報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

「ひかりの輪」の名誉毀損の訴え退ける 東京地裁

 オウム真理教の元幹部が代表を務める「ひかりの輪」が、国による観察処分の更新の際、調査書でサリン事件を正当化する発言があったなどと書かれ、名誉を傷つけられたと訴えた裁判で、東京地方裁判所は訴えを退けました。
 上祐史浩氏が代表を務める「ひかりの輪」は、オウム真理教から名前を変えた「アレフ」から分裂し、団体規制法に基づき、活動実態の報告などを義務づける観察処分の対象となっています。
 平成24年に観察処分が更新された際に「構成員がサリン事件を正当化する発言をしたほか、松本智津夫元死刑囚に帰依している」などと記載した公安調査庁の調査書が公表され、名誉を傷つけられたと訴えました。
 19日の判決で、東京地方裁判所の氏本厚司裁判長は「観察処分を更新する理由となる事実についての情報は、国民の生活や社会の治安に直結する、極めて影響力が大きく緊急性の高いものだ。構成員の発言を更新の理由となる事実として調査書に記載した判断は不合理ではない」と指摘して訴えを退けました。
 公安調査庁「妥当な判決」
 公安調査庁は「国側の主張に沿ったものであり、妥当な判決である」というコメントを出しました。
 ひかりの輪「控訴する」
 判決について、ひかりの輪は「観察処分を適法だと仮定したうえで事実の真偽について十分な判断を避けたものだ。控訴するとともに、引き続き最高裁で争っている別の裁判で観察処分の違法性を争う所存だ」とするコメントを出しました。
(2019年11月20日 0時14分 NHK)

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令和元年11月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成26年(ワ)第29396号国家賠償等請求事件
口頭弁論終結日令和元年7月2日
判決
主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告は,原告に対し,7円及びうち2円に対する平成23年11月28日から,
うち1円に対する平成23年12月6日から,うち1円に対する平成24年1月
23日から,うち1円に対する平成26年月日から,うち2円に対する
平成26年12月1日から各支払済みまで年分の割合による金員を支払え。
2被告は,原告に対し,読売新聞の朝刊全国版社会面広告欄に別紙記載の謝罪広
告を同記載の掲載条件で1回掲載せよ。
第2事案の概要
本件は,宗教法人オウム真理教の代表役員であったAことB及びその信徒らが
計画的,組織的にサリンを生成しいわゆるサリン事件(松本サリン事件及び地下
鉄サリン事件)を敢行したことなどに関し,無差別大量殺人行為を行った団体の
規制に関する法律に基づいて原告を含むAことB及びオウム真理教の教義に従
う者によって構成される団体に対してされた観察処分の4回目の期間の更新の
請求に際し,公安調査庁長官が,原告の構成員がサリン事件を正当化する発言を
し現在もAことBに帰依している旨の公安調査官の作成に係る調査書を添付し,
同旨の記載をした更新請求書を公安審査委員会に提出し,その内容が官報に公示
され,公安審査委員会が,これを受けて同旨の記載をした文書により更新の決定
をし,その内容が官報で公示され,併せて新聞報道され,また,公安調査官が,
テレビの報道番組の取材に対し,原告の構成員が現在もAことBに帰依している
旨を発言し,これがテレビで報道され,さらに,回目の期間の更新の請求に際
し,公安調査庁長官が,原告が旅行業法に抵触する手法を用いて資金の獲得を図
り,認知症の高齢者から悪質な手段を用いて寄付金を徴収している旨の記載をし
た更新請求書を公安審査委員会に提出し,これが官報で公示され,これらにより
原告の名誉が毀損されたとして,原告が,被告に対し,次のとおり,国家賠償法
1条1項に基づく損害賠償及び同法4条,民法723条に基づく謝罪広告を求め
ている事案である。
(1)公安調査庁の公安調査官らが,原告の構成員がサリン事件を正しいものであ
ったなどと述べている旨を記載した平成23年11月日付けの調査書を
作成し,公安調査庁長官が,公安審査委員会に対し,原告に対する観察処分の
期間の更新を請求するに当たり,当該調査書を添付した平成23年11月28
日付けの更新請求書を公安審査委員会に提出し,これにより,公安審査委員会
が,平成24年1月23日,原告の構成員の言動にサリン事件を正当化するも
のが認められる旨の記載をした文書による決定をして,当該決定書を報道機関
に発表し,同日及び翌日に読売新聞が当該決定につき原告の信者がサリン事件
を正当化し現在も危険な教義に従う意思を有していると報道し,原告の名誉が
毀損されたとして,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠
償として,1円及びこれに対する当該請求の日である平成23年11月28日
から支払済みまで民法所定の年分の割合による遅延損害金の支払を求める
とともに,国家賠償法4条,民法723条による謝罪広告を求めている。(請求
1)
(2)公安調査庁の公安調査官らが,原告の構成員等がAことBに対する帰依心を
現在も保持している旨を記載した平成23年11月日付けの調査書を作
成し,公安調査庁長官が,公安審査委員会に対し,原告に対する観察処分の期
間の更新を請求するに当たり,当該調査書を添付した平成23年11月28日
付けの更新請求書を公安審査委員会に提出し,これにより,公安審査委員会が,
