報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

精神保健指定医取り消し処分、東京地裁取り消す 医師側の勝訴は初、診療への関与は診療録のみで判断せず

 精神保健指定医を不正に取得したとして89人の医師が資格取り消し処分を受けた問題で、その一人、田沼龍太郎医師が処分は不当として国に取り消しを求めた裁判で、東京地裁(古田孝夫裁判長)は5月15日、処分が違法であるとして取り消しを命じた。代理人弁護士の宮澤茉未氏によると、同種の訴訟は各地で10件以上起こされているがこれまでに医師側勝訴の判決はなく、田沼氏は勝訴に驚いているという。所管する厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課は対応について「関係省庁と調整中」としている。
 田沼氏は、精神保健指定医の指定申請時に提出した8症例のケースレポートのうちの一つが「自ら担当として診断または治療に十分な関わりを持った」と認められないとして、2016年10月26日に厚労省から指定医取消処分を受けた。2015年4月に発覚した聖マリアンナ医科大学病院で組織的な不正取得に端を発した全国調査で不正を認定された101人のうちの1人。89人が指定医取消処分(残る12人は辞退したか、取得前に申請却下)となり、全員が戒告か業務停止1カ月または2カ月の行政処分も受け、田沼氏は戒告処分だった。
 国側は「自ら担当として診断または治療に十分な関わりを持った」か否かの判断には原則として診療録の記載内容から判断するべきだと主張。しかし判決では、診療録は診療したかどうかの事実を認定する最良の証拠ではあるが、氏名の記載がない医師が診療に関与していないとは直ちには認められないことや、診療録に当該医師の氏名や行った診療が記載されていない症例をケースレポートとして提出してはならないなどのルールがなかったことを指摘した。
 さらに、田沼氏が勤務していた精神科病棟では精神科10年目以上の「主治医」、精神科3、4年目以上の「指導医」(精神保健指定医事務取扱要領の「指導医」とは別)、精神科1、2年目や初期研修医の「受持医」で構成するチームで診療を行い、田沼氏は「指導医」だったが、この「指導医」の指示を受けながら「受持医」が診療録への記載を行うことは不自然・不合理でないと認定。氏名の記載がないことをもって田沼氏が診療を行ったと認められないとは言えず、具体的な診療の状況など他の証拠も総合的に検討する必要があると指摘した。
 原告側は証人の陳述や、診療の過程で付けていたメモなどを基に、田沼氏が診療に十分関わっていたことを立証。判決では「厚生労働大臣が、原告の本件症例の診断または治療への関与に係る客観的な事実を看過して本件処分をしたというのであれば、重要な事実の基礎を欠くものとして裁量権の範囲を逸脱し、またはこれを乱用したものとなる余地があり、事実認定の基礎資料が本件処分時までに厚生労働大臣が現に入手していた資料のみに限定されるものでもない」と指摘した。(水谷悠(m3.com編集部))
(2019年5月17日 m3.com)

精神保健指定医の資格不正 国の処分「違法」…東京地裁判決

 精神保健指定医の資格不正取得問題で、厚生労働省から資格取り消し処分を受けた田沼龍太郎医師が、国に処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁(古田孝夫裁判長)は15日、国の処分を違法として、取り消しを命じた。厚生労働省によると、この問題で処分の取り消しを命じた判決は初めて。同省は「判決内容を精査し、対応を検討する」としている。
 判決によると、同省は2016年、北里大東病院(神奈川)に勤務していた田沼医師が指定医の資格を申請する際、患者の診断や治療への関与が不十分なのに、十分に関わっていたとするリポートを提出したとして、資格を取り消した。
 国側は「診療録の一部にしか田沼医師の名前がなく、不正なリポートだ」と主張したが、判決は「診断に十分に関与した」と認定した。
(5/16(木) 11:16 読売新聞)

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

もくじ

名前で検索


 あ行

 か行

 さ行

 た行

 な行

 は行

 ま行

 や行

 ら行?

 わ行

 

管理人/副管理人のみ編集できます