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屋山太郎氏「福島瑞穂氏の妹が北朝鮮に」→妹は実在せず、名誉毀損で賠償命令

 政治評論家、屋山太郎氏が新聞で発表したコラムに事実に反する記述があり、名誉毀損にあたるとして、社民党副党首で参院議員の福島瑞穂氏が330万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁(沖中康人裁判長)は11月29日、屋山氏に330万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 コラムは今年2月、静岡新聞に掲載されたもので、徴用工訴訟についてふれ、「この訴訟を日本で取り上げさせたのは福島瑞穂議員。福島氏は実妹が北朝鮮に生存している。政争の具に使うのは反則だ」などと書いていた。
 訴状によると、屋山氏のコラムは「ギクシャクし続ける日韓関係」という見出しで、静岡新聞に掲載されたもの(静岡新聞はすでに訂正・謝罪している)。
 福島氏側は、「まるで身内を利するために、政治活動を行なっていたかのような印象を読者に与える」「(そのように書くことは)全国民の代表たる地位や政党の要職者たる立場を踏みにじり、社会的評価を著しく低下させるもの」と指摘。
 さらには、福島氏側は「そもそも妹はいない」として、屋山氏の名誉毀損を訴えていた。一方、屋山氏は「他の人と取り違えていた」などとして、争っていた。
 ●「政治家としての社会的評価を低下させた」
 判決では、屋山氏のコラムについて、憲法43条1項で「全国民を代表する」と定めた国会議員である原告(福島氏)が、「身内を利するためにまたは公私を混同させて政治活動を行なっているとの印象を与えるものであり、原告の政治家としての社会的評価を著しく低下させるものである」と指摘。屋山氏に賠償責任を求めている。
 また、他にもこのコラムが「新聞という多数の読者が想定され、信憑性が高いとされる媒体に掲載された」ことや、屋山氏が福島氏について「その真偽を調査・確認することなく」執筆したことなどから、静岡新聞で訂正記事が掲載されたことを考慮したとしても、「慰謝料は300万円を相当と認める」(弁護士費用を含めると330万円)と結論づけた。
(11/29(金) 13:18 弁護士ドットコム)

