報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

富山地裁 政活費詐取、富山県議会元副議長に有罪判決

 書籍代などの領収書を偽造し、政務活動費362万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた富山県議会元副議長、矢後肇被告(58)の判決公判が24日、富山地裁であった。大村泰平裁判官は「身勝手な犯行で、県民の県政に対する信頼を裏切った」として懲役1年6月、執行猶予4年(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。県内で相次いだ政活費不正受給問題で、刑事裁判の判決は初めて。
 判決によると、矢後被告は書店の領収書を偽造して書籍を購入したとの虚偽の報告書を作成するなどし、2012〜15年に4回にわたり政活費計362万円をだまし取った。判決で、大村裁判官は「政活費を返還するのはもったいない、という被告の動機は身勝手というほかない」と非難した。
 弁護側は「自発的に犯行を取りやめ、不正に受給した政活費を全額返還するなど深く反省している」として執行猶予付きの判決を求めていた。
 同県内の地方議員の政活費不正問題を巡っては、2016年7月に矢後被告が不正受給を認めて辞職したことを皮切りに、県議や富山市議、高岡市議ら計18人が辞職。領収書への金額の加筆や白紙領収書への書き込み、店の印鑑の偽造などが次々と明らかになった。
 矢後被告は初公判で「使い切らなければ、制度の存続に関わると思った」と供述。長年にわたって不正受給が繰り返されてきた実態が浮き彫りになった。
 一連の問題を受け、県議会は証拠書類のインターネット公開や支出をチェックする第三者機関の設置などの防止策を講じたほか、4月には議会基本条例を施行するなど、再発防止に取り組む。基本条例は「議員の倫理意識の徹底」など抽象的な表現が多く、政務活動費に関する具体的な規定がないため、不備を指摘する声もある。【森野俊、鶴見泰寿】
(2018年5月24日 12時04分(最終更新 5月24日 12時04分) 毎日新聞)

政活費不正受給、元富山県議会副議長に有罪判決

 富山県内の地方議会で政務活動費の不正受給が相次いだ問題で、虚偽の領収書で政活費をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元県議会副議長の矢後肇やごはじめ被告(58)(富山県高岡市)に対し、富山地裁(大村泰平裁判官)は24日、懲役1年6月、執行猶予4年(求刑・懲役1年6月)の判決を言い渡した。
 一連の問題で起訴され、有罪判決が言い渡されたのは初めて。
 判決によると、矢後被告は2012年5月〜15年4月、県内の書店名義の架空領収書を使って虚偽の収支報告書を県議会事務局に提出し、11〜14年度の政活費約362万円の返還を免れ、詐取した。
 大村裁判官は「一定額が交付された後に収支報告書と領収書を提出すれば、返還を免れる政務活動費制度の隙につけ込んだ巧妙な犯行。県民の信頼を裏切り、強い非難を免れない」と悪質性を指摘。執行猶予をつけた理由について「不正受給額を返還し、議員辞職している。悪質さを考慮して若干長めの4年と定めた」と述べた。
 矢後被告は今月7日の初公判で、政活費をだまし取った理由について「政活費は使い切るのが当然で、使い切らない議員は仕事をしていないとみなされるという誤った感覚があった」と述べていた。
 同県では16年7月、政活費の不正受給問題で矢後被告が辞職したのを発端に、富山市議会などでも不正が次々に明らかになった。これまでに矢後被告を含む県議3人、富山市議14人、高岡市議1人が辞職。富山県警は複数の元富山市議についても捜査を続けている。
 一方、返還を求める住民訴訟も提起され、不正受給した政活費の自主的な返還は今も続いている。
(2018年05月24日 12時59分 読売新聞)

