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平成30(わ)816  銃砲刀剣類所持等取締法違反,器物損壊被告事件
令和元年11月6日  福岡地方裁判所
判決要旨
1宣告日令和元年11月6日午後1時30分
2事件名銃砲刀剣類所持等取締法違反,器物損壊被告事件
3裁判官福岡地方裁判所第3刑事部 足立勉國分進加藤貴
(主文)
被告人を懲役10年に処する。
未決勾留日数中280日をその刑に算入する。
(罪となるべき事実)
被告人は,A及びBと共謀の上,法定の除外事由がないのに,平成20年1月1
7日午後3時42分頃,福岡市a区b町c番d号Cビル付近路上において,D株式
会社が所有し,当時の株式会社E九州支店長Fが管理する普通乗用自動車に向け,
被告人が,自動装てん式けん銃で弾丸4発を発射し,上記自動車のフロントバンパ
ー等に命中させて損壊し(損害額約38万1610円相当),もって不特定又は多
数の者の用に供される場所において,けん銃を発射するとともに,他人の物を損壊
した。
(事実認定の補足説明)
1本件の争点
何者かが判示日時場所で株式会社E九州支店の社用車である判示普通乗用自
動車に向けて自動装てん式けん銃で弾丸4発を発射し,同車に命中させて損壊
するという銃砲刀剣類所持等取締法違反及び器物損壊の犯行を敢行したことは
当事者間に争いがなく,証拠上も明らかである。本件の争点は,“鏐霓佑糧
人性(被告人が本件犯行に実行犯として関与したか),被告人とA及びBとの
共謀の有無の2点である。
2認定事実
⑴証人B及び同Aの各公判供述を含む関係各証拠によれば,以下の事実が認
められる。
ア被告人,A及びB(以下「被告人ら」という。)の関係性
本件犯行当時,被告人は,指定暴力団四代目甲會の二次団体乙組本部長
兼同組傘下の丙組組長,Aは乙組組員兼丙組相談役,Bは乙組準構成員で
あった。
イ平成19年12月中旬頃から本件犯行前日(平成20年1月16日(以
下,平成20年中の日付については,年の記載を省略する。))頃までの状

被告人は,平成19年12月中旬頃,Bに対し,本件被害車両の車種,
色,ナンバーを教示した上で,福岡市a区b町にある判示Cビル(以下
「本件ビル」という。)からの本件被害車両の出入りを確認するよう指示
し,以降,本件犯行当日まで,Bと共に,本件ビル付近で,本件被害車
両の本件ビルへの出入りを確認したり,Bをして本件被害車両を追跡さ
せ,その結果を被告人に報告させたりしていた。
被告人は,1月上旬頃,Aを福岡市a区e町にある駐輪場に呼び出し,
同所に止めてある原動機付自転車のエンジンのかかりが悪いと告げた。
Aが,バッテリーが駄目になっていると言ったことから,被告人はAと
二人で,交換用のバッテリーを購入するため,車で量販店に向かった。
その車中において,被告人は,Aに対し,「特命が来ました。ちょっと厄
介なことなんですけどね」「道具を使う」「体に当てずに乗車中の車に対
して発砲する」「間違っても相手にけがさせちゃいかんので,これは自分
がやります」などと発言した。その後,被告人は,Aと共にe町の駐輪
場に戻り,上記原動機付自転車のバッテリーを,購入した新品のバッテ
リーに交換した。
後日,被告人は,Aに対し,上記発言に関し,本件ビルの方を指さし
て,「そこにEというゼネコンが入っとるんですけどね,狙いはそこだ」
「その社用車に対して発砲する」などと告げるとともに,本件ビルに出
入りする車を見ておくよう指示し,Aは,以後数日間にわたり,被告人
と共に本件ビル付近を訪れ,本件ビルに出入りする車を見張るなどした。
他方,被告人は,本件犯行の前日又は当日には,作業服と白色長靴を着
用して本件ビル付近を歩いたり,更にフルフェイスのヘルメットを被っ
て本件ビル付近を黒っぽい色の原動機付自転車で走行したりしていた。
本件犯行の前々日である1月15日,上下白っぽい服でフルフェイス