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令和元年11月29日判決言渡・同日原本領収裁判所書記官
平成31年(ワ)第5549号損害賠償請求事件
口頭弁論終結日令和元年8月23日
判決
主文
1被告は,原告に対し,330万円及びこれに対する平成31年2月6
日から支払済みまで年分の割合による金員を支払え。
2訴訟費用は被告の負担とする。
3この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
主文と同旨
第2事案の概要
本件は,原告が,被告の執筆した原告に関するコラムが新聞に掲載されたこ
とにより名誉権を侵害されたと主張して,被告に対し,不法行為に基づき,損
害賠償金330万円(慰謝料300万円及び弁護士費用相当額30万円)及び
これに対する不法行為の日である平成31年2月6日から支払済みまで民法所
定の年分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1請求原因
当事者
原告は,a議員であり,b党に所属し同党の副党首を務める者である。
被告は,政治評論家である。
被告によるコラムの執筆及び新聞社への提供
被告は,平成31年初め頃,「ギクシャクし続ける日韓関係」と題するコ
ラム(以下「本件コラム」という。)を執筆し,これをc新聞社に提供した。
本件コラムは,同年2月6日付けc新聞朝刊(以下,c新聞を「本件新聞」
という。)に掲載された。
本件コラムには,「徴用工に賠償金を払えということになっているが,こ
の訴訟を日本で取り上げさせたのはA議員。日本では敗訴したが韓国では勝
った。A氏は実妹が北朝鮮に生存している。政争の具に使うのは反則だ。」
との記載がある(以下,この記載を「本件記載」といい,被告が本件コラム
の本件記載部分を執筆した行為を「本件行為」という。)。
なお,実際には,原告が徴用工の訴訟を日本で取り上げさせたという事実
はない。また,原告の実妹が北朝鮮に生存しているという事実もない。なお,
原告は,日本で生まれ育ち,日本国籍を有する。
⑶本件記載による原告の社会的評価の低下
本件記載は,原告が身内(実妹)を利するために徴用工の訴訟を「政争の
具」として日本で取り上げさせたとするものであって,あたかも原告が身内
を利するために政治活動を行っているかのごとき印象を読者に与えるもので
ある。
d議員であり,かつb党の副党首という地位にある原告が,身内を利する
ために政治活動を行っているかのように書くことは,原告につき,「全国民」
の代表たる地位に背き,かつ,政党の要職者たる立場をも踏みにじる者であ
るかのごとく指摘するものであって,原告の社会的評価を著しく低下させ,
原告の名誉を毀損するものである。
損害
本件記載は,d議員である原告につき「全国民」の代表たるd議員として
最も恥ずべき行為をしたと言っているに等しく,また,b党の副党首である
原告につき政党の要職者として最も恥ずべき行為をしたと指摘するものに等
しいものであり,かように自己の公的な人格を全否定する本件記載によって
原告が受けた被害(社会的評価の低下それ自体という無形損害及び心痛)は
甚大である。
原告にはそもそも妹がおらず,原告が徴用工の訴訟を日本で取り上げさせ
たという事実も全くないことから,本件記載はことごとく虚偽の事実をもっ
て原告の名誉を毀損するものである。被告は,虚偽であることを知りながら
又は虚偽か否かを気にもかけずにいわゆる「現実の悪意」をもって本件行為
に至ったものであり,原告はこれによって甚大な被害を受けた。
被告が本件行為に至った動機(原告を攻撃するためという動機)や執筆後
も原告に対する説明をせず逃げようとしている被告の態度等も斟酌すると,
原告が本件行為により被った精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の額は,3
00万円を下回らない。
また,本件の弁護士費用相当額は,30万円を下回らない。
2請求原因に対する認否
請求原因(1)は認め,同(2)のうち,原告の妹の存否は不知,その余は認め,
同(3)及び(4)について,本件記載に関する原告の上記意見・評価については,
認否の限りでない。
なお,本件行為について具体的な説明をしないのは,更なる説明をすること
により迷惑をかける人も出かねないからである。「原告を攻撃するために口か
らでまかせで本件記載部分を執筆した」旨の原告の主張は,強引な決めつけで
ある。もっとも,原告が被告を「ジャーナリスト」とは到底いえないと非難し
ていることは理解でき,かかる非難を真摯に受け止め,心より反省するととも
に,今後同じような過ちがないように慎重を期す。
第3当裁判所の判断
1請求原因(1)の事実は当事者間に争いがない。
2請求原因(2)のうち,原告の実妹が北朝鮮に生存しているという事実がない
ことは証拠(甲3)により認められ,その余の事実については,当事者間に争
いがない。
3請求原因(3)について,被告は,「本件記載に関する原告の上記意見・評価に
ついては,認否の限りでない。」とするのみであるから,明らかに争わないも
のとも解されるが,念のため判断しておく。
本件記載の内容が原告の社会的評価を低下させるか否かは,本件記載につい
ての一般の読者の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容にしたが
って判断すべきものである(最高裁判所昭和31年7月日第二小法廷判決・
民集巻8号9頁参照)。しかるところ,本件記載は,徴用工の訴訟
を日本で取り上げさせたのは原告であること,原告の実妹が北朝鮮に生存して
いることなどの事実を摘示し,これらを前提として,原告が政争に勝つための
道具として徴用工の訴訟を使うことが反則であるとの意見ないし論評を加えて
いるものと解される。そうすると,本件記載は,d議員という「全国民を代表
する」(憲法43条1項)地位にある原告が,身内を利するために又は公私を
混同させて政治活動を行っているとの印象を与えるものであり,原告の政治家
としての社会的評価を著しく低下させるものというべきである。
したがって,本件行為は原告に対する不法行為を構成し,被告はこれにより
原告に生じた損害について賠償する責任を負う。
4請求原因⑷について判断する。
本件記載の名誉毀損表現の内容に照らせば,原告が本件行為により精神的苦
痛を被ったことが認められるところ,上記3のとおり,)楫錺灰薀爐瞭睛討
原告の政治家としての社会的評価を著しく低下させるものであること,∨楫
コラムが,新聞という,多数の読者が想定され類型的に信憑性が高いとされる
媒体に掲載されたこと,H鏐陲,本件記載の内容につきその真偽を調査・確
認することなく本件行為に至ったこと(乙3及び弁論の全趣旨),に楫鏥載
の内容の主要部分である「原告が徴用工の訴訟を日本で取り上げさせたという
事実」や「原告の実妹が北朝鮮に生存しているという事実」が実際には存在し
ないこと(前者については当事者間に争いがなく,後者については甲3及び乙
1により認められる。),以上のような事情によれば,平成31年2月9日に
本件新聞に本件コラムに係る訂正記事が掲載されたこと(乙1)を考慮しても,
本件記載部分が本件新聞に掲載されたことにより原告が被った精神的苦痛を慰
謝するための慰謝料としては,300万円を相当と認める。また,本件に係る
弁護士費用相当額はその1割である30万円と認めるのが相当である。
結論
以上によれば,原告の請求は理由があるから認容することとして,主文のと
おり判決する。
東京地方裁判所民事第16部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官 五十嵐浩介
裁判官 渡邉麻紀

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