
203別表1の2頁),国見町内の空間線量率は,0.47〜1.50μSv/h
(2.26〜7.68mSv/y相当),平均0.99μSv/h(5.00
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
国見町役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.39〜
0.55μSv/h(1.84〜2.68mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告H−28の旧居住地の空間線量率は0.62〜
0.99μSv/h(3.05〜5.00mSv/y相当)(甲B203別表1の2
頁),国見町内の空間線量率は0.32〜1.40μSv/h(1.47〜7.16
mSv/y相当),平均0.61〜0.96μSv/h(3.00〜4.84
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
国見町役場の平成24年1月31日から4月12日までの空間線量率は,
0.23〜0.35μSv/h(1.00〜1.63mSv/y相当)であった
(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告H−2
8の旧居住地の空間線量率は0.52μSv/h(2.53mSv/y相当)(甲B
203別表1の2頁),国見町内の空間線量率は0.35〜1.20μSv/h
(1.63〜6.11mSv/y相当),平均0.63μSv/h(3.11
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
国見町役場の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率は,
0.05〜0.22μSv/h(0.05〜0.95mSv/y相当)であった
(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告H−28の旧居住地の空間
線量率は0.27〜0.40μSv/h(1.21〜1.89mSv/y相当)(甲
B203別表1の2頁),国見町内の空間線量率は0.20〜0.84μSv/h
(0.84〜4.21mSv/y相当),平均0.36〜0.48μSv/h
(1.68〜2.32mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(8)川俣町
ア川俣町の概況
川俣町のうち,山木屋地区の一部は居住制限区域,避難指示解除準備区域(平成
かわまたまち
29年3月31日解除予定)であり(丙C27〜29,237),その余は自主的避
難等対象区域である。
イ平成23年3月の状況
川俣町役場(福島第一原発から約47km)の3月31日の空間線量率は1.7
μSv/h(8.7mSv/y相当)であった(丙C91)。
川俣町の自主的避難等対象区域(福島第一原発から約47km)において,3月
17日から3月29日までに,1.6〜6.7μSv/h(8.2〜35.1
mSv/y相当)といった,20mSv/y相当値を超える空間線量率が計測され
ていた(甲A25)。
川俣町の自主的避難等対象区域の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故
直後から概ね復旧していたものと認められる(丙C131,弁論の全趣旨)。
ウ平成23年4月の状況
川俣町役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.74〜1.65
μSv/h(3.7〜8.47mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C9
1)。
川俣町の自主的避難等対象区域では,4月4日から4月29日までに,0.6〜
2.3μSv/h(2.9〜11.9mSv/y相当)の空間線量率が計測されて
いた(甲A25)。
川俣町の自主的避難等対象区域を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,
原告H−141の旧居住地は川俣町の自主的避難等対象区域であるが,4月29日
第1次航空機モニタリングの結果から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は
1.20μSv/h(6.11mSv/y相当)であった(甲B203別表1の8
頁)。川俣町内の空間線量率は0.79〜12.00μSv/h(3.95〜
62.95mSv/y相当),平均2.17μSv/h(11.21mSv/y相
当)であるが(甲B203別表2),これは,山木屋地区の居住制限区域,避難指示
解除準備区域を含んだ数値である。
エ平成23年5〜12月の状況
川俣町役場の5月31日から12年31日までの空間線量率は0.53〜
0.72μSv/h(2.58〜3.58mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告H−141の旧居住地の空間線量率は0.76〜
1.40μSv/h(3.79〜7.16mSv/y相当)であった(甲B203
別表1の8頁)。川俣町内の空間線量率は0.51〜13.00μSv/h
(2.47〜68.21mSv/y相当),平均1.61〜2.13μSv/h
(8.26〜11.00mSv/y相当)であるが(甲B203別表2),これは,
山木屋地区の居住制限区域,避難指示解除準備区域を含んだ数値である。
オ平成24年1〜8月の状況
山木屋地区を除く,川俣町の自主的避難等対象区域の1〜4箇所の平成24年1
月31日から4月12日までの空間線量率は,0.21〜0.57μSv/h
(0.89〜2.79mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告H−1
41の旧居住地の空間線量率は0.85μSv/h(4.26mSv/y相当)で
あった(甲B203別表1の8頁)。川俣町内の空間線量率は0.47〜6.60
μSv/h(2.26〜34.53mSv/y相当),平均1.39μSv/h
(7.11mSv/y相当)であるが(甲B203別表2),これは,山木屋地区の
居住制限区域,避難指示解除準備区域を含んだ数値である。
カ平成24年9月以降の状況
山木屋地区を除く,川俣町の自主的避難等対象区域の4箇所のモニタリング地点
の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率は,0.04〜
0.28μSv/h(0〜1.26mSv/y相当)であった(丙C56,丙C7
1の3〜6,丙C202,211)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングから平成25年11月19日第
8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告H−141の旧居住地の空間
線量率は0.53〜0.78μSv/h(2.58〜3.89mSv/y相当)で
あった(甲B203別表1の8頁)。川俣町内の空間線量率は0.29〜4.40
μSv/h(1.32〜22.95mSv/y相当),平均0.88〜0.98
μSv/h(4.42〜4.95mSv/y相当)であるが(甲B203別表2),
これは,山木屋地区の居住制限区域,避難指示解除準備区域を含んだ数値である。
(9)大玉村
ア平成23年3月の状況
大玉村役場(福島第一原発から約60km)の3月31日の空間線量率は
おおたまむら
1.63μSv/h(8.37mSv/y相当)であった(丙C91)。
大玉村の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
大玉村役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.68〜1.58
μSv/h(3.37〜8.11mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
大玉村を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−1162の旧居
住地は大玉村であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した
同原告の旧居住地の空間線量率は1.50μSv/h(7.68mSv/y相当)
(甲B203別表1の95頁),大玉村内の空間線量率は0.05〜1.70
μSv/h(0.05〜8.74mSv/y相当),平均0.60μSv/h
(2.95mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
大玉村役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.47〜
0.62μSv/h(2.26〜3.05mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−1162の旧居住地の空間線量率は,1.00〜
1.40μSv/h(5.05〜7.16mSv/y相当)(甲B203別表1の9
5頁),大玉村内の空間線量率は0.05〜2.10μSv/h(0.05〜
10.84mSv/y相当),平均0.52〜0.71μSv/h(2.53〜
3.53mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
大玉村の1〜3箇所の平成24年1月31日から4月12日までの空間線量率は,
0.14〜0.42μSv/h(0.53〜2.00mSv/y相当)であった
(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−1
162の旧居住地の空間線量率は,1.10μSv/h(5.58mSv/y相
当)(甲B203別表1の95頁),大玉村内の空間線量率は0.15〜1.60
μSv/h(0.58〜8.21mSv/y相当),平均0.47μSv/h
(2.26mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
大玉村の2〜3箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線
量率は,0.06〜0.31μSv/h(0.11〜1.42mSv/y相当)で
あった(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−1162の旧居住地の
空間線量率は,0.74〜0.83μSv/h(3.68〜4.16mSv/y相
当)(甲B203別表1の95頁),大玉村内の空間線量率は0.08〜1.20
μSv/h(0.21〜6.11mSv/y相当),平均0.30〜0.36
μSv/h(1.37〜1.68mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
()郡山市
ア平成23年3月の状況
郡山市に所在する福島県郡山合同庁舎では,3月15日に8.26μSv/h
こおりやまし
(43.26mSv/y相当),3月24日に4.05μSv/h(21.11
mSv/y相当)といった,20mSv/y相当値を超える空間放射線量が計測さ
れていた(丙C123の1)。
郡山市大槻町の3月26日から3月30日までの空間線量率は,1.3〜2.2
おおつきまち
μSv/h(6.6〜11.4mSv/y)であった(甲A25)。
郡山市役所(福島第一原発から約60km)を含む5箇所の3月31日の空間線
量率は,1〜2.12μSv/h(5〜10.95mSv/y相当)であった(丙
C91)。
郡山市では,本件地震により,約3万7000戸の断水,約3万6000戸の停
電,836戸のガス供給停止などが発生したが,平成23年4月頃までには,郡山
市内の公共サービス,生活関連サービスは概ね復旧していたものと認められる(丙
C123の1〜13,丙C269〜271)。
イ平成23年4月の状況
郡山市役所を含む5箇所の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.3
〜2.14μSv/h(1.4〜11.05mSv/y相当)であった(丙C71
の1,丙C91)。
郡山市大槻町の4月1日から4月29日までの空間線量率は,0.4〜1.4
mSv/y(1.9〜7.2mSv/y相当)であった(甲A25)。
郡山市を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−1113の旧居
住地は郡山市であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した
同原告の旧居住地の空間線量率は0.98μSv/h(4.95mSv/y相当)
(甲B203別表1の93頁),郡山市内の空間線量率は0.05〜1.80
μSv/h(0.05〜9.26mSv/y相当),平均0.55μSv/h
(2.68mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
郡山市内4〜5箇所の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.2
〜1.36μSv/h(0.8〜6.95mSv/y相当)であった(丙C91)。
郡山市が測定した,市内14箇所の行政センターの駐車場中央及び建物入口の7
月14日の空間線量率(地上1m)は,0.21〜1.07μSv/h(0.89
〜5.42mSv/y相当)であった(丙C123の2,丙C270)。
被告国,福島県,郡山市が合同で平成23年7月下旬に測定した郡山市内の道路
上の空間放射線量は,0.13〜2.81μSv/h(0.47〜14.58
mSv/y相当)であった(丙C123の3,丙C271)。
郡山市池ノ台に所在する荒池西公園は,平成23年7月26日の放射線量調査で,
地上50cmで平均3.5μSv/h(18.2mSv/y相当),部分的に4.2
μSv/h(21.9mSv/y相当)といった20mSv/yを超える空間線量
率が計測されたため,公園の利用が制限され,郡山市において除染実証実験が行わ
れた(丙C123の3,丙C271)。
郡山市が測定した,市内の道路1077箇所の平成23年8月の空間線量率は,
0.13〜0.95μSv/h(0.47〜4.79mSv/y相当)であった
(丙C123の7〜13)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−1113の旧居住地の空間線量率は0.80〜
1.00μSv/h(4.00〜5.05mSv/y相当)(甲B203別表1の9
3頁),郡山市内の空間線量率は0.05〜1.80μSv/h(0.05〜
9.26mSv/y相当),平均0.47〜0.62μSv/h(2.26〜
3.05mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
郡山市内4〜28箇所の平成24年1月31日から4月12日までの空間線量率
は,0.06〜1.32μSv/h(0.11〜6.74mSv/y相当)であっ
た(丙C71の2,丙C91)。
郡山市が測定した,市内の道路1077箇所の平成24年8月の空間線量率は,
0.10〜0.48μSv/h(0.32〜2.32mSv/y相当)であった
(丙C123の7〜13)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−1
113の旧居住地の空間線量率は0.66μSv/h(3.26mSv/y相当)
(甲B203別表1の93頁),郡山市内の空間線量率は0.05〜1.40
μSv/h(0.05〜7.16mSv/y相当),平均0.39μSv/h
(1.84mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
郡山市内28箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量
率は,0.04〜0.94μSv/h(0〜4.74mSv/y相当)であった
(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
郡山市が測定した,市内の道路1077箇所の平成25年8月の空間線量率は
0.10〜0.34μSv/h(0.32〜1.58mSv/y相当),平成26年
6〜12月の空間線量率は0.10〜0.27μSv/h(0.32〜1.21
mSv/y相当)であった(丙C123の7〜13)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−1113の旧居住地の
空間線量率は0.36〜0.54μSv/h(1.68〜2.63mSv/y相
当)(甲B203別表1の93頁),郡山市内の空間線量率は0.05〜0.97
μSv/h(0.05〜4.89mSv/y相当),平均0.27〜0.32
μSv/h(1.21〜1.47mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(11)須賀川市
ア平成23年3月の状況
須賀川市役所(福島第一原発から約60km)の3月20日から3月31日まで
の空間線量率(須賀川市による簡易測定参考値を含む。)は,0.24〜1.90
μSv/h(1.05〜9.79mSv/y相当)であった(丙C91,117)。
須賀川市役所は,一時,須賀川市体育館に機能を移転していたが,公共サービス,
生活関連サービスの提供は概ね継続されていたものと認められる(丙C114〜1
16,278〜280)。
イ平成23年4月の状況
須賀川市役所の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.3〜0.42
μSv/h(1.4〜2.00mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C9
1)。
須賀川市を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−459の旧居
住地は須賀川市であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算し
た同原告の旧居住地の空間線量率は0.73μSv/h(3.63mSv/y相
当)(甲B203別表1の56頁),須賀川市内の空間線量率は0.12〜1.40
μSv/h(0.42〜7.16mSv/y相当),平均0.60μSv/h
(2.95mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
福島県や須賀川市が測定した,須賀川市役所本庁,長沼支所,岩瀬支所の5月1
日から12月31日までの空間線量率は,0.22〜1.61μSv/h
(0.95〜8.26mSv/y相当)であった(丙C91,278〜280)。
須賀川市が測定した,市内多数箇所の7月6日から9月20日までの空間線量率
は,0.11〜2.18μSv/h(0.37〜11.26mSv/y相当)で
あった(丙C278〜280)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−459の旧居住地の空間線量率は0.68〜
0.87μSv/h(3.37〜4.37mSv/y相当)(甲B203別表1の5
6頁),須賀川市内の空間線量率は0.10〜1.90μSv/h(0.32〜
9.79mSv/y相当),平均0.54〜0.74μSv/h(2.63〜
3.68mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
須賀川市内2〜11箇所の平成24年1月31日から4月12日までの空間線量
率は,0.11〜0.79μSv/h(0.37〜3.95mSv/y相当)で
あった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−4
59の旧居住地の空間線量率は0.61μSv/h(3.00mSv/y相当)(甲
B203別表1の56頁),須賀川市内の空間線量率は0.13〜1.30
μSv/h(0.47〜6.63mSv/y相当),平均0.51μSv/h
(2.47mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
須賀川市内11箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線
量率は0.06〜0.34μSv/h(0.11〜1.58mSv/y相当)で
あった(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−459の旧居住地の空
間線量率は0.37〜0.44μSv/h(1.74〜2.11mSv/y相当)
(甲B203別表1の56頁),須賀川市内の空間線量率は0.09〜1.02
μSv/h(0.26〜5.16mSv/y相当),平均0.31〜0.38
μSv/h(1.42〜1.79mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(12)田村市
ア田村市の概況
20km圏内である田村市都路町古道の一部は避難指示解除準備区域(平成26
みやこじまちふるみち
年4月1日解除)に指定されていた(丙C28,丙C31の1・2)。
概ね30km圏内である都路町,船引町横道,常葉町堀田及び常葉町山根(20
ふねひきまちときわまち
km圏内の旧避難指示解除準備区域を除く。)は,旧緊急時避難準備区域(9月30
日解除)に指定されていた(丙C8,27)。
その余の区域は,自主的避難等対象区域である。
イ平成23年3〜12月の状況
田村市の30km圏外のモニタリング地点の平成23年3〜12月の空間線量率
は,本件証拠上明らかでない。
田村市の30km圏外の平成23年12月28日から平成24年1月6日の空間
線量率は,0.2〜0.7μSv/h(0.8〜3.5mSv/y相当)であった
(丙C70・2頁)。
田村市の自主的避難等対象区域を旧居住地とする原告らは相当数いるが,例えば,
原告H−533の旧居住地は田村市船引町成田の自主的避難等対象区域であるが,
4月29日第1次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリングま
での結果から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は,0.45〜0.64
μSv/h(2.16〜3.16mSv/y相当)であった(甲B203別表1の
30頁)。田村市内の空間線量率は,0.15〜9.50μSv/h(0.58〜
49.79mSv/y相当),平均0.78〜1.25μSv/h(3.89〜
6.37mSv/y相当)であった(甲B203別表2)が,これは,田村市内の
旧避難指示解除準備区域,旧緊急時避難準備区域を含んだ数値である。
田村市役所は田村市船引町船引字馬場(福島第一原発から約41km)の自主的
避難等対象区域に所在し,平成26年10月に田村市船引町船引字畑添の新庁舎に
移転したが,田村市の自主的避難等対象区域の公共サービス,生活関連サービスは,
平成23年3月時点でも概ね継続されていたものと認められる(丙C79,259,
313〜318)。
ウ平成24年1〜8月の状況
旧田村市役所駐車場(現田村市図書館)を含む田村市の30km圏外12箇所の
平成24年4月1日から4月12日までの空間線量率は,0.08〜0.50
μSv/h(0.21〜2.42mSv/y相当)であった(丙C71の2)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告H−5
33の旧居住地の空間線量率は0.48μSv/h(2.32mSv/y相当)で
あった。田村市内の空間線量率は,0.13〜2.60μSv/h(0.47〜
13.47mSv/y相当),平均0.58μSv/h(2.84mSv/y相当)
であった(甲B203別表2)が,これは,田村市内の旧避難指示解除準備区域,
旧緊急時避難準備区域を含んだ数値である。
エ平成24年9月以降の状況
田村市の30km圏外12箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日ま
での空間線量率は,0.05〜0.39μSv/h(0〜1.84mSv/y相
当)であった(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告H−533の旧居住地の空
間線量率は0.27〜0.36μSv/h(1.21〜1.68mSv/y相当)
であった(甲B203別表1の30頁)。田村市内の空間線量率は0.06〜
1.70μSv/h(0.11〜8.74mSv/y相当),平均0.38〜
0.44μSv/h(1.79〜2.11mSv/y相当)であった(甲B203
別表2)が,これは,田村市内の旧避難指示解除準備区域,旧緊急時避難準備区域
を含んだ数値である。
(13)鏡石町
ア平成23年3月の状況
鏡石町役場(福島第一原発から約64km)の3月31日の空間線量率は
かがみいしまち
0.49μSv/h(2.37mSv/y相当)であった(丙C91)。
鏡石町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
鏡石町役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.34〜0.46
μSv/h(1.58〜2.21mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
鏡石町を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−358の旧居住
地は鏡石町であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同