平成24年1月23日,原告の構成員の言動にサリン事件を正当化するものが
認められる旨の記載をした文書による決定をして,当該決定書を報道機関に発
表し,同日及び翌日に読売新聞が当該決定につき原告の信者がサリン事件を正
当化し現在も危険な教義に従う意思を有していると報道し,原告の名誉が毀損
されたとして,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償と
して,1円及びこれに対する当該請求の日である平成23年11月28日から
支払済みまで民法所定の年分の割合による遅延損害金の支払を求めるとと
もに,国家賠償法4条,民法723条による謝罪広告を求めている。(請求2)
(3)公安調査庁長官が,公安審査委員会に対し,原告に対する観察処分の期間の
更新を請求するに当たり,原告の構成員がサリン事件を正当化するような発言
をした旨を記載した平成23年11月28日付けの更新請求書を公安審査委
員会に提出し,これにより,当該更新請求書が同年12月6日に官報で公示さ
れ,原告の名誉が毀損されたとして,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1
項に基づく損害賠償として,1円及びこれに対する官報で公示された日である
平成23年12月6日から支払済みまで民法所定の年分の割合による遅延
損害金の支払を求めるとともに,国家賠償法4条,民法723条による謝罪広
告を求めている。(請求3)
(4)公安審査委員会が,公安調査庁長官において原告に対する観察処分の期間の
更新を請求するに当たり公安審査委員会に提出した更新請求書に添付された
公安調査官らの作成に係る調査書等(前記(1)及び前記(2))について,職務上
の注意義務を尽くしてそれらの明らかな誤りを見抜くことなく,平成24年1
月23日,当該更新請求書の内容に沿って,原告の幹部構成員らにサリン事件
を正当化する発言が認められる,構成員の言動にもAことBに対する深い帰依
を示すものが認められるなどと記載した文書による決定をし,これにより,当
該決定が平成24年1月30日に官報で公示され,また,当該決定の日,公安
審査委員会が当該決定を報道機関に公表し,同日及び翌日に読売新聞が当該決
定につき原告の信者がサリン事件を正当化し現在も危険な教義に従う意思を
有していると報道し,これらにより原告の名誉が毀損されたとして,原告は,
被告に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,1円及びこれに対
する当該決定の日である平成24年1月23日から支払済みまで民法所定の
年分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,国家賠償法4条,民
法723条による謝罪広告を求めている。(請求4)
()公安調査庁の公安調査官が,平成26年月日,フジテレビの報道番
組の取材に対し,AことBと同一視される仏画が原告の祭壇に掲示され幹部か
ら末端の信徒まで同人への帰依心をいまだ保持している旨を話し,これにより,
当該発言内容が同日及び翌日にフジテレビの報道番組で報道され,原告の名誉
が毀損されたとして,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害
賠償として,1円及びこれに対する当該取材を受けた日である平成26年
月日から支払済みまで民法所定の年分の割合による遅延損害金の支払
を求めるとともに,国家賠償法4条,民法723条による謝罪広告を求めてい
る。(請求)
(6)公安調査庁長官が,公安審査委員会に対し,原告に対する観察処分の期間の
更新を請求するに当たり,原告が旅行業法に抵触する手法を用いて資金の獲得
を図っている旨を記載した平成26年12月1日付けの更新請求書を公安審
査委員会に提出し,これにより,当該更新請求書が同年12月8日に官報で公
示され,原告の名誉が毀損されたとして,原告は,被告に対し,国家賠償法1
条1項に基づく損害賠償として,1円及びこれに対する当該請求の日である平
成26年12月1日から支払済みまで民法所定の年分の割合による遅延損
害金の支払を求めるとともに,国家賠償法4条,民法723条による謝罪広告
を求めている。(請求6)
(7)公安調査庁長官が,公安審査委員会に対し,原告に対する観察処分の期間の
更新を請求するに当たり,原告が認知症の高齢者から悪質な手段を用いて寄付
金を徴収している旨を記載した平成26年12月1日付けの更新請求書を公
安審査委員会に提出し,これにより,当該更新請求書が同年12月8日に官報
で公示され,原告の名誉が毀損されたとして,原告は,被告に対し,国家賠償
法1条1項に基づく損害賠償として,1円及びこれに対する当該請求の日であ
る平成26年12月1日から支払済みまで民法所定の年分の割合による遅
延損害金の支払を求めるとともに,国家賠償法4条,民法723条による謝罪
広告を求めている。(請求7)
1前提事実
(1)平成12年1月28日,公安審査委員会は,公安調査庁長官の請求を受けて,
AことB(以下「B」という。)を教祖,創始者とするオウム真理教の教義を広
め,これを実現することを目的とし,Bが主宰し,B及び当該教義に従う者に
よって構成される団体を,3年間,公安調査庁長官の観察に付する等の決定(以
下この決定を「本件観察処分」という。)をした。(当事者間に争いがない。)
(2)平成年1月23日,平成18年1月23日及び平成21年1月23日,
公安審査委員会は,いずれも,公安調査庁長官の請求を受けて,本件観察処分
の期間を3年間更新する旨の決定をし,公安審査委員会は,このうち平成21
年1月23日にした第3回の更新決定を原告の代理人に通知した。(当事者間
