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金塊裁判、実行主導役に懲役15年 天神3.8億円強奪

 福岡市・天神で2017年4月、貴金属店勤務の男性から金塊買い付け資金約3億8千万円を奪ったとして、強盗致傷などの罪に問われた無職小野田友一被告(43)の裁判員裁判で、福岡地裁は22日、「実行グループのリーダーとして主導的に事件に関与した」として懲役15年(求刑懲役16年)の判決を言い渡した。
 公判で弁護側は、被告は被害者を内通者だと思い込み、被害届も出ない「出来レース」と認識していたとして無罪を主張していた。
 足立勉裁判長は、被告が共犯者とスタンガンや催涙スプレーを準備していたことから「内通者であれば周到な準備の必要はない」として強盗の認識があったと判断。複数の共犯者が公判で「被告の指示に従った」と証言したことを踏まえて共謀も認め「確実に現金を奪い取ることを意図した組織的で計画性の高い犯行だ」と指摘した。
 判決によると、小野田被告は共犯者9人と共謀し17年4月20日、福岡市中央区天神の駐車場で男性に催涙スプレーを吹き掛け、金塊買い付け資金が入ったスーツケースを奪った。
(2019年03月23日 06時00分 西日本新聞)

天神3.8億円強奪、指示役に懲役15年判決 福岡地裁

 2017年4月に福岡・天神で金塊代金の現金約3億8千万円が強奪された事件で、強盗致傷などの罪に問われた無職、小野田友一被告(43)の裁判員裁判の判決公判が22日、福岡地裁であった。足立勉裁判長は「金額は巨額で被害は大きい」として懲役15年(求刑懲役16年)を言い渡した。
 足立裁判長は「組織的で計画性の高い犯行」と指摘。小野田被告が共犯者に指示を出していたとして「実行グループのリーダーという立場にあった」と認定し「共犯者の中でも非難の程度は格段に高い」と判断した。弁護側は「出来レースだと思っていた」などと無罪を主張したが「強行に奪うことを計画の前提としていた」として退けた。
 判決によると小野田被告は他の共犯者と共謀の上、17年4月20日午後0時半ごろ、福岡・天神の駐車場で、貴金属店に勤める男性を襲撃し現金約3億8千万円の入ったスーツケースを強奪した。
(2019/3/22 20:24 日経新聞)

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平成29(わ)1354  強盗致傷,強盗予備
平成31年3月22日  福岡地方裁判所
主文
被告人を懲役15年に処する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
(犯行に至る経緯)
Aは,旧来の知人であるBから,上位者の間で話がついていて,警察に届けられ
ることはないという前提で,金地金取引の代金を運んでいる者から現金を奪い取る
計画を持ち掛けられて承諾し,その後旧来の知人である被告人にBから伝えられた
計画内容をそのまま伝えて実行を依頼した。この際,Aは被告人に対し,前記代金
を運んでいる者は,事情を知らないことも伝えた。Aの依頼に応じた被告人は,C,
D,E,F,G及びHに対し,直接又は間接的に指示して,Cは犯行現場に赴き,
犯行後には奪った現金をAに引き渡すなどの役割,DとEはそれぞれスタンガン及
び催涙スプレーを所持して被害者を襲撃し,現金を奪い取るなどの役割,Fは犯行
使用車両を運転し,D,Eの逃走を援助し,Cを現金の引渡し場所まで連れて行き,
犯行使用車両を処分先に運搬するなどの役割,GとHは犯行使用車両を埼玉県内か
ら福岡市内に運搬し,犯行当日には犯行現場となる駐車場で被害者による追跡の妨
害をするなどの役割を果たすこととなった。また,IもBの依頼により,Aと共に
奪った現金を受け取る役割を果たすこととなった。