原告の旧居住地の空間線量率は0.35μSv/h(1.63mSv/y相当)で
あり(甲B203別表1の51頁),鏡石町内の空間線量率は0.26〜0.63
μSv/h(1.16〜3.11mSv/y相当),平均0.40μSv/h
(1.89mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
鏡石町役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.2〜
0.29μSv/h(0.8〜1.32mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−358の旧居住地の空間線量率は0.20〜
0.33μSv/h(0.84〜1.53mSv/y相当)であり(甲B203別
表1の51頁),鏡石町内の空間線量率は0.15〜0.66μSv/h(0.58
〜3.26mSv/y相当),平均0.26〜0.39μSv/h(1.16〜
1.84mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
鏡石町役場の平成24年1月31日から4月12日までの空間線量率は,
0.15〜0.19μSv/h(0.58〜0.79mSv/y相当)であった
(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−3
58の旧居住地の空間線量率は0.18μSv/h(0.74mSv/y相当)で
あり(甲B203別表1の51頁),鏡石町内の空間線量率は0.17〜0.40
μSv/h(0.68〜1.89mSv/y相当),平均0.26μSv/h
(1.16mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
鏡石町役場の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率は,
0.07〜0.13μSv/h(0.16〜0.47mSv/y相当)であった
(丙C56,丙C71の3〜6,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−358の旧居住地の空
間線量率は,0.12〜0.15μSv/h(0.42〜0.58mSv/y相
当)であり(甲B203別表1の51頁),鏡石町内の空間線量率は0.10〜
0.30μSv/h(0.32〜1.37mSv/y相当),平均0.15〜
0.20μSv/h(0.58〜0.84mSv/y相当)であった(甲B203
別表2)。
(14)天栄村
ア平成23年3月の状況
天栄村役場(福島第一原発から約72km)の3月31日の空間線量率は
てんえいむら
1.72μSv/h(8.84mSv/y相当)であった(丙C91)。
天栄村の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
天栄村役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は,1.26〜1.78
μSv/h(6.42〜9.16mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
天栄村を旧居住地とする原告らは複数おり,例えば,原告T−370の旧居住地
は天栄村であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同原
告の旧居住地の空間線量率は0.68μSv/h(3.37mSv/y相当)(甲B
203別表1の51頁),天栄村内の空間線量率は,0.33〜1.70μSv/h
(1.53〜8.74mSv/y相当),平均0.82μSv/h(4.11
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
天栄村役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.67〜1
μSv/h(3.32〜5.05mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−370の旧居住地の空間線量率は,0.66〜
1.00μSv/h(3.26〜5.05mSv/y相当)(甲B203別表1の5
1頁),天栄村内の空間線量率は,0.05〜2.00μSv/h(0.05〜
10.32mSv/y相当),平均0.32〜1.09μSv/h(1.47〜
5.53mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
天栄村役場を含む1〜8箇所の平成24年1月31日から4月12日までの空間
線量率は,0.03〜0.54μSv/h(0〜2.63mSv/y相当)であっ
た(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−3
70の旧居住地の空間線量率は,0.91μSv/h(4.58mSv/y相当)
(甲B203別表1の51頁),天栄村内の空間線量率は0.05〜1.20
μSv/h(0.05〜6.11mSv/y相当),平均0.35μSv/h
(1.63mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
天栄村内7〜8箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線
量率は,0.03〜0.30μSv/h(0〜1.37mSv/y相当)であった
(丙C56,丙C71の3〜6,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−370の旧居住地の空
間線量率は,0.41〜0.63μSv/h(1.95〜3.11mSv/y相
当)(甲B203別表1の51頁),天栄村内の空間線量率は0.05〜0.99
μSv/h(0.05〜5.00mSv/y相当),平均0.27〜0.53
μSv/h(1.21〜2.58mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
()石川町
ア平成23年3月の状況
石川町役場(福島第一原発から約60km)の平成23年3月31日の空間線量
いしかわまち
率は0.21μSv/h(0.89mSv/y相当)であった(丙C91)。
石川町による3月18日から3月31日までの放射能測定結果(測定場所不詳)
は,0.19〜0.75μSv/h(0.79〜3.74mSv/y相当)であっ
た(丙C120の1)。
石川町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(丙C120の1・2)。
イ平成23年4月の状況
石川町役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は0.15〜0.22
μSv/h(0.58〜0.95mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
石川町による4月1日から4月13日までの放射能測定結果(測定場所不詳)は,
0.16〜0.22μSv/h(0.63〜0.95mSv/y相当)であった
(丙C120の1・3頁)。
石川町を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−160の旧居住
地は石川町であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同
原告の旧居住地の空間線量率は0.18μSv/h(0.74mSv/y相当)(甲
B203別表1の40頁),石川町内の空間線量率は0.12〜0.51μSv/h
(0.42〜2.47mSv/y相当),平均0.27μSv/h(1.21
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
石川町役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.1〜
0.14μSv/h(0.3〜0.53mSv/y相当)であった(丙C91)。
石川町が測定した,町内506箇所の7月20日から8月15日までの空間線量
率は,0.10〜0.27μSv/h(0.32〜1.21mSv/y相当)で
あった(丙C120の2)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−160の旧居住地の空間線量率は0.14〜
0.23μSv/h(0.53〜1.00mSv/y相当)であり(甲B203別
表1の40頁),石川町内の空間線量率は0.10〜0.54μSv/h(0.32
〜2.63mSv/y相当),平均0.18〜0.26μSv/h(0.74〜
1.16mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
石川町役場を含む石川町内1〜3箇所の平成24年1月31日から4月12日ま
での空間線量率は,0.15〜0.19μSv/h(0.58〜0.79
mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−1
60の旧居住地の空間線量率は0.17μSv/h(0.68mSv/y相当)で
あり(甲B203別表1の40頁),石川町内の空間線量率は0.11〜0.26
μSv/h(0.37〜1.16mSv/y相当),平均0.18μSv/h
(0.74mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
石川町内3箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率
は,0.05〜0.10μSv/h(0.05〜0.32mSv/y相当)であっ
た(丙C56,丙C71の3〜6,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−160の旧居住地の空
間線量率は,0.12〜0.13μSv/h(0.42〜0.47mSv/y相
当)(甲B203別表1の40頁),石川町内の空間線量率は0.05〜0.26
μSv/h(0.05〜1.16mSv/y相当),平均0.12〜0.14
μSv/h(0.42〜0.53mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(16)玉川村
ア平成23年3月の状況
玉川村役場(福島第一原発から約60km)の3月31日の空間線量率は
0.28μSv/h(1.26mSv/y相当)であった(丙C91)。
福島県が測定した,玉川村に所在する福島空港の3月25日から3月31日の空
間線量率は0.19〜0.65μSv/h(0.79〜3.21mSv/y相当)
であった(丙C117)。
玉川村の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
玉川村役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は0.2〜0.26
μSv/h(0.8〜1.16mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C9
1)。
玉川村を旧居住地とする原告らは複数おり,例えば,原告T−389の旧居住地
は玉川村であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同原
告の旧居住地の空間線量率は0.32μSv/h(1.47mSv/y相当)(甲B
203別表1の52頁),玉川村内の空間線量率は,0.14〜0.59μSv/h
(0.53〜2.89mSv/y相当),平均0.30μSv/h(1.37
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
玉川村役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.16〜
0.2μSv/h(0.63〜0.84mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−389の旧居住地の空間線量率は,0.16〜
0.31μSv/h(0.63〜1.42mSv/y相当)(甲B203別表1の5
2頁),玉川村内の空間線量率は,0.11〜0.73μSv/h(0.37〜
3.63mSv/y相当),平均0.21〜0.28μSv/h(0.89〜
1.26mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
玉川村役場を含む玉川村内1〜4箇所の平成24年1月31日から4月12日ま
での空間線量率は,0.07〜0.15μSv/h(0.16〜0.58
mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−3
89の旧居住地の空間線量率は0.19μSv/h(0.79mSv/y相当)で
あり(甲B203別表1の52頁),玉川村内の空間線量率は0.13〜0.53
μSv/h(0.47〜2.58mSv/y相当),平均0.22μSv/h
(0.95mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
玉川村内4箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率
は,0.05〜0.13μSv/h(0.05〜0.47mSv/y相当)であっ
た(丙C56,丙C71の3〜6,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−389の旧居住地の空
間線量率は,0.12〜0.14μSv/h(0.42〜0.53mSv/y相
当)(甲B203別表1の52頁),玉川村内の空間線量率は,0.08〜0.44
μSv/h(0.21〜2.11mSv/y相当),平均0.15〜0.18
μSv/h(0.58〜0.74mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(17)平田村
ア平成23年3月の状況
平田村役場(福島第一原発から約47km)の3月31日の空間線量率は
0.23μSv/h(1.00mSv/y相当)であった(丙C91)。
平田村の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
平田村役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.18〜0.23
μSv/h(0.74〜1.00mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
平田村を旧居住地とする原告らは複数おり,例えば,原告H−343の旧居住地
は平田村であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同原
告の旧居住地の空間線量率は0.29μSv/h(1.32mSv/y相当)(甲B
203別表1の20頁),平田村内の空間線量率は0.11〜0.86μSv/h
(0.37〜4.32mSv/y相当),平均0.34μSv/h(1.58
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
平田村役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.15〜
0.22μSv/h(0.58〜0.95mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告H−343の旧居住地の空間線量率は0.20〜
0.28μSv/h(0.84〜1.26mSv/y相当)(甲B203別表1の2
0頁),平田村内の空間線量率は0.12〜0.91μSv/h(0.42〜
4.58mSv/y相当),平均0.23〜0.33μSv/h(1.00〜
1.53mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
平田村役場を含む平田村内1〜6箇所の平成24年1月31日から4月12日ま
での空間線量率は,0.09〜0.15μSv/h(0.26〜0.58
mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告H−3
43の旧居住地の空間線量率は0.23μSv/h(1.00mSv/y相当)(甲
B203別表1の20頁),平田村内の空間線量率は0.15〜0.60μSv/h
(0.58〜2.95mSv/y相当),平均0.22μSv/h(0.95
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
平田村内6箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率
は,0.06〜0.12μSv/h(0.11〜0.42mSv/y相当)であっ
た(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告H−343の旧居住地の空
間線量率は0.17〜0.23μSv/h(0.68〜1.00mSv/y相当)
(甲B203別表1の20頁),平田村内の空間線量率は0.10〜0.46
μSv/h(0.32〜2.21mSv/y相当),平均0.15〜0.17
μSv/h(0.58〜0.68mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(18)浅川町
ア平成23年3月の状況
浅川町役場(福島第一原発から約67km)の3月31日の空間線量率は
あさかわまち
0.24μSv/h(1.05mSv/y相当)であった(丙C91)。
浅川町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
浅川町役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.20〜0.25
μSv/h(0.84〜1.11mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
浅川町を旧居住地とする原告らは複数おり,例えば,原告T−176の旧居住地
は浅川町であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同原
告の旧居住地の空間線量率は0.44μSv/h(2.11mSv/y相当)(甲B
203別表1の40頁),浅川町内の空間線量率は,0.20〜0.58μSv/h
(0.84〜2.84mSv/y相当),平均0.42μSv/h(2.00
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
浅川町役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.15〜
0.2μSv/h(0.58〜0.8mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−176の旧居住地の空間線量率は0.21〜
0.43μSv/h(0.89〜2.05mSv/y相当)(甲B203別表1の4
0頁),浅川町内の空間線量率は,0.17〜0.61μSv/h(0.68〜
3.00mSv/y相当),平均0.22〜0.41μSv/h(0.95〜
1.95mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
浅川町役場を含む浅川町内1〜4箇所の平成24年1月31日から4月12日ま
での空間線量率は,0.08〜0.14μSv/h(0.21〜0.53
mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−1
76の旧居住地の空間線量率は0.21μSv/h(0.89mSv/y相当)(甲
B203別表1の40頁),浅川町内の空間線量率は,0.14〜0.27
μSv/h(0.53〜1.21mSv/y相当),平均0.20μSv/h
(0.84mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
浅川町内4箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率
は,0.04〜0.11μSv/h(0〜0.37mSv/y相当)であった(丙
C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−176の旧居住地の空
間線量率は0.15〜0.16μSv/h(0.58〜0.63mSv/y相当)
(甲B203別表1の40頁),浅川町内の空間線量率は,0.11〜0.22
μSv/h(0.37〜0.95mSv/y相当),平均0.14〜0.17
μSv/h(0.53〜0.68mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(19)古殿町
ア平成23年3月の状況
古殿町役場(福島第一原発から約56km)の3月31日の空間線量率は
ふるどのまち
0.24μSv/h(1.05mSv/y相当)であった(丙C91)。
古殿町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
古殿町役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.17〜0.23
μSv/h(0.68〜1.00mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
古殿町を旧居住地とする原告らは複数いるが,例えば,原告T−603の旧居住
地は古殿町であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同
原告の旧居住地の空間線量率は0.46μSv/h(2.21mSv/y相当)(甲
B203別表1の64頁),古殿町内の空間線量率は0.17〜1.30μSv/h
(0.68〜6.63mSv/y相当),平均0.47μSv/h(2.26
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
古殿町役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.15〜
0.2μSv/h(0.58〜0.8mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−603の旧居住地の空間線量率は0.23〜
0.47μSv/h(1.00〜2.26mSv/y相当)(甲B203別表1の6
4頁),古殿町内の空間線量率は,0.05〜1.00μSv/h(0.05〜
5.05mSv/y相当),平均0.28〜0.45μSv/h(1.26〜
2.16mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
古殿町役場を含む古殿町内1〜7箇所のモニタリング地点の平成24年1月31
日から4月12日までの空間線量率は,0.07〜0.23μSv/h(0.16
〜1.00mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−6
03の旧居住地の空間線量率は0.24μSv/h(1.05mSv/y相当)(甲
B203別表1の64頁),古殿町内の空間線量率は,0.15〜0.68
μSv/h(0.58〜3.37mSv/y相当),平均0.26μSv/h
(1.16mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
古殿町内7箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率
は,0.05〜0.18μSv/h(0.05〜0.74mSv/y相当)であっ
た(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−603の旧居住地の空
間線量率は0.16〜0.18μSv/h(0.63〜0.74mSv/y相当)
(甲B203別表1の64頁),古殿町内の空間線量率は,0.08〜0.57
μSv/h(0.21〜2.79mSv/y相当),平均0.18〜0.20
μSv/h(0.63〜0.84mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
()三春町
ア平成23年3月の状況
三春町役場(福島第一原発から約48km)の3月31日の空間線量率は
みはるまち
0.53μSv/h(2.58mSv/y相当)であった(丙C91)。
三春町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
三春町役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は0.39〜0.51
μSv/h(1.84〜2.47mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
三春町を旧居住地とする原告らは複数いるが,例えば,原告H−524の旧居住
地は三春町であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同
原告の旧居住地の空間線量率は0.90μSv/h(4.53mSv/y相当)(甲
B203別表1の30頁),三春町内の空間線量率は,0.15〜1.10
μSv/h(0.58〜5.58mSv/y相当),平均0.52μSv/h
(2.53mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