のヘルメットを被った人物が,黒,緑又は濃い青系統の塗色の原動機付
自転車ホンダAF24型タクトに乗って本件ビル付近を走行していた。
本件犯行の前日である1月16日には,白色かねずみ色っぽいウインド
ブレーカーの様な上下の格好でフルフェイスのヘルメットを被った男が,
本件ビルの周辺を歩きながら本件ビルの様子をうかがっていたほか,白
っぽい上下の格好でフルフェイスのヘルメットを被った人物が,本件ビ
ル近くのG前付近路上で,黒,緑又は濃い青系統の塗色のホンダAF2
4型タクトに乗って本件被害車両を追跡しており,その直後に白っぽい
上下作業着様の服,白色長靴を着用した男が,G前の歩道上を歩いてい
た。
ウ本件犯行当日(1月17日)の状況
被告人は,本件犯行当日,Aが運転する自動車(パジェロ)に同乗し
てe町の駐輪場に行き,同所からは被告人が黒っぽい色の原動機付自転
車に乗り換え,Aはそのまま自車を運転して,本件犯行前に本件ビル付
近へ赴いた。
被告人は,午後3時43分頃,作業服に白色長靴を着用し,フルフェ
イスのヘルメットを被った格好で黒っぽい色の原動機付自転車に乗り,
本件犯行現場から2ブロック離れた場所で自動車(パジェロ)に乗った
Aと合流し,更に,福岡市a区f町にある駐車場へ移動してBと合流す
ると,Aに対して,「終わりましたので引き上げましょうか,帰りましょ
うか」などと述べ,被告人がナンバープレートを,Aがバッテリーをそ
れぞれ取り外すなどした上で,その場に上記原動機付自転車を遺棄した。
その後,被告人はAが運転する自動車に同乗し,Bは自身の自動車(セ
ルシオ)を運転して,被告人使用車両が止めてあった福岡市a区gのパ
チンコ店の立体駐車場に移動した。
本件犯行の実行犯は,本件犯行当日,上下作業着様の服を着て白色長
靴を履き,フルフェイスのヘルメットを被り,黒,緑又は濃い青系統の
塗色の原動機付自転車ホンダAF24型タクトに乗って本件ビル付近を
走行したり,上記タクトを降りて本件ビルの周辺を歩き回ったりするな
どして,本件ビルの様子をうかがっていたが,午後3時42分頃,本件
ビルに戻ってきた本件被害車両の前に立ちふさがり,その前面に向けて
自動装てん式けん銃で4発の弾丸を発射して本件犯行に及ぶと,近くに
止めてあった上記タクトに乗って逃走した。
エ本件犯行当日後の状況
2月12日,f町の駐車場と同一町内の路上で,ナンバープレート及び
バッテリーが取り外された紺色の原動機付自転車ホンダAF24型タク
ト1台が発見された。
⑵以上の認定事実のうち,被告人の行動状況に関する部分は,主としてB及
びAの各公判供述に基づいている。
Bは,記憶にある部分とない部分とを区別しつつ,被告人に指示されて本
件被害車両の行動確認をしたことや,その行動確認の最中,作業服に長靴姿
というふだんとは異なる格好で本件ビル付近を移動する被告人の様子を目撃
したことなど,印象に残りやすい出来事について,当時の心境も交えつつ具
体的に供述している上,Bの供述は,被告人との間の通話履歴や,本件ビル
付近に設置された防犯カメラの映像といった客観的証拠により裏付けられて
いる。一方,Aも,記憶の濃淡に従い,被告人と原動機付自転車の交換用バ
ッテリーを購入するに至った経緯や,被告人からEの社用車に発砲する旨の
計画を聞き,その後,Eが入居する本件ビルの見張りを指示されてこれを行
ったことなど,印象に残りやすい出来事について具体的に供述している。
また,本件犯行当日の犯行時刻の後に,原動機付自転車に乗りフルフェイ
スのヘルメットを被った男性1名が,B及びAとf町の駐車場で合流し,当
該男性がナンバープレートを取り外すなどした上で,その場に上記原動機付
自転車を遺棄したこと,その後上記3名が車2台に乗りf町の駐車場を離れ,
移動した先のgの駐車場にB,A及び被告人がいたことに関しては,Bの供
述とAの供述は合致しており,相互に信用性を高め合っている(なお,Bの
