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辺野古訴訟、沖縄県の訴え却下=埋め立て承認撤回めぐり−高裁那覇支部

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐり、県が国を相手取り、国土交通相が裁決で取り消した「埋め立て承認撤回」の効力回復を求めた訴訟の判決が23日、福岡高裁那覇支部であった。大久保正道裁判長は「訴訟の対象になり得ない」と述べ、県の訴えを却下した。
 辺野古移設に関する国と県の訴訟で、判決は3件目。過去2件は県側の敗訴が確定している。
 玉城デニー知事は判決後、県庁で記者団の取材に応じ、「納得できるものではなく、内容を精査した上で上告について決定したい」と述べた。
 大久保裁判長は、地方自治法の規定で、審査請求に対する裁決は訴訟の対象となる「国の関与」から除外されていると指摘。埋め立て承認撤回を取り消した国交相の裁決について、「国の関与には当たらず、訴えは不適法だ」と述べた。
 県は、防衛省の行政不服審査請求を審査した国交相について「埋め立てを推進してきた内閣の一員で、中立・公正に判断できる立場にない」と主張したが、大久保裁判長は「中立的立場を放棄していたとは言えない」と退けた。
 県は昨年8月、辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回。防衛省は国交相に行政不服審査を請求し、同相は今年4月、撤回を取り消す裁決を行った。
 県は総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出たが、審査対象に当たらないとして6月に却下されたため提訴していた。
(2019年10月23日19時14分 時事ドットコム)

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主文
1本件訴えを却下する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求の趣旨
被告が平成31年4月5日付けでした下記裁決を取り消す。

沖縄防衛局長が平成30年月17日に提起した審査請求(沖防第11
号)に係る処分(同年8月31日付け沖縄県達土第1号・沖縄県達農第
646号)を取り消す旨の裁決(国水政第13号)
第2事案の概要
1沖縄防衛局は,アメリカ合衆国軍隊が使用する普天間飛行場の代替施設を沖
縄県名護市辺野古沿岸に建設するため,沖縄県知事から同沿岸水域について公
有水面の埋立ての承認を受けていたが(以下「本件承認処分」という。),本件
承認処分は,A前沖縄県知事の死亡に伴う知事職務代理者からの委任を受けた
同県副知事Bの名義で取り消された(以下「本件承認取消処分」という。)。こ
れを受けて沖縄防衛局が,公有水面埋立法を所管する大臣である被告に対し,
本件承認取消処分の取消しを求めて,行政不服審査法に基づく審査請求を行っ
たところ,被告は,本件承認取消処分を取り消す旨の裁決をした(以下「本件
裁決」という。)。
本件は,沖縄県知事である原告が,被告による本件裁決は違法な国の関与に
当たると主張して,地方自治法1条の第1項に基づき,本件裁決の取消
しを求める事案である。
2関係法令
関係法令の定めは,別紙2「関係法令の定め」に記載のとおりである。以下,
地方自治法を「自治法」と,行政不服審査法を「行審法」と,公有水面埋立法
を「埋立法」という。
3前提事実(当事者間に争いのない事実又は弁論の全趣旨及び後掲証拠によっ
て容易に認められる事実)
⑴本件承認処分
ア普天間飛行場は,沖縄県宜野湾市の中央部にあり,昭和年からアメ
リカ合衆国軍隊による使用が開始され,現在は,同海兵隊の航空部隊の基
地として用いられている。
平成8年4月に行われた内閣総理大臣と駐日米国大使との会談において,
普天間飛行場につき,一定の措置を講じた後に返還される旨の合意がさ
れ,同年12月,日米安全保障協議委員会に出席した関係閣僚等により,
同飛行場の代替施設を設置し,運用が可能となった後に同飛行場を返還
する旨が承認された。(乙4,)
イ内閣は,「平成22年月28日に日米安全保障協議委員会において承
認された事項に関する当面の政府の取組について」と題する同日付け閣議
決定において,日米両国政府が,普天間飛行場を早期に移設・返還するた
め,代替施設をキャンプシュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に
設置することとし,必要な作業を進めていく旨決定した(争いなし)。
ウ沖縄防衛局は,平成年3月22日,沖縄県名護市辺野古の辺野古崎
地区及びこれに隣接する水域に普天間飛行場の代替施設を建設するため,
当時の沖縄県知事Cに対し,埋立法42条1項に基づき,同地区に隣接す
る公有水面の埋立ての承認を求めて,公有水面埋立承認願書を提出した
(乙1)。
エC知事は,平成年12月27日,沖縄防衛局に対し,上記埋立承認
出願で求められた公有水面の埋立て(以下「本件埋立事業」という。)を
承認した(甲3。本件承認処分)。
⑵本件承認取消処分
アA前沖縄県知事は,平成30年7月31日,沖縄防衛局長に対し,「予
定される不利益処分の内容」を本件承認処分の取消しとし,「不利益処分
の原因となる事実」を本件承認処分が事後的に処分要件を充足していない
と認められるに至っていること及び同処分に付された附款(留意事項)の
違反があることなどとして,同年8月9日に聴聞を行う旨通知した(乙2
0)。
イA前知事は,平成30年8月8日に死亡した。そこで,翌9日,自治法
2条1項に基づき,同日から同月12日までの間は第一順位の沖縄県
副知事Dの不在により第二順位の同県副知事Bが,同月13日から次の知
事が就任するまでの間はD副知事が,それぞれ知事の職務代理をすること
となった。(乙22,23)
ウ平成30年8月9日,上記アの聴聞手続が実施され,同日終了した(乙
42)。
エD副知事は,沖縄県知事職務代理者として,平成30年8月17日,自
治法3条1項に基づき,B副知事に対し,委任期間を沖縄県知事選挙
における当選人の告示日(同年月4日)の前日までに限った上で,
「普天間飛行場代替施設建設事業に対する公有水面埋立ての承認の取消処
分」などの事務を委任した(甲4)。
オB副知事は,平成30年8月31日,D副知事からの上記委任に基づき,
沖縄防衛局に対し,本件承認処分が事後的に処分要件を充足していないと
認められるに至っていること及び同処分に付された附款(留意事項)の違
反があることなどを理由として,本件承認処分を取り消す処分をした(甲
。本件承認取消処分。ただし,同処分が法的にB副知事によるものであ
るといえるか否かについては当事者間に争いがある。)。
カ沖縄県知事選挙は平成30年9月30日に実施され,原告は,同年
月4日,同選挙における当選人として告示された(乙26)。
⑶本件裁決
ア沖縄防衛局長は,平成30年月17日,埋立法を所管する大臣であ
る被告(国土交通省設置法4条1項7号)に対し,行審法2条及び自治
法条の2に基づくものとして,本件承認取消処分の取消しを求める
審査請求をするとともに(以下「本件審査請求」という。),行審法条
3項及び4項に基づくものとして,同処分の執行停止を申し立てた(甲6,
7)。
イ被告は,平成30年月30日,沖縄防衛局による上記執行停止申立
てについて,本件審査請求に対する裁決があるまでの間,本件承認取消処
分の効力を停止する旨の決定をした(甲8)。
ウ被告は,平成31年4月日,本件審査請求について,本件承認取消処
分を取り消す旨の裁決をし(本件裁決),翌6日,原告に対し,同裁決書
が送達された(甲1)。
⑷本件訴訟に至る経緯
ア原告は,平成31年4月22日,本件裁決が違法な国の関与に当たると
して,自治法0条の13第1項に基づき,国地方係争処理委員会に対
し,被告を相手方として,審査の申出をした(乙30。以下「本件審査申
出」という。)。