に争いがない。)
(3)平成19年3月,本件観察処分の対象団体(当時の名称は宗教団体アーレフ)
の構成員のうち,原告代表者を中心とする出家した構成員62名は,宗教団体
アーレフを脱退した旨を表明し,原告を設立したところ,原告は,代表者(代
表役員)の定め等の会則(甲第43号証の9)がある民事訴訟法29条所定の
法人格のない社団である。(乙第9号証)(なお,被告は,原告が無差別大量殺
人行為を行った団体の規制に関する法律(以下「団体規制法」という。)条に
基づき平成12年1月28日にされた観察処分に付されている団体の内部組
織である旨を主張するが,本案前の答弁をしていないから,原告の当事者能力
を争っていないものと解される。)
(4)平成23年11月日付けで,公安調査庁の公安調査官であったC及びD
は,調査書(甲第1号証,乙第号証)を作成したところ,当該調査書には,
平成21年月における出家した構成員の「サリン事件ですら正しいというふ
うに,長い目で見たら正しいことっていうのはあるのかもしれないですから。」
という発言が記載され,これを受けて「『ひかりの輪』の構成員についても,両
サリン事件について,正しいものであったなどと述べている」と記載されてい
た(以下この調査書を「本件調査書1」といい,本件調査書1の当該記載部分
を「本件調査書記載1」という。)。(当事者間に争いがない。)
()平成23年11月日付けで,公安調査庁の公安調査官であったE及びF
は,調査書(甲第6号証,乙第14号証)を作成したところ,当該調査書には,
原告の中心的な構成員であるとするGの「今後は,現実のA,現実のひかりの
輪を受け入れ,そして,何よりも,Aに帰依しておらず,Aに帰依しない,現
実の自分をそのままに自分として,それに基づいて,被害者遺族への賠償を含
めた,ひかりの輪の活動を行っていく」という発言が記載され,これを受けて
「『ひかりの輪』の構成員等が,現在もAを『グル』と認識し,Aに対する帰依
心を保持している」と記載されていた(以下この調査書を「本件調査書2」と
いい,本件調査書2の当該記載部分を「本件調査書記載2」という。)。(当事者
間に争いがない。)
(6)平成23年11月28日,公安調査庁長官は,公安審査委員会に対し,本件
観察処分の第4回の更新の請求(以下「本件第4回更新請求」という。)をした
ところ,本件第4回更新請求において公安調査庁長官が公安審査委員会に提出
した更新請求書(以下「本件第4回更新請求書」という。)には,「原告構成員
が両サリン事件を正当化する発言をしている」と記載され(以下この記載を「本
件更新請求書記載1」という。),本件調査書1及び本件調査書2が添付されて
いた。(当事者間に争いがない。)
同年12月6日,本件第4回更新請求書は官報で公示された。(甲第68号
証,甲第70号証)
(7)平成24年1月23日,公安審査委員会は,本件第4回更新請求を受けて,
本件観察処分の期間を3年間更新する旨の決定(以下「本件第4回更新決定」
という。)をし,本件第4回更新決定を原告の代理人に通知したところ,本件第
4回更新決定に係る決定書(甲第2号証)(以下「本件第4回更新決定書」とい
う。)には,「幹部構成員らに両サリン事件を正当化する発言が認められる」「構
成員の言動にもBに対する深い帰依を示すものが認められる」と記載されてい
た(以下この記載を「本件決定書記載」という。)。(当事者間に争いがない。)
同日,公安審査委員会は,報道機関に本件第4回更新決定書を発表し,同日
及び翌日の読売新聞(甲第3号証)において,本件第4回更新決定書の内容が
報道され,公安審査委員会において,信者は地下鉄,松本両サリン事件を正当
化するなど,現在も危険な教義に従う意思を有しているとして原告の主張を退
けた旨が報道された(以下この報道を「本件新聞報道」という。)。(当事者間に
争いがない。)
同月30日,本件第4回更新決定書は官報で公示された。(甲第2号証,乙第
7号証)
(8)平成26年月日,公安調査庁の公安調査官(情報分析担当)であっ
たH(以下「H」という。)は,フジテレビの報道番組の取材に対し,「少なく
とも,今年の初め,すなわち春先までは,Aと同一視される仏画が,ひかりの
輪の祭壇に掲示されているのを確認しています。幹部信徒から末端の信徒まで,
Aへの帰依心を,いまだ保持しているとみています。」と発言し(以下この発言
を「本件取材発言」という。),同日から翌日にかけて,フジテレビの報道番組
等においてこれが報道された(以下この報道を「本件テレビ報道」という。)。
(9)平成26年12月1日,公安調査庁長官は,公安審査委員会に対し,本件観
察処分の第回の更新の請求(以下「本件第回更新請求」という。)をしたと
ころ,本件第回更新請求において公安調査庁長官が公安審査委員会に提出し
た更新請求書(以下「本件第回更新請求書」という。)には,「『ひかりの輪』
は,旅行業法に抵触する『聖地巡り』と称した企画旅行を実施するなど,旅行
業法に抵触する手法を用いて資金獲得を図っている」「認知症の高齢者から悪
質な手段を用いて寄付金を徴収」と記載されていた(以下これらの記載のうち
前者の記載を「本件更新請求書記載2」と,後者の記載を「本件更新請求書記
載3」という。)。(当事者間に争いがない。)
同月8日,本件第回更新請求書は官報で公示された。(当事者間に争いが
ない。)
()平成27年1月23日,公安審査委員会は,本件第回更新請求を受けて,
本件観察処分の期間を3年間更新する旨の決定(以下「本件第回更新決定」
という。)をし,本件第回更新決定を原告の代理人に通知した。(当事者間に
争いがない。)
2争点
(1)公安調査庁長官が,本件第4回更新請求書に本件調査書記載1がある本件調