この計画に基づき,平成29年4月14日及び同月19日,福岡市a区bc丁目
d番Jパーキング付近路上に駐車中の自動車内において,C,D,E及びFが,催
涙スプレー及びスタンガンを携帯した上,同パーキング付近にある銀行で金地金取
引代金である現金を引き出すKを待ち伏せるなどして,同人を襲って現金を強奪す
る機会をうかがったが,同人が現金を所持していない様子であったり(同月14日),
現金の運搬者がもう一人いたため(同月19日),いずれも実行には至らなかった。
そこで,被告人らは,同様にC,D,E及びFが同月20日に上記パーキングの敷
地内で現金を強奪することにした。
(罪となるべき事実)
被告人は,現金を強取しようと考え,C,D,E,F,G,H,I,A及びBと
共謀の上,平成29年4月20日午後零時25分頃,福岡市a区bc丁目d番Jパ
ーキングにおいて,Dが,K(当時29歳)に対し,その顔面に催涙スプレーを噴
射する暴行を加えて,その反抗を抑圧し,同人管理の現金3億8400万円在中の
スーツケース1個(時価約1万円相当)を強取し,その際,上記暴行により,同人
に約5日間の治療を要する見込みの刺激物質性接触皮膚炎及び化学物質性急性気管
炎の傷害を負わせた。
(事実認定及び罪数判断の補足説明)
1争点
本件の争点は,“鏐霓佑紡召龍θ伴圓蕕箸隆屬廼盗の共謀が認められるか否か,
∧神29年4月20日の現金奪取行為(以下「本件現金奪取行為」という。)によ
り,Kが負った怪我が,刑法240条前段における「負傷」に該当し,強盗致傷罪
が成立するか否か,K楫鏝酋眞ゼ莵坩戮砲弔強盗致傷罪が成立するとして,同月
14日及び同月19日に催涙スプレー及びスタンガンを携帯した上で,待ち伏せる
などした各行為(以下「本件各待ち伏せ行為」という。)につき,強盗致傷罪とは別
に強盗予備罪が成立するか否かである。
2争点,砲弔い
弁護人の主張の要旨は,被告人は,Aから,金塊の密輸の取引に使う現金を奪う
計画があるが,襲われる人間も「ぐる」であり,被害届は出ないなどと聞かされて
いたことから,被害者であるKは内通者であって,Kは襲われたふりをするだけの
出来レースだと思い込んでいたのであり,被告人に強盗の故意はなく,その共謀も
認められないというものである。
しかしながら,関係証拠によれば,被告人及び共犯者らは,Aからの話をもとに,
DとEがKを襲って運搬中の現金を奪い,現場から車で逃走する計画を立て,その
ためにスタンガン等の道具や犯行使用車両等を準備していたことが認められるとこ
ろ,仮にKが内通者であれば,Kから容易に現金を奪うことができるはずであるか
ら,このような周到な準備をする必要はなく,むしろ,かかる犯行計画及び準備状
況からは,被告人を含む共犯者らが,Kから現金を強奪することを計画の前提とし
ていたことが強くうかがわれる。
また,現金奪取の前記計画は,Aから被告人を介して,実行役であるCら4名に
もたらされているところ,Aは,公判廷において,Bから持ち掛けられた同計画を
被告人に伝えた際,現金を奪う相手である現金の運搬者は事情を知らない人物であ
り,同人を抱き込もうとはしたが,まだ抱き込めていない旨伝えたなどと供述して
おり,C及びDも,公判廷において,現場にいる被害者本人は事情を知らない旨を
被告人から伝えられたなどと供述している。関係証拠によれば,本件に関して,A
と,C,Dら実行役とが,被告人を介することなく直接連絡をとり合うことはなか
ったことが認められる。そうだとすれば,上記の点につき3名の供述が一致してい
ることは,被告人において,被害者本人が事情を知らないことを当然に知っていた
ことを意味する。
C,D,E,F及びHは,いずれも公判廷において,被告人から誘われて本件犯
行に関与することになり,その後も被告人の指示に従って前記犯行に至る経緯のと
おりの役割を果たした旨供述しており,前記のような態様による現金奪取計画が被
