報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

3億8000万円強奪事件で暴力団組員ら2被告に有罪 福岡地裁

 福岡市中央区天神で2017年4月、金塊買い付け資金3億8400万円を奪ったとして、強盗傷害などの罪に問われた暴力団組員の小菅誠(42)と、とび職の石原秀夫(53)両被告=いずれも東京都台東区=の裁判員裁判の判決公判が24日、福岡地裁であった。足立勉裁判長は小菅被告に求刑通り懲役16年、石原被告に懲役11年(求刑・懲役13年)を言い渡した。
 判決では、小菅被告が事件を計画立案し、実行役側に金塊取引情報を伝達したと認定。足立裁判長は「事件の主導的な役割を果たした」と批判した。石原被告は「事件の計画段階から関わり、奪った現金の受け取りや運搬などをした」と指摘した。公判で、両被告の弁護側は「事件には関与していない」などと無罪を主張していた。
 この事件では小菅、石原両被告を含む10人が同罪などで起訴されており、全員が1審で6〜16年の実刑判決を受けたことになる。【宗岡敬介】
(2019年5月24日 18時39分(最終更新 5月24日 18時39分) 毎日新聞)

天神3.8億円強盗計画役に懲役16年 10人全員実刑に 福岡地裁判決

 福岡市・天神で2017年、貴金属店勤務の男性から金塊買い付け資金約3億8千万円を奪ったとして、強盗致傷などの罪に問われた暴力団組員小菅誠被告(42)と元暴力団組員石原秀夫被告(53)の裁判員裁判で、福岡地裁は24日、小菅被告に求刑通り懲役16年、石原被告に懲役11年(求刑懲役13年)の判決を言い渡した。
 同事件では10人が起訴され、今回の判決で被告10人の一審判決が出そろった。全員が実刑判決。
 公判で小菅、石原両被告は「共謀もなく事件に関わっていない」と無罪を主張していた。
 足立勉裁判長は、両被告が関与したという共犯者東房義昭受刑者(45)=懲役12年が確定=の証言は「通話履歴などと整合しており信用できる」と判断。小菅被告は犯行を立案し金塊取引状況を伝えるなど主導的役割を果たし、石原被告は荷物の運搬などに加担したと認定した上で、「巨額の現金を白昼の繁華街で強奪しており大胆で悪質。社会に与えた衝撃は大きい」と述べた。
 判決によると、両被告は東房受刑者らと共謀し、17年4月、同市中央区天神の駐車場で男性に催涙スプレーを吹き掛け、金塊買い付け資金が入ったスーツケースを奪うなどした。
(2019/5/25 6:00 西日本新聞)