査書1を添付して本件第4回更新請求をしたことは,原告の名誉を毀損するも
のとして,国家賠償法1条1項の適用上違法となるか(請求1)
ア原告の主張
公安調査庁長官において本件第4回更新請求書に本件調査書記載1があ
る本件調査書1を添付して本件第4回更新請求をしたことは,原告の名誉を
毀損するものであって,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
(ア)本件調査書記載1のうち,原告の構成員の「サリン事件ですら正しいと
いうふうに,長い目で見たら正しいことっていうのはあるのかもしれない
ですから。」という発言は,その原資料である同構成員の供述の録音を反
訳した平成23年7月日付けの公安調査官であったIの作成に係る
調査書(甲第4号証)(平成23年7月日付けの公安調査官であった
Cの作成に係る調査書(乙第13号証))によれば,同構成員自身がサリン
事件を正当化しているものではなく,殺人を肯定する教義を持つオウム真
理教又はその後継団体であるAlephの信者がサリン事件を正当化し
ている事実を同構成員が指摘し批判しているものであることが明らかで
ある。それにもかかわらず,公安調査庁長官は,同構成員の発言をその原
意を歪曲して引用等した本件調査書記載1がある本件調査書1を提出し,
公安審査委員会に原告又は原告の構成員が両サリン事件を正当化してい
るかのような誤った印象を与え,これを広く報道させたのであって,この
ような公安調査庁長官の行為は,原告の名誉を毀損する不法行為となる。
(イ)公安調査庁長官は,公安審査委員会に本件調査書1を提出したところ,
これによりその内容が報道機関等を通じて広く伝播することが当然に予
想され,実際にも本件新聞報道によりその内容が報道されたのであって,
当該提出が準司法機関である公安審査委員会に対する一方の当事者とし
ての主張立証に係るものであるが,その内容が前記(ア)でみたとおり事実
の明確な歪曲を伴う不当なものである以上,名誉毀損による不法行為を構
成する。
イ被告の主張
原告の主張は争う。
(ア)国家賠償法1条1項所定の違法とは,国又は公共団体の公権力の行使に
当たる公務員が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背するこ
とをいうところ,その違法性を判断するに当たっては,職務上通常尽くす
べき注意義務を尽くすことなく,漫然と当該行為をしたと認め得るような
事情がある場合に限り,違法の評価を受けるものと解するのが相当である。
そして,公安調査庁長官による観察処分の期間の更新の請求に関する行
為が国家賠償法1条1項の適用上違法となるかどうかは,当該行為が公安
調査庁長官として個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背して
なされたかどうかによるものであるから,仮に公安調査庁長官が更新の請
求において公安審査委員会に提出した更新請求書やこれに添付した証拠
書類等に真実とは異なる事実が摘示されていたとしても,そのことから直
ちに国家賠償法1条1項所定の違法があったと評価されるものではなく,
公安調査庁長官が資料を収集し,これに基づいて更新の理由となる事実を
認定判断する上で,職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更
新の請求をしたと認め得るような事情がある場合に限り,国家賠償法1条
1項所定の違法があったと評価されるとするのが相当であるところ,本件
においてはこのような事情はない。
(イ)公務員の報道機関に対する公表行為によって信用の毀損や経済的利益
の侵害が生じたからといって,直ちに国家賠償法1条1項所定の違法があ
ったと評価することはできず,これが違法であるというためには,当該具
体的事情の下で,当該公表が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすこと
なく漫然とされたと認め得るような事情があることを要すると解すべき
であり,不必要又は不相当に他人の信用を毀損し経済的利益を侵害した場
合に初めて違法と評価されるものというべきであるところ,本件において
はこのような事情はない。
(ウ)請求1の請求原因は,公安調査庁長官が,公安審査委員会に本件調査書
1を提出し,これを受けて公安審査委員会が本件第4回更新決定をし,本
件新聞報道により本件第4回更新決定の内容が報道され,原告の名誉が毀
損されたというところ,本件第4回更新決定は,公安調査庁長官の行為で
はなく,公安審査委員会が独自の判断で事実を認定し処分をしたものであ
り,また,本件新聞報道も,報道機関が独自の判断により報道したもので
あって,公安調査庁長官は本件第4回更新決定や本件新聞報道に何ら関与
するものではなかったのであるから,公安調査庁長官の行為によって原告
の名誉が毀損されたということはできないのであって,当該請求原因は主
張自体失当である。
(エ)本件調査書記載1が摘示した事実は,真実である。
すなわち,平成23年7月日付けの公安調査官であったIの作成に
係る調査書(乙第11号証)には,原告の構成員が「サリン事件ですら正
しいというふうに,長い目で見たら正しいことっていうのはあるのかもし
れないですから。」と発言した後に,「もしかしたら深いお考えがあったん
だろうと,そういう心っていうのは生じる可能性はあるわね」と発言し,
また,「男性」から「前世,来世っていうのを(中略)かいま見たいという
意思が当然ありますよね」と問われて「それはややありますね」と発言し
たことが記載され,当該構成員がBの説く「前世」や「来世」の存在(乙