告人の指示によるものであったことを一致して供述している。関係証拠によれば,
被告人は,スタンガン及び催涙スプレー,犯行使用車両,他人名義の携帯電話(い
わゆる飛ばしの携帯電話)といった犯行使用道具等の準備にいずれも深く関与して
いることが認められるが,実行役であるCら4名の各公判供述は,こうした被告人
の前記計画への関与状況とも整合している上,被告人からの指示を受けて行動した
という点において合致しており,相互に信用性を高め合っている。また,いずれも
捜査段階からの供述の一貫性が認められ,供述態度にも問題はみられない。被告人
が実際には指示をしていないのに,このように複数の共犯者の供述が一致すること
は考えにくいところ,Cら4名において被告人に殊更不利な虚偽の供述をする動機
も見当たらない。
したがって,被告人の指示に関するCらの各公判供述は,基本的には信用するこ
とができる。
そして,これら共犯者らの各公判供述によれば,被告人は,Kに暴行を加え,そ
の反抗を抑圧して現金を奪うことを当初より認識していたと認められ,前記犯行に
至る経緯のとおり,被告人は,そのような認識を前提に,C,D,E,F,G及び
Hに対して,具体的な指示をしていたと認定できるから,被告人と他の共犯者らと
の間に強盗の共謀があったことは明らかである。
これに対して,弁護人は,“鏐霓佑蓮ぃ舛ら,奪うお金は金塊の密輸の取引に
使うお金で,襲われる相手も「ぐる」であり,違法なお金だから被害届は出ないと
説明されたこと,被告人は,平成29年4月14日,Kがスーツケースをくるく
る回していることや,スーツケースを開けて中にお金が入っていないのをDが見た
旨の報告を受け,Kが,今回の計画が失敗しないようにアシストしてくれていると
受け取ったこと,H鏐霓佑蓮ぃ舛ら同日の具体的な取引金額などを聞かされ,A
が情報提供者につながっていると信じ込んだことなどを指摘して,被告人はKが内
通者であると思い込んでいたと主張する。
しかしながら,被告人は,例えば,Kがスーツケースをくるくる回すなどしてい
た話を聞いた際に,仮にKを内通者と思い込んでいたのであれば,Kの行動が被告
人らに対する合図であるかどうかを当然に計画グループ側のAに確認するはずであ
り,そうでなくとも,出来レースの進め方等に関してCらと話をしていて然るべき
であるのに,被告人はそうした言動には一切出ていないのであって,弁護人の主張
は,被告人の実際の行動と明らかに整合していない。
その他の弁護人の主張を検討しても,被告人がKを内通者であると認識していた
との疑いは残らない。
3争点△砲弔い
弁護人は,仮に被告人と他の共犯者らとの間に強盗の共謀が認められるとしても,
本件程度の怪我では強盗致傷罪は成立せず,強盗罪が成立するにとどまると主張す
る。
しかしながら,関係証拠によれば,Kは,本件現金奪取行為の当日に,病院を受
診して約5日間の治療を要する見込みの刺激物質性接触皮膚炎及び化学物質性急性
気管炎と診断されており,これが強盗致傷罪における「負傷」に該当することは明
らかである。
4争点について
検察官は,本件各待ち伏せ行為について,犯行日時が異なるだけでなく,その都
度金地金取引の情報を入手し,それぞれ異なる金地金取引の代金を奪おうとしたも
ので,強盗致傷罪とは機会の同一性,意思・行為の継続性がないから同罪とは別に
強盗予備罪がそれぞれ成立すると主張する。
しかしながら,本件各待ち伏せ行為と本件現金奪取行為は,金地金取引に携わる
同じ会社の関係者が同じ場所の金融機関から引き出した金地金取引代金である現金
を奪うという犯行計画に基づいて行われている点で共通性が認められ,それ故,被
告人らにおいて,本件各待ち伏せ行為のいずれかの時点で強盗が成功していれば,
以後強盗行為に及ぶことはなかったと考えられること,実行する犯行の手段や関与