三春町役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.27〜
0.84μSv/h(1.21〜4.21mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告H−524の旧居住地の空間線量率は0.70〜
0.95μSv/h(3.47〜4.79mSv/y相当)(甲B203別表1の3
0頁),三春町内の空間線量率は,0.14〜1.20μSv/h(0.53〜
6.11mSv/y相当),平均0.45〜0.64μSv/h(2.16〜
3.16mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
三春町役場を含む三春町内1〜5箇所の平成24年1月31日から4月12日ま
での空間線量率は,0.15〜0.39μSv/h(0.58〜1.84
mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告H−5
24の旧居住地の空間線量率は0.73μSv/h(3.63mSv/y相当)(甲
B203別表1の30頁),三春町内の空間線量率は,0.14〜0.92
μSv/h(0.53〜4.63mSv/y相当),平均0.45μSv/h
(2.16mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
三春町内5箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率
は,0.07〜0.32μSv/h(0.16〜1.47mSv/y相当)であっ
た(丙C56,丙C71の3〜6,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告H−524の旧居住地の空
間線量率は,0.47〜0.64μSv/h(2.26〜3.16mSv/y相
当)(甲B203別表1の30頁),三春町内の空間線量率は,0.10〜0.73
μSv/h(0.32〜3.63mSv/y相当),平均0.28〜0.35
μSv/h(1.26〜1.63mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(21)小野町
ア平成23年3月の状況
小野町役場(福島第一原発から約39km)の3月31日の空間線量率は
おのまち
0.19μSv/h(0.79mSv/y相当)であった(丙C91)。
小野町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
小野町役場の4月1日から4月30日までの空間線量率は,0.14〜0.18
μSv/h(0.53〜0.74mSv/y相当)であった(丙C71の1,丙C
91)。
小野町を旧居住地とする原告は原告T−2744のみであるが,4月29日第1
次航空機モニタリングの結果から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は
0.48μSv/h(2.32mSv/y相当)(甲B203別表1の183頁),
小野町内の空間線量率は,0.23〜0.65μSv/h(1.00〜3.21
mSv/y相当),平均0.35μSv/h(1.63mSv/y相当)であった
(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
小野町役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.1〜
0.13μSv/h(0.3〜0.47mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−2744の旧居住地の空間線量率は,0.28〜
0.47μSv/h(1.26〜2.26mSv/y相当)(甲B203別表1の1
83頁),小野町内の空間線量率は0.13〜0.72μSv/h(0.47〜
3.58mSv/y相当),平均0.27〜0.34μSv/h(1.21〜
1.58mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
小野町役場を含む小野町の1〜5箇所の平成24年1月31日から4月12日ま
での空間線量率は,0.08〜0.15μSv/h(0.21〜0.58
mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−2
744の旧居住地の空間線量率は0.23μSv/h(1.00mSv/y相当)
(甲B203別表1の183頁),小野町内の空間線量率は0.15〜0.42
μSv/h(0.58〜2.00mSv/y相当),平均0.22μSv/h
(0.95mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
小野町内5箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率
は,0.05〜0.13μSv/h(0.05〜0.47mSv/y相当)であっ
た(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−2744の旧居住地の
空間線量率は0.16〜0.18μSv/h(0.63〜0.74mSv/y相
当)(甲B203別表1の183頁),小野町内の空間線量率は0.10〜0.34
μSv/h(0.32〜1.58mSv/y相当),平均0.15〜0.16
μSv/h(0.58〜0.63mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(22)相馬市
ア平成23年3月の状況
相馬市中野寺前(福島第一原発から約42km)の3月17日から3月31日ま
での空間線量率は,0.7〜3.5μSv/h(3.5〜18.2mSv/y相
当)であった(甲A25)。
相馬市役所(福島第一原発から約42km)の3月31日の空間線量率は
0.65μSv/h(3.21mSv/y相当)であった(丙C91)。
相馬市役所南側庁舎が地震により使用不能となるなどしたものの,相馬市の公共
サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧していたものと認めら
れる(丙C143の1〜4)。
イ平成23年4月の状況
相馬市中野寺前の4月1日から4月29日までの空間線量率は,0.3〜1.1
μSv/h(1.4〜5.6mSv/y相当)であった(甲A25)。
相馬市役所の4月30日の空間線量率は0.4μSv/h(1.9mSv/y相
当)であった(丙C91)。
相馬市を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−1の旧居住地は
相馬市であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同原告
の旧居住地の空間線量率は0.36μSv/h(1.68mSv/y相当)(甲B2
03別表1の31頁),相馬市内の空間線量率は0.05〜4.00μSv/h
(0.05〜20.84mSv/y相当),平均1.00μSv/h(5.05
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
相馬市内1〜4箇所の5月31日から12月31日までの空間線量率は,
0.15〜1.39μSv/h(0.58〜7.11mSv/y相当)であった
(丙C91)。
相馬市内15箇所の7月15日の空間線量率は,0.136〜0.767
μSv/h(0.51〜3.83mSv/y相当)であった(丙C143の3)。
相馬市が測定した,市内応急仮設住宅6箇所,災害廃棄物仮置場3箇所の7月1
3日の空間線量率は,0.09〜0.17μSv/h(0.26〜0.68
mSv/y相当)であった(丙C143の3)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−1の旧居住地の空間線量率は0.34〜0.44
μSv/h(1.58〜2.11mSv/y相当)(甲B203別表1の31頁),
相馬市内の空間線量率は0.05〜3.90μSv/h(0.05〜20.32
mSv/y相当),平均0.88〜0.96μSv/h(4.42〜4.84
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
相馬市内4〜14箇所の平成24年1月31日から4月12日までの空間線量率
は,0.12〜0.90μSv/h(0.42〜4.53mSv/y相当)であっ
た(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−1
の旧居住地の空間線量率は0.27μSv/h(1.21mSv/y相当)(甲B2
03別表1の31頁),相馬市内の空間線量率は0.05〜2.10μSv/h
(0.05〜10.84mSv/y相当),平均0.57μSv/h(2.79
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
相馬市内4〜14箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間
線量率は,0.05〜0.58μSv/h(0.05〜2.84mSv/y相当)
であった(甲C69,丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−1の旧居住地の空間線
量率は0.16〜0.24μSv/h(0.63〜1.05mSv/y相当)(甲B
203別表1の31頁),相馬市内の空間線量率は0.05〜1.50μSv/h
(0.05〜7.68mSv/y相当),平均0.36〜0.45μSv/h
(1.68〜2.16mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(23)新地町
ア平成23年3月の状況
新地町役場(福島第一原発から約52km)の3月31日の空間線量率は
しんちまち
0.45μSv/h(2.16mSv/y相当)であった(丙C91)。
新地町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧してい
たものと認められる(弁論の全趣旨)。
イ平成23年4月の状況
新地町役場の4月30日の空間線量率は0.29μSv/h(1.32
mSv/y相当)であった(丙C91)。
新地町を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告H−23の旧居住地
は新地町であるが,4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した同原
告の旧居住地の空間線量率は0.24μSv/h(1.05mSv/y相当)(甲B
203別表1の2頁),新地町内の空間線量率は0.17〜0.57μSv/h
(0.68〜2.79mSv/y相当),平均0.31μSv/h(1.42
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
ウ平成23年5〜12月の状況
新地町役場の5月31日から12月31日までの空間線量率は,0.17〜
0.21μSv/h(0.68〜0.89mSv/y相当)であった(丙C91)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告H−23の旧居住地の空間線量率は0.22〜
0.35μSv/h(0.95〜1.63mSv/y相当)であり(甲B203別
表1の2頁),新地町内の空間線量率は0.05〜0.63μSv/h(0.05〜
3.11mSv/y相当),平均0.30〜0.41μSv/h(1.37〜
1.95mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
新地町役場を含む新地町の1〜2箇所の平成24年1月31日から4月12日ま
での空間線量率は,0.16〜0.20μSv/h(0.63〜0.84
mSv/y相当)であった(丙C71の2,丙C91)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告H−2
3の旧居住地の空間線量率は0.20μSv/h(0.84mSv/y相当)であ
り(甲B203別表1の2頁),新地町内の空間線量率は0.05〜0.44
μSv/h(0.05〜2.11mSv/y相当),平均0.26μSv/h
(1.16mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
新地町内2箇所の平成25年4月1日から平成29年3月2日までの空間線量率
は,0.06〜0.15μSv/h(0.11〜2.2mSv/y相当)であった
(甲C69,丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告H−23の旧居住地の空間
線量率は,0.14〜0.16μSv/h(0.53〜0.63mSv/y相当)
(甲B203別表1の2頁),新地町内の空間線量率は,0.05〜0.35
μSv/h(0.05〜1.63mSv/y相当),平均0.17〜0.21
μSv/h(0.68〜0.89mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(24)いわき市
アいわき市の概況
いわき市のうち,福島第一原発から30km圏内の区域(久之浜町,大久町,小
川町,川前町の一部)は,3月15日,屋内待避区域に指定された(丙C27)。
いわき市長は,3月11日,市内沿岸部全域に避難指示を出し,3月13日,3
0km圏内である久之浜・大久地区,小川・川前地区の一部の住民に対し,自主的
な避難を要請した(甲B1の1本文編281頁,丙C272・2頁,丙C273・
6頁)。3月25日には,屋内退避区域において物流が止まるなどし,社会生活の維
持継続が困難となりつつあり,また,今後の事態の推移によっては,放射線量が増
大し,避難指示を出す可能性も否定できないとして,政府(官房長官)からも屋内
退避区域の住民に対し自主的な避難を要請した(甲B1の1本文編271頁)。
いわき市の30km圏内の屋内退避区域の指定は,4月22日に解除され,同区
域は緊急時避難準備区域には指定されなかった(丙C8,27)。
いわき市の30km圏外の区域は,自主的避難等対象区域である。
イ平成23年3月の状況
30km圏外のいわき市平字梅本に所在する福島県いわき合同庁舎駐車場では,
たいら
3月15日に23.72μSv/h(124.63mSv/y相当),3月21日に
6.00μSv/h(31.37mSv/y相当)といった,20mSv/y相当
値を超える空間線量率が計測されている(丙C141の2,丙C273,308)。
いわき市の30km圏外8箇所の3月31日の空間線量率は,0.39〜
1.46μSv/h(1.84〜7.47mSv/y相当)であった(丙C91)。
いわき市では,本件地震により,市内ほぼ全域での断水,2万0670戸の停電,
1万5309戸でのガス供給停止などが発生し,さらに,4月11日の余震により
市内ほぼ全域の19万9731戸が停電するなどしたが,いわき市の30km圏外
での公共サービス,生活関連サービスは,平成23年4月頃までには概ね復旧して
いたものと認められる(丙C141の1〜4,丙C272〜275,308)。
ウ平成23年4月の状況
福島県いわき合同庁舎駐車場の4月1日の空間線量率は,0.69μSv/h
(3.42mSv/y相当)であった(丙C308)。
いわき市の30km圏外8箇所の4月30日の空間線量率は,0.11〜
0.62μSv/h(0.37〜3.05mSv/y相当)であった(丙C91)。
いわき市を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−344の旧居
住地はいわき市の自主的避難等対象区域であるが,4月29日第1次航空機モニタ
リングの結果から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は0.55μSv/h
(2.68mSv/y相当)であった(甲B203別表1の50頁)。いわき市内の
空間線量率は0.05〜4.50μSv/h(0.05〜23.47mSv/y相
当),平均0.68μSv/h(3.37mSv/y相当)であるが(甲B203別
表2),これは,30km圏内の旧屋内待避区域を含んだ数値である。
エ平成23年5〜12月の状況
福島県いわき合同庁舎駐車場の5月1日から12月1日までの空間線量率は,
0.17〜0.28μSv/h(0.68〜1.26mSv/y相当)であった
(丙C308)。
いわき市の30km圏外9箇所の5月31日から12年31日までの空間線量率
は,0.09〜0.59μSv/h(0.26〜2.89mSv/y相当)であっ
た(丙C91)。
いわき市が測定した,いわき市役所久之浜・大久支所を除く30km圏外の,い
わき市役所本庁舎(福島第一原発から約43km)・支所合計12箇所の6月19日
から8月18日の空間線量率(地上1m)は,0.08〜0.41μSv/h
(0.21〜1.95mSv/y相当),福島県いわき合同庁舎駐車場で0.19〜
0.24μSv/h(0.79〜1.05mSv/y相当)であった(丙C141
の2,丙C273,274)。
5月26日第2次航空機モニタリングから11月5日第4次航空機モニタリング
までの結果から計算した原告T−344の旧居住地の空間線量率は0.23〜
0.53μSv/h(1.00〜2.58mSv/y相当)であった(甲B203
別表1の50頁)。いわき市内の空間線量率は0.05〜4.70μSv/h
(0.05〜24.53mSv/y相当),平均0.48〜0.66μSv/h
(2.32〜3.26mSv/y相当)であるが(甲B203別表2),これは,
30km圏内の旧屋内待避区域を含んだ数値である。
オ平成24年1〜8月の状況
いわき市の30km圏外8箇所の平成24年1月31日から4月12日までの空
間線量率は,0.21〜0.57μSv/h(0.89〜2.79mSv/y相
当)であった(丙C71の2,丙C91)。
いわき市が測定した,30km圏内を含む市内876地点の平成24年1月26
日から2月9日までの空間線量率は,全て0.99μSv/h(5.00
mSv/y相当)未満であった(丙C275)。
いわき市が測定した,いわき市役所久之浜・大久支所を除く30km圏外15箇
所の平成24年8月21日の空間線量率(地上1m)は,0.08〜0.22
μSv/h(0.21〜0.95mSv/y相当)であった(丙C141の3)。
平成24年6月28日第5次航空機モニタリングの結果から計算した原告T−3
44の旧居住地の空間線量率は0.22μSv/h(0.95mSv/y相当)で
あった(甲B203別表1の50頁)。いわき市内の空間線量率は0.05〜
3.20μSv/h(0.05〜16.63mSv/y相当),平均0.36
μSv/h(1.68mSv/y相当)であるが(甲B203別表2),これは,
30km圏内の旧屋内待避区域を含んだ数値である。
カ平成24年9月以降の状況
30km圏内のいわき市末続集会所,志田名集会所,旧戸渡分校,いわき市海竜
の里センターを除く,いわき市の30km圏外51箇所の平成25年4月1日から
平成29年3月2日までの空間線量率は,0.03〜0.31μSv/h(0〜
1.42mSv/y相当)であった(丙C56,丙C71の3〜5,丙C202,
211)。
平成24年12月28日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日
第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した原告T−344の旧居住地の空
間線量率は0.16〜0.17μSv/h(0.63〜0.68mSv/y相当)
であった(甲B203別表1の50頁)。いわき市内の空間線量率は0.03〜
2.65μSv/h(0〜13.74mSv/y相当),平均0.25〜0.27
μSv/h(1.11〜1.21mSv/y相当)であるが(甲B203別表2),
これは,30km圏内の旧屋内待避区域を含んだ数値である。
()損害額
ア自主的避難等対象区域旧居住者の精神的苦痛は賠償に値すること
前記4の低線量被曝に関する知見等,前記5の社会的事実等に加え,上記(2)〜
(24)の市町村ごとの状況を総合すると,自主的避難等対象区域旧居住者の抱いた放
射線被曝に対する不安や日常生活の阻害による精神的苦痛は,たとえ旧居住地の空
間線量率が20mSv/yに達しないとしても,賠償に値するものと認められる
(丙A3・5〜7頁)。
イ避難者と滞在者の賠償額は同額とするのが相当であること
滞在者であっても放射線被曝に対する不安や放射線被曝を避けるための日常生活
の阻害を被っていること,自主的避難を実行するか否かは,生業の状況,家族の状
況,経済的状況など諸般の事情と関連し,必ずしも旧居住地の空間線量率の程度や
精神的苦痛の程度に相関しているわけではないことなどから,自主的避難等対象区
域からの避難者と自主的避難等対象区域の滞在者の賠償額は同額とするのが相当で
ある(丙A3・7頁)。
また,中間指針第一次追補が,福島県全域から線量の比較的低い県南地域と会津
地域を除いた,県北地域,県中地域,相双地域,いわき地域の23市町村を自主的
避難等対象区域として区分したことには合理性が認められるから,これら自主的避
難等対象区域旧居住者の賠償額は同額とするのが相当である。
ウ平成23年3〜4月の損害
そこで,さらに進んで自主的避難等対象区域旧居住者の損害額について検討する
に,平成23年3月時点で,福島市,桑折町,川俣町,郡山市,いわき市といった,
人口においても面積においても自主的避難等対象区域を代表するといえる地域の放
射線モニタリング地点で20mSv/y相当値を超える空間線量率が計測されてい
たこと,平成23年4月時点においても,福島市,二本松市,伊達市,本宮市,桑
折町,川俣町,郡山市といった地域において,20mSv/y相当値は下回るもの
の10mSv/y相当値を超える空間線量率が計測されていたことなどからすると,
本件事故発生当初の時期(平成23年3〜4月)における自主的避難等対象区域旧
居住者の抱いた放射線被曝に対する不安,今後の本件事故の進展に対する不安は,
一律に当該地域からの避難や屋内退避を必要とするほどのものではなかったとして
も,旧緊急時避難準備区域,旧特定避難勧奨地点,旧一時避難要請区域といった必
ずしも避難が強制されるものでない区域の旧居住者の抱いた不安に比して大きく劣
るものではなく,避難の必要性や可能性を検討し,実際に避難することもやむを得
ない選択の一つであったといえる。同時に,様々な事情により避難するという選択
が困難であった旧居住者もいるところ,そのような選択をすること自体も困難を強
いられたものであり,また,避難せずにそのまま居住することも容易な状況ではな
かったというべきである。これらの事情に鑑みれば,平成23年3月,4月の2か
月につき各8万円(合計16万円)の賠償を認めるのが相当である。
このときの比較的高い線量は一時的なものであり,後に見れば客観的に避難等が
不可欠な状況であったとは必ずしもいえないとしても,本件事故発生直後の時期の
自主的避難等対象区域旧居住者の抱いた放射線被曝に対する不安,今後の本件事故
の進展に対する不安が16万円程度の賠償に値するとの上記判断は左右されない。
エ平成23年5〜12月の損害
平成23年5〜12月時点においても,福島市,二本松市,伊達市,桑折町と
いった相当の人口,面積を有する範囲において,20mSv/y相当値は下回るも
のの,10mSv/y相当値を超える空間線量率が計測されていたこと,収束宣言
により福島第一原発の冷温停止の達成が確認されたのが12月16日であること
(丙C12)などからすると,平成23年5〜12月における自主的避難等対象区
域旧居住者の抱いた放射線被曝に対する不安,今後の本件事故の進展に対する不安
は,本件事故発生当初の平成23年3〜4月時点と同様とはいえないまでも,引き
続き賠償に値するものというべきであり,その額は,平成23年5〜12月の8か
月を包括して8万円(3〜4月の16万円と合わせて累計24万円。「中間指針等に
よる賠償額」である8万円を超える損害は16万円)と認めるのが相当である。
また,上記事情によれば,自主的避難等対象区域旧居住者の不安が賠償に値する
のは,子供・妊婦に限られるものではないというべきである。
オ平成24年1月以降の損害
平成24年1月以降については,概ね空間線量率も5mSv/yを下回るように
なり,なお福島市役所において5mSv/yを超える空間線量率が計測されていた
こと,自主的避難者,滞在者双方において,引き続き放射線被曝に対する不安を抱
いていた者が少なくないとうかがわれることなどを考慮しても,子供・妊婦以外の
自主的避難等対象区域旧居住者に賠償すべき損害があるとは認められない。
カ子供・妊婦の損害
3月11日から12月31日までの期間に子供・妊婦であった者は,中間指針等
により40万円の賠償が認められている。
上記ウ〜エで子供・妊婦以外の者には合計24万円の賠償を認めたところ,子供
は成人に比して放射線感受性が強いとされていることから,自主的避難等対象区域
を旧居住地とする子供及び妊婦は,放射線被曝に対する不安,今後の本件事故の進
展に対する不安により,成人よりも強い精神的苦痛を感じたものと認められ,その
賠償額を成人よりも高額なものとすることには合理性が認められるが,その額が
「中間指針等による賠償額」である40万円を超えるとまでは認められない。
平成24年1月1日から8月31日までの期間に子供・妊婦であった者(例えば,
原告H−298は,平成24年5月7日,原告H−350が福島市から山形県に避
難中に出産した子供であり,原告T−1857は,平成24年1月18日,原告T
−1856が出産した子供であった。)は,中間指針等により8万円の賠償が認めら
れているところ,これを超える損害があるとは認められない(原告H−350,T