供述とAの供述は,Bをf町の駐車場へ案内し,待機等の指示をしたのがA
であるか否かに関して食い違ってはいるが,この点が被告人の行動状況に関
する両名の供述の信用性に影響を及ぼすものではない。)。このうちf町の駐
車場にナンバープレート等を取り外した原動機付自転車を遺棄した旨の供述
は,本件犯行の約4週間後に,f町の駐車場に近い同町内の路上で,ナンバ
ープレート及びバッテリーが取り外された状態の原動機付自転車が発見され
た事実と整合し,これにより裏付けられている。
加えて,BとAには,虚偽の供述をして甲會の幹部組員である被告人を陥
れるような事情は何ら見当たらないことも踏まえると,被告人の行動状況に
関するB及びAの各供述は十分信用に値するといえる。
⑶これに対し,弁護人は,。造蓮に楫鑒塙堙日にf町の駐車場に行ったと
述べるが,Bが本件に係る捜査において警察に数か所を案内されて初めて同
駐車場を特定したものであるし,同駐車場で原動機付自転車に乗ってきた男
はその場ではヘルメットを脱がなかったので顔を見ていないと述べている点
は,被告人がこの場でヘルメットを脱いだとするAの供述と明らかに矛盾し
ている,■舛蓮ぃ鰻遑隠監に被告人と一緒に量販店で原動機付自転車のバ
ッテリーを購入したと明言するが,当該量販店の販売記録によれば,同日に
原動機付自転車用バッテリーが購入された事実はない,BやAがいずれも
甲會の暴力団組員で,叩けば埃の出る体であったことからすれば,警察・検
察の誘導のままに,全く経験したことがない事実をあたかも経験したかのよ
うに供述した可能性がある,などと指摘して,B及びAの各供述に信用性は
全く認められない旨主張する。
しかし,,療世砲弔い討蓮ぃ造蓮ぁ峺尭圧”媼転車やパジェロが来た駐車
場を自分で案内することはできなかったが,警察から何か所かを案内される
中で,事件当時と雰囲気は少し変わっていたものの,ほぼ自分がイメージし
ているのと同じような感じの場所だったので,ここだなと思った。」旨を述べ,
f町の駐車場を特定した経緯について自然で合理的な説明をしている。また,
確かに,f町の駐車場において,B及びAと一緒にいた人物(Aは被告人で
あると述べる。)がヘルメットを被っていたか脱いでいたかという点におい
て,BとAの供述には相違が認められるものの,B及びAのほかに原動機付
自転車に乗ってやってきた男性1名が同駐車場におり,当該男性が原動機付
自転車のナンバープレートを取り外すなどした上でこれをその場に遺棄した
こと,その後上記3名が移動した先のgの駐車場にB,A及び被告人がいた
ことといった骨格部分については,両者の供述は合致し,相互に信用性を高
め合っているのは前述したとおりである。弁護人が指摘する点は,Bの供述
の信用性に疑問を生じさせるものではない。
△療世砲弔い討澆襪函ぃ舛原動機付自転車のバッテリーを購入したと述
べている量販店で1月14日に原動機付自転車用バッテリーが購入された事
実がないのは弁護人が指摘するとおりである。しかし,Aは,原動機付自転
車のバッテリーを購入した日付について,当初捜査機関に対して1月10日
頃と述べていたのが,取調べ担当検察官から被告人が本件ビル付近の防犯カ
メラに映り始めたのが1月15日である旨告げられたことをきっかけに,バ
ッテリーを購入したのはその前日である1月14日である旨供述を変更させ
たものであり,変更後の日付に確たる根拠があるわけではない。上記量販店
の店舗において,Aの当初の供述に近い1月8日に原動機付自転車用バッテ
リーの販売実績があることや,Aには自身の関与を矮小化する動機があるこ
とも併せ考えれば,弁護人指摘の点が上記バッテリーの購入・交換の事実自
体についてのAの供述の信用性を失わせるものではない。
さらに,の点については,BやAが暴力団関係者であったという事実の
みから,警察・検察の誘導に応じた可能性を指摘するもので,具体的な根拠
に乏しい。かえって,B及びAは,弁護人からの反対尋問に対し,それぞれ,