する共犯者も同じであったことなどからすれば,全体としてみれば,1個の強盗に
向けて継続した意思の下に行われたものといえる。
よって,本件各待ち伏せ行為はいずれも強盗予備罪を構成せず,本件現金奪取行
為による強盗致傷罪に吸収されるものと解される。
5結論
以上のとおり,被告人には,判示のとおり強盗致傷罪が成立する。
(量刑の理由)
まず,全体的な犯情についてみると,量刑上重視すべき事情としては,奪われた
現金が3億8400万円と巨額に上っており,財産的損害が極めて大きいことが指
摘できる。また,被害者が負った怪我の程度は軽かったものの,被害者が受けた恐
怖心や精神的苦痛は大きかったと考えられる。被告人から被害弁償はなされておら
ず,被害者及び被害会社代表者は被告人らの厳罰を希望している。
被告人及び9名の共犯者らは,あらかじめ入手した情報に基づき,犯行現場の下
見,犯行使用道具や車両の準備・運搬,実行,被害者による追跡の妨害,奪った現
金の運搬,犯行使用物品の処分などの役割を分担し,入念な準備を行った上で,2
度にわたり失敗をしても,なお計画の実現をあきらめることなく,最終的に強盗致
傷の犯行にまで及んでいるのであり,現場における実行役らのやや場当たり的とも
いえる行動等が見られることを踏まえても,本件は確実に現金を奪い取ることを意
図してなされた組織的で計画性の高い犯行と認められる。
被告人の犯行への関わり方をみると,被告人は,Aから犯行の実行役を依頼され
て承諾した上で,C,D,E,F,G及びHを犯行に誘い入れ,犯行に関する情報
をAに確認してその結果をCらに伝えたり,必要に応じて実行方法につき助言をす
るなどしたほか,犯行使用道具や車両を調達し,犯行現場の下見へ行き,Cら実行
役が本件犯行を遂行するのに必要な諸経費も負担している。しかも,被告人は,本
件各待ち伏せ行為や本件現金奪取行為の当日には犯行現場付近へ自ら赴き,飛ばし
の携帯電話を用いてAやCらと連絡をとり,Cら実行役に対し犯行のタイミングを
指示したり,犯行後にはAから実行グループの取り分の現金を受け取って東京まで
運搬することで,捜査の手をかいくぐって犯人側が多額の利益を確保することに貢
献するなど,本件犯行に終始主導的かつ密接に関与しており,実行グループのリー
ダーというべき立場にあったと認められる。被告人が本件犯行により得た報酬の具
体的金額は証拠上判然としないものの,被告人の共犯者間における地位や上記の関
与の内容からすれば,相当額の報酬を得ていると推察され,実行グループに属する
他の共犯者らと比較しても,非難の程度は格段に高いといえる。
これらの事情に加え,白昼繁華街で3億円以上の現金を強奪したという本件犯行
が社会に与えた衝撃の大きさをも考慮すると,本件は,共犯事件で被害金額が10
00万円以上の強盗致傷事件1件の事案の量刑傾向の中では,かなり重い部類に属
する。
次に,犯情以外の量刑要素についてみると,被告人は,本件犯行に一定の関与を
したことは認めているものの,被害者や被害会社が受けた被害の大きさに思いを致
すこともなく,自己の責任を回避し,共犯者らに責任を押し付けるような不合理な
供述を繰り返しており,そこに反省の情をみてとることはできない。
また,現在服役中の大麻取締法違反等の罪での収監を控えた時期に本件犯行に及
んでいることなどにも照らせば,被告人の遵法意識の欠如の程度は著しい。
以上の事情を考慮の上,主文のとおり刑を量定することとした。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑:懲役16年)
平成31年3月26日
福岡地方裁判所第3刑事部
裁判長裁判官 足立勉
裁判官 太田寅彦
裁判官 池上恒太?

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