イ国地方係争処理委員会は,令和元年6月17日,本件審査申出について,
本件裁決が同委員会で審査すべき「国の関与」に当たらず,同委員会の審
査対象にならないとして,本件審査申出を却下する旨決定し(甲9。以下
「本件委員会決定」という。),同決定の内容は,同月19日,原告に対し
て通知された。
ウ原告は,令和元年7月17日,本件委員会決定に不服があるとして,自
治法1条の第1項に基づき,本件訴えを提起した。
4当事者の主張
⑴本件裁決が自治法1条の第1項に基づく訴訟の対象となる「国の関
与」に当たるか否か(本案前の争点)
(原告の主張)
自治法1条の第1項に基づく訴訟の対象となるのは,同法24条
の「国の関与」であるが(同法1条の第1項,0条の13第1
項),本件裁決は,国の機関が一定の行政目的を実現するため普通地方公共
団体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(同法24条3号)として
「国の関与」に当たるものであり,本件訴えは適法である。また,このこと
からすれば,本件審査申出は適法であり,本件委員会決定はこれを誤って却
下したものであるから,本件訴えは,国地方係争処理委員会による審査前置
の要件(同法1条の第1項各号)も満たすといえる。
ア自治法は「国の関与」から「審査請求に対する裁決」等を除外するが
(同法24条3号括弧書き),裁決の形式を採っていても,当該裁決に
成立の要件を欠く違法などがある場合には,当該裁決は,もはや「裁決」
と扱われず,「国の関与」に該当するというべきである。本件裁決には,
以下イないしエのとおり,成立の要件を欠く違法などが存するから,本件
裁決は,「裁決」として扱われず,「国の関与」に当たる。
イ本件裁決が行審法の適用がない処分についてされた違法な裁決であるこ

本件承認取消処分は,以下に述べるとおり,沖縄防衛局がその「固有の
資格」において相手方になったものであり,行審法が適用されない(同
法7条2項)。本件承認取消処分について同法に基づく不適法な審査請求
がされ,これに対する認容裁決がされても,同裁決には成立の要件を欠
く違法があり,「裁決」とは名ばかりの違法無効なものであるから,「国
の関与」から除外されない。
「固有の資格」とは,一般私人ではなく,国の機関等であるからこそ
立ち得る立場と理解されているところ,公有水面の埋立ての承認(以下
「埋立承認」という。)は,国の機関のみが名宛人となる処分である
(埋立法42条1項)。また,実質的にみても,国は公有水面を管理支
配する権能を有し,埋立承認により設定される権限又は法的地位は,国
以外の者に対する埋立ての免許(同法2条1項。以下「埋立免許」とい
う。)により設定される権利とは,その譲渡性の有無,監督処分等の条
文の適用の有無並びに公有水面の公用廃止及び所有権の成立の仕組みな
どの点で本質的に異なるものであり,国の機関のみがその主体となり得
るものである。「承認」が「免許」の単なる用語変換であるとはいえず,
国の機関は,その「固有の資格」において埋立承認の相手方となるもの
であり,この点は埋立承認を取り消す処分についても同様である。
また,本件承認処分の目的である本件埋立事業の内容をみても,同
事業は,国が国家としての立場で行う外交・防衛に関する条約上の義務
の履行という目的で実施されている。埋立てにより得られる利益につい
ても,外交・防衛上の一般公益であって行政不服審査制度が救済の対象
とする私人の個別的な権利利益ではない。このような本件埋立事業や埋
立てにより得られる利益の性質に照らしても,沖縄防衛局はその「固有
の資格」において本件承認取消処分の相手方となったものといえる。
被告は,国の機関等がその「固有の資格」において相手方となる処分
であるか否かについて,当該処分が行政処分,すなわち自己の権利義務
に直接具体的な効果を及ぼす処分であるか否かによって判断するべき旨
主張するが,行審法7条2項は,国の機関等に対する行政処分のうち,
「固有の資格」において処分の相手方になる場合を同法の適用除外とす
る規定であるから,被告の主張には理由がない。
ウ本件裁決が本件審査請求の審査庁になり得ない行政庁によってされた違
法な裁決であること
仮に本件承認取消処分に行審法の適用があるとしても,同処分は,沖縄
県知事職務代理者から事務の委任を受けたB副知事が行ったものであり,
「都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分」(自治法条の
2第1項1号)には当たらない。本件承認取消処分の「処分庁」はB副
知事であり,本件審査請求をすべき行政庁は,被告ではなく,B副知事
の最上級行政庁である原告である(行審法4条4号)。
したがって,本件裁決は本件審査請求の審査庁になり得ない被告が行っ
たものであり,本件裁決には成立の要件を欠く違法等が存するから,自
治法24条3号括弧書きの「裁決」と扱われず,「国の関与」から除外
されない。
エ本件裁決が審査庁の立場を著しく濫用してされた違法な裁決であるこ

仮に被告が本件審査請求の審査庁になり得るとしても,被告は,本件埋
立事業を推進してきた内閣の一員であり,同事業に関する従前の被告の
対応からしても,本件審査請求を中立・公正に判断できる立場にはない。
本件裁決は,被告が,内閣の一致した方針に従って,沖縄県名護市辺野
古に普天間飛行場の代替施設を建設するために本件承認取消処分の効力
を妨げることを目的として,中立的判断者たる審査庁の立場を放棄して
なしたものであるから,本件裁決には,行政不服審査に名を借りた濫用
的関与という違法が存し,本件裁決は,自治法24条3号括弧書きの
「裁決」に当たらず,「国の関与」から除外されないというべきである。
(被告の主張)
本件裁決は,沖縄防衛局による行審法に基づく審査請求に対する裁決であ
って,これが自治法24条3号括弧書きの「裁決」に当たることは明らか
であるから,「国の関与」から除外される。したがって,本件訴えは,「国の
関与」を対象としない不適法なものであり却下されるべきである。
ア原告は,裁決に成立の要件を欠く違法などが存する場合には,当該裁決
は自治法24条3号括弧書きの「裁決」とは扱われないなどと主張する
が,同法1条の第1項に定める訴えが法律の定める場合に限って提
起できる機関訴訟であることや,同法24条3号括弧書きが「国の関与」
から裁決等を除いている趣旨などに照らせば,裁決はその適法性いかんに
かかわらず,「国の関与」に該当しないものというべきである。
また,そもそも,以下イないしエのとおり,本件裁決に,原告の主張す
る違法は存しない。
イ本件裁決が行審法の適用がない処分についてされた違法な裁決であると
いう点について
原告は,本件承認取消処分について,沖縄防衛局がその「固有の資格」
において相手方になったものであり,行審法が適用されないと主張する。
しかしながら,「固有の資格」は,行政機関を相手方とする公権力の行使
に係る争訟が,特定人の権利利益の保護を目的とする主観争訟となるか,
法規の適正ないし一般公益の保護を目的とする客観争訟となるかを区
分・識別する概念である。そこで,国の機関等が,行政処分,すなわち
自己の権利義務に直接具体的な効果を及ぼす処分を受けた場合には,当
該機関等は「固有の資格」ではない立場において処分の相手方となった
ものといえる。
埋立承認は,国の機関に対して埋立てをなし得る法的地位・利益を与え
るものであり,その権利義務に直接具体的な効果を及ぼす処分として行
政処分に当たることが明らかであり,これを取り消す処分である承認取
消処分も同様に行政処分である。
したがって,沖縄防衛局は,その「固有の資格」ではない立場において,
本件承認取消処分を受けたものであり,同処分には行審法の適用がある。
よって,本件裁決に違法はない。
ウ本件裁決が本件審査請求の審査庁になり得ない行政庁によってされた違
法な裁決であるという点について
本件承認処分についての沖縄県やA前知事の従前の対応や委任の態様