捜査機関から「協力してくれれば,そんな重たい罪にはならない」とか,「罪
に問われない」「量刑についてはちゃんと考慮する」などと言われたことはな
かったと明言しているのであって,弁護人の主張は失当である。
その他,弁護人はB及びAの各供述が信用できない理由をるる主張するが,
被告人の行動状況に関する両名の供述の信用性は揺らがない。
3判断
以上の認定事実を基に検討する。
本件犯行の前々日及び前日,本件ビル付近において,本件ビルの様子を歩
きながらうかがったり,原動機付自転車で本件被害車両を追跡したりといっ
た不審な行動をとっていた人物と,本件犯行の実行犯とは,服装やフルフェ
イスのヘルメットを着用している点,黒,緑又は濃い青系統の塗色の原動機
付自転車ホンダAF24型タクトを使用している点で一致が見られるところ,
本件ビル付近において,本件犯行当日とその前日及び前々日という近接した
時期に,これだけの特徴が一致した人物が複数いた可能性は考えにくいこと
からすれば,本件犯行の前々日及び前日に本件ビル付近で不審な行動をとっ
ていた人物と実行犯とは同一人物であると推認される。
他方,被告人は,本件犯行の前日又は当日には,作業服と白色長靴を着用
して本件ビル付近を歩いたり,更にフルフェイスのヘルメットを被って本件
ビル付近を黒っぽい色の原動機付自転車で走行したりしていた。また,被告
人は,本件犯行当日の本件犯行直後の時刻に,作業服に白色長靴を着用して
フルフェイスのヘルメットを被った格好で黒っぽい色の原動機付自転車に乗
って,本件犯行現場から2ブロック先の路上を走行したりした。
以上のように,本件犯行の数日前から本件犯行当日までの間における,実
行犯の行動状況や使用した原動機付自転車及び着衣等の特徴と,被告人のそ
れとがかなりの部分で合致しているところ,前同様に,本件ビル付近におい
て,本件犯行当日とその前日という近接した時期に,これだけ行動状況や着
衣等の特徴が合致する人物が複数いるとは考えにくいことからすれば,この
合致の事実は,実行犯と被告人とが同一人物であることを推認させるもので
ある。
また,被告人は,本件犯行の約1か月前から,Bをして又はBとともに本
件ビルに出入りするEの社用車の動向確認を行い,1月上旬頃以降本件犯行
までの間に,Aに対して,上記社用車に対して発砲するという本件犯行と同
内容の犯行計画を明かした上で,その実行役を自らが担う旨述べ,本件犯行
当日の犯行時刻の後には,f町の駐車場において,Aに対し,「終わりました」
などと述べたほか,それまで本件ビル付近を走行する際に使用していた原動
機付自転車のナンバープレートを取り外すなどした上で同原動機付自転車を
f町の駐車場に遺棄している。
これらの事実は,本件犯行前の時点で被告人が本件犯行を計画しており,
その実行役を担うつもりであったこと,本件犯行後にはAに対して犯行を終
えたことを示唆する発言をし,その証拠を隠滅する行為に及んだことをうか
がわせるものであって,被告人が本件犯行の実行犯であることを強く推認さ
せる。
さらに,2月12日にf町で発見された紺色のホンダAF24型タクトは,
実行犯が使用していた原動機付自転車と同型で,同系統の塗色である上,犯
行現場からそう遠くなく,かつ,被告人が原動機付自転車を遺棄したf町の
駐車場と同一町内で発見されていることや,その発見時期並びにナンバープ
レート及びバッテリーが取り外されていたという発見時の状態にも照らすと,
実行犯が使用し遺棄した原動機付自転車であるとともに,被告人が使用し遺
棄した原動機付自転車である可能性が高いと考えられる。
以上の事実は,B及びAの各供述を裏付けるとともに,上記⑴⑵における,
実行犯と被告人とが同一人物であるとの推認をより強めるものといえる。
以上⑴ないし⑶の検討によれば,被告人が本件犯行に実行犯として関与し
たことが優に認められる。また,本件犯行の実行に際し,乙組内の上位者で