第12号証)を否定していなかったことが認められる。
また,平成23年7月日付けの公安調査官であったCの作成に係る
調査書(乙第13号証)には,上記の構成員がオウム真理教の一連の事件
について「私も同じ立場にいたら絶対にね,事件はやったっていう」「絶対
に私は,私はやらなかったというのは,絶対に言えないなというのは自分
では思ってるんで」と発言したことが記載され,当該構成員が両サリン事
件を敢行した心理状態に共感していることが認められる。
(オ)なお,原告は,Bに全体的に帰依し,オウム真理教の教義を広めこれを
実現することを目的として設立され活動していながら,その活動の障害と
なる観察処分を免れるためBの影響力を払拭したかのように装ういわゆ
るA隠しを実行し,近時はA隠しの動きを徹底させなりふり構わず推進さ
せている一方で,原告の在り方を変化させる事情もないことを考慮すると
(甲第17号証,第21号証,乙第6号証,第7号証,第9号証,第14
号証,第18号証,第19号証,第36号証,第47ないし第0号証,
第7号証,第9ないし第61号証,第64ないし第67号証,第69
ないし第78号証,第80ないし第93号証,第9ないし第98号証),
原告の構成員らの発言を評価するに当たっては,このようなA隠しを念頭
に置いて,表面的にはBやオウム真理教の教義を否定しながらもBに対す
る帰依心を吐露すれば,その発言の趣旨が不明確であったとしても,Bに
対する帰依心,オウム真理教の教義への信奉を表明したものと捉えられる。
(2)公安調査庁長官が,本件第4回更新請求書に本件調査書記載2がある本件調
査書2を添付して本件第4回更新請求をしたことは,原告の名誉を毀損するも
のとして,国家賠償法1条1項の適用上違法となるか(請求2)
ア原告の主張
公安調査庁長官において本件第4回更新請求書に本件調査書記載2があ
る本件調査書2を添付して本件第4回更新請求をしたことは,原告の名誉を
毀損するものであって,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
(ア)本件調査書記載2は,原告の中心的な構成員であるとするGの「今後は,
現実のA,現実のひかりの輪を受け入れ,そして,何よりも,Aに帰依し
ておらず,Aに帰依しない,現実の自分をそのままの自分として,それに
基づいて,被害者遺族への賠償を含めた,ひかりの輪の活動を行っていく」
という発言を記載したものであるところ,その原資料であるGの供述の録
音を反訳した平成23年8月2日付け及び同月11日付けの公安調査官
であったFの作成に係る各調査書(甲第7号証,第8号証)によれば,G
が過去にオウム真理教の信徒であった時代に有していた認識について述
べた部分のみを意図的に抽出したものであって,Gは,陳述書(甲第9号
証)において,現在においては,Bのことを殺人を犯して人を不幸にした
存在で出会うこともあってはならない存在であるとしてその帰依心を明
確に否定する旨を陳述している。それにもかかわらず,公安調査庁長官は,
Gの発言をその原因を歪曲して引用等した本件調査書記載2がある本件
調査書2を提出し,公安審査委員会に原告又は原告の構成員がBに帰依し
ているかのような誤った印象を与え,これを広く報道させたのであって,
このような公安調査庁長官の行為は,原告の名誉を毀損する不法行為とな
る。
(イ)公安調査庁長官は,公安審査委員会に本件調査書2を提出したところ,
これによりその内容が報道機関等を通じて広く伝播することが当然に予
想され,実際にも本件新聞報道によりその内容が報道されたのであって,
当該提出が準司法機関である公安審査委員会に対する一方の当事者とし
ての主張立証に係るものであるが,その内容が前記(ア)でみたとおり事実
の明確な歪曲を伴う不当なものである以上,名誉毀損による不法行為を構
成する。
イ被告の主張
原告の主張は争う。
(ア)前記(1)イ(ア)(イ)(ウ)と同旨
(イ)本件調査書記載2が摘示した事実は,真実である。
すなわち,平成23年8月2日付けの公安調査官であったFの作成に係
る調査書(乙第号証)には,GがBについて「どの人見ても衝撃でし
たね。ハンマーで頭を打ちのめされたような。私にとっては,Aはそうだ
ったんだけれども。(中略)すごかったですよ。もう魂の鳴咽だったから」
「もう一つの今までの繋がりというか,今生だけじゃないっていうのをも
のすごくあるので。魂の絆,グルと弟子の関係っていうか。だから鳴咽な
んですよ。はっきり言って鳴咽。魂がうち震えている出会い」「先ず,器,
気根。Jとはまた相当違うんですよ。修行者としての気根,スケール,器
の大きさ」「JとAは,そういう違い。だから,個性が違うんですよ。だけ
ど,個性が違うんだけど,やっぱりこっちがグルでこっちが弟子っていう」
などと発言していたことが記載され,GがBを宗教上の帰依の対象である
「グル」とみなしていたことは明らかである。
また,平成23年8月11日付けの公安調査官であったFの作成に係る
調査書(乙第16号証)には,GがBについて「Aに,ものすごく可愛が
ってもらって,大事にしてもらったので。もう,それはほんとによくして
もらったんですよ。あそこまではなんかちょっと嘘だったとは思えないの
で。(中略)自分の全てにおける存在になってしまっててね。父であり,人
生の父であり,先生であり,グルであり,全てみたいな感じで,ほんとに
恩返しがしたいって思ったんです。(中略)何億円つぎ込んでもお金で買
えない幸せっていう喜びがあったんで」などと発言していたことが記載さ
れ,GがBを賛美し帰依をしていたことが認められる。
(3)公安調査庁長官が,本件更新請求書記載1がある本件第4回更新請求書によ