などからすれば,D副知事がB副知事に事務の委任をした時点では既に
本件承認取消処分を行うことが決まっていたと考えざるを得ず,本件承
認取消処分は,沖縄県知事又はその職務代理者であるD副知事の処分と
いうべきものである。
したがって,本件承認取消処分は,自治法条の2第1項1号の
「都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分」に当たる。
また,仮にB副知事が本件承認取消処分をしたものだとしても,D副
知事による事務の委任は平成30年月3日に終了し,同月4日以降
は本件承認取消処分に関する権限がB副知事から原告に承継されている。
行審法の規定からすれば,処分をした行政庁の処分権限が別の行政庁に
承継された場合には,審査請求をすべき行政庁の基準となる「処分庁」
たる地位も,処分権限とともに承継されるものと解すべきであり,本件
審査請求時においては,本件承認取消処分の「処分庁」たる地位は,そ
の権限の承継に伴って,B副知事から原告に承継されている。
したがって,仮にB副知事が本件承認取消処分をしたものだとしても,
本件審査請求時においては,本件承認取消処分は,自治法条の2
第1項1号の「都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分」に当
たるというべきである。
以上のとおり,本件承認取消処分は,自治法条の2第1項1
号の「都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分」に当たるから,
本件審査請求をすべき行政庁は被告であり,本件裁決に違法はない。
エ本件裁決が審査庁の立場を著しく濫用してされた違法な裁決であるとい
う点について
埋立法の所管大臣である被告が本件承認取消処分の審査庁となることは,
上記ウのとおり,行審法及び自治法が当然に予定するものである。また,
閣議決定は,内閣の重要政策に関する基本的な方針として決定されるもの
であり,個別の処分の法令適合性の判断を拘束するようなものではない。
被告は,本件裁決に当たって,行審法上の審査庁として,埋立法の規定に
従って,審理及び判断を行ったものであり,被告が内閣の一員であること
によってその中立性や公正性が損なわれるものではない。
以上によれば,本件裁決は,被告が審査庁としての立場を濫用して行っ
たものとはいえず,本件裁決には何ら違法はない。
⑵本件裁決に取り消されるべき違法があるか否か
(原告の主張)
上記⑴で述べたとおり,本件裁決は違法であるから取り消されるべきであ
る。
(被告の主張)
上記⑴で述べたとおり,本件裁決には何らの違法も存しない。
第3当裁判所の判断
当裁判所は,争点⑴について,本件裁決が自治法24条3号括弧書きの
「裁決」に当たるものとして「国の関与」から除外され,同法1条の第
1項による訴訟の対象になり得ないことから,本件訴訟は不適法なものとして
却下されるべきであると判断する。以下,その理由を述べる。
1自治法1条の第1項による訴訟の対象となり得るのは,同法24条
所定の「国の関与」のうち,是正の要求,許可の拒否その他の処分その他公権
力の行使に当たるものである(同法1条の第1項,0条の13第1
項)。そこで,同法1条の第1項による訴訟において取消しを求める対
象が「国の関与」に当たらない場合,その訴えは不適法となる。
同法24条各号は,「国の関与」に当たるものとして,普通地方公共団体
の事務の処理に関し,国の行政機関が行う助言,是正の要求,同意,許可,指
示等のほか,一定の行政目的を実現するため普通地方公共団体に対して具体的
かつ個別的に関わる行為(いずれも普通地方公共団体がその固有の資格におい
て名宛人となるものに限る。)を掲げ,同条3号括弧書きで「国の関与」から
「審査請求その他の不服申立てに対する裁決,決定その他の行為」を除外する。
本件裁決は,行審法に基づく審査請求に対する裁決の形式でされたものである
ところ,同審査請求に対する裁決は,基本的には,上記「不服申立てに対する
裁決」として「国の関与」から除外され,同法1条の第1項に基づく訴
訟の対象になり得ないものである。
この点について,原告は,本件裁決には,々埒核,療用がない処分につい
てされたものであること,⊃該債になり得ない行政庁によってされたもので
あること,審査庁がその立場を著しく濫用してされたものであることなど,
成立の要件を欠く違法等が存するから,本件裁決は,自治法24条3号括弧
書きの「裁決」とは扱われず,「国の関与」に該当する旨主張する。
そこで,以下,原告の主張に沿って,本件裁決が同号括弧書きの「裁決」と
して「国の関与」から除外されないものであるか否かについて検討する。
2本件裁決が行審法の適用がない処分についてされた違法な裁決であるという
点について
⑴原告は,本件承認取消処分については,沖縄防衛局がその「固有の資格」
において相手方になったものであり,本件裁決は,本件承認取消処分に行審
法が適用されないにもかかわらず(同法7条2項),同法に基づきされたも
のであって,成立の要件を欠く違法が存するから,「国の関与」から除外さ
れない旨主張する。
⑵そこで,まず,原告が主張するように,行審法の適用がない処分に関して
された裁決については,「国の関与」から除外されないと解することができ
るか否かについて検討する。
ア自治法は,国と地方公共団体等との間を上下の関係ではなく,対等・協
力の関係とし,地方公共団体の自主性・自立性を確保するため,同法24
条所定の「国の関与」等について,関与の法定主義(同法24条の
2),関与の基本原則(その目的を達成するために必要な最小限度のもの
にしなければならないなど。同法24条の3),関与において従うべき
手続(同法246条以下),関与に関する係争処理制度(同法0条の
7以下)などを定めて規制の対象としている。
そして,自治法24条3号括弧書きは,このような規制の対象となる
「関与」から,「不服申立てに対する裁決」等を除外するところ,その趣
旨は,裁決等が紛争解決のために行われる準司法的な手続であり,別途
法律の根拠及び手続が定められているのが通例である点,紛争当事者の
権利救済等を考えると関与を必ずしも必要最小限にすべきものとは言え
ない点,紛争解決のための手続に加えて関与に係る係争処理制度の対象
ともすることは,いたずらに当事者を不安定な状態に置き紛争の早期解
決に資さないと考えられる点にあると解される。
イ裁決の内容や手続に違法があるとしても,それが裁決であること自体は
否定できず,自治法が上記のとおり「関与」から裁決を除外した趣旨も妥
当するから,このような違法な裁決であっても,基本的には,自治法24
条3号括弧書きの「裁決」に当たる。
もっとも,国の機関がその「固有の資格」において相手方となった処分
については,一般私人の救済のための法律である行審法を適用する前提
を欠くものであり,同法は適用されない(同法7条2項)。そうであるに
もかかわらず,当該処分を受けた国の機関から同法を根拠に審査請求が
され,同じく国の機関である審査庁の裁決により当該処分の取消しなど
がされた場合には,当該裁決は法律上の根拠を欠くものとして有効な裁
決とはいい難く,また,審査請求人は行審法に基づく救済をおよそ受け
るべき立場にないのであるから,「関与」から裁決を除外した趣旨も妥当
しない。
このような場合には,裁決の形式が採られていても,実質的には,国の
機関から,普通地方公共団体に対し,裁決以外の方法による「関与」が
行われたのと同視できるというべきであり,当該行為は,自治法24
条3号括弧書きの定める「裁決」に当たらず,「国の関与」から除外され
ないものと解するのが相当である。
⑶そこで,本件承認取消処分について,沖縄防衛局がその「固有の資格」に
おいて相手方となったものであるか否かを検討する。なお,本件承認取消処
分は,本件承認処分(埋立承認)を取り消すものであり,本件承認取消処分
について,沖縄防衛局がその「固有の資格」において相手方となったものか
