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元警察官 妻子3人殺害事件で死刑判決 福岡地裁

 おととし福岡県小郡市で、妻と子ども合わせて3人を殺害した罪に問われた元警察官に対し、福岡地方裁判所は、無罪の主張を退けたうえで「現職警察官が家族3人を殺害した衝撃的な事件だ」などとして、死刑を言い渡しました。
 福岡県警察本部の通信指令課の巡査部長だった中田充被告(41)は、おととし6月、小郡市の自宅で妻の由紀子さん(38)と長男で小学4年生の涼介くん(9)、長女で小学1年生の実優さん(6)を殺害したとして殺人の罪に問われました。
 直接的な証拠がない中、検察が死刑を求刑したのに対して、被告は一貫して無罪を主張しました。
 13日の判決で、福岡地方裁判所の柴田寿宏裁判長は「3人が殺害された時間帯に被告は家にいて、第三者が家に侵入した明らかな形跡はない。妻の遺体の爪や首からは、被告と妻のものが混じったDNA型が検出されている」などとして、妻を殺害したのは被告だという判断を示しました。
 また、子ども2人についても「日頃の接し方などから、妻が子どもを殺害したとは考えられず、殺害したのは被告だと認められる」として、無罪の主張を退けました。
 そのうえで「強固な殺意があり、計画性は認められないが、生命を軽視する態度がはなはだしい。現職警察官が家族3人を殺害した衝撃的な事件であり、社会的な影響も軽視できない。慎重に検討しても死刑を避けるべき事情を見いだせない」として、死刑を言い渡しました。
 福岡地方裁判所によりますと、被告側は控訴したということです。
 福岡地方検察庁は「適正な判決が得られたものと理解している」とするコメントを出しました。
 遺族「詳しい事実はわからないまま」
 殺害された中田由紀子さんと長男の涼介くん、長女の実優さんの遺族が、判決を受けてコメントを出しました。「判決については、私たちの意見と異なることはありません。しかし由紀子、涼介、実優が殺された理由や、詳しい事実は結局わからないままとなり、この点には到底納得がいきません。今はただ、由紀子、涼介、実優の思い出と共に静かに過ごしたいと思っています」などとしています。
 福岡県警首席監察官「事件を重く受け止める」
 事件の当時、現職の警察官だった中田被告に対する判決について、福岡県警察本部の棟杉邦哉 首席監察官は、「判決については、コメントを差し控えたい。被害者のご冥福を心からお祈りするとともに、今回の事件を重く受け止め、今後とも職員の指導に努めてまいります」とコメントしています。
 事件の経緯は
 おととし6月、福岡県小郡市小板井の住宅で、母親と子ども2人の親子3人が死亡しているのを訪ねてきた親族が見つけ、警察に通報しました。
 小学4年生の中田涼介くん(当時9)と、妹で小学1年生の実優さん(当時6)は、2階の部屋で布団の上に横たわり、母親の由紀子さん(当時38)は1階の台所で倒れていました。
 警察は当初、荒らされたり争ったりした形跡がないことから、無理心中の疑いもあるとみて捜査しましたが、遺体を詳しく調べた結果、3人とも首を絞められ殺害された疑いがあることが分かりました。
 その2日後、警察は、3人のうち妻の由紀子さんを殺害した疑いで、夫で、福岡県警通信指令課の巡査部長だった中田充被告(41)を逮捕しました。
 一方、子ども2人については捜査が長期化しました。
 警察は、状況証拠を積み重ねると被告以外に犯人はいないとして、事件からおよそ8か月たった去年2月、子ども2人を殺害した疑いで再逮捕しました。
 直接的な証拠はなし 裁判の争点は
 今回の事件は、直接的な証拠がなく、被告が3人を殺害したかどうかが真っ向から争われました。
 検察は、スマートフォンの記録などから被告は犯行の時間帯に自宅にいたと考えられ、防犯カメラなどの映像から第三者が侵入した形跡はないと主張しました。
 また、被告の腕には妻に抵抗された際にできたと考えられる傷があることや、妻の首や爪から出たDNAに被告のものが含まれているとしても矛盾しないという鑑定結果が出ていることを挙げました。
 検察はこうした間接的な証拠をもとに「これだけの事実が偶然に重なることはありえない」として、犯人だと主張しました。
 一方、弁護側は、遺体の状況を確認した消防隊員の証言や医師の証言などをもとに、被告が自宅にいた午前6時半までに3人とも死亡していたという検察の主張には疑問が残ると主張しました。
 また、第三者が侵入した可能性も否定できず、妻の首や爪から出たDNAについては、日常生活の中で被告のものが首などに付着することがあり、証明力には限界があるとして、無罪を主張しました。
 被告本人も「一切身に覚えがなく、事実無根です。間違いなくえん罪です」「どうか家族のために、もう一度捜査を見直して、犯人を捕まえてほしい」と法廷で述べるなど、一貫して無罪を主張しました。
 裁判員が会見
 判決のあと、裁判員を務めた3人と補充裁判員1人が記者会見に出席しました。裁判員の男性は、「直接的な証拠がない事件で、被告が犯人ではないということを完全には消しきれない。最後の最後まで死刑を避けられる理由を探していました」と話しました。
 別の裁判員の男性は、過去の同様の裁判の判決内容を参考にしながら刑の重さを決めたことについて、「基準がわからないので、動機や計画性の部分などを参照しながら皆で話し合って決めました」と話しました。
 もう1人の裁判員の男性は、判決を言い渡した瞬間について「なぜかわかりませんが、涙が出ました。ほっとしたのもありますが、この裁判に向き合っていろいろな感情が込み上げてきました」と話しました。
 また、補充裁判員の女性は被告について「法廷ということもありますが、いつも淡々と話していたので感情は全く見えてきませんでした」と話していました。
(2019年12月13日 18時38分 NHK)