−1856は,平成23年12月31日の前後を通じて妊娠していたと認められる
から,「中間指針等による賠償額」は48万円であるところ,これを超える損害があ
るとは認められない。原告T−1515は平成25年3月18日に長女を,原告T
−1565)は平成25年2月3日に原告T−1566を,それぞれ出産し,いず
れも平成24年8月31日までに妊娠していたと認められ,「中間指針等による賠償
額」は16万円であるところ,平成23年3〜12月分につき「中間指針等による
賠償額」を超える損害として16万円を認める。)。
平成24年9月1日以降に妊娠した者(例えば,原告H−343は,平成27年
5月13日に長女を,原告H−492は平成26年3月14日に原告H−495を,
原告T−46は平成26年3月15日に長男を,それぞれ出産している。)について
は,「中間指針等による賠償額」は8万円であるところ,賠償額としては子供・妊婦
以外の者と同様の24万円(「中間指針等による賠償額」を超える損害は16万円)
を認め,これを超える損害があるとは認められない。
平成24年9月1日以降に出生した者(例えば,原告H−295は,平成25年
6月20日,原告H−74が伊達市から山形県に避難中に出産した子供であり,原
告H−495は,平成26年3月14日,原告H−492が田村市から沖縄県に避
難中に出産した子供であり,原告T−1095は,平成24年9月19日,原告T
−656が出産した子供であり,原告T−2731は,平成26年5月12日,原
告T−3154が出産した子供である。)については,賠償すべき損害があるとは認
められない(原告H−74は,平成24年8月31日までに妊娠していた期間があ
れば「中間指針等による賠償額」は16万円,それ以降の妊娠であれば「中間指針
等による賠償額」は8万円であるが,いずれにせよ,「中間指針等による賠償額」を
超える賠償額として16万円を認める。原告T−656は,平成23年12月31
日の前後を通じて妊娠していたと認められるから,「中間指針等による賠償額」は4
8万円であるところ,これを超える損害があるとは認められない。原告T−315
4は,平成23年12月19日,原告T−2730を出産し,「中間指針等による賠
償額」は40万円であるところ,これを超える損害があるとは認められない。)。
キ中間指針第一次追補について
中間指針第一次追補は,子供・妊婦以外の自主的避難等対象区域旧居住者の賠償
額の目安を8万円としている(丙A3・5〜8頁,丙A7・12,13頁)。
これは,’綵時期を本件事故発生当初の時期(3月11日から4月22日頃ま
で)に限定し,かつ,旧屋内退避区域滞在者の賠償額を,屋内退避区域解除(4
月22日)までの損害として10万円としたこと(丙A2・17〜19,23頁)
からこの額を事実上の上限として考慮していたこと(丙A29・22〜23頁)に
よるものと認められる。
しかし,上記認定のとおり,子供・妊婦以外の自主的避難等対象区域旧居住者の
損害について,稜綵時期を4月22日頃までに限るべきではなく,この点におい
て既に中間指針第一次追補による賠償額の評価は不十分であるといえる。
そして,△療世砲弔い討癲ぜ主的避難等対象区域旧居住者の賠償額が,屋内退
避を強いられた旧屋内退避区域滞在者の賠償額を超えないこと自体は是認できるも
のの,旧屋内退避区域旧居住者の賠償額は,自主賠償基準において,自主的避難の
有無を問わず,平成23年3月から9月まで月額10万円の7か月分70万円を認
めているところであるから(丙C19,20),旧屋内退避区域滞在者の賠償額が1
0万円であることを前提とする必要はない。
当裁判所の認定によれば,旧屋内退避区域滞在者の損害は少なくとも70万円
(子供・妊婦以外の旧一時避難要請区域旧居住者の損害は,前記認定のとおり総額
73万円),子供・妊婦以外の自主的避難等対象区域旧居住者の損害は総額24万円
であるから,自主的避難等対象区域旧居住者の賠償額は,旧屋内退避区域滞在者の
賠償額を超えるものではない。
ク原告らの主張について
原告らは,ゝ甸囘な被曝の程度(地域汚染の程度)とそれによる健康影響リス
クについての科学的知見,広範な地域汚染により,飲食物の摂取制限など様々な
社会的影響の広がりがあること,将来の健康影響の発現をおそれる心理的メカニ
ズムの存在,じ狭陲蕕汎瑛佑糧鑁回避措置を取った住民が多数存在すること,
避難等対象区域外(年間20mSvを下回る地域)でも除染特措法による除染が行
われ,かつ原子力損害として被告東電が費用負担を行っていること,λ楫鏤故惹
起について被告らに有責性(悪質性)があり,他方で原告らには何らの帰責性もな
いにもかかわらず,原告らは望まない被曝,社会的有益性のない被曝を余儀なくさ
れていること(被害の非対称性,非互換性)などを考慮すれば,避難指示等対象区
域外の原告らにも,「中間指針等による賠償額」を超える損害として月額5万円の損
害が発生している,と主張する(原告ら最終準備書面(第4分冊)77〜91頁)。
しかし,上記 銑Δ了情の存在(ただし,当裁判所は,…秬量被曝による健
康への影響に関して特定の見解を正当なものと判断するものではない。)を考慮して
も,子供・妊婦以外の自主的避難等対象区域旧居住者の損害は24万円程度,子
供・妊婦である自主的避難等対象区域旧居住者の損害は48万円程度と認めるのが
相当であり,これを超える損害が発生しているとは認められない。
(26)自主的避難等対象区域旧居住者の損害のまとめ
以上によれば,子供・妊婦以外の自主的避難等対象区域旧居住者(平成24年1
月以降に妊娠した妊婦を含む。)については,「中間指針等による賠償額」を超える
損害として16万円を認める。
子供及び妊婦(中間指針等の対象期間において子供及び妊婦であった者)につい
ては,「中間指針等による賠償額」を超える損害は認められない。
14旧居住地が県南地域(白河市,西郷村,泉崎村,中島村,矢吹町,棚倉町,
矢祭町,塙町,鮫川村)及び宮城県丸森町である原告らについて
(1)県南地域,宮城県丸森町の概況
中間指針等では,これらの地域は賠償の対象とされていない。自主賠償基準は,
県南地域(白河市,西郷村,泉崎村,中島村,矢吹町,棚倉町,矢祭町,塙町,
しらかわしにしごうむらいずみざきむらなかじまむらやぶきまちたなぐらまちやまつりまちはなわまち
鮫川村),宮城県丸森町に居住していた子供及び妊婦について,3月11日から12
さめがわむらまるもりまち
月31日までの精神的損害に対し20万円を,平成24年1月1日から8月31日
までの精神的損害に対し4万円を,それぞれ賠償することとしているが,子供・妊
婦以外の者は賠償の対象とされていない(丙C22〜24)。
(2)県南地域の状況
ア県南地域の平成23年3月の状況
県南地域である白河市に所在する県南合同庁舎の3月11日から3月14日まで
の空間線量率は0.06〜0.09μSv/h(0.11〜0.26mSv/y相
当)であったが,3月15日には7.56μSv/h(39.58mSv/y相
当),3月16日には4.1μSv/h(21.4mSv/y相当)といった,20
mSv/y相当値を超える空間線量率が計測されていた(甲C157資料1,丙C
148の2・8頁)。
白河市の県南合同庁舎の3月17日から3月31日までの空間線量率は,
0.80〜3.7μSv/h(4.00〜19.3mSv/y相当)であった(甲
C157資料3・11,丙C148の2・8頁)。
県南地域の市町村の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね
復旧していたものと認められる(丙C110の1〜10,丙C145,丙C148
の1〜6,弁論の全趣旨)。
イ県南地域の平成23年4月の状況
白河市の県南合同庁舎の4月1日から4月19日までの空間線量率は,0.67
〜0.78μSv/h(3.32〜3.89mSv/y相当)であった(丙C14
8の2・8頁)。
鮫川村役場,西郷村役場,泉崎村役場,中島村役場,矢吹町役場,棚倉町役場,
矢祭町役場,塙町役場の4月11日の空間線量率は,0.15〜0.81
μSv/h(0.58〜4.05mSv/y相当)であった(甲C157資料2
1)。
4月29日第1次航空機モニタリングの結果から計算した県南地域の空間線量率
は0.05〜1.40μSv/h(0.05〜7.16mSv/y相当),平均
0.13〜0.81μSv/h(0.47〜4.05mSv/y相当)であった
(甲B203別表2)。これは,非生活圏である山林などを含んだ数値である。
ウ平成23年5〜12月の状況
西郷村が測定した,西郷村役場の5月23日から6月13日までの空間線量率は
0.58〜0.65μSv/h(2.84〜3.21mSv/y相当)であった
(丙C110の4)。
白河市表郷庁舎,白河市大信庁舎,白河市東庁舎,矢吹町役場,西郷村役場,泉
おもてごうたいしん
崎村役場,中島村役場,棚倉町役場,塙町役場,矢祭町役場,鮫川村役場の6月9
日から12月28日までの空間線量率は,0.10〜0.91μSv/h
(0.32〜3.21mSv/y相当)であった(甲C157資料52・87・9
4〜96・102・105・108・109・113〜115・117・119〜
122・125〜127・129・132〜135・137〜142・144〜1
46・148〜150・152・155・156・158・160・164・16
9・172・176・182・183・185・187)。
県南地域を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−2228の旧
居住地は西郷村であるが,5月26日第2次航空機モニタリングの結果から計算し
た同原告の旧居住地の空間線量率は0.48μSv/h(2.32mSv/y相
当)(甲B203別表1の154頁),5月26日第2次航空機モニタリングから1
1月5日第4次航空機モニタリングまでの結果から計算した県南地域の空間線量率
は0.05〜1.80μSv/h(0.05〜9.26mSv/y相当),平均
0.11〜0.95μSv/h(0.37〜4.79mSv/y相当)であった
(甲B203別表2)。
エ平成24年1〜8月の状況
白河市表郷庁舎,白河市大信庁舎,白河市東庁舎,矢吹町役場,西郷村役場,泉
崎村役場,中島村役場,棚倉町役場,塙町役場,矢祭町役場,鮫川村役場の平成2
4年1月4日の空間線量率は,0.10〜0.61μSv/h(0.32〜
3.00mSv/y相当)であった(甲C157資料190)。
白河市役所本庁,大信庁舎,表郷庁舎,東庁舎の平成24年4月1日から平成2
8年2月1日までの空間線量率は,0.048〜0.301μSv/h(0.04
〜1.37mSv/y相当)であった(丙C147)。
原告T−2228の旧居住地の平成24年6月28日第5次航空機モニタリング
の結果から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は0.46μSv/h
(2.21mSv/y相当)(甲B203別表1の154頁),県南地域の空間線量
率は0.05〜1.10μSv/h(0.05〜5.58mSv/y相当),平均
0.14〜0.47μSv/h(0.53〜2.26mSv/y相当)であった
(甲B203別表2)。
オ平成24年9月以降の状況
県南地域50箇所の平成24年9月3日から平成29年3月2日までの空間線量
率は,0.05〜0.44μSv/h(0.05〜2.11mSv/y相当)で
あった(甲C157資料312,丙C202,211)。
原告T−2228の旧居住地の平成24年12月28日第6次航空機モニタリン
グの結果から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は0.40μSv/h
(1.89mSv/y相当)(甲B203別表1の154頁),平成24年12月2
8日第6次航空機モニタリングから平成25年11月19日第8次航空機モニタリ
ングまでの結果から計算した県南地域の空間線量率は0.05〜0.88
μSv/h(0.05〜4.42mSv/y相当),平均0.10〜0.48
μSv/h(0.32〜2.32mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
(3)県南地域旧居住者の損害
ア平成23年3〜12月の損害
県南地域においても,平成23年3月時点で白河市において20mSv/y相当
値を超える空間線量率が計測されていたことなどを考慮すると,県南地域旧居住者
の抱いた放射線被曝に対する不安,今後の本件事故の進展に対する不安は,自主的
避難等対象区域旧居住者と同様とはいえないまでも,なお賠償に値するものという
べきであり,その額は,平成23年3月11日から12月31日までの10か月間
を包括して10万円(「中間指針等による賠償額」は0円であるから,「中間指針等
による賠償額」を超える損害も10万円)と認めるのが相当である。
イ平成24年1月以降の損害
平成24年1月以降については,概ね空間線量率も5mSv/yを下回っていた
ことなどを考慮すると,子供・妊婦以外の県南地域旧居住者に賠償すべき損害があ
るとは認められない。
ウ子供・妊婦について
自主賠償基準により,県南地域旧居住者で3月11日から12月31日までの期
間に子供・妊婦であった者(例えば,原告H−215は,平成23年12月1日出
生した子供であった。)に対し20万円の,平成24年1月1日から8月31日まで
の期間に子供・妊婦であった者に対し4万円の賠償が認められているところ(丙C
22,24),これを超える損害があるとは認められない。
(4)宮城県丸森町の状況
宮城県伊具郡丸森町は,福島県外であるにもかかわらず線量が他の区域と比較し
いぐまるもりまち
て相対的に高いために自主賠償基準において子供・妊婦に対する賠償の対象区域と
されたものと思われるが,丸森町の空間線量率が高かったことを示すモニタリング
結果は証拠として提出されていない。
宮城県の測定した,丸森町の12月31日の空間線量率は,0.23μSv/h
(1.00mSv/y相当)であった(丙C286)。
原告T−1401,T−1950〜1956の旧居住地は宮城県丸森町であると
ころ,4月29日第1次航空機モニタリングから平成25年11月19日第8次航
空機モニタリングまでの結果から計算した同原告らの旧居住地の空間線量率は,
0.18〜0.44μSv/h(0.74〜2.11mSv/y相当)(甲B203
別表1の108,139頁),丸森町内の空間線量率は0.09〜2.20
μSv/h(0.26〜11.37mSv/y相当),平均0.27〜0.65
μSv/h(1.21〜3.21mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
これは,非生活圏である山林などを含んだ数値である。
宮城県丸森町の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね復旧
していたものと認められる(丙C286,弁論の全趣旨)。
()宮城県丸森町旧居住者の損害
自主賠償基準により,宮城県丸森町旧居住者で3月11日から12月31日まで
の期間に子供・妊婦であった者に対し20万円の,平成24年1月1日から8月3
1日までの期間に子供・妊婦であった者に対し4万円の賠償が認められているとこ
ろ(丙C23,24),子供・妊婦につき,これを超える損害があるとは認められな
い。
そして,宮城県丸森町の生活圏の空間線量率が概ね5mSv/y相当値を下回っ
ていたことなどからすれば,子供・妊婦以外の者について,賠償すべき損害がある
とは認められない。
(6)県南地域,宮城県丸森町旧居住者の損害のまとめ
以上によれば,子供・妊婦以外の県南地域旧居住者については,「中間指針等によ
る賠償額」を超える損害として10万円を認める。
子供・妊婦である県南地域旧居住者及び宮城県丸森町旧居住者(子供・妊婦であ
るか否かを問わない。)については,「中間指針等による賠償額」を超える損害は認
められない。
15旧居住地がこれらの区域外である原告らについて
(1)会津地域
ア会津地域の状況
会津地域(会津若松市,喜多方市,北塩原村,西会津町,磐梯町,猪苗代町,
にしあいづまちばんだいまちいなわしろまち
会津坂下町,湯川村,柳津町,三島町,金山町,昭和村,会津美里村,下郷町,
あいづばんげまちやないづまちみしままちかなやままちしもごうまち
檜枝岐村,只見町,南会津町)は,中間指針等による賠償の対象とされていない。
ひのえまたむらただみまちみなみあいづまち
会津若松市に所在する会津合同庁舎,南会津町に所在する南会津合同庁舎の空間
線量率は,3月15日には1.08〜1.18μSv/h(5.47〜6.00
mSv/y相当)であったが(甲C157資料1),3月16日には0.09〜
0.44μSv/h(0.26〜2.11mSv/y相当)に落ち着いていた(甲
C157資料2)。
南会津町役場南郷総合支所,伊南総合支所,舘総合支所,下郷町役場,只見町役
場,檜枝岐村役場の6月1日から10月11日までの空間線量率は,0.05〜
0.17μSv/h(0.05〜0.68mSv/y相当)であった(丙C90の
1・2)。
会津地域のモニタリング地点の平成24年4月1日から平成29年3月2日まで
の空間線量率は,0.02〜0.19μSv/h(0〜0.79mSv/y相当)
であった(丙C56,丙C71の2〜5,丙C202,211)。
会津地域を旧居住地とする原告らは相当数おり,例えば,原告T−1592の旧
居住地は会津坂下町であるが,平成24年6月28日第5次航空機モニタリングか
ら平成24年12月28日第6次航空機モニタリングまでの結果から計算した同原
告の旧居住地の空間線量率は0.16μSv/h(0.63mSv/y相当)(甲B
203別表1の119頁),4月29日第1次航空機モニタリングから平成25年1
1月19日第8次航空機モニタリングまでの結果から計算した会津地域の空間線量
率は0.04〜0.74μSv/h(0〜3.68mSv/y相当),平均0.06
〜0.28μSv/h(0.11〜1.26mSv/y相当)であった(甲B20
3別表2)。
会津地域の市町村の公共サービス,生活関連サービスは,本件事故直後から概ね
復旧していたものと認められる(丙C138の1〜3,弁論の全趣旨)。
イ会津地域旧居住者の損害
会津地域の空間線量率が,3月15日の最も高かったときでも5mSv/y相当
値をわずかに上回る程度であり,その後は概ね5mSv/y相当値を下回っていた
ことなどからすると,会津地域旧居住者が被曝による健康影響に対する不安,今後
の本件事故の進展に対する不安,被曝回避措置による生活上の支障などを感じてい
たとしても,賠償すべき損害があるとは認められない。
成人よりも放射線感受性が強いとされる子供・妊婦(例えば,原告T−1592
は,12月25日に原告T−1595を出産した妊婦であった。)についても,上記
状況によれば,賠償すべき損害があるとは認められない。
(2)宮城県(丸森町を除く。)
ア宮城県の概況
宮城県のうち丸森町は,子供・妊婦のみ自主賠償基準による賠償の対象となって
いるが,その余の区域は,中間指針(追補を含む。)でも自主賠償基準でも賠償の対
象とされていない。
イ宮城県の状況
宮城県仙台市における空間線量率は,平成23年3月11日から平成24年10
月31日まで,1mSv/y相当値(0.23μSv/h)を下回っている(乙B
173・18頁)。
宮城県の測定した,丸森町を除く宮城県各市町村の平成23年12月1日の空間
線量率は,0.06〜0.17μSv/h(0.11〜0.68mSv/y相当)
であった(丙C286)。
宮城県白石市内147箇所の3月9日から平成24年5月1日までの空間線量率
しろいしし
は,0.09〜0.67μSv/h(0.26〜3.32mSv/y相当)であっ
た(丙C121の4)。白石市内168箇所の空間線量率は,平成24年に0.09
〜0.70μSv/h(0.26〜3.47mSv/y相当),平成25年に
0.06〜0.44μSv/h(0.11〜2.11mSv/y相当),平成26年
に0.06〜0.27μSv/h(0.11〜1.21mSv/y相当),平成27
年に0.05〜0.25μSv/h(0.05〜1.11mSv/y相当)であっ
た(丙C121の5・7・8)。
原告H−29〜31,H−39,T−2747の旧居住地は宮城県仙台市泉区,
原告H−526〜529,T−410,T−2387の旧居住地は宮城県仙台市宮
城野区,原告T−1866の旧居住地は宮城県仙台市青葉区,原告T−2748の
旧居住地は宮城県仙台市太白区,原告T−3190の旧居住地は宮城県仙台市若林
区,原告H−320の旧居住地は宮城県亘理郡山元町,原告H−315,H−35
わたりやまもとちよう
5の旧居住地は宮城県名取市,原告H−329,T−2386の旧居住地は宮城県
塩竈市,原告H−471の旧居住地は宮城県牡鹿郡女川町,原告T−238〜24
しおがましおしかおながわちよう
1,T−244〜246,T−892,T−941,T−1433,T−2050,
2051,T−2830の旧居住地は宮城県白石市,原告T−1434の旧居住地
しろいしし
は宮城県柴田郡柴田町,原告T−1435,T−2746の旧居住地は宮城県柴田
しばたまち
郡大河原町,原告T−1436の旧居住地は宮城県多賀城市である。
おおがわらまち
例えば,原告T−1433の旧居住地は宮城県白石市であるが,4月29日第1
次航空機モニタリングから平成25年11月19日第8次航空機モニタリングまで
の結果から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は0.11〜0.32
μSv/h(0.37〜1.5mSv/y相当)(甲B203別表1の110頁),
丸森町を除く宮城県内の空間線量率は0.04〜1.30μSv/h(0〜6.6
mSv/y相当),平均0.05〜0.39μSv/h(0.05〜1.84
mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
宮城県各市町村(丸森町を除く。)の公共サービス,生活関連サービスは,本件地
震及び本件津波の影響はともかく,本件事故の影響があったとは認められない(丙
C286,弁論の全趣旨)。
ウ宮城県旧居住者の損害
宮城県内の空間線量率は概ね5mSv/y相当値を下回っていたことなどを考慮
すると,宮城県(丸森町を除く。)旧居住者が被曝による健康影響に対する不安,今
後の本件事故の進展に対する不安,被曝回避措置による生活上の支障などを感じて
いたとしても,賠償すべき損害があるとは認められない。
エ子供・妊婦の損害
成人よりも放射線感受性が強いとされる子供・妊婦(例えば,原告H−529は,
平成19年12月9日生の子供であった。)についても,上記状況によれば,賠償す
べき損害があるとは認められない。
(3)茨城県
ア茨城県の状況
茨城県水戸市に所在する大場固定観測局(地上3.5m)では,3月15日に
3.63μSv/h(18.9mSv/y相当),3月21日に1.59μSv/h
(8.16mSv/y相当)の空間線量率が測定されていたが,5月16日以降の
空間線量率は0.16μSv/h(0.63mSv/y相当)を下回っていた(丙
C99)。
茨城県北茨城市では,3月16日に15.8μSv/h(82.9mSv/y相
当)もの,20mSv/y相当値を大きく超える空間線量率が計測されていたが,
3月18日には1.0μSv/h(5.1mSv/y相当),3月19日には
0.956μSv/h(4.82mSv/y相当)に落ち着いていた(甲B52の
5・7・10・11,丙C282)。
茨城県那珂郡東海村では,3月15日に5μSv/h(26mSv/y相当)と
いう,20mSv/y相当値を超える空間線量率が計測されていた(甲C157資
料1)。
茨城県が測定した,固定放射線測定局のある水戸市,日立市,常陸太田市,高萩
市,北茨城市,ひたちなか市,常陸大宮市,那珂市,鉾田市,茨城町,大洗町,東
いばらきまちおおあらいまち
海村,大子町の,5月11日から7月27日までの空間線量率は,0.070〜
だいごまち
0.205μSv/h(0.16〜0.87mSv/y相当),牛久市,つくば市を
含む他の市町村のモニタリングカーによる同期間の空間線量率は,0.052〜
0.297μSv/h(0.06〜1.35mSv/y相当)であった(丙C28
3)。
原告H−3の旧居住地は茨城県水戸市,原告H−48の旧居住地は茨城県日立市,
原告H−60,61の旧居住地は茨城県つくば市,原告H−183〜186,T−
313,314の旧居住地は茨城県牛久市,原告T−1314の旧居住地は茨城県
那珂郡東海村である。
例えば,原告H−3の旧居住地は茨城県水戸市であるが,5月26日第2次航空
機モニタリングから平成24年12月28日第6次航空機モニタリングまでの結果
から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は0.05〜0.15μSv/h
(0.05〜0.58mSv/y相当)(甲B203別表1の1頁),茨城県内の空
間線量率は0.05〜0.30μSv/h(0.05〜1.4mSv/y相当),平
均0.05〜0.24μSv/h(0.05〜1.05mSv/y相当)であった
(甲B203別表2)。
原告H−3の元夫は,茨城県水戸市に居住し,茨城県日立市で歯科医師業を営ん
でいたところ,平成24年5月4日〜5月5日採取の尿から,放射性セシウム13
4が0.072Bq/kg,放射性セシウム137が0.12Bq/kg検出され
た(甲H3の1の2,原告H−3・12〜13,23頁)。
原告H−186の旧居住地は茨城県牛久市であるが,同原告の旧居住地の平成2
4年6月28日第5次航空機モニタリングから平成24年12月28日第6次航空
機モニタリングまでの結果から計算した同原告の旧居住地の空間線量率は0.18
〜0.22μSv/h(0.74〜0.95mSv/y相当)(甲B203別表1の
11頁),同期間の牛久市の空間線量率は0.11〜0.30μSv/h(0.37
〜1.37mSv/y相当),平均0.19〜0.24μSv/h(0.79〜1.
05mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
茨城県各市町村の公共サービス,生活関連サービスは,本件地震及び本件津波の
影響はともかく,本件事故の影響があったとは認められない(丙C111の1〜4,
丙C151,282)。
イ茨城県水戸市,日立市,東海村旧居住者の損害
茨城県北茨城市や東海村において,3月15日時点で20mSv/y相当値を超
える空間線量率が計測されていたこと,茨城県水戸市においても,3月15日時点
で,20mSv/y相当値は下回るものの,これに近い18.9mSv相当の空間
線量率が観測されており,これは,本件事故がなければ被曝することがなかった追
加被曝であり,このような初期被曝を受忍すべき理由は見当たらないことなどを考
慮すれば,これらの空間線量率が一時的なものであったことなどを考慮しても,茨
城県水戸市及びそれよりも福島第一原発に近い日立市,東海村の避難者又は滞在者
が抱いた被曝による健康影響に対する不安,今後の本件事故の進展に対する不安は,
県南地域のそれよりもさらに低いものとみるべきではあるが,なお賠償に値するも
のというべきであり,その損害額は,3月11日から12月31日までの10か月
間を包括して1万円(「中間指針等による賠償額」は0円であるから,「中間指針等
による賠償額」を超える損害も1万円)と認める。
平成24年1月以降については,賠償すべき損害があるとは認められない。
ウ茨城県牛久市,つくば市旧居住者について
茨城県水戸市よりも福島第一原発から遠い茨城県牛久市及びつくば市については,
本件事故直後の時期の空間線量率を認めるに足りる証拠はなく,賠償すべき損害が
あるとは認められない。
エ子供・妊婦の損害
原告H−185,186は,茨城県牛久市を旧居住地とし,平成15年6月2日,
平成21年5月1日にそれぞれ出生した子供であったが,上記状況によれば,賠償
すべき損害があるとは認められない。
茨城県の牛久市以外の市町村を旧居住地とする子供・妊婦は本件訴訟にいないの
で,その損害については判断しない。
(4)栃木県
ア栃木県の状況
栃木県における空間線量率は,3月15日には1.68μSv/h(8.63
mSv/y相当)が計測されたが,3月16日には0.337μSv/h
(1.56mSv/y相当),3月18日には0.182μSv/h(0.75
mSv/y)と,3月16日以降は5mSv/y相当値を,3月18日以降は1
mSv相当値を,それぞれ下回るようになっていた(甲B52の5・7・10・1
2・13,甲B157資料1,乙B173・19頁)。
栃木県が測定した,宇都宮市(保健環境センター。地上50cm),那須町(那須
なすまち
町立図書館),日光市(今市健康福祉センター),真岡市(芳賀庁舎),小山市(小山
もおかしおやまし
庁舎),那珂川町(山村開発センター),佐野市(安蘇庁舎)の,5月13日から6
なかがわまち
月1日までの空間線量率は,0.05〜0.45μSv/h(0.05〜2.16
mSv/y相当)であった(丙C289)。
原告H−40,T−2505の旧居住地は栃木県宇都宮市,原告T−165の旧
居住地は栃木県那須塩原市,原告T−2238〜2240,T−2341の旧居住
地は栃木県那須郡那須町である。
5月26日第2次航空機モニタリングから平成24年12月28日第6次航空機
モニタリングまでの結果から計算した同原告ら(正しい旧居住地が甲B203に現
れない原告H−40,T−2505を除く。)の旧居住地の空間線量率は,0.29
〜0.43μSv/h(1.29〜2.05mSv/y相当)であり(甲B203
別表1の40,155,160頁),栃木県内の空間線量率は0.05〜0.87
μSv/h(0.05〜4.37mSv/y相当),平均0.05〜0.38
μSv/h(0.05〜1.79mSv/y相当)であった(甲B203別表2)。
栃木県各市町村の公共サービス,生活関連サービスは,本件地震及び本件津波の
影響はともかく,本件事故の影響があったとは認められない(丙C292,弁論の
全趣旨)。
イ栃木県旧居住者の損害
栃木県の空間線量率などを考慮すると,栃木県旧居住者に賠償すべき損害がある
とは認められない。
ウ子供・妊婦の損害
子供・妊婦(原告T−2341は,栃木県那須郡那須町を旧居住地とし,平成7
年7月21日生の子供であった。)についても,上記状況によれば,賠償すべき損害
があるとは認められない。
()区域外の旧居住者の損害についてのまとめ
以上によれば,茨城県水戸市,日立市,東海村旧居住者については,「中間指針等
による賠償額」を超える損害として1万円を認める。
それ以外の者については,「中間指針等による賠償額」を超える損害があるとは認
められない。
第6「ふるさと喪失」に基づく損害賠償請求について
1「ふるさと喪失」損害の賠償を求める訴えの訴訟物について
原告らのうち40名(死亡原告を含み,承継原告を含まない。死亡原告を除き,
承継原告を含め,原告兼承継原告を1名として数えると39名)は,原状回復及び
平穏生活権侵害に基づく損害賠償を求める訴え(当庁平成25年(ワ)第38号,
第175号,平成26年(ワ)第14号,165号)と別個に「ふるさと喪失」損
害に基づく損害賠償を求める訴え(当庁平成25年(ワ)第94号,平成26年
(ワ)第166号)を提起している。
前記のとおり,両者の請求権は,いずれも本件事故に基づく精神的損害の賠償請
求権である点で訴訟物としては同一であるが,原告らは,両者の請求権の関係につ
いて,「生存と人格形成の基盤」そのものの確定的,不可逆的喪失による損害が「ふ
るさと喪失」損害,「生存と人格形成の基盤」に依拠してそれを活用することによっ
て実現されていた「幸福追求の自己実現」を阻害されたことによる損害が,本判決
でいう「平穏生活権」侵害(原告らのいう「包括的生活利益としての人格権」侵
害)であると主張している(原告ら準備書面(被害総論9)9頁,(被害総論17)
9頁,原告ら最終準備書面(第4分冊)141〜142頁,原告ら主張要旨94〜
95,98〜99頁)。
原告らの主張を合理的に意思解釈すると,原告らは,本件事故により,継続的に
発生する性質の損害(月ごとに発生する損害として認定されるか,本件口頭弁論終
結時点で損害の発生が終了しているものとして定額の損害として認定されるかを問
わない。また「包括的生活利益としての人格権」,「幸福追求の自己実現」として認
定されるか否かを問わない。)を「平穏生活権」侵害による損害として,継続的でな
く,一回的に発生する性質の損害(その意味で,確定的,不可逆的に発生する性質
の損害であり,提訴時点で確定的,不可逆的に発生していたか,提訴後に確定的,
不可逆的に発生したかを問わない。また「包括的生活利益としての人格権」,「生存
と人格形成の基盤」該当性を認定されるか否かを問わない。)を「ふるさと喪失」に
よる損害として,それぞれ他方の請求を明示的に除外して請求しているものと解さ
れる(したがって,重複訴訟にも当たらない。)。
以上の前提を踏まえ,本判決においては,請求の趣旨第3項の損害賠償請求(弁
護士費用相当額部分を除く,2000万円の損害賠償請求)の被侵害法益として審
理の対象となる権利利益の侵害を,原告らの主張する「包括的生活利益としての人
格権」該当性,「生存と人格形成の基盤」該当性,「ふるさと」該当性,「権利」該当
性を問うことなく,またその被侵害法益が完全に喪失したか否かを問うことなく,
「ふるさと喪失」と定義し,それによる損害を「ふるさと喪失」損害と呼称する。
2旧居住地が帰還困難区域である原告らについて
(1)中間指針等による賠償額
帰還困難区域旧居住者に対する賠償につき,帰還が社会通念上不能となった時点
において,平穏生活権侵害による継続的損害の賠償を終了させ,帰還不能による損
害を定額に包括評価して賠償を終了させることが許されると解されることは前記の
とおりである。
そして,中間指針第四次追補による帰還困難慰謝料1000万円(丙A5)は,
確定的,不可逆的に発生した損害であるから,本判決でいう「ふるさと喪失」損害
(確定的,不可逆的損害)に対応するものというべきである。
自主賠償基準は,帰還困難区域旧居住者に600万円の包括賠償(丙C16)と
700万円の追加賠償(丙C17)を認めているが,後者の700万円は中間指針
第四次追補の1000万円から生活費増額分を除く将来分として300万円を控除
した額と解されるから,自主賠償基準も,帰還困難慰謝料は1000万円であるこ
とを前提としているものと解される。
したがって,本件訴訟における「ふるさと喪失」損害に対応する「中間指針等に
よる賠償額」は1000万円であるから,これを超える確定的,不可逆的損害が発
生しているか否かを検討する。
(2)「ふるさと喪失」損害として1000万円が相当であること
上記のような継続的損害の賠償を終了させるための一括賠償をもって「ふるさと
喪失」損害とする場合,その一括賠償とそれまでの継続的賠償とを合計した帰還困
難区域旧居住者に対する損害賠償総額は,継続的損害の賠償を継続した場合に帰還
困難区域旧居住者が受領する損害賠償総額(帰還不能な状態が10年間継続すると
して120か月分1200万円)と比べて遜色のないもので,帰還可能な居住制限
区域旧居住者の受領する損害賠償総額(自主賠償基準の平成30年3月までとして
85か月分850万円。丙C67)よりも十分に大きなものとなるべきである。
他方,故郷に帰還できないことによる精神的苦痛がいかに大きいとしても,一般
の不法行為による被害者死亡時の精神的苦痛よりは小さいというべきである。
以上を踏まえ,平成26年4月までは月額10万円(総額380万円)の継続的
賠償が認められるべきこと,避難費用,一時帰宅費用,財物損害,営業損害等につ
いては別途賠償されることを前提に検討すると,帰還不能による確定的,不可逆的
損害による慰謝料(「ふるさと喪失」損害)は,1000万円(当裁判所の認定した
平成23年3月から平成26年4月までの38か月分380万円の継続的賠償との
合計額としては1380万円)と認めるのが相当である。
(3)1000万円を超える「ふるさと喪失」損害が認められないこと
「ふるさと喪失」損害を請求している原告らのうち,原告H−63(94号−
7),原告H−88,89(94号−5,6),原告H−383〜388(166号
−28〜33)の旧居住地は双葉町の,原告H−86,126(94号−23,2
2)の旧居住地は大熊町の,原告H−111(94号−26)の旧居住地は富岡町
の,原告H−65,518(166号−39,40)の旧居住地は浪江町の,それ
ぞれ帰還困難区域である。
双葉町,大熊町,富岡町,浪江町の状況,同原告ら旧居住地の状況,同原告らが
避難を強いられ,相当長期間にわたって帰還ができない状態に置かれたことによる
様々な被害(甲B203,甲C25,26,35〜40,69,72〜78,23
1,甲H63,65,86,88,111,387,丙C36〜39,57〜60,
164〜172,254,321(いずれも枝番を含む。),原告H−88,浜通り
検証の結果)を考慮しても,「ふるさと喪失」損害として1000万円を超える損害
があるとは認められない。
3旧居住地が居住制限区域,避難指示解除準備区域である原告らについて
(1)一括賠償をもって継続的損害の賠償を終了させる必要が認められないこと
中間指針第四次追補は,双葉町,大熊町以外の居住制限区域,避難指示解除準備
区域の旧居住者については,避難指示解除後1年間の継続的賠償の継続を認め,確
定的,不可逆的損害の発生を認めていない(丙A5)。
双葉町,大熊町以外の居住制限区域,避難指示解除準備区域については,既に避
難指示が解除され,又は概ね平成29年3月頃までの解除が見込まれており(丙C
28,29,159,161〜164,216,230,235〜239),避難指
示の解除によって直ちに精神的損害の発生が終了するものではないが,解除後一定
期間の経過により精神的損害の発生も終了することが見込まれるのであり,一括賠
償をもって継続的賠償の継続を終了させるまでの必要は認められない。
(2)継続的賠償と別途の確定的,不可逆的損害の発生が認められないこと
「ふるさと喪失」損害を請求している原告らのうち,原告H−2,236,23
7(94号−1〜3),原告H−82,200,254(94号−10〜12)の旧
居住地は浪江町の,原告H−18,346(94号−8,9),原告H−94,43
3,434(94号−19〜21),原告H−442(166号−34)の旧居住地
は富岡町の,それぞれ居住制限区域である。原告H−90(94号−24),原告H
−202(94号−25),原告H−220,393(94号−16,17)の旧居
住地は浪江町の,それぞれ避難指示解除準備区域である。原告兼亡H−376承継
人H−95(94号−13)及びその被承継人である亡H−376(94号−1
5),原告H−149(94号−14),原告H−336(94号−4)の旧居住地
は楢葉町の,原告兼亡H−101承継人H−100の被承継人である亡H−101
(94号−18)の旧居住地,原告H−302〜305(166号−35〜38)
の旧居住地は南相馬市小高区の,原告H−395(166号−27)の旧居住地は
葛尾村の,それぞれ旧避難指示解除準備区域である。
浪江町,富岡町,楢葉町,南相馬市,葛尾村の状況,同原告ら旧居住地の状況,
同原告らが避難を強いられたことによる様々な被害(甲B203,甲C25,26,
36〜41,44,45,69,72,76〜78,231〜236,甲H2,1
8,82,90,94,95,101,149,200,202,220,303,
336,376,395,442,丙C36〜39,42,47,60,61,6
4,76,81〜87,125,157,158,164〜178,212,21
3,214〜235,254,257,321,322(いずれも枝番を含む。),
原告H−2,原告H−18,原告H−82,浜通り検証の結果)を考慮しても,月
額10万円の継続的賠償と別途の確定的,不可逆的損害が発生しているとは認めら
れない。
(3)原告らの主張について
原告らは,政府による避難等の指示に基づく避難者においては,避難に伴い日常
の「幸福追求の自己実現」を阻害されたことに対する日常生活阻害慰謝料とは別個
に,本件事故までに形成した「ふるさと」,すなわち,家族,土地と住,生業・職業,
人間関係形成,自然環境等を重要な要素とする「生存と人格形成の基盤」が破壊・
損傷されたこと自体による被害も,独立した損害として評価されるべきである,な
どと主張する(原告ら最終準備書面(第4分冊)162〜175頁,原告ら主張要
旨98〜99頁)。
しかし,原告らの主張する「ふるさと」は,平穏生活権侵害の考慮要素として考
慮するならばともかく,個人に帰属する独立した不法行為上の保護法益として認め
るにはその外延が明確でなく,これを平穏生活権侵害の賠償と別個独立の損害とし
て賠償の対象とすることは困難である。
4「ふるさと喪失」損害についてのまとめ
以上によれば,帰還困難区域旧居住者についても,それ以外の避難指示区域の旧
居住者についても,「中間指針等による賠償額」を超える確定的,不可逆的損害は認
められない。
第7弁済の抗弁
(1)ADR増額
原告H−111は,帰還困難区域旧居住者であり,「中間指針等による賠償額」を
超える損害として20万円が認められるところ,同原告は,ADRにより「中間指
針等による賠償額」を超える賠償として30万円を受領している(争いがない。)。
ADRにより「中間指針等による賠償額」を超えて支払われた精神的損害の賠償
額は,当事者の合理的意思解釈により,本訴請求債権の元金に,本件事故時に遡っ
て充当されると解するのが相当であるから,同原告の請求権は,弁済により全て消
滅した。
原告H−133は,子供・妊婦でない自主的避難等対象区域旧居住者であり,「中
間指針等による賠償額」を超える損害として16万円が認められるところ,同原告
は,ADRにより「中間指針等による賠償額」を超える賠償として98万円を受領
している(争いがない。)から,同原告の請求権は,弁済により全て消滅した。
原告H−370は,子供・妊婦でない自主的避難等対象区域旧居住者であり,「中
間指針等による賠償額」を超える損害として16万円が認められるところ,同原告
は,ADRにより「中間指針等による賠償額」を超える賠償として10万円を受領
している(争いがない。)から,同原告の請求権は,10万円については弁済により
(本件事故時に遡って本訴請求債権元金に充当されて)消滅し,残元金は6万円で
ある。
原告H−483は,帰還困難区域旧居住者であり,「中間指針等による賠償額」を
超える損害として20万円が認められるところ,同原告は,ADRにより「中間指
針等による賠償額」を超える賠償として150万円,ADRによる和解後の同種事
由による追加賠償として63万円の合計213万円を受領している(争いがない。)
から,同原告の請求権は,弁済により全て消滅した。
原告T−624は,子供・妊婦でない旧一時避難要請区域旧居住者であり,「中間
指針等による賠償額」を超える損害として3万円が認められるところ,同原告は,
ADRにより「中間指針等による賠償額」を超える賠償として14万4000円を
受領している(争いがない。)から,同原告の請求権は,弁済により全て消滅した。
原告T−842は,旧一時避難要請区域旧居住者の子供であり,「中間指針等によ
る賠償額」を超える損害として11万円が認められるところ,同原告は,ADRに
より「中間指針等による賠償額」を超える賠償として90万円を受領している(争
いがない。)から,同原告の請求権は,弁済により全て消滅した。
原告T−2115は,子供・妊婦でない自主的避難等対象区域旧居住者であり,
「中間指針等による賠償額」を超える損害として16万円が認められるところ,同
原告は,ADRにより「中間指針等による賠償額」を超える賠償として6万円を受
領している(争いがない。)から,同原告の請求権は,6万円については弁済により
消滅し,残元金は10万円である。
原告T−2119は,子供・妊婦でない自主的避難等対象区域旧居住者であり,
「中間指針等による賠償額」を超える損害として16万円が認められるところ,同
原告は,ADRにより「中間指針等による賠償額」を超える賠償として8万円を受
領している(争いがない。)から,同原告の請求権は,8万円については弁済により
消滅し,残元金は8万円である。
原告T−2841,2842は,子供・妊婦でない自主的避難等対象区域旧居住
者であり,「中間指針等による賠償額」を超える損害として各16万円が認められる
ところ,同原告らは,ADRにより,「中間指針等による賠償額」を超える賠償とし
て,原告T−2841は154万円を,原告T−2842は84万円を,それぞれ
受領している(争いがない。)から,同原告らの請求権は,弁済により全て消滅した。
(2)要介護者増額
ア要介護者増額による弁済の抗弁
被告東電は,原告H−34など,避難指示等対象区域内に生活の本拠を有し,要
介護状態等の事情がある者,要介護者を介護している者に対して支払った追加賠償
につき,弁済の抗弁を主張している。
イ要介護者増額は自主賠償基準に含まれること
しかし,この要介護者増額は,被告東電において所定の要件を満たしていると判
断すれば,被告東電の定めた基準に従って支払われるものであって(丙C183),
被告東電の自主賠償基準の一部を構成しているものと認められる。
ウ要介護者増額についての弁済の抗弁についてのまとめ
そうすると,自主賠償基準のとおりの要介護者等による増額は,「中間指針等によ
る賠償額」の一部を構成し,「中間指針等による賠償額」を超える部分である本訴請
求債権に充当されるものではなく,被告東電による弁済の抗弁は失当である。
(3)透析賠償
ア透析賠償による弁済の抗弁
被告東電は,原告T−1732に対し,所定の要件を満たす透析患者に対する追
加賠償として支払った4万円について,弁済の抗弁を主張している。
イ透析賠償が自主賠償基準に当たらないこと
被告東電によれば,)楫鏤故発生日において,透析治療を恒常的に受けていた
こと,∨楫鏤故発生日の生活の本拠が避難指示等対象区域外に該当すること,
本件事故前より,自主的避難等対象区域,避難指示等対象区域,福島県県内地域,
宮城県丸森町の医療施設に通院し,本件事故により透析治療の制限等があったこと,
という3つの要件を満たす透析患者に対し,本件事故を原因として,透析患者が通
常受けている頻度,及び時間の人工透析を十分に受けられない状況に置かれたこと
により,生命の危険を伴うほど健康状態が悪化することへの恐怖と不安を抱き,日
常生活の維持・継続が著しく阻害されたために生じた精神的損害に対する追加賠償
を行っているが,その賠償額の目安は確定しておらず,個別の事情に基づいて賠償
の可否及び金額を決定しているという(被告東京電力準備書面(31),(39))。
そうすると,透析賠償は,賠償額の目安があらかじめ確定しているものではない
から,自主賠償基準を構成するものということはできない。
ウ透析賠償は生命・身体的損害に伴う精神的損害の賠償であること
しかし,透析賠償は,透析患者が通常受けている頻度・時間の人工透析を十分に
受けられない状況に置かれたことにより,生命の危険を伴うほど健康状態が悪化す
ることへの恐怖・不安を抱いたことに着目して支払われるものであり,生命・身体
的損害による精神的損害の増額要素(医療費の増加という積極損害が存在しない場
合には,生命・身体的損害による精神的損害を独立して認定するための要素)とし
ての性質を有している。
そうであれば,平穏生活権侵害に基づき,「中間指針等による賠償額」を超える精
神的損害の賠償を請求している(生命・身体的損害に伴う精神的損害を含まない)
本訴請求債権には充当されない。
エ透析賠償についての弁済の抗弁についてのまとめ
したがって,透析賠償は本訴請求債権に充当されるものではなく,被告東電によ
る弁済の抗弁は失当である。
(4)ペット賠償
アペット賠償による弁済の抗弁
被告東電は,原告H−53等,所定の要件を満たすペットと離別・死別した者に
支払った追加賠償について,弁済の抗弁を主張している。
イペット賠償が自主賠償基準に当たらないこと
被告東電は,本件事故当時に避難指示区域に居住し,避難生活を余儀なくされた
ことにより,哺乳類(犬や猫等)や鳥類のペットと離別又は死別した者に対し,
ペットの財産的価値と別個に,精神的損害の追加賠償を行っているが(丙C18