否かは,埋立承認の性質と表裏の関係にあるので,以下では,埋立承認の場
合を前提として,この点を検討することとする。
ア国の機関等がその「固有の資格」において相手方となる処分について行
審法の適用が否定される(同法7条2項)のは,上記のとおり,同法は一
般私人の救済のための法律であり,国の機関等に対しても,一般私人と同
じ立場で処分を受けた場合には同法を適用するべきであるものの,一般私
人と異なる立場で処分を受けた場合には同法の適用の前提を欠くためであ
る。
このような趣旨に照らせば,「固有の資格」とは,一般私人では立ち得
ず,国の機関等であるからこそ立ち得る特有の立場であると解するのが
相当である。そして,国の機関等に対する処分について,形式的には処
分の名宛人が国の機関等に限定されていたり,一般私人と異なる規制が
されていたりしても,処分の性質・効果や要件などに照らし,当該処分
が,一般私人に対する処分と本質的に異なるものではないのであれば,
国の機関等であるからこそ立ち得る特有の立場,すなわち「固有の資格」
において相手方となるものには当たらないというべきである。
なお,国の機関等がその「固有の資格」において相手方となる処分の中
には,当該処分によって国の機関等の法的地位に直接影響を与えるもの
が含まれるから,「固有の資格」において相手方となるものか否かは,必
ずしも当該処分が相手方の法的地位に直接影響を与えるものか否かとい
う面から決まるものではないと解される。
イ以上を踏まえて検討すると,国は本来公有水面を管理支配する権能を有
するが(埋立法1条参照),埋立法は,公有水面の埋立事業の規制権能の
行使を国ではなく都道府県の事務とし,一般私人及び事業者としての地方
公共団体(以下「一般私人等」という。)が公有水面の埋立てを行うため
には,都道府県知事の免許(埋立免許)を受けなければならないとすると
ともに(同法2条1項),国が埋立てを行うためにも,当該事業を施行す
る官庁が都道府県知事の承認(埋立承認)を受けなければならないとして
いる(同法42条1項)。
埋立承認という処分の相手方となり得るのは国の機関に限られるが,公
有水面の埋立事業は,埋立地に私法上の所有権を取得することを目的と
して公有水面を陸地化する事実行為であり,その主体としては上記のと
おり一般私人等と国の機関それぞれが想定され,主体によって行為の性
質が異なるものではない。そして,かかる埋立事業について,都道府県
知事の許認可等がなければ施行できないのは,上記のように一般私人等
であっても,国の機関であっても変わりがなく,埋立承認と埋立免許は,
その性質・効果の面からみれば,いずれも埋立事業を実施しようとする
者の出願に対し,一定の公有水面の埋立てを排他的に行って土地を造成
すべき権限を付与する処分という点で共通している。また,埋立承認の
実体的・手続的要件は,免許料に関する規定を除き,埋立免許の規定が
全て準用され共通しており(埋立法42条3項,2条2項及び3項,3
条ないし11条),国が公有水面を管理支配する権能を有していることな
どに由来する特則も設けられていない。これらのことからすれば,埋立
免許によって付与される権限と埋立承認によって付与される権限とは本
質的に異なるものではなく,都道府県知事は,これらの処分の可否を判
断するという場面においては,基本的に国の機関と一般私人等とを区別
することなく同様に扱うことが予定されているといえる。
このように処分の性質・効果や要件などの面からみれば,国の機関等に
対する埋立承認は,一般私人等に対する埋立免許と本質的に異ならない
ものといえる。
ウ埋立承認と埋立免許の相違点をみると,原告も指摘するように,一般私
人等が埋立免許を受けた場合には,当該一般私人等は,実際に埋立てをし
た上で,埋立工事等が免許等に適合しているかを検査・認定する都道府県
知事による竣功認可を受けることが要求され,この竣功認可という別個の
処分及びその告示がされることによる法律効果として,公有水面の公用廃
止がされ,埋立地の私法上の所有権が発生するのに対し(埋立法22条な
いし24条),国の機関が埋立承認を受けた場合には,竣功認可を受ける
必要はなく,当該機関は,同承認に従った埋立てをした上で,都道府県知
事にその旨を通知(竣功通知)すれば足りるとされている(同法42条2
項)。
しかしながら,竣功認可のような別個の処分が要求されていないとして
も,埋立承認自体から公有水面の公用廃止や埋立地の所有権の成立とい
う法律効果が生じるものではなく,国の機関が埋立承認により付与され
た埋立権限に基づき,その内容に適合する埋立てを実施し,竣功通知を
することによって,国の公有水面に対する支配権が埋立地の所有権に代
わるという法律効果が生じるものである。そして,上記のような相違が
ありながら両処分の要件が共通していることなどに照らせば,都道府県
知事による埋立承認の判断は,埋立免許と同じく,相手方に対して適法
に埋立てをする権限を付与するという限度にのみ及んでおり,原告の主
張するように,埋立承認によって,国の機関に対して公用廃止の効果を
有する竣功通知を行う権限までをも付与するものと解することはできな
い。そうすると,上記の相違は,埋立承認及び埋立免許それ自体の性
質・効果に関わるものではなく,これらの処分に基づく埋立てが実施さ
れた後の所有権発生等の手続について,国が公有水面の管理支配権能を
有することや国による埋立事業への信用性などに由来する特則を定めた
ものにすぎないといえる。「固有の資格」性は,特定の処分について行審
法に基づく救済を認めるべきか否かに関する基準であるから,当該処分
自体の性質・効果を中心に判断されるべきであり,処分がされた後の手
続に関して上記のような相違があることをもって,埋立承認が,国の機
関であるからこそ立ち得る立場で受ける処分ということはできないとい
うべきである。
エ両処分にはそのほかにも,埋立免許を受けた場合についての埋立てをす
る権利(埋立権)の譲渡・移転に関する規定(埋立法18条以下)や,事
業者への都道府県知事による監督に関する規定(同法32条ないし3条
等)が埋立承認に準用されていないなどの相違がある。
しかしながら,埋立権の譲渡・移転に関する規定が準用されていないと
しても,そのことから直ちに埋立承認により付与された権限が一切譲
渡・移転できないものであると解されるかは疑問であるし,仮に同規定
が準用されていないことが同権限の譲渡・移転を許さない趣旨によるも
のだとしても,それは,同権限による埋立事業は竣功認可の要否や監督
などの点で埋立免許によるものとは異なり,埋立事業の途中で同権限を
一般私人等に移転させた場合などにはこれらの規律の面で複雑・困難な
処理が必要になるという技術的理由によるものというべきである。また,
このような相違によっても,上記のとおり,処分自体の実体的・手続的
要件に差が設けられているわけでもないことなどに照らせば,上記相違
を踏まえても,両処分により付与される権限が本質的に異なるものとい
うことはできない。監督に関する規定が準用されていないことについて
も,監督の要否は,公有水面への支配権を有するという国の立場や,事
業主体の信用,資力,事業遂行能力,遵法性などによって異なるもので
あり,かかる相違は処分がされた後の埋立事業に関するものであること
からしても,両処分の性質を左右するようなものではなく,その本質部
分における相違ではないというべきである。
オ以上のとおり,「免許」と「承認」という用語は異なるものの,これら
の処分における具体的な相違は,その処分の本質に関わらないものであり,
当該処分の「固有の資格」性の判断を左右するものとはいえない。両処分
は,いずれも相手方に適法に埋立てをする権限を付与するという点で共通
しており,これらの処分の結果行われる埋立事業も,その主体によって行
為の性質が異なるものではない。そして,各処分の要件・判断基準は基本
的に共通しており,都道府県知事は,各処分をする場面において,国の機