PDF

平成29(わ)1243  強盗致傷,強盗予備
令和元年5月24日  福岡地方裁判所
主文
被告人Aを懲役11年に,被告人Bを懲役16年に処する。
未決勾留日数中,被告人Aに対しては370日を,被告人Bに対しては30
0日をそれぞれその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人A及び同Bは,現金を強取しようと考え,C,D,E,F,G,H,I及
びJと共謀の上,平成29年4月20日午後零時25分頃,福岡市a区bc丁目d
番eパーキングにおいて,K(当時29歳)に対し,その顔面に催涙スプレーを噴
射する暴行を加えて,その反抗を抑圧し,同人管理の現金3億8400万円在中の
スーツケース1個(時価約1万円相当)を強取し,その際,前記暴行により,同人
に約5日間の治療を要する刺激物質性接触皮膚炎及び化学物質性急性気管炎の傷害
を負わせた。
(事実認定及び罪数判断の補足説明)
1本件の争点は,被告人両名と共犯者らとの間の強盗の共謀の有無であるところ,
被告人両名が本件犯行に関与した旨を述べるCの証言は,ヾ愀玄坿屬猟模値歴
や防犯カメラ映像,共犯者の供述等の関係証拠とよく整合し,∩澗療に具体的
かつ自然で内容に破綻がない上,Cが捜査段階から一貫して被告人両名の関与
を供述しており,ごに刑が確定しているCには被告人両名を殊更罪に陥れる動
機もないことからすれば,十分に信用できる。
上記,療世砲弔い栃簑すると,統合捜査報告書によれば,Cが被告人Bから
本件犯行計画を持ちかけられたと述べる平成29年3月以降,被告人BとCの間
の通話の回数及び時間が,同年一,二月の通話の回数・時間から格段に増加し,
同年4月には,上記両名の間のほか,Cと被告人A,CとDの間の通話の回数・
時間もそれ以前と比べ大幅に増加している。
そして,Cは,当日の金地金の取引量や取引金額(被害者が所持している現金
の額)を前日の夕方から当日の朝にかけて被告人Bから聞き,Dに伝達していた,
被告人BはLからその情報を入手していたと証言するところ,後記3のとおり,
本件犯行の実行グループが被害者を待ち伏せるなどして強盗の機会をうかがった
同年4月14日の朝,同グループが再び被害者を待ち伏せるなどした同月19日
の前日に当たる同月18日の夕方,本件犯行決行日である同月20日の前日に当
たる同月19日夜の3度にわたり,Lと被告人Bの間の通話履歴に続けて被告人
BとCの間の通話履歴が存在し,このうち同月14日及び同月18日については,
更に続けてCとDの間等の通話履歴が存在する。
また,Cは,実行グループから受け取った現金入りのスーツケースをレンタカ
ーに積み込む際,被告人Aに手伝ってもらったと述べるが,この証言は,強奪し
た現金の受取地点を撮影した防犯カメラ映像にCと被告人Aらしき人物が映って
いることや,その場に居合わせたE及びHが,Cともう一人の男性が奪ってきた
キャリーケースを持って車に積み込んだなどと供述していることにより裏付けら
れている。
これに対し,被告人Aは,本件当時突発性左大腿骨壊死という病気にかかって
おり,本件犯行に関わることはあり得ないなどと供述するが,新幹線を使って3
度にわたり東京から福岡を訪れることが出来ているし,忙しい仕事を休んでまで
して福岡に来た理由について,不自然で曖昧な説明に終始していることから,被
告人Aの供述は到底信用できない。
一方,被告人Bは,LやCとの通話の内容について,ゴルフ場の予約がとれた
かをLに確認し,その結果をCに伝えるなど,本件犯行とは無関係の会話をして
いたと供述するが,Lが直接Cに連絡すれば済む話であることなど,説明自体が
かなり不自然である上,同月20日午後3時にCと会話した際にCに緊迫した様
子がなかったと述べる点は,その頃Cが交際女性の家で想定外のスーツケースの
解体作業を行っていたという状況から考えて,およそ信じ難い。捜査段階から供
述が大きく変遷していることも踏まえると,被告人Bの供述も到底信用できない。
なお,証人Mは,金地金取引についての情報を被告人B,CやLなどに伝えた
ことは一切ないと述べるが,金地金取引における自身の関与の仕方を含め,説明
が具体的かつ明瞭とは言い難い。他の取引関与者が取引情報を犯人側に流したか
どうかは知らないとも述べていることからすると,少なくともCの証言の信用性
を揺るがすものとはいえない。
2信用できるCの証言に関係証拠を併せれば,被告人Bは,Cに本件犯行計画を
持ち掛け,Cはその実行をDに依頼するとともに,被告人Bから得た取引情報を
Dに伝え,本件強盗致傷の犯行が実行されたこと,被告人Aは,Cの加勢をする
ようにとの被告人Bの指示を受け,東京から福岡へ行き,強奪した現金をCと共
に実行グループから受け取るなどし,被告人Bの指示によりそのうち9000万
円を東京まで運搬したことなどが認められる。
以上によれば,被告人両名が,判示共犯者らと本件犯行を共謀したことは優に
認められる。
3なお,C証言に関係証拠を併せれば,被告人両名が,平成29年4月14日及
び同月19日の2回にわたり,Cらと共謀の上,Kから現金を強取しようとして,
eパーキング付近路上で被害者を待ち伏せるなどして強盗の機会をうかがった事
実が認められる(以下「各待ち伏せ行為」という。)。検察官は,各待ち伏せ行為
をそれぞれ強盗予備罪として起訴しているが,各待ち伏せ行為及び同月20日の
強盗致傷の犯行は,日時・場所が近接し,同じ被害者から現金を奪うという犯行
計画に基づき行われ,犯行の手口や関与した共犯者も同じであったこと,金地金
の取引金額は日ごとにそれぞれ異なるものの,取引金額に着目して強盗決行の有
無を決めていたわけではなかったことからすると,全体としてみれば,1個の強
盗に向けて継続した意思の下に行われたものと認めるのが相当である。よって,
各待ち伏せ行為はいずれも強盗予備罪を構成せず,本件の強盗致傷罪に吸収され
るものと解される。
(量刑の理由)
まず,全体の犯情についてみると,組織的・計画的な犯行である上,3億840
0万円もの巨額の現金を白昼繁華街の駐車場で強奪しており,大胆で悪質な犯行と
いわざるを得ず,この犯行が社会に与えた衝撃は大きい。被害者の怪我の程度は比
較的軽いものの,催涙スプレーを顔面に吹きかけるという危険な態様であったし,
2度にわたり強盗の機会を逃しながら,なおも犯行を試みて本件強盗致傷の実行に
至っていることからは,犯行に向けた意思の強さが見て取れる。
次に,被告人両名の個別の情状についてみると,被告人Aは,計画段階から本件
に関与していた上,被告人Bの指示を受けてCのもとへ赴き,強奪した現金入りの
スーツケースの受取・運搬・解体等の作業に関与し,現金の一部9000万円を東
京まで運搬するなど,本件において重要な役割を果たしており,少なくない報酬も
得ている。
また,被告人Bは,犯行計画を立案し,強奪する現金の動きに関する情報を入手
して,Cを介して実行グループ側にその情報を伝達したほか,強奪した現金の半分
を回収し,共犯者らに分配するとともに,自らはその手を汚すことなく高額の報酬
を得ていると推察され,本件犯行において主導的・中心的な役割を果たしている。
以上によれば,共犯事件で被害金額が1000万円以上の強盗致傷事件1件の事
案の量刑傾向の中で,被告人Aの責任はやや重い部類に,被告人Bの責任はかなり
重い部類に,それぞれ属するといえる。
その上で,被告人両名が,いずれも犯行を否認して不合理な弁解に終始し,反省
の態度が見られないことも考慮し,被告人両名をそれぞれ主文の刑に処することと
した。
(求刑:被告人Aにつき懲役13年,被告人Bにつき懲役16年)
令和元年5月27日
福岡地方裁判所第3刑事部
裁判長裁判官 足立勉
裁判官 國分進
裁判官 加藤貴

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

もくじ

名前で検索


 あ行

 か行

 さ行

 た行

 な行

 は行

 ま行

 や行

 ら行?

 わ行

 

管理人/副管理人のみ編集できます