ある被告人が,同組内の下位者であるA及びBに対して,本件被害車両の動
向確認等を指示するなどした上で,本件犯行の実行に及んだことも認められ
るから,被告人には,本件犯行につき,A及びBとの共謀の事実も認められ
る。
⑸ア以上の認定に対し,被告人は,要旨,「本件犯行当日,私は,夕方までに
H駅前にあった乙組の事務所に入り,そこで本件犯行を報じるニュースを
見た。その後,甲會担当の刑事から電話があり,私がどこにいるのか所在
を確認する質問をされた。」と述べ,弁護人はこの供述を前提に,被告人に
は,本件犯行当時のアリバイがある旨主張する。
しかし,夕方事務所に入るまでの行動や何時に事務所に入ったかについ
て被告人は覚えていない旨述べていることや,本件犯行現場(福岡市a区
b町)から乙組の本部事務所(同区H駅前のI付近)までの距離は地図上
で1キロメートル程度であることからすると,仮に被告人の上記供述のと
おりの事実が認められるとしても,被告人が本件犯行の実行犯であること
とは両立する事実であり,アリバイは成立しない。
イまた,弁護人は,本件犯行前日にG裏の防犯カメラに映った実行犯と思
料される人物の髪型(後頭部に毛髪と思われるものあり)や体型(身長1
70センチ程度,体重80キロ超)が,当時の被告人の体型等(スキンヘ
ッド,身長164センチ,体重最大75キロくらい)と明らかに合致しな
いとして,実行犯と被告人とは同一人物ではない旨主張する。
しかし,当該防犯カメラの映像は鮮明なものではなく,そこに映った人
物の髪型を判別することは困難である(むしろ,映像中の当該人物の仕草
等にも照らすと,頭部付近の黒色様の部分は帽子であると考えて矛盾がな
い。)。また,体型についても,本件犯行当時は冬であり,重ね着をするこ
となどで実際より太った体型に見えることもあることからすると,防犯カ
メラの映像に映った人物の身体的な特徴が被告人のそれと明らかに合致
しないなどとはいえない。
ウその他,弁護人は,種々の点を指摘して被告人の犯人性を争うが,いず
れも上記認定に合理的な疑いを差し挟むものではなく,主張は採用の限り
でない。
(量刑の理由)
本件は,被告人が,共犯者2名と共謀の上,路上で普通乗用自動車に向けてけん
銃で弾丸4発を発射し,同自動車を損壊したという銃砲刀剣類所持等取締法違反及
び器物損壊の事案である。
被告人らは,実行役,行動確認役等の役割を分担し,本件被害車両の動向を一定
期間確認し,犯行に使用するけん銃や盗難車両などの準備を整えた上で,本件犯行
に及んでおり,暴力団組織を背景にした計画性が認められる。犯行態様は,白昼,
付近に商業施設等が立ち並び車両や歩行者も通行する街の中心部の路上において,
Eの社員ら3名が乗っていた本件被害車両の前面に向けて4発の弾丸を発射すると
いう凶悪なものである。被告人らが人に危害を加える意図を有していなかったとし
ても,跳弾等により本件被害車両の乗員や通行人等に弾丸が当たる可能性もあった
ことから,非常に危険な犯行であったといえ,とりわけ本件被害車両の乗員らが抱
いた恐怖感は甚大であったと認められる。また,器物損壊による損害額も判示のと
おり多額である。
本件犯行の直接の動機は不明であるが,甲會ないし乙組が自分たちの利益のため
に大手ゼネコンであるEを威迫する意図があったことがうかがわれ,反社会的な犯
行として厳しい非難に値する。
この犯行において,被告人は,自ら実行役を担ったほか,共犯者らに対して被害
車両の動向確認等の指示を行って,本件犯行の実現に向けて重要かつ不可欠な役割
を果たした。
以上の犯情によれば,被告人の刑事責任は相当重く,その他,被告人が本件犯行
への関与を一貫して否認し,反省の態度が見られないことなども考慮し,被告人を
主文の刑に処するのが相当であると判断した。
(求刑懲役12年)

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