関と一般私人等とを区別することなく,同様に扱うことが予定されている。
これらの点に照らせば,埋立承認と埋立免許はその本質において異なる
ものではなく,国の機関は,埋立承認について,一般私人と同様の立場
でその相手方となるものであり,国の機関等であるからこそ立ち得る特
有の立場,すなわち「固有の資格」において,相手方となるものではな
いといえる。そして,この点は,埋立承認の取消処分についても同様で
ある。
カこれに対し,原告は,本件埋立事業が,国家としての立場で行う外交・
防衛に関する条約上の義務の履行という目的をもってされたものであり,
このような本件埋立事業の性格等に照らせば,沖縄防衛局はその「固有の
資格」において本件承認取消処分の相手方となったものである旨主張する。
しかしながら,埋立ての必要性としての埋立地の用途は,埋立承認又は
埋立免許の要件として考慮されるものにすぎず(埋立法4条1項1号,
3号,4号),埋立地の用途がいかなるものであるかは,埋立地の所有権
を取得するために公有水面を陸地化する事実行為である埋立行為の性質
を左右するものではなく,また,このような埋立行為をする権限を付与
する処分である埋立承認又は埋立免許の性質・効果に影響を及ぼすもの
でもない。国の機関等がその「固有の資格」で処分の相手方となるもの
か否かは,あくまで当該処分の性質・効果等によって決まるものという
べきであるから,原告が指摘する点は,「固有の資格」性についての上記
判断を左右するものではない。
⑷以上によれば,本件承認取消処分は,沖縄防衛局が,その「固有の資格」
において相手方となったものではなく,沖縄防衛局は,本件承認取消処分に
ついて,行審法に基づき,所定の行政庁に審査請求をすることができる。
したがって,この点を理由に,本件裁決が自治法24条3号の「裁決」
に当たらず,「国の関与」から除外されないということはできず,この点に
関する原告の主張は採用できない。
3本件裁決が本件審査請求の審査庁になり得ない行政庁によってされた違法な
裁決であるという点について
⑴原告は,本件承認取消処分に行審法の適用があるとしても,同処分は,知
事職務代理者から事務の委任を受けたB副知事がした処分であるから,「都
道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分」(自治法条の2第1
項1号)に当たらず,審査請求をすべき行政庁は,処分庁の最上級行政庁で
ある原告であるとし(行審法4条4号),本件裁決には,本件審査請求の審
査庁になり得ない者による裁決であるという成立の要件を欠く違法等が存す
るから,「国の関与」から除外されない旨主張する。
⑵そこで検討すると,仮に本件裁決が何らの権限も有しない機関によってさ
れたものだとすれば,本件裁決は裁決として有効に成立しているということ
はできず,本件裁決が,自治法24条3号括弧書きの「裁決」に当たらず,
「国の関与」から除外されないという解釈も可能になり得る。
アそれを前提に本件承認取消処分について審査請求をすべき行政庁をみる
と,まず,前記前提事実のとおり,本件承認取消処分は,A前知事の死亡
に伴い,知事職務代理者となったD副知事からの事務の委任を受けたB副
知事による処分という形式で行われている。そして,被告が指摘する点を
踏まえても,D副知事からB副知事に事務を委任した際に本件承認取消処
分を行うことが確定的に決定されていたことなどを裏付けることはできな
いから,本件承認取消処分は,その形式に従い,B副知事がした処分であ
ると認めるのが相当である。
もっとも,D副知事によるB副知事への事務の委任期間は,新たな沖
縄県知事選挙に係る当選告示日の前日までとされており,B副知事の本
件承認取消処分に関する権限は,本件審査請求時には消滅している。そ
こで,このように実際に処分をした行政庁の権限が審査請求時に消滅又
は移転している場合において,行審法4条の「処分庁」及び自治法
条の2第1項1号の「都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処
分」をいかに解するべきか検討する。
イ行審法における「処分庁」の意義についてみると,同法46条1項によ
れば,審査庁が「処分庁」の上級行政庁又は「処分庁」のいずれかである
場合において,処分についての審査請求に理由があるときは,審査庁は,
裁決で当該処分の全部若しくは一部を取り消し,又はこれを変更する旨規
定されているところ,このような裁決をすることは,あくまで審査庁であ
る「処分庁」又はその上級行政庁が,現に当該処分についての処分権限を
有し,あるいは,現に処分権限を有する機関への指揮監督権限を有してい
ることによって正当化されるものというべきである。また,同法2条2
項も,申請に対する処分を取り消す裁決がされた場合には,「処分庁」は,
裁決の趣旨に従って,改めて申請に対する処分をしなければならないと定
めており,かかる規定からも,「処分庁」は,審査請求時に裁決に従った
対応をする権限を有するものとして現存していることが予定されていると
みるべきである。このように行審法が,処分庁や審査庁が時期に応じて変
動し得ることを予定していることは,同法14条が,審査請求のされた後
の法令の改廃により行政庁が裁決権限を有しなくなった場合の手続を定め
ていることからもうかがえる。
ウこれらの点を踏まえると,処分をした行政庁の有する処分権限が,審査
請求時までに消滅又は移転した場合には,現に処分権限を有する行政庁が
処分を行った行政庁としての立場も承継しているとみるべきであり,当該
行政庁が行審法4条の「処分庁」に当たるものと解される。このことは,
処分権限者からの委任に基づき処分を行った行政庁が,その委任の終了に
伴い処分権限を失った場合も同様であり,この場合には委任者が「処分庁」
ということになる。
そして,自治法条の2は,行審法4条の特則であるから,同条と
整合的に解釈するべきであり,審査請求時において,都道府県知事から
の事務の委任に基づいて処分をした機関への委任が終了している場合に
は,委任者である都道府県知事が処分をした機関としての立場も承継し
ているとみるべきであり,当該処分は,「都道府県知事の処分」に当たる
ものと解される。
なお,原告は,上記のように解すると処分時と審査請求時で審査請求を
すべき行政庁が異なることになり,審査請求人が処分時に処分庁から教
示された行政庁に審査請求をしたにもかかわらず,審査請求が却下され
ることになりかねないなどと主張するが,このような場合には,審査請
求人は,行審法22条の適用により又は同条に準じて救済されるものと
解するべきであるから,原告が指摘する点は上記判断を左右するものと
はいえない。
エ前記前提事実のとおり,B副知事の本件承認取消処分の権限に係る委任
期間は,新たな沖縄県知事選挙に係る当選告示日の前日までとされており,
B副知事の権限及び処分をした行政庁としての立場は,同当選告示日の前
日である平成30年月3日の終了をもって委任者たるD副知事に承継
され,当選告示をもって原告に承継されたことになる。
そうすると,本件審査請求時において,行審法4条の「処分庁」は原告
であり,本件承認取消処分は法定受託事務に関する「都道府県知事の処
分」に当たり,本件承認取消処分について,審査請求をすべき行政庁は
埋立法の所管大臣である被告となる(自治法条の2第1項1号,
2条9項1号,同条項,別表第1)。
⑶以上のとおり,本件裁決は,審査庁になり得ない者が行った裁決とはいえ
ない。
したがって,この点を理由に,本件裁決が自治法24条3号の「裁決」
に当たらず,「国の関与」から除外されないということはできず,この点に
関する原告の主張は採用できない。
4本件裁決が審査庁の立場を著しく濫用してされた違法な裁決であるという点
について
⑴原告は,被告が本件埋立事業を推進してきた内閣の一員であり,同事業に
関する従前の被告の対応からして,被告は,本件審査請求を中立・公正に判