り本件第4回更新請求をしたことは,原告の名誉を毀損するものとして,国家
賠償法1条1項の適用上違法となるか(請求3)
ア原告の主張
公安調査庁長官において本件更新請求書記載1がある本件第4回更新請
求書により本件第4回更新請求をしたことは,原告の名誉を毀損するもので
あって,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
(ア)原告の構成員がサリン事件を正当化する発言をしていなかったにもか
かわらず,公安調査庁長官は,そのような発言があったという本件更新請
求書記載1がある本件第4回更新請求書により本件第4回更新請求をし,
公安審査委員会に原告又は原告の構成員が両サリン事件を正当化してい
るかのような誤った印象を与え,これを官報に公示させたのであって,こ
のような公安調査庁長官の行為は,原告の名誉を毀損する不法行為となる。
(イ)公安調査庁長官は,公安審査委員会に本件更新請求書記載1がある本件
第4回更新請求書を提出したところ,これによりその内容が官報で公示さ
れ広く伝播することが当然に予想され,実際にも官報に公示されたのであ
って,当該提出が準司法機関である公安審査委員会に対する一方の当事者
としての主張立証に係るものであるが,その内容が前記(ア)でみたとおり
事実の明確な歪曲を伴う不当なものである以上,名誉毀損による不法行為
を構成する。
イ被告の主張
原告の主張は争う(前記(1)イと同旨)。
(4)公安審査委員会が,本件決定書記載がある本件第4回更新決定書により本件
第4回更新決定をしたことは,原告の名誉を毀損するものとして,国家賠償法
1条1項の適用上違法となるか(請求4)
ア原告の主張
公安審査委員会において本件決定書記載がある本件第4回更新決定書に
より本件第4回更新決定をしたことは,原告の名誉を毀損するものであって,
国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
(ア)公安審査委員会は,公安調査庁長官が提出した本件調査書1に記載され
た本件調査書記載1及び本件調査書2に記載された本件調査書記載2に
ついて,職務上尽くすべき注義務を尽くさずに漫然と審査をし,これらの
誤りを見抜くことなく,本件調査書記載1及び本件調査書記載2と同旨で
ある本件決定書記載がある本件第4回更新決定書により本件第4回更新
決定をし,これを官報に公示させるとともに,これを公表して広く報道さ
せたのであって,このような公安審査委員会の行為は,原告の名誉を毀損
する不法行為となる。
(イ)公安審査委員会は,本件決定書記載がある本件第4回更新決定書により
本件第4回更新決定をしたところ,これによりその内容が報道機関等及び
官報を通じて広く伝播することが当然に予想され,実際にも本件新聞報道
によりその内容が報道され,官報にも公示されたのであって,名誉毀損に
よる不法行為を構成する。
イ被告の主張
原告の主張は争う(前記(1)イ及び(2)イと同旨)。
()Hが,本件取材発言をしたことは,原告の名誉を毀損するものとして,国家
賠償法1条1項の適用上違法となるか(請求)
ア原告の主張
Hが本件取材発言をしたことは,原告の名誉を毀損するものであって,国
家賠償法1条1項の適用上違法となる。
原告においては,本件取材発言にあるような「Aと同一視される仏画」な
どを掲示したことはなく,幹部信徒から末端の信徒までAへの帰依心をいま
だ保持しているという事実もない。それにもかかわらず,Hは,本件取材発
言をし,本件テレビ報道を通じて,原告が両サリン事件を敢行しつつもいま
だに反省の意思を見せないBに帰依しているかのような誤った印象を視聴
者に与えたものであって,このようなHの行為は,原告の名誉を毀損する不
法行為となる。
イ被告の主張
原告の主張は争う。
Hによる本件取材発言が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫
然とされたと認め得るような事情は認められず,国家賠償法1条1項の適用
上違法であるということはできない。
(ア)平成26年月日,原告は,Bの影響力から脱却している旨を対
外的に発信する目的で,その管理する施設の内部を報道機関に公開するな
どしたところ,施設の公開を受けた報道機関各社のうちの一社は,原告等
に対する観察処分を執行する公安調査庁にも取材を申し入れ,公安調査庁
はこれに応じることとし,同日,Hは,公安調査庁の庁舎内において,な
ぜ今全国規模でのアピールが必要なのかという質問を受けて,このタイミ
ングで施設の公開に踏み切った狙いは来年1月に満了する観察処分を免
れるための脱Aアピールとみていると答え,続けて,本件取材発言をした。
(イ)国家賠償法1条1項所定の違法とは公務員による行為規範違反である
から,民法上の名誉毀損による不法行為とは異なり,摘示した事実が真実
であることが証明されて初めて違法性がないという判断枠組みを採用す
ることはできず,本件取材発言のような法令上の根拠規定がない公表行為
については,公務員の守秘義務に照らし,公表内容の合理性,公表によっ
て予想される利益侵害の内容,公表方法の相当性などの事情を総合的に考
慮して,不必要又は不相当に他人の信用を毀損し経済的利益を侵害した場
合に初めて違法と評価されるべきである。
(ウ)本件取材発言は,証拠に基づいて認められる真実であるから,その公表
内容は合理的であるといえる。
すなわち,本件観察処分の対象団体においては,従前からBの化身とさ
れるシヴァ神,ヴィシュヌ神及びグヤサマジャと称する仏画をその管理す
る施設内の祭壇等に掲示し,これらの仏画を通してBを観想するよう指導