4),その賠償額の目安は確定しておらず,個別の事情に基づいて賠償の可否及び金
額を決定しているという(被告東電準備書面(31),(39))。
そうすると,ペット賠償は,賠償額の目安があらかじめ確定してるものではない
から,自主賠償基準を構成するものということはできない。
ウペット賠償は財物損害に伴う精神的損害の賠償であること
しかし,ペット賠償は,ペットという財物の喪失と同一の原因に着目して支払わ
れるものであり,財物損害に伴う精神的損害の増額要素(一般に,財物損害につい
ては価値相当額の賠償によって精神的苦痛も慰謝されるところ,特別の事情により
精神的損害を認定するための要素)としての性質を有している。
そうであれば,平穏生活権侵害に基づき,「中間指針等による賠償額」を超える精
神的損害の賠償を請求している(財物損害に伴う精神的損害を含まない)本訴請求
債権には充当されない。
エペット賠償についての弁済の抗弁についてのまとめ
したがって,ペット賠償は本訴請求債権に充当されるものではなく,被告東電に
よる弁済の抗弁は失当である。
第8被告国の責任の範囲
1共同不法行為が成立しないこと
被告国の国賠法上の責任の根拠となる規制権限不行使と,被告東電の原賠法上の
責任の根拠となる本件事故とは,関連して1個の不法行為を構成するような関係
(関連共同性)はなく,被告国の国賠法上の責任と,被告東電の原賠法上の責任は,
いわば被侵害法益を共通にする不法行為が競合しているにすぎないものというべき
である。
したがって,被告国と被告東電との間に共同不法行為(民法719条)が成立す
るとはいえない。
2被告国の責任の範囲
(1)被告国の責任の範囲は被告東電の責任の2分の1にとどまること
炉規法,電気事業法の枠組みによれば,原子炉施設の安全性を確保する責任は第
一次的には当該原子炉を設置する原子力事業者(本件事故においては被告東電)に
あり,被告国(経済産業大臣)の責任はこれを監督する第二次的なものにとどまる
というべきであるから,被告国が規制権限不行使により国賠法上の責任を負う場合
においても,その賠償すべき責任の範囲は,原子力事業者の負う責任に比して限定
されるべきである。
被告国が,国策として,被告東電ら原子力事業者と共同して原子力発電を推進し,
かつ,広く国民に対して安全性を宣伝してきたとしても,それは安全性の確保を第
一次的に原子力事業者の責任とし,被告国の規制権限はこれを監督する第二次的な
ものとする炉規法,電気事業法の枠組みの下での推進であり,炉規法,電気事業法
の規制により安全性が確保される前提の下での宣伝であるから,その原子力政策の
結果として本件事故を引き起こしたことによる社会的責任を負い(原子力損害賠
償・廃炉等支援機構法(平成23年法律第94号)2条1項,除染特措法3条,福
島復興再生特別措置法(平成24年法律第25号)1条,「東京電力原子力事故によ
り被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支
援等に関する施策の推進に関する法律」(平成24年法律第48号)3条等参照),
規制権限の不行使が著しく合理性を欠いた場合には国賠法上の責任を免れないとは
いえ,その責任が第二次的なものにとどまることに変わりはない。
他方,炉規法,電気事業法上,被告国の規制が,原子力発電所の安全性の確保に
不可欠なものとして想定されていることからすると,第二次的なものとはいえ,そ
の責任は,水俣病の被害拡大に対し,公共用水域の水質の保全に関する法律及び工
場排水等の規制に関する法律による規制権限行使を怠った責任が企業の4分の1と
されたこと(大阪高裁平成13年4月27日判決・訟月48巻12号2821頁
[水俣病関西訴訟2審]。最高裁平成16年10月15日第二小法廷判決・民集58
巻7号1802頁の原審),じん肺の被害拡大に対し,石炭鉱山保安規則の改正を
怠った責任がじん肺による全損害の3分の1とされたこと(福岡高裁平成13年7
月19日判決・判時1785号89頁[筑豊じん肺訴訟2審]。最高裁平成16年4
月27日第三小法廷判決・民集58巻4号1032頁の原審)に比して被告国の責
任割合は高いものといえ,被告国の責任は,被告東電の負う責任の2分の1程度と
認めるのが相当である(被告らにつき共同不法行為は成立しないものの,両者の責
任は被侵害法益を共通にする不法行為責任であるから,被告国の支払うべき賠償額
の限度で,被告らの責任は不真正連帯債務関係にある。なお,原賠法は,原子力損
害は全額を原子力事業者が負担することを前提としているから,被告東電から被告
国に対する求償は許されず,被告国は,賠償した全額を被告東電に原子力損害とし
て請求することができると解される。)。
(2)帰還困難区域旧居住者に対する被告国の賠償額について
当裁判所は,平穏生活権侵害による損害として合計380万円(うち「中間指針
等による賠償額」を超える損害は20万円),「ふるさと喪失」損害として1000
万円(「中間指針等による賠償額」を超える損害はない。)を認めたところ,被告国
の賠償責任は,平穏生活権侵害につき190万円,「ふるさと喪失」損害につき50
0万円ということになり,「中間指針等による賠償額」の一部請求からの除外及び弁
済の抗弁を考えなければ,被告国に対してはこの金額を認容すべきことになる。
前記のとおり,原告らは「中間指針等による賠償額」を本訴請求債権から除外し
ているから,これを超える損害のみを考えると,被告東電の責任は20万円であり,
被告国の責任はその2分の1である10万円(及びそれぞれに対応する弁護士費用,
遅延損害金)となる(仮に,賠償金未請求の原告が,本訴請求債権から除外した
「中間指針等による賠償額」である360万円の支払を求める別訴を提起した場合,
被告東電に対し360万円,被告国に対し180万円の限度で認容され,「中間指針
等による賠償額」を超える部分は別訴の訴訟物となっていないから,一部棄却部分
の既判力は重複しない。この別訴の訴訟物との関係で弁済の抗弁を構成すべき「中
間指針等による賠償額」の範囲内の弁済は,本訴においては,被告国との関係にお
いても弁済の抗弁を構成しない。)。
被告東電から,ADR等により「中間指針等による賠償額」を超える弁済があっ
た原告については,超過弁済額を被告国の賠償額から控除することとする。
(3)旧一時避難要請区域旧居住者に対する被告国の賠償額について
旧一時避難要請区域旧居住者のうち子供・妊婦以外の者については,平穏生活権
侵害による損害として73万円(うち「中間指針等による賠償額」を超える損害は
3万円)を認め,被告国の責任は36万5000円となるが,「中間指針等による賠
償額」を超える損害についての責任は,被告東電につき3万円,被告国につき1万
5000円(及びそれぞれに対応する弁護士費用,遅延損害金)の限度で存続して
いる。
旧一時避難要請区域旧居住者のうち子供・妊婦については,平穏生活権侵害によ
る損害として81万円(うち「中間指針等による賠償額」を超える損害として11
万円)を認め,被告国の責任は40万5000円となるが,「中間指針等による賠償
額」を超える損害についての責任は,被告東電につき11万円,被告国につき5万
5000円(及びそれぞれに対応する弁護士費用,遅延損害金)の限度で存続して
いる。
(4)自主的避難等対象区域旧居住者に対する被告国の賠償額について
子供・妊婦以外の自主的避難等対象区域旧居住者については,平穏生活権侵害に
よる損害として24万円(うち「中間指針等による賠償額」を超える損害は16万
円)を認め,被告国の責任は12万円となるが,「中間指針等による賠償額」を超え
る損害についての責任は,被告東電につき16万円,被告国につき8万円(及びそ
れぞれに対応する弁護士費用,遅延損害金)の限度で存続している。
原告H−370は,子供・妊婦でない自主的避難等対象区域旧居住者であり,「中
間指針等による賠償額」を超える損害として16万円,被告国の責任として8万円
が認められるところ,前記のとおり,同原告はADRにより10万円を受領してい
るから,同原告の被告国に対する請求権は,被告東電の弁済により全て消滅した。
原告T−2115は,子供・妊婦でない自主的避難等対象区域旧居住者であり,
「中間指針等による賠償額」を超える損害として16万円,被告国の責任として8
万円が認められるところ,前記のとおり,同原告はADRにより6万円を受領して
いるから,同原告の被告国に対する請求権は,6万円が被告東電の弁済により消滅
し,残元金は2万円である。
原告T−2119は,子供・妊婦でない自主的避難等対象区域旧居住者であり,
「中間指針等による賠償額」を超える損害として16万円,被告国の責任として8
万円が認められるところ,前記のとおり,同原告はADRにより8万円を受領して
いるから,同原告の被告国に対する請求権は,被告東電の弁済により全て消滅した。
()県南地域旧居住者に対する被告国の賠償額について
子供・妊婦以外の県南地域旧居住者については,平穏生活権侵害による損害とし
て10万円(「中間指針等による賠償額」は0円なので,これを超える損害は10万
円)を認めたところ,「中間指針等による賠償額」を超える損害についての責任は,
被告東電につき10万円,被告国につき5万円(及びそれぞれに対応する弁護士費
用,遅延損害金)である。
(6)茨城県水戸市,日立市,東海村旧居住者に対する被告国の賠償額について
子供・妊婦以外の茨城県水戸市,日立市,東海村旧居住者については,平穏生活
権侵害による損害として1万円(「中間指針等による賠償額」は0円なので,これを
超える損害は1万円)を認めたところ,「中間指針等による賠償額」を超える損害に
ついての責任は,被告東電につき1万円,被告国につき5000円(及びそれぞれ
に対応する弁護士費用,遅延損害金)である。
第9弁護士費用等
1端数の取扱い
死亡原告につき相続による承継があった関係で1円未満の端数が生じる場合,被
告東電関係については1円未満の端数を四捨五入し,被告国関係については,「国等
の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」(昭和25年法律第61号)2条1項
に従い,1円未満の端数を切り捨てた。
2弁護士費用
認容額につき,それぞれ,基本的には元金の10%相当額の弁護士費用を認め,
弁護士費用を含めた認容額に1万円未満の端数が出る原告については,1万円未満
の端数切り上げ分に相当する弁護士費用を増額した。
3遅延損害金
遅延損害金については,本件事故は平成23年3月11日に起こったものとみな
して,不法行為の日(本件事故日)である平成23年3月11日から支払済みまで
民法所定の年5分の割合による遅延損害金を付す。
請求を認容した原告らの中に,本件事故後に出生した原告はいない。
第10結論
よって,
1原告ら(承継原告を除く。)の原状回復請求に係る訴えは不適法であるから却下
し,
2原告ら(承継原告を含む。)の被告東電に対する平穏生活権侵害に基づく請求に
ついては,
(1)将来請求に係る訴えは不適法であるから却下し,
(2)一般不法行為に基づく主位的請求は理由がないので棄却し,
(3)原賠法に基づく予備的請求につき,
ア帰還困難区域旧居住者
弁済の抗弁が成立する原告H−111,H−483を除く帰還困難区域旧居住者
については,22万円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで民
法所定の年5分の割合による遅延損害金の(認定した超過損害は平成26年3〜4
月分として,また月額10万円と評価してのものであるが,その遅延損害金起算日
は本件事故時である平成23年3月11日とみるべきであり,原告らは,厳密に対
象期間と請求金額を対応させて請求しているものではないと解されるから,平成2
5年3月11日に提訴された平成25年(ワ)第38号事件,平成25年9月10
日に提訴された平成25年(ワ)第175号事件,平成26年2月10日に提訴さ
れた平成26年(ワ)第14号事件の原告らについても,原告らに有利に,遅延損
害金の付く確定損害額の範囲で認容した。),
イ旧一時避難要請区域旧居住者
(ア)弁済の抗弁が成立する原告T−624を除く子供・妊婦以外の旧一時避難要
請区域旧居住者については,4万円及びこれに対する平成23年3月11日から支
払済みまで年5分の割合による遅延損害金の,
(イ)弁済の抗弁が成立する原告T−842を除く旧一時避難要請区域の子供につ
いては,13万円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分
の割合による遅延損害金の,
ウ自主的避難等対象区域旧居住者
(ア)弁済の抗弁が成立する原告H−133,H−370,T−2115,T−2
119,T−2841,2842を除く,子供・妊婦以外の自主的避難等対象区域
旧居住者については,18万円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済
みまで年5分の割合による遅延損害金の,
(イ)原告H−370については,7万円及びこれに対する平成23年3月11日
から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の,
(ウ)原告T−2115については,11万円及びこれに対する平成23年3月1
1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の,
(エ)原告T−2119については,9万円及びこれに対する平成23年3月11
日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の,
エ県南地域旧居住者
子供・妊婦以外の県南地域旧居住者については,11万円及びこれに対する平成
23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の,
オ茨城県水戸市,日立市,東海村旧居住者
子供・妊婦以外の茨城県水戸市,日立市,東海村旧居住者については,2万円及
びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による遅延損
害金の,
支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,
3原告ら(承継原告を含む。)の被告国に対する平穏生活権侵害に基づく請求につ
いては,
(1)将来請求に係る訴えは不適法であるから却下し,
(2)その余の請求につき,
ア帰還困難区域旧居住者
弁済の抗弁が成立する原告H−111,H−483を除く帰還困難区域旧居住者
については,11万円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年
5分の割合による遅延損害金の,
イ旧一時避難要請区域旧居住者
(ア)弁済の抗弁が成立する原告T−624を除く子供・妊婦以外の旧一時避難要
請区域旧居住者については,2万円及びこれに対する平成23年3月11日から支
払済みまで年5分の割合による遅延損害金の,
(イ)弁済の抗弁が成立する原告T−842を除く旧一時避難要請区域旧居住者の
子供については,7万円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで
年5分の割合による遅延損害金の,
ウ自主的避難等対象区域旧居住者
(ア)弁済の抗弁が成立する原告H−133,H−370,T−2115,T−2
119,T−2841,2842を除く,子供・妊婦以外の自主的避難等対象区域
旧居住者については,9万円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済み
まで年5分の割合による遅延損害金の,
(イ)原告T−2115については,3万円及びこれに対する平成23年3月11
日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の,
エ県南地域旧居住者
子供・妊婦以外の県南地域旧居住者については,6万円及びこれに対する平成2
3年3月11日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の,
オ茨城県水戸市,日立市,東海村旧居住者
子供・妊婦以外の茨城県水戸市,日立市,東海村旧居住者については,1万円及
びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による遅延損
害金の,
支払を求める限度で理由があるから認容し(被告国の責任は,被告東電の責任と重
なり合う限度で不真正連帯債務となる。),その余は理由がないから棄却し,
4原告ら(承継原告を含む。)の被告らに対する「ふるさと喪失」損害の賠償請求
はいずれも理由がないので棄却し,
5訴訟費用の負担につき,民訴法61条,64条,65条に基づき,
(1)被告らが全部勝訴した原告との関係で生じた費用は原告らの負担(取下原告を
除き,計算の簡便のため,一部勝訴原告,承継原告,「ふるさと喪失」損害を請求し
ている原告を含め,原告人数で頭割りした平等負担とする。原告兼承継原告は1人
と数える。民訴法65条1項)とし,
(2)被告東電に一部勝訴し,被告国との関係で全部敗訴した原告との関係で,被告
国に生じた費用は原告らの負担とし,原告ら及び被告東電に生じた費用は,(計算の
簡便のため,請求額,認容額にかかわらず)これを20分し,その1を被告東電の,
その余を原告らの負担(平等負担)とし,
(3)被告ら双方に一部勝訴した原告との関係で生じた費用はこれを20分し,その
1を被告らの負担(平等負担),その余を原告らの負担(平等負担)とし,
6仮執行宣言(及びその執行開始時期の定め,仮執行免脱宣言)ついては,相当
でないのでこれを付さない
こととし,主文のとおり判決する。
福島地方裁判所第一民事部
裁判長裁判官 金澤秀樹
裁判官 西村康夫
裁判官 田屋茂樹
別紙1当事者目録
別紙2原告目録
別紙3原告ら代理人目録
別紙4被告国代理人目録
別紙5被告東電代理人目録
(いずれも省略)
別紙6認容金額目録
別紙6認容金額目録は別冊2のとおり。
別紙7略語・用語一覧表
後知恵バイアス物事が起きてから,それが予測可能であっ
あとぢえ
たと考える心理的傾向。ハインドサイトバ
イアス(甲C52・41〜42頁)。
一時避難要請区域南相馬市が,独自の判断に基づき,住民に
対して一時避難を要請した区域。南相馬市
全域から,避難区域,屋内待避区域,計画
的避難区域,緊急時避難準備区域,特定避
難勧奨地点を除いた区域(丙A2・8頁)。
溢水原子力発電所の内部に水があふれること。
いつすい
津波等の外部事象による外部溢水と,原子
力発電所内の配管・弁の損傷等の内部事象
による内部溢水との総称(甲B132・3
8頁)。
溢水勉強会平成18年1月30日に保安院とJNES
が発足させた「溢水勉強会」。保安院とJN
ESで構成し,電気事業者(被告東電を含
む。),電事連,原子力技術協会及びメーカ
ーがオブザーバーで参加した。名称は,資
料により「溢水勉強会」,「内部溢水,外部
溢水勉強会」などとされている(甲B11,
乙B23〜29(枝番含む。))。
ウクライナウクライナ。1991年(平成3年)にソ
ビエト連邦から独立した国家。
延宝房総沖地震延宝5年10月9日(1677年11月4
日)の津波を引き起こした地震(甲B5の
2・21頁,甲B242の1・46頁)。
屋内待避区域政府が原災法に基づいて各地方公共団体の
長に対して住民の屋内退避を指示した区域
(丙A2・6頁)。
確率論的安全評価原子炉施設の異常や事故の発端となる事象
(起因事象)の発生頻度,発生した事象の
及ぼす影響を緩和する安全機能の喪失確率
及び発生した事象の進展・影響の度合いを
定量的に分析することにより,原子炉施設
の安全性を総合的・定量的に評価する方法。
PSA(ProbabilisticSafety
Assessment)とも(甲B1の1本文編40
9頁)。
韓国大韓民国。
帰還困難区域長期間,具体的には5年間を経過してもな
お年間積算線量が20mSvを下回らない
おそれのある,平成23年12月26日時
点における年間積算線量が50mSv超の
地域として指定された地域(丙C13)。
技術基準規則炉規法43条の3の14の委任に基づく「実
用発電用原子炉及びその附属施設の技術基
準に関する規則」(平成25年原子力規制委
員会規則第6号)(乙A18)。
技術基準適合命令経済産業大臣が,事業用電気工作物が省令
62号の技術基準に適合しないと認めると
きに,電気事業法(平成14年当時,平成
18年当時の規制権限との関係では,平成
11年法律第160号による改正後,平成
24年法律第47号による改正前のもの
(乙A4の2・3)。法令については,当時
施行されていた法令を指し,改正前である
旨の注記を省略することがある。)40条に
基づき,電気事業者に対し,その技術基準
に適合するように電気工作物を修理し,改
造し,若しくは移転し,若しくはその使用
を一時停止すべきことを命じ,又はその使
用を制限する行政処分。
基本設計原子炉施設を設置する上において基本とな
る設計。設置許可処分に当たっては,基本
設計に関する事項のみが審査対象となり,
詳細設計には審査が及ばない(最高裁平成
4年10月29日第一小法廷判決・民集4
6巻7号1174頁[伊方原発訴訟],最高
裁平成4年10月29日第一小法廷判決・
集民166号509頁[福島第二原発訴
訟],最高裁平成17年5月30日第一小法
廷判決・民集59巻4号671頁[もん
じゅ行政訴訟第二次上告審])。被告国のい
う「基本設計ないし基本的設計方針」(被告
国主張要旨10頁等)と同旨。
旧居住者その地を旧居住地としていた者。避難を継
続しているか,転居しているか,旧居住地
に帰還しているか,本件事故当時から引き
続き滞在しているかを問わない。
旧居住地原告ら(ここでは死亡原告を含み,承継原
告を除く。)が,平成23年3月11日の本
件事故当時において生活の本拠として居住
していた地。本件事故当時は一時的に他の
場所に滞在していたが,生活の本拠として
いた地を含む。平成23年3月11日より
後に出生した原告については,同原告が生
活の本拠として選択した地。多くの場合,
本件事故当時の住民票所在地と一致するが,
生活の本拠としての実態があれば,必ずし
も住民票所在地に限られない。
共用プール建屋福島第一原発1〜6号機の共用としてO.