断できる立場になく,本件裁決は,被告が,内閣の一致した方針に従って,
沖縄県名護市辺野古に普天間飛行場の代替施設を建設するために本件承認取
消処分の効力を妨げることを目的として,中立的判断者たる審査庁の立場を
放棄してなしたものであるから,本件裁決には,行政不服審査に名を借りた
濫用的関与という違法が存し,自治法24条3号括弧書きの「裁決」に当
たらず,「国の関与」から除外されない旨主張する。
⑵そこで検討すると,行審法は,国の機関であっても,その「固有の資格」
によらずに相手方となった処分については審査請求ができるものとし(同法
7条2項参照),自治法は,法定受託事務に関する都道府県知事の処分につ
いて審査請求をすべき行政庁を,当該処分に係る事務を規定する法律を所管
する大臣とする(同法条の2第1項1号)。これらの規定からすれば,
法定受託事務に関する都道府県知事の処分については,審査請求人と審査庁
のいずれもが国の機関となることは,行政不服審査制度上当然に予定されて
いるといえる。そして,行審法は,手続及び判断の公正を担保するため,一
定の場合に審理員による審理や行政不服審査会への諮問を義務付けているも
のの(同法9条,43条),このように審査請求人と審査庁が同一の行政主
体に所属する場合について,他に何らの措置も講じていない。行審法等が上
記のような場合を許容しているのは,所管法令の適用における要件審査は所
管行政庁に属し,所管行政庁は所管法令を適正に解釈・適用するものとされ
ているから,上記のような場合であっても,制度上,必ずしも審査請求人と
審査庁の利害が共通することにはならないという考えによるものというべき
である。
したがって,法定受託事務に関する都道府県知事の処分についての国の機
関からの審査請求に対し,同じく国の機関である所管大臣が審査すること自
体で直ちに違法ということはできない。
⑶原告が指摘するように,被告は,内閣の構成員であり,内閣は,本件埋立
事業についてこれを推進していく旨の閣議決定などをしている立場にある。
しかしながら,閣議決定は,内閣の重要政策に関する基本的な方針として
決定されるものであり(内閣法4条2項),基本的には,個別の処分につい
ての所管大臣による法令適合性の判断を直ちに拘束するものとはいえない。
そして,本件裁決をするべきか否かという点について何らかの閣議決定ある
いは内閣総理大臣からの具体的な指示などがされたことをうかがわせる証拠
もないことからすれば,原告が指摘する事情をもって,被告が本件審査請求
に対して中立的判断者たる審査庁の立場を放棄していたということはできな
い。その他の証拠を踏まえても,少なくとも,本件裁決が実質的に「裁決」
には当たらないといえる程に,被告がその権限・立場を著しく濫用して本件
裁決をしたことを裏付ける事実は認めるに足りないというべきである。
⑷以上のとおり,この点を理由に,本件裁決が自治法24条3号括弧書き
の「裁決」に当たらず,「国の関与」から除外されないということはできず,
この点に関する原告の主張は採用できない。
以上によれば,本件裁決が,自治法24条3号括弧書きの「裁決」に当た
らず,同条所定の「国の関与」に含まれるということはできない。
本件訴えは,「国の関与」に当たらない処分を対象とするものであって,不
適法である。また,上記によれば,本件裁決が「国の関与」に当たらないとし
て,本件審査申出を却下した本件委員会決定は正当なものであり,本件訴えは
適法な審査申出を前置しておらず,自治法1条の第1項各号のいずれに
も該当しないから,この点からも不適法である。
6結論
よって,本件訴えは不適法なものであるから,これを却下することとし,主
文のとおり判決する。
福岡高等裁判所那覇支部民事部
裁判長裁判官 大久保正道
裁判官 本多智子
裁判官 平山俊輔
別紙2
関係法令の定め
第1地方自治法
(第24条)
本章において「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与」とは,普通
地方公共団体の事務の処理に関し,国の行政機関(内閣府設置法(平成11年法
律第89号)第4条第3項に規定する事務をつかさどる機関たる内閣府,宮内庁,
同法第49条第1項若しくは第2項に規定する機関,国家行政組織法(昭和23
年法律第1号)第3条第2項に規定する機関,法律の規定に基づき内閣の所
轄の下に置かれる機関又はこれらに置かれる機関をいう。以下本章において同
じ。)又は都道府県の機関が行う次に掲げる行為(普通地方公共団体がその固有
の資格において当該行為の名あて人となるものに限り,国又は都道府県の普通地
方公共団体に対する支出金の交付及び返還に係るものを除く。)をいう。
一普通地方公共団体に対する次に掲げる行為
イ助言又は勧告
ロ資料の提出の要求
ハ是正の要求(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反している
とき又は著しく適正を欠き,かつ,明らかに公益を害しているときに当該普
通地方公共団体に対して行われる当該違反の是正又は改善のため必要な措置
を講ずべきことの求めであって,当該求めを受けた普通地方公共団体がその
違反の是正又は改善のため必要な措置を講じなければならないものをいう。)
ニ同意
ホ許可,認可又は承認
ヘ指示
ト代執行(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき
又は当該普通地方公共団体がその事務の処理を怠っているときに,その是正
のための措置を当該普通地方公共団体に代わって行うことをいう。)
二普通地方公共団体との協議
三前二号に掲げる行為のほか,一定の行政目的を実現するため普通地方公共団
体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(相反する利害を有する者の間の利
害の調整を目的としてされる裁定その他の行為(その双方を名あて人とするも
のに限る。)及び審査請求その他の不服申立てに対する裁決,決定その他の行
為を除く。)
(第0条の13)
1普通地方公共団体の長その他の執行機関は,その担任する事務に関する国の
関与のうち是正の要求,許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たる
もの(次に掲げるものを除く。)に不服があるときは,委員会に対し,当該国
の関与を行った国の行政庁を相手方として,文書で,審査の申出をすることが
できる。
(以下略)
(第1条の)
1第0条の13第1項又は第2項の規定による審査の申出をした普通地方
公共団体の長その他の執行機関は,次の各号のいずれかに該当するときは,高
等裁判所に対し,当該審査の申出の相手方となった国の行政庁(国の関与があ
った後又は申請等が行われた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継された
ときは,当該他の行政庁)を被告として,訴えをもって当該審査の申出に係る
違法な国の関与の取消し又は当該審査の申出に係る国の不作為の違法の確認を
求めることができる。ただし,違法な国の関与の取消しを求める訴えを提起す
る場合において,被告とすべき行政庁がないときは,当該訴えは,国を被告と
して提起しなければならない。
一第0条の14第1項から第3項までの規定による委員会の審査の結果
又は勧告に不服があるとき。
二第0条の18第1項の規定による国の行政庁の措置に不服があるとき。
三当該審査の申出をした日から90日を経過しても,委員会が第0条の
14第1項から第3項までの規定による審査又は勧告を行わないとき。
四国の行政庁が第0条の18第1項の規定による措置を講じないとき。
(以下略)
(第条の2)
1法定受託事務に係る次の各号に掲げる処分及びその不作為についての審査請
求は,他の法律に特別の定めがある場合を除くほか,当該各号に定める者に対
してするものとする。この場合において,不作為についての審査請求は,他の