矢後元県副議長に有罪 政活費不正 初の地裁判決

 領収書などを偽造し、書籍代として政務活動費約三百六十二万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元富山県議会副議長の矢後肇被告(58)=同県高岡市=に富山地裁は二十四日、懲役一年六月、執行猶予四年(求刑懲役一年六月)の有罪判決を言い渡した。県議や富山、高岡市議計十八人が辞職した一連の政活費不正問題で、刑事裁判の判決が出たのは初。
 大村泰平裁判官は、起訴内容にある全被害額を被告がだまし取ったと認定。判決理由で「県民の県政に対する信頼を大きく揺るがし、裏切った」と批判し、「政活費は議員に与えられた特権であり、使い切ることが当然であるなどと考え犯行に及んだ。動機は身勝手というほかなく、酌量すべき点はない」と断じた。
 一方「議員辞職し、社会的制裁も受けた」と執行猶予とした理由を述べた上で、領収書などを偽造する手口の悪質性を指摘し、「執行猶予の期間を長めの四年とした」と説明した。
 約十五分間の公判で、矢後被告の発言機会はなかった。裁判官を見据え、時折うなずきながら判決に聞き入り、終了後は裁判官に一礼して法廷を後にした。
 矢後被告は弁護士を通し「判決を真摯(しんし)に受け止めます。県民の皆さまに、改めて深くおわび申し上げます」とコメント。弁護士によると、控訴はしない方針。
 富山地検の和田文彦次席検事は「検察庁の主張が認められたものと理解している」とした。控訴するかどうかは未定という。
(2018年5月25日 中日新聞)