P.+10m盤上に設けられた運用補助共
用施設。使用済み燃料共用プール,2・4
号機非常用ディーゼル発電機などが配置さ
れていた(甲B1の1資料編3〜4頁,乙
B119・8−2−3〜8−2−4頁)。
居住制限区域旧避難区域及び旧計画的避難区域のうち,
平成23年12月26日時点からの年間積
算線量が20mSvを超えるおそれがあり,
住民の被曝線量を低減する観点から引き続
き避難を継続することを求めるものとして
指定された地域(丙C13)。
緊急時避難準備区域原災法20条3項に基づき,居住者等に対
し,常に緊急時に避難のための立退き又は
屋内への退避が可能な準備を行うことを指
示した区域(丙C8)。
空間線量ある特定の場所における放射線量。例えば,
屋外の地上1m地点の空間線量は,大地に
由来する放射線,宇宙から降り注ぐ放射線,
周辺の建物などから放出される放射線(自
然放射線及び人工放射線)の総和である。
単位はμSv(マイクロシーベルト)など
(乙B172・46頁)。
空間線量率対象とする空間の単位時間当たりの放射線
量。単位はμSv/h(マイクロシーベル
ト毎時)など(乙B172・46頁)。
警戒区域原災法28条2項,災害対策基本法63条
1項に基づき,緊急事態応急対策に従事す
る者以外の者について,市町村長が一時的
な立入りを認める場合を除き,当該区域へ
の立入りを禁止し,又は当該区域からの退
去を命じた区域(丙C7)。
計画的避難区域原災法20条3項に基づき,居住者等に対
し,概ね1か月以内の計画的な避難を指示
した区域(丙C8)。
慶長三陸地震慶長16年10月28日(1611年12
月2日)の津波を引き起こした地震(甲B
5の2・21頁,甲B242の1・50
頁)。
原告ら別紙2原告目録記載の原告ら(取下原告を除
く。)。「原告ら」や「各原告」という場合,
特に断らない限り,承継原告を含み,死亡
原告を含まない。
原告ら主張要旨別紙8の2017(平成29)年3月21
日付け「争点一覧表に対応する原告らの主
張要旨」。
原告○○○○原告本人尋問の結果。参照のために速記録
又は反訳書の頁数を示すことがある。本件
訴訟では,原告35名につき本人尋問を
行った。
原災法原子力災害対策特別措置法(平成11年法
律第156号。本件事故に関するものは,
平成24年法律第47号による改正前のも
の。)。
原災本部原災法(平成24年法律第47号による改
正前のもの)16条1項に基づき,平成2
3年3月11日内閣府に設置された,「平成
23年(2011年)福島第一及び第二原
子力発電所事故に係る原子力災害対策本
部」(平成23年内閣府告示第8号)。原災
本部長は内閣総理大臣をもって充てる(原
災法17条1項)(甲B1の1本文編54
頁)。
原状回復請求請求の趣旨第1項に係る請求。第2項の損
害賠償請求を含まない。
原子力安全委員会原子力基本法(平成24年法律第47号に
よる改正前のもの)4条,原子力委員会及
び原子力安全委員会設置法(昭和30年法
律第188号。平成24年法律第47号に
よる改正・題名変更前のもの)1条に基づ
き,内閣府に(平成13年法律第102号
による改正前は総理府に)設置されていた,
原子力安全委員会。昭和53年10月4日
に原子力委員会から独立し,原子力の研究,
開発及び利用に関する事項のうち,安全の
確保に関する事項について企画し,審議し,
及び決定する任務を有し(原子力基本法5
条),原子力利用に関する政策のうち,安全
の確保のための規制に関する政策に関する
こと等を所掌していた(原子力委員会及び
原子力安全委員会設置法13条)。平成24
年9月19日をもって廃止され,原子力規
制委員会に統合された。
原子力基本法原子力基本法(昭和30年法律第186号。
平成14年当時の被告国の規制権限との関
係では,平成16年法律第155号による
改正前のもの(乙A1の1),平成18年当
時の被告国の規制権限との関係では,平成
24年法律第47号による改正前のもの
(乙A1の2)。)。
原子炉建屋原子炉格納容器等が設置されている建屋。
福島第一原発1〜4号機にはそれぞれ原子
炉建屋がO.P.+10mの地盤上に存在
した(甲B1の1資料編3〜4頁)。
県南地域福島県白河市,西郷村,泉崎村,中島村,
矢吹町,棚倉町,矢祭町,塙町,鮫川村の
1市4町4村。中間指針(追補を含む。)で
は賠償の対象とされていないが,自主賠償
基準により賠償の対象とされている(丙C
22,24,25)。
原賠審原賠法18条1項に基づき文部科学省に設
置された,原子力損害賠償紛争審査会。
原賠法原子力損害の賠償に関する法律(昭和36
年法律第147号。本件事故に適用される
ものは,平成24年法律第47号による改
正後,平成26年法律第134号による改
正前のもの)。
高校高等学校。
交流電源交流(一定時間ごとに流れる方向が変わる
電流)を供給する電源。福島第一原発にお
いては,通常運転時は発電機自身から(内
部電源),停止時は隣接号機や送電線から
(外部電源),これらの供給が停止した非常
時には非常用ディーゼル発電機(非常用電
源)からの交流電源供給が想定されていた
(丙B41の2参考5・15頁)。
甲A1甲A第1号証。書証番号の付け方は,原告
ら提出書証を甲号証,被告国提出書証を乙
号証,被告東電提出書証を丙号証とし,立
証趣旨により以下の符号を付すこととした。
A号証法令,指針,それらの解釈につい
ての証拠。
B号証被告らの責任原因についての証拠
(損害との因果関係に関する証拠や,原状
回復請求の適法性に関する証拠も含む。)。
C号証損害総論(損害に関して,原告ら
に共通する証拠)
H号証原告らがHの原告番号を付した原
告ら(各訴状提出時点で避難していた原告
ら)の損害各論に関する証拠。枝番は原告
番号に対応する。
T号証原告らがTの原告番号を付した原
告ら(各訴状提出時点で避難していなかっ
た原告ら。避難経験の有無とは必ずしも連
動しない。)の損害各論に関する証拠。枝番
は原告番号に対応する。
枝番については,初めから枝番として提出
された証拠は「甲B1の1・2」のように
表記し,後から枝番の書証が追加されたも
のは,「甲T1の1」,「甲T1の1の2」の
ように表記し,「甲T1の1の1」のような
枝番の変更はしなかった。
国賠法国家賠償法(昭和22年法律第125号)。
国会事故調東京電力福島原子力発電所事故調査委員会
法(平成23年法律第112号)に基づい
て国会に設置された「東京電力福島原子力
発電所事故調査委員会」,又は,同委員会が
平成24年7月5日作成した「国会事故調
報告書」(甲B4)。
子供対象期間において満18歳以下であった期間
がある者(丙A7・11頁,丙C21〜2
5)。胎児を含まない。中間指針第一次追補
の表記(丙A3・6頁)に従い,全部漢字
表記とした。「東京電力原子力事故により被
災した子どもをはじめとする住民等の生活
を守り支えるための被災者の生活支援等に
関する施策の推進に関する法律」(平成24
年法律第48号)にいう「子ども」の範囲
(同法2条5項により胎児を含む。)とは必
ずしも一致しない。別紙6認容金額目録の
「子供・妊婦」欄では,平成23年3月1
1日から本件口頭弁論終結時までに満18
歳以下の期間があった者(平成4年3月1
2日以降に出生した者)に「○」を,平成
23年3月11日から平成29年3月10
日現在までに妊娠期間があった者に「●」
を,両者に該当する者に「◎」を記載して
いる。
佐竹調書千葉地方裁判所の平成27年10月5日第
10回口頭弁論及び同年11月13日第1
1回口頭弁論における証人佐竹健治の証人
調書。第10回弁論のもの(乙B154)
を「佐竹調書 廖ぢ茖隠渦麒柤世里發痢焚
B156)を「佐竹調書◆廚箸掘せ仮箸
ために速記録の頁数を付す。
佐竹論文平成21年4月に(丙B41の1・21頁)
「活断層・古地震研究報告」に発表された,
佐竹健治,行谷佑一,山木滋「石巻・仙台
平野における869年貞観津波の数値シ
ミュレーション」(甲B14の5)。
自主的避難避難指示等対象区域以外の区域からの,本
件事故に基づく放射線被曝を回避するため
の避難。日常用語における「自主的」の
ニュアンスを含まず,また,避難の必要性,
合理性,本件事故との相当因果関係といっ
た評価を含まない。本判決の定義では,自
主的避難等対象区域以外の区域からの避難
を含み,避難指示等対象区域からの避難指
示発令前の避難,屋内退避区域,緊急時避
難準備区域,特定避難勧奨地点からの避難,
避難指示等解除後の避難継続,専ら本件地
震・本件津波による避難,放射線被曝回避
目的以外の転出,帰還を前提としない移住
を含まないが,自主的避難者を扱った統計
ごとに,その範囲には差がある(丙A3・
1〜2頁)。
自主的避難等対象区域中間指針第一次追補において指定された,
福島県の23市町村(福島市,二本松市,
伊達市,本宮市,桑折町,国見町,川俣町,
大玉村,郡山市,須賀川市,田村市,鏡石
町,天栄村,石川町,玉川村,平田村,浅
川町,古殿町,三春町,小野町,相馬市,
新地町,いわき市)のうち,避難指示等対
象区域を除く区域(丙A3・2頁)。
自主賠償基準被告東電が定めた賠償基準。精神的損害に
関するものに限る。中間指針(追補を含
む。)の範囲内のもの,中間指針(追補を含
む。)を超えるものの双方を含む(丙C14
〜25,67,88,144)。被告東電の
いう「東電公表賠償額」(被告東電主張要旨
35頁等)と同旨。
地震本部地震防災対策特別措置法(平成7年法律第
111号)に基づき,文部科学省(平成1
1年法律102号による改正前は総理府)
に設置された,地震調査研究推進本部(甲
B5の1)。又は,そのうち,「長期評価」
を作成した地震調査研究推進本部地震調査
委員会や,「長期評価」作成に当たってのの
議論を行った地震調査研究推進本部地震調
査委員会長期評価部会海溝型分科会を指し
て「地震本部」と呼ぶことがある。
実効線量特定の部位への被曝による影響を,全身へ
の平均的な影響として表すために,等価線
量を組織や臓器別の組織加重係数で補正
(重み付け)した値。単位はSv(シーベ
ルト)(乙B172・35〜41頁)。
実用炉規則実用発電用原子炉の設置,運転等に関する
規則(昭和53年通商産業省令第77号。
本件事故当時のものは,平成23年経済産
業省令第11号による改正前のもの)。
シビアアクシデント設計基準事象を大幅に超える事象であって,
安全設計の評価上想定された手段では適切
な炉心の冷却又は反応度の制御ができない
状態であり,その結果,炉心の重大な損傷
に至る事象(甲B1の1本文編407〜4
08頁,甲B4・94,545頁,甲B7
6・6頁,甲B81・2頁,甲B149・
207頁)。
死亡原告訴え提起当初の原告が死亡し,承継原告が
訴訟を承継している場合における,死亡し
た当初原告。訴訟委任状作成後,訴え提起
前に死亡した亡H−375,亡T−137
0を含む(最高裁昭和51年3月15日第
二小法廷判決・集民117号181頁)。原
則として「原告ら」に含まない。ただし,
「原告らの旧居住地」と言った場合,死亡
原告の旧居住地を含み,承継原告の旧居住
地を含まない。
島崎調書千葉地方裁判所の平成27年7月10日第
8回口頭弁論及び同年8月25日第9回口
頭弁論における証人島邦彦の証人調書。
証人調書には「島」とあるが(甲B31
1,312),証人自身の署名(甲B314,
315。甲B354では「島」)や論文著
者名の表記(甲B7)に従って「島崎」と
表記する。第8回弁論のもの(甲B31
1)を「島崎調書 廖ぢ茖慌麒柤世里發
(甲B312)を「島崎調書◆廚箸掘せ
照のために速記録の頁数を付す。
収束宣言原災本部が,平成23年12月16日,福
島第一原発の原子炉は「冷温停止状態」に
達し,「放射性物質の放出が管理され,放射
線量が大幅に抑えられている」という「ス
テップ2」の目標達成と完了を確認し,本
件事故そのものは収束に至ったと判断した
こと(丙C12)。
貞観地震貞観11年5月26日(869年7月13
じようがんじようがん
日)に東北地方を襲った津波を引き起こし
た地震(甲B12の1)。
承継原告訴え提起当初の原告が死亡し,その訴訟を
承継した原告。訴訟委任状作成後,訴え提
起前に死亡した亡H−375,亡T−13
70の承継人を含む。
証人成平成27年1月20日第10回口頭弁論及
ソン
び同年3月24日第11回口頭弁論におけ
る証人成元哲の証言。第10回弁論にお
ソンウォンチヨル
ける証言を「証人成 廖ぢ茖隠渦麒柤世砲
ける証言を「証人成◆廚箸掘せ仮箸里燭
に速記録の頁数を示す。
証人舘野平成27年1月20日第10回口頭弁論及
たての
び同年3月24日第11回口頭弁論におけ
る証人舘野淳の証言。第10回弁論におけ
たてのじゆん
る証言(甲B277,平成27年3月13
日付け原告ら上申書(平成27年1月20
日実施舘野淳証人尋問調書の誤記訂正)に
訂正あり。)を「証人舘野 廖ぢ茖隠渦麒
論における証言(甲B279に訂正あり。)
を「証人舘野◆廚箸掘せ仮箸里燭瓩紡記
録の頁数を示すことがある。
証人都司平成27年5月19日第12回口頭弁論及
つじ
び同年7月21日第13回口頭弁論におけ
る証人都司嘉宣の証言。第12回弁論にお
つじよしのぶ
ける証言を「証人都司 廖ぢ茖隠害麒柤世
おける証言を「証人都司◆廚箸掘せ仮箸
ために速記録の頁数を示すことがある。
証人中谷内平成27年9月30日第14回口頭弁論に
なかやち
おける証人中谷内一也の証言(平成27年
なかやちかずや
11月17日第15回口頭弁論調書に訂正
あり)。参照のために速記録の頁数を示すこ
とがある。
省令62号発電用原子力設備に関する技術基準を定め
る省令(昭和40年通商産業省令第62号。
平成14年当時の規制権限との関係では,
平成15年経済産業省令第102号による
改正前のもの(乙A5の1)。平成18年当
時の規制権限との関係では,平成20年経
済産業省令第12号による改正前のもの
(乙A5の2)。)。平成25年6月28日に
は技術基準規則(乙A18)が制定され,
実用発電用原子炉に適用すべき技術基準の
内容は同規則に引き継がれたが,省令62
号自体は廃止されていない。
昭和39年原子炉立地審査指針福島第一原発1〜4号機の設置許可当時,
原子力委員会における安全審査の指針とさ
れていた「原子炉立地審査指針」と「原子
炉立地審査指針を適用する際に必要な暫定
的判断のめやす」を合わせた「原子炉立地
審査指針およびその適用に関する判断のめ
やすについて」(昭和39年5月27日原子
力委員会決定)(乙A13)。その後,平成
元年3月27日に一部改訂があった(乙A
6)が,本件事故当時まで,大きな変更は
なかった。
除染関係ガイドライン環境省が策定した「除染関係ガイドライン
(平成25年5月第2版)」(甲B90の1
〜5)。「第1編汚染状況重点調査地域内
における環境の汚染状況の調査測定方法」
(甲B90の2),「第2編土壌等の除染
等の措置」(甲B90の3),「第3編除去
土壌の収集・運搬」(甲B90の4),「第4
編除去土壌の保管」(甲B90の5)の4
編からなる。
除染特措法「平成二十三年三月十一日に発生した東北
地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事
故により放出された放射性物質による環境
の汚染への対処に関する特別措置法」(平成
23年法律第110号)。
浸水深地盤から津波痕跡までの高さ。例えば,地
盤の高さがO.P.+10m,浸水高がO.
P.+12mだとすると,浸水深は2mと
なる(甲B242の1・24頁)。
浸水高津波によって建物や設備に残された変色部
や漂着物等の痕跡の,基準面(本件ではO.
P.)からの高さ(甲B242の1・23〜
24頁)。
水密化水中に全体が没しても,水位が下がったあ
とすぐに運転可能な仕様にすること(甲B
4・86頁)。
スリーマイルアイランド原発事故1979年(昭和54年)3月28日,米
国ペンシルバニア州のスリーマイルアイラ
ンド原子力発電所において発生した事故
(乙B123)。
政府事故調平成23年5月24日閣議決定に基づき設
置された「東京電力福島原子力発電所にお
ける事故調査・検証委員会」(甲B1の1資
料編200頁)。又は,同委員会が平成23
年12月26日作成した「政府事故調中
間報告書」(甲B1の1)及び平成24年7
月23日作成した「政府事故調最終報告
書」(甲B1の2)の一方若しくは双方を指
す。
設計基準事象原子炉施設を異常な状態に導く可能性のあ
る事象のうち,原子炉施設の安全設計とそ
の評価に当たって考慮すべきものとされた
事象(甲B76・6頁,甲B81・2頁)。
平成14年当時の設置許可基準であった
「発電用軽水型原子炉施設の安全評価に関
する審査指針」(平成2年8月30日原子力
安全委員会決定。平成13年3月29日一
部改訂。乙A10)における「設計基準事
象」の定義は,内部事象に起因して原子炉
施設内で発生する「運転時の異常な過渡変
化」及び「事故」のうち,原子炉施設の安
全設計とその評価に当たって考慮すべきも
のとして抽出されたものをいい,自然現象
や外部からの人為事象を含まない概念とさ
れていた(乙A10・8頁)。
設置許可基準規則炉規法43条の3の6第1項4号の委任に
基づく「実用発電用原子炉及びその附属施
設の位置,構造及び設備の基準に関する規
則」(平成25年原子力規制委員会規則第5
号)(乙A17)。
線量限度告示炉規法,実用炉規則の委任に基づき経済産
業省が定めた「実用発電用原子炉の設置,
運転等に関する規則の規定に基づく線量限
度等を定める告示」(平成13年経済産業省
告示第187号。本件事故当時のものは,
平成25年原子力規制委員会告示第10号
による改正前のもの)。平成27年原子力規
制委員会告示第8号により廃止され,現在
では,実用炉規則の委任を受けた「核原料
物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する
規則等の規定に基づく線量限度等を定める
告示」(原子力規制委員会告示第8号)が同
様の基準を定めている。
訴状特に断らない限り,平成25年(ワ)第3
8号事件訴状を指す。特に断らない限り,
準備書面(訴状,答弁書を含む。)の記載が
後の準備書面や口頭弁論調書により訂正さ
れている場合,準備書面を引用したときは
訂正後のものとして引用したものとする。
遡上高津波による浸水の最先端が達した地盤の最
も高い位置に到達した箇所の高さ(甲B2
42の1・24頁)。
タービン建屋タービン,発電機,主復水器等が設置され
ている建屋。福島第一原発1〜4号機にお
いては,4機の原子炉に対応してそれぞれ
1棟ずつのタービン建屋が,O.P.+1
0mの地盤上に設置されている(甲B1の
1資料編3〜4頁)。
タービン建屋等1〜4号機非常用ディーゼル発電機及び附
属施設が設置されていた1〜4号機各ター
ビン建屋,2号機B系,4号機B系の空冷
式非常用ディーゼル発電機及び附属設備が
設置されていた共用プール建屋,1号機C,
D系の非常用低圧配電盤が設置されていた
1号機コントロール建屋の総称。
耐震バックチェック保安院が,平成18年9月20日,被告東
電を含む原子力事業者に対して指示した,
改訂された平成18年耐震設計審査指針に
照らした既設発電用原子炉施設等の安全性
評価(丙B42)。
チェルノブイリ原発事故1986年(昭和61年)4月26日,ソ
ビエト連邦のチェルノブイリ原子力発電所
において発生した事故(甲B204の1・
2,乙B64)。
中央防災会議災害対策基本法(昭和36年法律第223
号)11条1項に基づき内閣府に設置され
た,中央防災会議。又は,そのうち,平成
18年1月25日付け「日本海溝・千島海
溝周辺海溝型地震に関する専門調査会報
告」(乙B16,乙B16の2)を作成した
「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関
する専門調査会」(乙B16・4頁,乙B1
6の2・81頁)を指して「中央防災会
議」と呼ぶことがある。
中間指針原賠審が平成23年8月5日付けで作成し
た「東京電力株式会社福島第一,第二原子
力発電所事故による原子力損害の範囲の判
定等に関する中間指針」(丙A2)。
中間指針第一次追補原賠審が平成23年12月6日付けで作成
した「東京電力株式会社福島第一,第二原
子力発電所事故による原子力損害の範囲の
判定等に関する中間指針追補(自主的避難
等に係る損害について)」(丙A3)。
中間指針第二次追補原賠審が平成24年3月16日付けで作成
した「東京電力株式会社福島第一,第二原
子力発電所事故による原子力損害の範囲の
判定等に関する中間指針第二次追補(政府
による避難区域等の見直し等に係る損害に
ついて)」(丙A4)。
中間指針第四次追補原賠審が平成25年12月26日付けで作
成した「東京電力株式会社福島第一,第二
原子力発電所事故による原子力損害の範囲
の判定等に関する中間指針第四次追補(避
難指示の長期化等に係る損害について)」
(甲B159,丙A5)。平成28年1月2
8日,平成29年1月31日にそれぞれ住
宅確保損害に関する部分が一部改定されて
いるが,精神的損害に関する部分には変更
がないため,本判決では改定前のものを用
いる。
中間指針等中間指針,中間指針第一次追補,中間指針
第二次追補,中間指針第四次追補及び自主
賠償基準を総称したもの。本判決の定義で
は,精神的損害の賠償基準を含まない平成
25年1月30日付け「東京電力株式会社
福島第一,第二原子力発電所事故による原
子力損害の範囲の判定等に関する中間指針
第三次追補(農林漁業・食品産業の風評被
害に係る損害について)」を含まない。
中間指針等による賠償額中間指針等が定める精神的損害の賠償額。
中間指針等の定める額は目安であって,個
別事情による増減が許容されているもので
あるが,本判決では,その目安の額をもっ
て「中間指針等による賠償額」と定義する。
中国中華人民共和国。原告T−1114,原告
T−1117,原告T−1458の本国法
はいずれも中華人民共和国法と認められる
ので,本判決では,専ら中華人民共和国の
略称として使用する。
長期評価地震本部地震調査委員会が平成14年7月
31日作成した「三陸沖から房総沖にかけ
ての地震活動の長期評価について」(甲B5
の2)。平成14年,15年,17年に一部
訂正があった(甲B5の2・1頁)ほか,
平成21年3月9日にも一部改訂が行われ
ている(甲B362,丙B50)。なお,平
成23年11月25日には「三陸沖から房
総沖にかけての地震活動の長期評価につい
て(第二版)」(乙B10)に改訂されてい
るが,本判決でいう「長期評価」に含まな
い。
直流電源直流(常時同じ方向に流れる電流)を供給
する電源。1〜4号機には,直流電源とし
てバッテリー(蓄電池)が設置されていた
(甲B4・139頁,丙B41の2参考
5・19頁)。
津波地震Mtの値がMの値に比べ0.5以上大きい
か,津波による顕著な災害が記録されてい
るにもかかわらず顕著な震害が記録されて
いない地震(甲B5の2・3頁)。
津波の高さ平常潮位から測定した,津波によって海面
が上昇した高さ。津波による水位上昇
(山)と下降(谷)との差(全振幅)を
「波高」と呼ぶ例もある(甲B22・1
頁)が,本判決では,水位上昇(山)と平
常潮位との差(半振幅)として定義し,必
ずしも検潮所や波高計で計測されたものに
限定せずに用いる(甲B22・1頁,甲B