法律に特別の定めがある場合を除くほか,当該各号に定める者に代えて,当該
不作為に係る執行機関に対してすることもできる。
一都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分当該処分に係る事務を
規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣
二〜四(略)
2普通地方公共団体の長その他の執行機関が法定受託事務に係る処分をする権
限を当該執行機関の事務を補助する職員若しくは当該執行機関の管理に属する
機関の職員又は当該執行機関の管理に属する行政機関の長に委任した場合にお
いて,委任を受けた職員又は行政機関の長がその委任に基づいてした処分に係
る審査請求につき,当該委任をした執行機関が裁決をしたときは,他の法律に
特別の定めがある場合を除くほか,当該裁決に不服がある者は,再審査請求を
することができる。この場合において,当該再審査請求は,当該委任をした執
行機関が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求
をすべき者に対してするものとする。
第2行政不服審査法
(第4条)
審査請求は,法律(条例に基づく処分については,条例)に特別の定めがある
場合を除くほか,次の各号に掲げる場合の区分に応じ,当該各号に定める行政庁
に対してするものとする。
一〜三(略)
四前三号に掲げる場合以外の場合当該処分庁等の最上級行政庁
(第7条)
1(略)
2国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分
で,これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となる
もの及びその不作為については,この法律の規定は,適用しない。
第3公有水面埋立法
(第2条)
1埋立ヲ為サムトスル者ハ都道府県知事(地方自治法(昭和22年法律第67
号)第2条の19第1項ノ指定都市ノ区域内ニ於テハ当該指定都市ノ長以
下同ジ)ノ免許ヲ受クヘシ
2前項ノ免許ヲ受ケムトスル者ハ国土交通省令ノ定ムル所ニ依リ左ノ事項ヲ記
載シタル願書ヲ都道府県知事ニ提出スベシ
一氏名又ハ名称及住所並法人ニ在リテハ其ノ代表者ノ氏名及住所
二埋立区域及埋立ニ関スル工事ノ施行区域
三埋立地ノ用途
四設計ノ概要
五埋立ニ関スル工事ノ施行ニ要スル期間
3前項ノ願書ニハ国土交通省令ノ定ムル所ニ依リ左ノ図書ヲ添附スベシ
一埋立区域及埋立ニ関スル工事ノ施行区域ヲ表示シタル図面
二設計ノ概要ヲ表示シタル図書
三資金計画書
四埋立地(公用又ハ公共ノ用ニ供スル土地ヲ除ク)ヲ他人ニ譲渡シ又ハ他
人ヲシテ使用セシムルコトヲ主タル目的トスル埋立ニ在リテハ其ノ処分方法
及予定対価ノ額ヲ記載シタル書面
五其ノ他国土交通省令ヲ以テ定ムル図書
(第3条)
1都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願アリタルトキハ遅滞ナク其ノ事件ノ要領ヲ
告示スルトトモニ前条第2項各号ニ掲グル事項ヲ記載シタル書面及関係図書ヲ
其ノ告示ノ日ヨリ起算シ3週間公衆ノ縦覧ニ供シ且期限ヲ定メテ地元市町村長
ノ意見ヲ徴スベシ但シ其ノ出願ガ却下セラルベキモノナルトキハ此ノ限ニ在ラ

2都道府県知事前項ノ告示ヲ為シタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ関係都道府県知
事ニ通知スベシ
3第1項ノ告示アリタルトキハ其ノ埋立ニ関シ利害関係ヲ有スル者ハ同項ノ縦
覧期間満了ノ日迄都道府県知事ニ意見書ヲ提出スルコトヲ得
4市町村長第1項ノ規定ニ依リ意見ヲ述ベムトスルトキハ議会ノ議決ヲ経ルコ
トヲ要ス
(第4条)
1都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願左ノ各号ニ適合スト認ムル場合ヲ除クノ外
埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ
一国土利用上適正且合理的ナルコト
二其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト
三埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体(港務
局ヲ含ム)ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト
四埋立地ノ用途ニ照シ公共施設ノ配置及規模ガ適正ナルコト
五第2条第3項第4号ノ埋立ニ在リテハ出願人ガ公共団体其ノ他政令ヲ以テ
定ムル者ナルコト並埋立地ノ処分方法及予定対価ノ額ガ適正ナルコト
六出願人ガ其ノ埋立ヲ遂行スルニ足ル資力及信用ヲ有スルコト
2前項第4号及第号ニ掲グル事項ニ付必要ナル技術的細目ハ国土交通省令ヲ
以テ之ヲ定ム
3都道府県知事ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ関シ権利
ヲ有スル者アルトキハ第1項ノ規定ニ依ルノ外左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ
非ザレバ埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ス
一其ノ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者埋立ニ同意シタルトキ
二其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ
三其ノ埋立カ法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ為必要ナ
ルトキ
(第6条)
1埋立ノ免許ヲ受ケタル者ハ政令ノ定ムル所ニ依リ第4条第3項ノ権利ヲ有ス
ル者ニ対シ其ノ損害ノ補償ヲ為シ又ハ其ノ損害ノ防止ノ施設ヲ為スヘシ
2漁業権者及入漁権者ノ前項ノ規定ニ依ル補償ヲ受クル権利ハ共同シテ之ヲ有
スルモノトス
3第1項ノ補償又ハ施設ニ関シ協議調ハサルトキ又ハ協議ヲ為スコト能ハサル
トキハ都道府県知事ノ裁定ヲ求ムヘシ
(第7条)
1前条ノ規定ニ依リ漁業権者ニ対シ損害ノ補償ヲ為スヘキ場合ニ於テ其ノ漁業
権カ登録シタル先取特権又ハ抵当権ノ目的タルトキハ埋立ノ免許ヲ受ケタル者
ハ其ノ補償ノ金額ヲ供託スヘシ但シ先取特権者又ハ抵当権者ノ同意ヲ得タルト
キハ此ノ限ニ在ラス
2前項ノ規定ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ付存スル漁
業権又ハ入漁権カ訴訟ノ目的タル為訴訟当事者ヨリ請求アリタル場合ニ之ヲ準
用ス
3登録シタル先取特権若ハ抵当権ヲ有スル者又ハ訴訟当事者ハ前二項ノ規定ニ
依ル供託金ニ対シテモ其ノ権利ヲ行フコトヲ得
(第8条)
1埋立ノ免許ヲ受ケタル者ハ第6条ノ規定ニ依リ損害ノ補償ヲ為スヘキ場合ニ
於テハ其ノ補償ヲ為シ又ハ前条ノ規定ニ依ル供託ヲ為シタル後ニ非サレハ第4
条第3項ノ権利ヲ有スル者ニ損害ヲ生スヘキ工事ニ著手スルコトヲ得ス但シ其
ノ権利ヲ有スル者ノ同意ヲ得タルトキ又ハ都道府県知事ノ裁定シタル補償ノ金
額ヲ供託シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
2埋立ノ免許ヲ受ケタル者ハ第6条ノ規定ニ依リ損害防止ノ施設ヲ為スヘキ場
合ニ於テハ其ノ施設ヲ為シタル後ニ非サレハ第4条第3項ノ権利ヲ有スル者ニ
損害ヲ生スヘキ工事ニ著手スルコトヲ得ス但シ其ノ権利ヲ有スル者ノ同意ヲ得
タルトキハ此ノ限ニ在ラス
(第11条)
都道府県知事埋立ヲ免許シタルトキハ其ノ免許ノ日及第2条第2項第1号乃至
第3号ニ掲グル事項ヲ告示スヘシ
(第12条)
1都道府県知事ハ埋立ニ付免許料ヲ徴収スルコトヲ得
2前項ノ免許料ノ徴収及帰属ニ関シ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