し,その後,釈迦牟尼,弥勒菩薩及び観音菩薩の各仏画を施設内の祭壇等
に掲示するようになったところ,平成26年2月8日の時点において,公
安調査庁の公安調査官らは,原告が管理している施設内の祭壇等に同じ三
つの仏の仏画が掲示されていることを確認したことから(乙第18号証,
第19号証),Bと同一視される仏画が原告の管理している施設内の祭壇
等に掲示されていたということができる。
また,公安調査官が聴取した原告の幹部構成員を含む構成員らの発言
(乙第ないし第23号証)から,原告の構成員らがBへの帰依心を保
持していることが認められる。
(エ)本件取材発言は,本件観察処分の対象とされている原告がその施設を報
道機関に公開した真意について,報道機関の取材に対し,公安調査庁とし
ての見解を述べたものであり,団体規制法に基づく観察処分に付されてい
る原告の活動状況という公共の利害に関する事実について,無差別大量殺
人行為を行った団体の活動状況を明らかにしもって国民の生活の平穏を
含む公共の安全の確保に寄与することを目的とする団体規制法の趣旨及
び一般社会からの要請を踏まえて,広く世間に伝えるという高い公益性が
認められるものであって,正当な職務行為としてされたものであり,その
公表目的は正当なものであった。
(オ)本件取材発言は,原告が発信した誤った情報を早期に打ち消すものであ
って,国民が原告について誤った認識を持つことを防ぐために必要かつ極
めて効果的なものであったから,公表によって得られる利益ないし公表の
必要性が認められる。
(カ)原告は,既に本件観察処分に付されていたのであって,その活動内容が
広く国民に明らかにされることになることに鑑みれば(団体規制法条3
項,7条,26条4項2号,項前段,17条2項前段),仮に原告の名誉
が侵害されることがあったとしても,その程度は必ずしも大きくないとい
える。
(キ)本件取材発言は,報道機関からの取材の申入れを受けて応答したものに
すぎず,その態様が不適切であったという事情はないから,公表方法が相
当であったといえる。
(6)公安調査庁長官が,本件更新請求書記載2がある本件第回更新請求書によ
り本件第回更新請求をしたことは,原告の名誉を毀損するものとして,国家
賠償法1条1項の適用上違法となるか(請求6)
ア原告の主張
公安調査庁長官において本件更新請求書記載2がある本件第回更新請
求書により本件第回更新請求をしたことは,原告の名誉を毀損するもので
あって,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
(ア)平成26年8月6日,警視庁公安部は,旅行業法違反の被疑事実により
原告の捜索差押えをしたが,当該被疑事実について確定した有罪判決はな
く,検察庁に送致すらされていない。原告は,団体として宿泊を手配して
いたが,報酬等を得ていなかったから,観光庁長官又は都道府県知事等に
対する旅行業の登録をしていなかったからといって,旅行業法に抵触する
ことにはならない。それにもかかわらず,公安調査庁長官は,本件更新請
求書記載2がある本件第回更新請求書を提出し,これにより原告が旅行
業法に抵触する行為をしている旨を公言したのであって,このような公安
調査庁長官の行為は,無罪推定の原則に反するものであり,原告が日常的,
組織的に違法不当な行為をし,Bを依然として信奉し,オウム真理教の危
険な教義を保持する反社会的集団であるかのような印象を与えるもので
あって,原告の名誉を毀損する不法行為となる。
(イ)公安調査庁長官は,公安審査委員会に本件更新請求書記載2がある本件
第回更新請求書を提出したところ,これによりその内容が官報で公示さ
れ広く伝播することが当然に予想され,実際にも官報に公示されたのであ
って,名誉毀損による不法行為を構成する。
イ被告の主張
原告の主張は争う。
本件更新請求書記載2が摘示した事実は,真実である。
すなわち,原告は,ホームページ上で聖地巡りと称する企画旅行について
一般人を募集するなどしていたところ,警視庁は,旅行業法違反の被疑事実
で原告の管理する施設の捜索差押えをし,また,原告が観光庁長官又は都道
府県知事等に対する旅行業の登録をしていなかったことが判明した(乙第3
7号証,第38号証,第7ないし第9号証,第111号証)。
(7)公安調査庁長官が,本件更新請求書記載3がある本件第回更新請求書によ
り本件第回更新請求をしたことは,原告の名誉を毀損するものとして,国家
賠償法1条1項の適用上違法となるか(請求7)
ア原告の主張
公安調査庁長官において本件更新請求書記載3がある本件第回更新請
求書により本件第回更新請求をしたことは,原告の名誉を毀損するもので
あって,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
(ア)原告は,認知症の高齢者から悪質な手段を用いて寄付金を徴収したこと
はない。原告が高齢者から寄付金を受け取ったのは月万円程度であっ
て,その家族らも納得していたのであって,重度の認知症の介護等に必要
な諸経費を考えれば,悪質なものではない。それにもかかわらず,公安調
査庁長官は,本件更新請求書記載3がある本件第回更新請求書を提出し,
これにより認知症の高齢者から悪質な手段を用いて寄付金を徴収してい
る旨を公言したのであって,このような公安調査庁長官の行為は,原告が
日常的,組織的に違法不当な行為をし,Bを依然として信奉し,オウム真
理教の危険な教義を保持する反社会的集団であるかのような印象を与え
るものであって,原告の名誉を毀損する不法行為となる。
(イ)公安調査庁長官は,公安審査委員会に本件更新請求書記載3がある本件
第回更新請求書を提出したところ,これによりその内容が官報で公示さ