「現職警察官の衝撃的事件」 小郡妻子殺害、夫に死刑判決

 「現職警察官の衝撃的事件。社会的影響は軽視できない」ー。福岡県小郡市の妻子3人殺害事件で、福岡地裁の裁判員裁判は13日、元福岡県警巡査部長の中田充被告(41)に死刑を言い渡した。直接証拠がなく、間接証拠の積み重ねを吟味し、犯人は被告以外にあり得ないと導いた。無罪主張を退けられ、極刑を告げられてもほぼ表情を変えなかった中田被告に、遺族は厳しい視線を向けた。安全安心を守る立場の元同僚の死刑判決に、福岡県警では「最悪」と衝撃が走った。
 「事案に鑑み、理由を先に説明します」ー。午後2時半、地裁912号法廷。柴田寿宏裁判長は静かに判決理由を語り始めた。中田被告は、弁護士席の前に腰掛けて両手の拳を握りしめ、理由を聞き入った。
 「捜査を見直して犯人を捕まえてほしい」などと一貫して無罪を主張してきた中田被告。判決では「事実に反する虚偽の供述」などと断罪され、ことごとく退けられた。
 柴田裁判長が子2人について「無限の可能性のある未来を突然閉ざされた」と指摘すると、真一文字に結んだ口元が一瞬震えた。
 中田被告は15年間福岡県警で働き、事件当日も所属する通信指令課で普段通り勤務した。「問題なかった」(県警)という警察官の事件は関心が高く、この日は一般傍聴券23席を求め476人が列をなした。
 元同僚「最大の不祥事」
 福岡市博多区の県警本部。午後3時すぎ、ネットニュースで「死刑判決」が速報されると、ある幹部のスマートフォンが振動した。速報を見た幹部は「背筋が凍った」。捜査に関わった別の幹部は「徹底的に捜査したので、適切な判断」と受け止めたが、「組織としては最大の不祥事」と頭を抱えた。
 妻子3人を手にかけたことが認定されたため、ある捜査関係者は「死刑は当然。でも、県警の悪い印象は今後も持たれ続ける」と憤った。「死刑なんて聞いたことがない。われわれはいい仕事を重ねていくしかない」。別の捜査関係者は自らに言い聞かせた。
 被告とかつて同じ職場だった幹部は「口数は少なくて静かなやつ」と振り返る。死刑判決を受け「もうコメントのしようがない…」。複雑な胸中を吐露した。
 県警は、中田被告が逮捕された後、警務部長が2回記者会見して謝罪した。だが、この日は会見を開かず、「判決については、コメントを差し控えたい。今後とも職員の指導教養に努めていく」(棟杉邦哉首席監察官)とのコメントを発表しただけだった。
 被害者参加制度を利用し、裁判を傍聴してきた妻由紀子さん=当時(38)=の母親と姉、妹は法廷で判決に耳を傾けた。
 「死刑に処する」。柴田裁判長が告げた瞬間、傍聴席の母親はうつむき、数秒間眼を閉じた。姉と妹は表情を崩さないまま、目線を中田被告に向けた。
 「判決は、私たちの意見と異なることはありません。しかし、殺された理由や、詳しい事実は結局分からないままとなり、この点には到底納得がいきません」。閉廷後、遺族はコメントを出した。(木村知寛、古川大二、西村百合恵)
 裁判員「本音を聞かせてほしかった」
 「限界まで議論した末の結論だった」。元福岡県警巡査部長の中田充被告(41)に死刑を言い渡した13日の福岡地裁の裁判員裁判判決後、裁判員3人と補充裁判員1人が記者会見した。被告は一貫して無罪を主張し、関与を直接示す証拠がない中で判断を迫られた。4人は、悩み抜いた胸の内を語った。
 判決言い渡しの間、裁判員の男性会社員(37)=福岡市中央区=は中田被告から目を離さなかった。「皆で導いた結論だったが、葛藤があった。被告を目の前にすると感情を押し殺すことで精いっぱいだった」と明かした。
 研究者の男性(46)は「直接証拠がないので、被告が犯人ではない可能性も完全には消し去れないと思った。死刑は非常に重い。つらい気持ちで裁判所に通った」と振り返った。「とっぴでも、限界まで考えや意見を出し合った。その結果の判断で(判決には)納得している」と話した。
 「なぜ、3人を殺したのか。本当のことを教えてほしかった」。別の男性会社員(47)=福岡県大牟田市=は、中田被告から犯行の動機や内心が語られなかったことを残念がった。公判中もたびたび質問したが「心を開いて、感情的な部分や本音を聞かせてほしかった」。補充裁判員の女性(41)も「最後まで死刑回避の理由を探した。だから、ほかに何か(真実が)あるのなら本当のことを話して」と訴えた。
 中田被告は、即日控訴した。研究者の男性は「今回の裁判では分からなかったことまで、(控訴審で)明らかにしてほしい」と強調した。(小川勝也)
(2019/12/13 22:29 (2019/12/14 6:30 更新) 西日本新聞)

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