(第16条)
1埋立ノ免許ヲ受ケタル者ハ都道府県知事ノ許可ヲ受クルニ非サレハ埋立ヲ為
ス権利ヲ他人ニ譲渡スルコトヲ得ス
2前項ノ規定ニ依リ埋立ヲ為ス権利ヲ譲受ケタル者ハ埋立ニ関スル法令又ハ之
ニ基キテ為ス処分若ハ其ノ条件ニ依リ譲渡人ニ生シタル権利義務ヲ承継ス但シ
第6条第1項,第条又ハ前条ノ規定ニ依ル義務ハ譲渡人及譲受人連帯シテ
之ヲ負フ
(第17条)
1埋立ノ免許ヲ受ケタル者ノ相続人ハ其ノ被相続人ノ有シタル埋立ヲ為ス権利
ヲ承継ス
2前条第2項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
(第18条)
理立ヲ為ス会社ノ発起人カ会社成立ノ後ニ於テ会社ノ為ス埋立ニ付免許ヲ受ケ
タル場合ニ於テ会社成立シタルトキハ埋立ヲ為ス権利其ノ他ノ埋立ニ関スル法令
又ハ之ニ基キテ為ス処分若ハ其ノ条件ニ依リ生シタル権利義務ハ会社之ヲ承継ス
(第19条)
埋立ノ免許ヲ受ケタル会社合併ニ因リテ消滅シタルトキハ埋立ヲ為ス権利其ノ
他ノ埋立ニ関スル法令又ハ之ニ基キテ為ス処分若ハ其ノ条件ニ依リ生シタル権利
義務ハ合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ成立シタル会社之ヲ承継ス
(第19条の2)
埋立ノ免許ヲ受ケタル会社ニ付分割(当該免許ニ係ル事業ヲ承継セシムルモノ
ニ限ル)アリタルトキハ埋立ヲ為ス権利其ノ他ノ埋立ニ関スル法令又ハ之ニ基キ
テ為ス処分若ハ其ノ条件ニ依リ生ジタル権利義務ハ分割ニ因リテ当該事業ヲ承継
シタル会社之ヲ承継ス但シ第6条第1項,第条又ハ第条ノ規定ニ依ル義
務ハ分割ヲ為シタル会社及分割ニ因リテ埋立ヲ為ス権利ヲ承継シタル会社連帯シ
テ之ヲ負フ
(第条)
第17条乃至前条ノ規定ニ依リ権利義務ヲ承継シタル者ハ其ノ承継ノ日ヨリ起
算シ14日内ニ都道府県知事ニ届出ツヘシ
(第21条)
第16条乃至第19条ノ2ノ規定ニ依ル権利義務ノ承継アリタル場合ニ於テハ
本法ノ適用ニ付テハ其ノ権利義務ヲ承継シタル者ヲ以テ埋立ノ免許ヲ受ケタル者
トス
(第22条)
1埋立ノ免許ヲ受ケタル者ハ埋立ニ関スル工事竣功シタルトキハ遅滞ナク都道
府県知事ニ竣功認可ヲ申請スヘシ
2都道府県知事前項ノ竣功認可ヲ為シタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ告示シ且地
元市町村長ニ第11条又ハ第13条ノ2第2項ノ規定ニ依リ告示シタル事項及
免許条件ヲ記載シタル書面並関係図書ノ写ヲ送付スベシ
3市町村長ハ前項ノ告示ノ日ヨリ起算シ年ヲ経過スル日迄同項ノ図書ヲ其
ノ市町村ノ事務所ニ備置キ関係人ノ請求アリタルトキハ之ヲ閲覧セシムベシ
(第23条)
1埋立ノ免許ヲ受ケタル者ハ前条第2項ノ告示ノ日前ニ於テ埋立地ヲ使用スル
コトヲ得但シ埋立地ニ埋立ニ関スル工事用ニ非サル工作物ヲ設置セムトスルト
キハ政令ヲ以テ指定スル場合ヲ除クノ外都道府県知事ノ許可ヲ受クヘシ
2都道府県知事ハ第47条第1項ノ国土交通大臣ノ認可ヲ受ケタル埋立ニ関シ
前項ノ許可ヲ為サムトスルトキハ予メ国土交通大臣ニ報告スベシ
(第24条)
1第22条第2項ノ告示アリタルトキハ埋立ノ免許ヲ受ケタル者ハ其ノ告示ノ
日ニ於テ埋立地ノ所有権ヲ取得ス但シ公用又ハ公共ノ用ニ供スル為必要ナル埋
立地ニシテ埋立ノ免許条件ヲ以テ特別ノ定ヲ為シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
2前項但書ノ埋立地ノ帰属ニ付テハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
(第32条)
1左ニ掲クル場合ニ於テハ第22条第2項ノ告示ノ日前ニ限リ都道府県知事ハ
埋立ノ免許ヲ受ケタル者ニ対シ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リテ其ノ
為シタル免許其ノ他ノ処分ヲ取消シ其ノ効力ヲ制限シ若ハ其ノ条件ヲ変更シ,
埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ存スル工作物其ノ他ノ物件
ヲ改築若ハ除却セシメ,損害ヲ防止スル為必要ナル施設ヲ為サシメ又ハ原状回
復ヲ為サシムルコトヲ得
一埋立ニ関スル法令ノ規定又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ
二埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ノ条件ニ違反シタルトキ
三詐欺ノ手段ヲ以テ埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ヲ受ケタルト

四埋立ニ関スル工事施行ノ方法公害ヲ生スルノ虞アルトキ
五公有水面ノ状況ノ変更ニ因リ必要ヲ生シタルトキ
六公害ヲ除却シ又ハ軽減スル為必要ナルトキ
七前号ノ場合ヲ除クノ外法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業
ノ為必要ナルトキ
2前項第7号ノ場合ニ於テ損害ヲ受ケタル者アルトキハ都道府県知事ハ同号ノ
事業ヲ為ス者ヲシテ損害ノ全部又ハ一部ヲ補償セシムルコトヲ得
(第33条)
1第22条第2項ノ告示アリタル後第29条第1項ノ規定,埋立ニ関スル法令
ニ依ル免許其ノ他ノ処分ノ条件又ハ第30条ノ規定ニ依リ命スル義務ニ違反ス
ル者アルトキハ都道府県知事ハ其ノ違反ニ因リテ生シタル事実ヲ更正セシメ又
ハ其ノ違反ニ因リテ生スル損害ヲ防止スル為必要ナル施設ヲ為サシムルコトヲ

2都道府県知事ハ第47条第1項ノ国土交通大臣ノ認可ヲ受ケタル埋立ニ関シ
前項ノ規定ニ依ル命令ヲ為サムトスルトキハ予メ国土交通大臣ニ報告スベシ
(第34条)
1左ニ掲クル場合ニ於テハ埋立ノ免許ハ其ノ効力ヲ失フ但シ都道府県知事ハ宥
恕スヘキ事由アリト認ムルトキハ効力ヲ失ヒタル日ヨリ起算シ3月内ニ限リ其
ノ効力ヲ復活セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ埋立ノ免許ハ始ヨリ其ノ効力
ヲ失ハサリシモノト看做ス
一免許条件ニ依リ埋立ニ関スル工事ノ実施設計認可ノ申請ヲ要スル場合ニ
於テ申請ニ対シ不認可ノ処分アリタルトキ又ハ免許条件ニ於テ指定スル期間
内ニ申請ヲ為ササルトキ
二第13条ノ期間内ニ埋立ニ関スル工事ノ著手又ハ工事ノ竣功ヲ為ササルト

2前項但書ノ規定ニ依リ免許ノ効力ヲ復活セシメタル場合ニ於テハ都道府県知
事ハ免許条件ヲ変更スルコトヲ得
(第3条)
1埋立ノ免許ノ効力消滅シタル場合ニ於テハ免許ヲ受ケタル者ハ埋立ニ関スル
工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ヲ原状ニ回復スヘシ但シ都道府県知事ハ原
状回復ノ必要ナシト認ムルモノ又ハ原状回復ヲ為スコト能ハスト認ムルモノニ
付埋立ノ免許ヲ受ケタル者ノ申請アルトキ又ハ催告ヲ為スニ拘ラス其ノ申請ナ
キトキハ原状回復ノ義務ヲ免除スルコトヲ得
2前項但書ノ義務ヲ免除シタル場合ニ於テハ都道府県知事ハ埋立ニ関スル工事
ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ存スル土砂其ノ他ノ物件ヲ無償ニテ国ノ所有
ニ属セシムルコトヲ得
(第42条)
1国ニ於テ埋立ヲ為サムトスルトキハ当該官庁都道府県知事ノ承認ヲ受クヘシ
2埋立ニ関スル工事竣功シタルトキハ当該官庁直ニ都道府県知事ニ之ヲ通知ス
ヘシ
3第2条第2項及第3項,第3条乃至第11条,第13条ノ2(埋立地ノ用途
又ハ設計ノ概要ノ変更ニ係ル部分ニ限ル)乃至第条,第31条,第37条
並第44条ノ規定ハ第1項ノ埋立ニ関シ之ヲ準用ス但シ第13条ノ2ノ規定ノ
準用ニ依リ都道府県知事ノ許可ヲ受クベキ場合ニ於テハ之ニ代ヘ都道府県知事
ノ承認ヲ受ケ第14条ノ規定ノ準用ニ依リ都道府県知事ノ許可ヲ受クヘキ場合
ニ於テハ之ニ代ヘ都道府県知事ニ通知スヘシ

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