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平成30年5月24日宣告
平成30年(わ)第35号詐欺被告事件
判決
主文
被告人を懲役1年6か月に処する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
【犯罪事実】
被告人は,A県議会議員として,A県議会の会派であるB党A県議会議員会(以
下「本件会派」という。)に属し,本件会派は,A県から政務調査費(平成25年
3月1日以降の名称は政務活動費。以下その前後を区別せず「政務活動費」とい
う。)の交付を順次受け,本件会派の代表者名義により,領収証等の写しを添付し
た政務活動費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)をA県
議会事務局に提出していたものであるが,A県においては,その年度において交付
を受けた政務活動費からその年度に行った政務活動による支出の総額を控除して残
余がない場合にはその返還を免れる一方,残余がある場合は会派の代表者が当該残
余額に相当する額を返還することとなることを条件として,会派に対し政務活動費
を交付していたところ,資料購入費の名目で富山県南砺市所在の書店「C」から書
籍を購入した旨の同書店発行名義の架空の領収証を利用し,本件会派の代表者をし
て同領収証の写しを添付した収支報告書を作成させた上,同事務局に提出させ,同
事務局長らを欺いて本件会派の代表者による同領収証に係る金額に相当する政務活
動費の返還を免れさせようと考え,
第1別表1(添付省略)記載のとおり,同書店発行名義の領収証11通を準備す
るなどして,本件会派の当時の代表者であるDをして本件会派が同領収証に係る金
額を政務活動費として支出した旨の同領収証の写しを添付した収支報告書を作成さ
せた上,真実は,同領収証に係る支出は存在しないのに,これがあるように装い,
平成24年5月1日,富山市ab番c号A県議会議事堂内の同事務局において,同
事務局職員を介して同事務局長に提出させ,同日,同所において,同事務局長らを
して,同収支報告書に添付された同領収証の写しに係る支出が存在した旨誤信させ
て返還金額を確定させ,よって,前記Dによる88万3542円の返還を免れさ
せ,
第2別表2(添付省略)記載のとおり,同書店発行名義の領収証12通を準備す
るなどして,本件会派の当時の代表者であるEをして本件会派が同領収証に係る金
額を政務活動費として支出した旨の同領収証の写しを添付した収支報告書を作成さ
せた上,真実は,同領収証に係る支出は存在しないのに,これがあるように装い,
平成25年4月30日,同事務局において,同事務局職員を介して同事務局長に提
出させ,同日,同所において,同事務局長らをして,同収支報告書に添付された同
領収証の写しに係る支出が存在した旨誤信させて返還金額を確定させ,よって,前
記Eによる114万3557円の返還を免れさせ,
第3別表3(添付省略)記載のとおり,同書店発行名義の領収証12通を準備す
るなどして,本件会派の当時の代表者である前記Eをして本件会派が同領収証に係
る金額を政務活動費として支出した旨の同領収証の写しを添付した収支報告書を作
成させた上,真実は,同領収証に係る支出は存在しないのに,これがあるように装
い,平成26年4月30日,同事務局において,同事務局職員を介して同事務局長
に提出させ,同日,同所において,同事務局長らをして,同収支報告書に添付され
た同領収証の写しに係る支出が存在した旨誤信させて返還金額を確定させ,よっ
て,前記Eによる110万7983円の返還を免れさせ,
第4別表4(添付省略)記載のとおり,同書店発行名義の領収証6通を準備する
などして,本件会派の当時の代表者であるFをして本件会派が同領収証に係る金額
を政務活動費として支出した旨の同領収証の写しを添付した収支報告書を作成させ
た上,真実は,同領収証に係る支出は存在しないのに,これがあるように装い,平
成27年4月30日,同事務局において,同事務局職員を介して同事務局長に提出
させ,同日,同所において,同事務局長らをして,同収支報告書に添付された同領
収証の写しに係る支出が存在した旨誤信させて返還金額を確定させ,よって,前記
Fによる48万9024円の返還を免れさせ,
もって,人を欺いて財産上不法の利益を得た。
【法令の適用】
罰条
第1ないし第4の各行為いずれも刑法246条2項
併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い第2の罪の
刑に法定の加重)
刑の執行猶予刑法25条1項
【量刑の事情】
被告人は,本来,県民の代表としての付託を受けた県議会議員の職務に役立てる
ために,県民の納めた税金から交付されている政務活動費について,使途を偽り,
その返還を免れたものである。
被告人は,平成20年に政務活動費の制度が変わり,これまでは比較的容易に取
得できていた政務活動費の請求手続が厳格化した後,政務活動費は議員に与えられ
ている特権であり使い切ることが当然である,余ったからといって返すのはもった
いないなどと考え,本件各犯行に及んだものであり,犯行動機は身勝手というほか
なく,酌量すべき点はない。犯行態様は,あらかじめ書店名義のゴム印を作成して
準備し,書店の図書目録に記載された書名から政務活動に使えそうな書籍を選んで
報告書に記載し,その金額に合わせて架空の領収証を作成し,本件会派に提出する
というものであり,一定額が交付された後に適切に支出されたことがうかがわれる
収支報告書とこれに見合う領収証さえ提出すれば返還を免れるという政務活動費制
度の隙につけ込んだ巧妙な犯行である。被告人が返還を免れた政務活動費は4年度
分にわたり合計362万円余りの多額に及んでおり,その財産的損害もさることな
がら,被告人は,身勝手な犯行により,県民の県政に対する信頼を大きく揺るが
し,裏切ったものであって,強い非難を免れない。
以上によれば,被告人の刑事責任は軽いものではない。
しかしながら,他方で,被告人は,県に対し,起訴にかかる被害額を超える56
2万円余りを返還しており,財産的被害は回復されている。また,被告人は,本件
の発覚後,議員を辞職し,公判廷においても本件を認めて,県政に対する期待や信
頼を壊したことをお詫びするなどと述べるなど,反省の態度を示していること,本
件が報道され社会的な制裁を受けていること,前科・前歴がないことなど,酌むべ
き事情も認められる。
そこで,被告人に対しては,主文の刑を定めるとともに,今回に限り,刑の執行
を猶予し,社会内で罪を償って更生する機会を与えることとした。ただ,前記のよ
うな本件各犯行の悪質さを考慮し,執行猶予の期間を4年と定めた。
(求刑懲役1年6か月)
平成30年5月24日
富山地方裁判所刑事部
裁判官 大村泰平

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