242の1・23頁,甲B242の1・2
3頁)。
津波評価技術土木学会原子力土木委員会津波評価部会が
平成14年2月に作成した「原子力発電所
の津波評価技術」(甲B6の1〜3)。なお,
土木学会原子力土木委員会津波評価小委員
会により,平成28年9月に「原子力発
電所の津波評価技術2016」(甲B3
95,401,乙B184)に改訂され
ているが,本判決でいう「津波評価技
術」に含まない。
電気事業法電気事業法(昭和39年法律第170号。
平成14年当時の規制権限との関係では,
平成14年法律第65号による改正前のも
の(乙A4の1)。平成18年当時の規制権
限との関係では,平成18年法律第50号
による改正前のもの(乙A4の2)。)。
電事連被告東電を含む電力会社で構成される任意
団体である,電気事業連合会。
等価線量吸収線量を,放射線の種類やエネルギー別
の放射線加重係数で補正(重み付け)した
値。単位はSv(シーベルト)(甲B4・3
34,545頁,乙B172・35頁)。
東電事故調被告東電に設置された福島原子力事故調査
委員会,又は,同委員会が平成24年6月
20日作成した「福島原子力事故調査報告
書」(丙B41の1・2)。
東電設計東電設計株式会社。被告東電の子会社であ
り,「平成20年試算」を実施した(甲B3
02・3頁)。
特定避難勧奨地点本件事故発生後1年間の積算線量が20
mSvを超えると推定される特定の地点で
あり,住居単位で指定され,その住民に対
して注意喚起,自主的な避難の支援・促進
を行うこととされた地点(丙C10)。
独立性2つ以上の系統又は機器が設計上考慮する
環境条件及び運転条件において,共通要因
又は従属要因によって,同時にその機能が
阻害されないこと(乙A7・3頁)。原告ら
主張要旨14頁では,「多重性」,「多様性」
及び「独立性」をまとめて「独立性」とも
いう,とあるが,本判決でいう「独立性」
には,「多重性」,「多様性」を含まない。
土木学会土木工学に関する民間の学会である社団法
人土木学会(平成23年4月1日から公益
社団法人土木学会)。又は,そのうち,「津
波評価技術」を作成した社団法人土木学会
原子力土木委員会津波評価部会(現・公益
社団法人土木学会原子力土木委員会津波評
価小委員会)を指して「土木学会」と呼ぶ
こともある(甲B1の1本文編375〜3
76頁,甲B6の1,甲B162,401,
乙B184)。
取下原告訴えを全部取り下げた原告。別紙2原告目
録の「取下げ等」欄に○印のある原告。特
に断らない限り,「原告ら」,「各原告」に含
まない。
内部溢水広義では,原子力発電所起源の水漏れ(甲
B132・38頁)。狭義では,そのうち,
床ドレン排水系で処理できる程度の「漏
水」を上回る,又は上回ると予想される可
能性のある水漏れ(甲B132・14,2
5,38頁)。
中通り検証の結果平成28年6月28日に実施した,福島市
内の原告H−82の現居住地である仮設住
宅,原告T−3166が勤務していたさく
ら保育園,原告T−622の自宅及び果樹
園の検証の結果。
妊婦対象期間において妊娠していた期間がある
者(丙A7・11頁,丙C21〜25)。別
紙6認容金額目録の「子供・妊婦」欄では,
平成23年3月11日から本件口頭弁論終
結時までに満18歳以下の期間があった者
(平成4年3月12日以降に出生した者)
に「○」を,平成23年3月11日から平
成29年3月10日現在までに妊娠期間が
あった者に「●」を,両者に該当する者に
「◎」を記載している。
波源域津波の原因となる海底の隆起や沈降を起こ
した領域。地震の震源(最初に断層のずれ
が始まった点)よりは広く,震源域(断層
のずれが生じた範囲)とは概ね一致するが,
より広くなることもあり得る。
波源モデル津波の原因となる地震の断層運動を数値で
表現したモデル。断層長さ(L),断層幅
(W),すべり量(D)等で表される。「断
層モデル」とも呼ばれる(甲B6の2・1
−59頁,甲B6の3・2−5頁,乙B1
1)。
バックチェック新たな安全基準が作成された際に,それ以
前に作られた原子炉について,新基準に照
らし合わせて調査し直すこと(甲B4・5
45頁)。平成18年耐震設計審査指針が作
成された際に行われたのが「耐震バック
チェック」(丙B42)である。
バックフィット既設原子炉にも最新基準への適合を義務付
ける制度(甲B4・546頁)。平成24年
法律第47号による改正後の炉規法43条
の3の23は設置許可基準を既設原子炉に
バックフィットさせているが,同改正前の
炉規法,電気事業法においては,バック
フィットは採用されていなかった。
浜通り検証の結果平成28年3月17日に実施した,浪江町,
富岡町の居住制限区域,双葉町の帰還困難
区域の原告H−82,原告H−88,原告
H−18の各旧居住地自宅検証の結果。
パラメータスタディ想定津波の不確定性を設計津波水位に反映
させるため,基準断層モデル(波源モデ
ル)の諸条件を合理的と考えられる範囲内
で変化させた数値計算を多数実施すること
(甲B6の2・1−14頁)。
比較沈み込み学プレートの沈み込み方と地震の起こり方と
に相関があると考える理論(乙B35,1
51,乙B154・44〜45頁)。
被告国主張要旨別紙9の平成29年3月16日付け「争点
一覧表に対応する被告国の主張要旨」。
被告東電被告東京電力ホールディングス株式会社。
平成28年4月1日変更前の商号は「東京
電力株式会社」。炉規法上の許可を受けて福
島第一原発の設置,運転等を行ってきた者
として,本件事故に関し,原賠法上の「原
子力事業者」に該当する。
被告東電主張要旨別紙10の平成29年3月17日付け「被
告東京電力準備書面(40)(争点一覧表に
ついての被告東京電力の主張の要旨)」。
非常用電源設備外部電源が喪失した場合でも,原子炉を安
全に停止するために必要な電力を供給する
電源設備(平成14年当時の省令62号2
条6号ニ,8条の2,33条2項。平成1
8年当時の省令62号2条8号ホ,8条の
2,33条2項,4項。乙A5の1・2)。
福島第一原発1〜4号機には,それぞれ非
常用ディーゼル発電機,高圧配電盤,低圧
配電盤が2系統ずつ設置され,2号機B系,
4号機B系は空冷式であったが,他の6系
統は水冷式であり,水冷式非常用ディーゼ
ル発電機にはそれぞれ非常用ディーゼル発
電設備冷却系海水ポンプが設置されていた。
平成13年安全設計審査指針においては
「非常用所内電源系」はバッテリーを含む
概念であったようであるが(乙A7・25
頁),本判決でいう「非常用電源設備」は,
バッテリー(平成14年当時の省令62号
33条3項,平成18年当時の省令62号
33条3項,5項。乙A5の1・2,乙A
16・79〜80頁)を含まない。
避難区域本件事故直後に,政府が原災法に基づいて
各地方公共団体の長に対して住民の避難を
指示した区域。本判決でいう「避難区域」
は,避難指示区域見直し後の帰還困難区域,
居住制限区域,避難指示解除準備区域を含
まない,事故当初の区域を指して使用する
(丙A2・6頁)。
避難指示解除準備区域旧避難区域及び旧計画的避難区域のうち,
年間積算線量20mSv以下となることが
確実であることが確認されて指定された地
域。
避難指示区域避難指示区域見直し後の,帰還困難区域,
居住制限区域,避難指示解除準備区域の総
称。避難指示区域見直し前の「避難区域」
や「避難指示等対象区域」とは区別して使
用する(丙A4・3頁)。
避難指示等対象区域中間指針第3に「対象区域」として掲げら
れている,“鯑餠莪茵き屋内退避区域,
7弉菘避難区域,ざ杁淹避難準備区域,
テ団衄鯑餞奨地点,Π貉避難要請区域
の総称。避難指示区域見直し後の「避難指
示区域」とは区別して使用する(丙A2・
6頁〜8頁)。
被曝放射性物質から放射線を受けること。人体
ひばく
の外部から受ける外部被曝と,人体内部の
放射性物質から受ける内部被曝とがある。
また,本件事故がなくても宇宙線,大地放
射線,自然放射性物質などから受ける自然
被曝,レントゲン撮影などから受ける医療
被曝,本件事故による放射性物質から受け
る追加被曝がある。本判決では,専門用語
として,引用部分を除き,表外字を用いて
「被曝」と表記する(乙B172・4,2
3〜28頁)。
フィリピンフィリピン共和国。
福島県沖海溝沿い領域日本海溝沿いの津波波源については,沖合
の日本海溝寄りの領域と陸寄りの領域に分
け,さらに陸寄りの領域をいくつかの波源
域に分けて考えられてきたところ,このう
ち福島県沖の領域のうち日本海溝沿いの部
分。大きな既往地震がなく,「津波評価技
術」等では波源域として想定されていな
かったが,「長期評価」では波源域として想
定されていた。
福島第一原発被告東電が設置した福島第一原子力発電所。
1〜4号機は福島県双葉郡大熊町に,5,
6号機は双葉郡双葉町に設置されている。
「1号機」,「原子炉建屋」,「非常用ディー
ゼル発電機」などという場合,特に断らな
い限り,福島第一原発のそれを指す。
福島第二原発被告東電が設置した福島第二原子力発電所。
福島県双葉郡楢葉町と富岡町にまたがって
位置する。1〜4号機が設置されている。
ふるさと喪失請求の趣旨第3項の損害賠償請求(弁護士
費用相当額部分を除く,2000万円の損
害賠償請求)の被侵害法益となる権利利益。
原告らは「ふるさと喪失」損害において被
侵害法益となる権利を「包括的生活利益と
しての人格権」であると整理している(原
告ら準備書面(被害総論17)8頁)が,
本判決においては,その呼称や原告らの主
張する考慮要素にかかわらず,請求の趣旨
第3項の損害賠償請求の被侵害法益となる
べき権利利益を「ふるさと喪失」(それによ
る損害を「ふるさと喪失」損害)と定義す
る。請求の趣旨第1項の原状回復請求の根
拠となる権利,第2項の平穏生活権侵害に
よる賠償の根拠となる権利利益と共通する
か否かを問わない。
平穏生活権請求の趣旨第2項の損害賠償請求(弁護士
費用相当額部分を除く,月額5万円の損害
賠償請求)の被侵害法益となる権利利益。
その呼称や原告らの主張する考慮要素にか
かわらず,請求の趣旨第2項の損害賠償請
求の被侵害法益となるべき権利利益を「平
穏生活権」と定義する。
米国アメリカ合衆国。
平成13年安全設計審査指針平成13年3月29日一部改訂後の「発電
用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査
指針」(平成2年8月30日原子力安全委員
会決定)(乙A7)。
平成18年耐震設計審査指針発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指
針(平成18年9月19日原子力安全委員
会決定)(乙A8の2)。「発電用原子炉施設
に関する耐震設計審査指針」(昭和56年7
月20日原子力安全委員会決定,平成13
年3月29日一部改訂)(乙A8の1)を全
面改訂したもの。
平成20年試算被告東電から委託を受けた東電設計が,平
成20年4月18日,「長期評価」の波源,
地震規模に基づいて,「津波評価技術」の手
法に従って福島第一原発に到来する津波の
高さを推計したシミュレーションである
「新潟県中越沖地震を踏まえた福島第一・
第二原子力発電所の津波評価委託第2回
打合せ資料資料2福島第一発電所
日本海溝寄りの想定津波の検討Rev.
1」(甲B348)。原告らのいう「200
8年推計」(原告ら主張要旨40頁等),被
告らのいう「2008年試算」(被告国主張
要旨27頁等,被告東電主張要旨31頁
等)。
平成24年法律第47号原子力規制委員会設置法(平成24年法律
第47号)。平成24年9月19日施行され
(一部の規定を除く。),多数の関連法令を
改正し,旧法による処分は新法による処分
とみなすなどとしている。
平成3年溢水事故平成3年10月30日に発生した,福島第
一原発1号機補機冷却水系海水配管から海
水が漏洩し,1号機原子炉の手動停止に
至った事故(甲B192〜194,乙B9
0)。
ポアソン過程その事象が当該期間内に発生する平均回数
のみに着目して,ポアソン分布という確率
分布に従って発生確率を計算する計算方法
(甲B5の2・5頁)。
保安院経済産業省設置法(平成24年法律第47
号による改正前のもの)20条に基づき,
経済産業省資源エネルギー庁の特別の機関
として設置されていた「原子力安全・保安
院」。平成24年9月19日に廃止され,原
子力規制委員会に統合された。
放射性物質放射線を発生する能力(放射能)を有する
物質(乙B172・1〜2頁)。
放射線電離作用を有する電離放射線(3000兆
Hzを超える周波数を持ち,生体組織の分
子・原子を電離,励起するようなエネルギ
ーを有する電磁波)をいい,電波,赤外線,
可視光線,紫外線等の非電離放射線(30
00兆Hz以下の周波数で,生体組織の分
子・原子を電離,励起するようなエネルギ
ーを持たない電磁波)を含まない。α線,
アルファ
β線等の荷電粒子線,中性子線等の非荷電
ベータ
粒子線,X線,γ線等の電磁波を総称し,
ガンマ
自然環境に存在する自然放射線を含む(乙
B172・14頁)。
放射能原子核が別の原子核に壊変し,放射線を出
す能力。単位はBq(乙B172・1〜3,
9頁)。
本件事故本件地震及び本件津波により福島第一原発
1〜4号機において発生した事故。本判決
においては,炉心溶融も水素爆発もなく,
放射性物質の大量放出につながっていない,
福島第一原発5,6号機の事故,福島第二
原発1〜4号機の事故を含まない。4号機
については,炉心溶融には至っていないが,
4号機原子炉建屋の水素爆発が放射性物質
の大量放出につながっているため,「本件事
故」に含める。平成23年3月11日の本
件地震,本件津波による全交流電源喪失か
ら,1〜3号機の炉心損傷,炉心溶融,1,
3,4号機の水素爆発,放射性物質の大量
放出に至るまでの幅のある概念であるが
(福島第一原発に生じた異常な状態という
意味では,現在に至るまで継続していると
もいえる。),遅延損害金起算日などの関係
では,平成23年3月11日に発生したも
のとして取り扱う。
本件地震平成23年3月11日午後2時46分に発
生した東北地方太平洋沖地震(余震を含ま
ない。)。M9.0,最大震度7(甲B1の1
本文編15頁)。
本件津波本件地震により発生した津波。
マイアミ論文被告東電の原子力技術・品質安全部が平成
18年7月に米国フロリダ州マイアミで開
催された第14回原子力工学国際会議(I
CONE−14)において発表した「日本
における確率論的津波ハザード解析の開
発」(甲B10の1・2)。
民訴法民事訴訟法(平成8年法律第109号)。
民法民法(明治29年法律第89号。平成29
年法律第44号(未施行)による改正前の
もの。)
明治三陸地震明治29年(1896年)6月15日の津
波を引き起こした地震(甲B5の2・21
頁,甲B242の1・45頁)
炉規法核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制
に関する法律(昭和32年法律第166号。
平成14年当時の規制権限との関係では,
平成14年法律第178号による改正前の
もの(乙A3の1)。平成18年当時の規制
権限との関係では,平成18年法律第50
号による改正前のもの(乙A3の2)。)。
炉心損傷原子炉炉心の冷却が不十分な状態の継続や,
炉心の異常な出力上昇により,炉心温度
(燃料温度)が上昇することによって,相
当量の燃料被覆管が損傷する状態。保安院
では,燃料が溶融する状態に至る「燃料ペ
レットの溶融」(炉心溶融),溶融物が炉心
下部に落下する「メルトダウン」とは異な
るものと定義していた(甲B1の1本文編
352頁,甲B1の2本文編280頁)。
炉心溶融原子炉の炉心の冷却が不十分な状態が続き,
あるいは炉心の異常な出力上昇により,燃
料が溶融する状態に至ること。保安院では,
「炉心溶融」に替えて「燃料ペレットの溶
融」という用語を使い,溶融物が重力で炉
心下部に落下する「メルトダウン」とは異
なるものと定義していた(甲B1の1本文
編352頁,甲B1の2本文編280頁,
甲B4・546頁)。
ADR原賠法18条2項1号に基づき原賠審の下
に設置された,原子力損害賠償紛争解決セ
ンター。又は,そこで行われる裁判外紛争
解決手続(AlternativeDispute
Resolution)としての和解仲介手続。
BPT分布BrownianPassageTime分布。更新過程(時
間の経過によって毎年変化する確率を計算
する方法)における確率分布の一つで,ブ
ラウン運動(溶媒中に浮遊する微粒子が不
規則に運動する現象)を説明する確率モデ
ル。津波地震(プレート境界の地震)は,
ランダムに発生する事象であることから,
その活動分布はBPT分布に従うと考えら
れている(甲B5の2・5頁,甲B330,
乙B144・18〜19頁)。
Bqベクレル。放射性物質が放射線を出す能力
(放射能)の単位。1秒間に崩壊する原子
核の数を表す(甲B4・334,546
頁)。
Bq/kgキログラム当たりベクレル。食品などの有
体物に含まれる放射能濃度の単位。
ICRP国際放射線防護委員会(International
CommissiononRadiologicalProtection)。
1928年に第2回国際放射線医学会議に
より「国際X線・ラジウム防護委員会(I
XRPC)」として設立され,1950年に
改称した。イギリスの独立公認慈善事業団
体として登録され,科学事務局はカナダの
オタワに設けられている。専門的科学的見
地から放射線防護に関する勧告等を行って
おり,法的拘束力はないが,世界各国の放
射線被曝の安全基準作成の際に尊重されて
いる(甲B39,374,375,乙B6
3,206,丙B8)。
JNES独立行政法人原子力安全基盤機構法(平成
14年法律第179号。平成25年法律第
82号による廃止前のもの)に基づき平成
15年10月1日設立された,独立行政法
人原子力安全基盤機構(JapanNuclear
EnergySafetyorganization)。平成26年
3月1日,原子力規制委員会に統合された。
Mマグニチュード(気象庁マグニチュード)。
地震のエネルギーからみた地震の規模を示
す。Mの値が1大きくなるとエネルギーは
約32倍に,2大きくなると1000倍に
なる関係にある(甲B5の2・3,9頁,
甲B6の2・1−18頁)。
mメートル。長さ(高さ,距離)の単位。
mSvミリシーベルト。1Svの1000分の1。
mSv/y年当たりミリシーベルト。線量率(単位時
間当たりの実効線量)の単位。mSv/y
で示す場合,特に断らない限り,自然被曝
を除外した追加被曝線量を示す。
Mt津波マグニチュード。津波の大きさからみ
た地震の規模を示す。津波の振幅(又は痕
跡高)及び観測点から震央までの距離から
求められる(甲B5の2・3,9頁,甲B
6の2・1−18〜1−19頁)。
Mwモーメントマグニチュード。地震のモーメ
ントの大きさからみた地震の規模を示す。
断層長さ,断層幅,すべり量及び震源断層
付近の媒質の剛性率から求められる(甲B
5の2・3,9頁,甲B6の2・1−18
頁)。
O.P.小名浜港工事基準面(OnahamaPeil)。小名
浜港の標準水位をもって福島第一原発の設
計津波水位の基準となる海水面を定めたも
の。東京湾平均海面(T.P.)の下方
0.727m(甲B242の1・24頁)。
Svシーベルト。放射線の種類や組織・臓器に
よる人体への影響の違いを考慮し,足し合
わせ可能にした放射線量の単位。等価線量,
実効線量,周辺線量当量,預託実効線量な
どの単位(甲B4・334,545頁)。
TBqテラベクレル。1Bqの1兆倍。
UNSCEAR1955年の国際連合総会で設置された,原
子放射線の影響に関する国連科学委員会
(UnitedNationsScientificCommitteeon
theEffectsofAtomicRadiation)(乙B254
の1・2,丙B17,52〜54)。
Vボルト。電圧の単位。
μSvマイクロシーベルト。1Svの100万分
の1であり,1mSvの1000分の1。
μSv/hマイクロシーベルト毎時。1時間に対象と
する空間が受ける空間放射線量。福島県に
よるモニタリング測定値はμGy/h(マ
イクログレイ毎時)であるが,これは
μSv/hとほぼ等しいため,μSv/h
として表記する(丙C71の1〜5,丙C
91)。μSv/hで表記する場合,特に断
らない限り,自然被曝(バックグラウン
ド)を含む測定値を示し,特に断らない限
り,地上1m地点での測定値を示す。
14別紙2原告目録の「事件番号」欄に「1
4」とあるのは,当庁平成26年(ワ)第
14号事件の原告であることを意味する。
165別紙2原告目録の「事件番号」欄に「16
5」とあるのは,当庁平成26年(ワ)第
165号事件の原告であることを意味する。
166号別紙2原告目録の「166号」欄は,当庁
平成26年(ワ)第166号事件で「ふる
さと喪失」損害の賠償を請求していること
を意味する。
175別紙2原告目録の「事件番号」欄に「17
5」とあるのは,当庁平成25年(ワ)第
175号事件の原告であることを意味する。
1990年勧告ICRPが平成2年(1990年)11月
に主委員会で採択した「国際放射線防護委
員会の1990年勧告」(ICRP
Publicatgion60)(乙B63)。
2007年勧告ICRPが平成19年(2007年)に発
表した「国際放射線防護委員会の2007
年勧告」(ICRPPublicatgion3)(甲B3
9,乙B206,丙B8)。
2013年福島報告書UNSCEARが平成25年(2013年)
10月25日第68回国際連合総会第4委
員会において報告した第60回年次会合活
動報告の基盤とした,科学的附属書A「2
011年東日本大震災後の原子力事故によ
る放射線被ばくのレベルと影響」(丙B5
3)。
2015年報告書UNSCEARが平成27年10月頃に発
表した「東日本大震災後の原子力事故によ
る放射線被ばくのレベルと影響に関するU
NSCEAR2013年報告書刊行後の進
展」(丙B54)。
2016年報告書UNSCEARが平成28年に発表した
「東日本大震災後の原子力事故による放射
線被ばくのレベルと影響に関するUNSC
EAR2013年報告書刊行後の進展国
連科学委員会による今後の作業計画を指し
示す2016年白書」(乙B254の1・
2)。
38別紙2原告目録の「事件番号」欄に「3
8」とあるのは,当庁平成25年(ワ)第
38号事件の原告であることを意味する。
4省庁報告書農林水産省,水産庁,運輸省,建設省の4
省庁が平成9年3月に作成した「太平洋沿
岸部地震津波防災計画手法調査報告書」(甲
B115の1・2)。
7省庁手引き国土庁,農林水産省,水産庁,運輸省,気
象庁,建設省,消防庁の7省庁が平成9年
3月に作成した「地域防災計画における津
波対策強化の手引き」(甲B21)。
94号別紙2原告目録の「94号」欄は,当庁平
成25年(ワ)第94号事件で「ふるさと
喪失」損害の賠償を請求していることを意
味する。
以上
別紙8争点一覧表に対応する原告らの主張要旨
別紙9争点一覧表に対応する被告国の主張要旨
別紙10被告東京電力準備書面(40)(争点一覧表についての被告東京電力の主
張の要旨)
は別冊3のとおり。

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