れ広く伝播することが当然に予想され,実際にも官報に公示されたのであ
って,名誉毀損による不法行為を構成する。
イ被告の主張
原告の主張は争う。
本件更新請求書記載3が摘示した事実は,真実である。
すなわち,原告は,86歳の後期高齢者で認知症の症状がある在家の構成
員を原告の管理する施設に居住させた上で,同構成員の年金受取口座を管理
し,寄付金や生活費等の名目で当該口座から金員を引き出して領得した(乙
第36号証,第113号証,第126号証)。
(8)原告が被った損害
ア原告の主張
原告が請求1から請求7までの名誉毀損により被った損害の額は,各請求
当たり少なくとも1円(合計7円)を下らない。
イ被告の主張
原告の主張は否認し又は争う。
(9)謝罪広告
ア原告の主張
原告が受けた請求1から請求7までの名誉毀損は極めて深刻なものであ
って,金銭賠償だけでは慰謝することができず,名誉を回復するための措置
として謝罪広告を掲載することが必要不可欠である。
イ被告の主張
原告の主張は否認し又は争う。
第3当裁判所の判断
1証拠(甲第1ないし第42号証,第43号証の2から1まで,第43号証
の173から197まで,第44ないし第91号証,乙第1ないし第6号証)
及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(1)昭和9年,Bは,東京都において,オウム神仙の会の名称で宗教活動を始
め,昭和62年,その名称をオウム真理教に変更し,その教義を広めこれを実
現することを目的として活動を続け,平成元年8月日,東京都知事は,オ
ウム真理教に対する宗教法人法上の規則の認証をして,宗教法人オウム真理教
が設立され,同月29日,その設立登記手続がされた。(乙第1号証及び弁論の
全趣旨)
(2)平成6年6月27日,長野地方・家庭裁判所松本支部・松本簡易裁判所の付
近にサリンが散布され,これにより8人が死亡し,143人がサリン中毒症に
罹患した(松本サリン事件)。平成7年3月日,東京都の地下鉄の電車内で
サリンが散布され,これにより12人が死亡し,3000人を超える多数の者
がサリン中毒症に罹患した(地下鉄サリン事件)。平成7年月16日,Bは,
地下鉄サリン事件に係る殺人等の被疑事実により逮捕され,その他,オウム真
理教の構成員400人以上が逮捕されるに至り,これらの者に対するサリン事
件等についての刑事手続が進められた(刑事事件の内容は,別表のとおりであ
る。)(甲第71号証,乙第1号証及び弁論の全趣旨)。
(3)平成7年6月30日,東京地方検察庁検事正及び東京都知事は,東京地方裁
判所に対し,宗教法人法81条1項の規定に基づき,オウム真理教に対する解
散命令の請求をし,同年月31日,東京地方裁判所は,宗教法人法81条
1項1号及び2号前段に定める解散命令事由があるとして,オウム真理教を解
散する旨の決定(解散命令)をし,これに対し,オウム真理教は即時抗告をし,
同年12月19日,東京高等裁判所は,抗告を棄却する旨の決定をし,これに
対し,オウム代表者は特別抗告をし,平成8年1月30日,最高裁判所は,抗
告を棄却する旨の決定をし,当該解散命令は確定し,オウム真理教は清算中の
宗教法人となったところ,同年3月28日,東京地方裁判所は,オウム真理教
に対する破産宣告をした(乙第1号証及び弁論の全趣旨)。
(4)平成8年7月11日,公安調査庁長官は,公安審査委員会に対し,破壊活動
防止法11条に基づき,オウム真理教に対する解散の指定(同法7条)の請求
をしたところ,平成9年1月31日,公安審査員会は,当該請求を棄却する旨
の決定をした(乙第40号証,第41号証)。
()平成11年12月3日,団体規制法(平成11年法律第147号)が成立し,
同月7日に公布され,同月27日に施行された(乙第42号証)。
(6)平成11年12月27日,公安調査庁長官は,団体規制法12条1項前段の
規定に基づき,同法条所定の証拠書類等を添付した処分請求書を提出して,
Bを教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め,これを実現することを目
的とし,同人が主宰し,同人及び同教義に従う者によって構成される団体(以
下「本件対象団体」という。)に対し同法条1項の公安調査庁長官の観察に付
する処分の請求をし(平成12年1月日,同法17条1項,2項の規定に基
づき,当該処分請求書は官報で公示された(乙第43号証)。),同年1月28
日,公安審査委員会は,本件対象団体について同法条1項各号に定める事由
(1号所定の当該無差別大量殺人行為(同法4条1項)の首謀者が当該団体(同
法4条2項)の活動に影響力を有していること,2号所定の当該無差別大量殺
人行為に関与した者の全部又は一部が当該団体の役職員又は構成員であるこ
と,3号所定の当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員(団体
の意思決定に関与し得るものであって,当該団体の事務に従事するものをいう。
以下同じ。)であった者の全部又は一部が当該団体の役員であること,4号所
定の当該団体が殺人を明示的に又は暗示的に勧める綱領を保持していること,
号所定の前各号に掲げるもののほか当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ
危険性があると認めるに足りる事実があること)があるとして,同法22条1
項3号の規定に基づき,次のとおり,本件対象団体に対し,当該請求に係る処
分をする旨を決定し(これが本件観察処分に当たる。),同月31日,同法24
条1項,2項の規定に基づき,本件対象団体の代理人にこれを通知し,同年2
月1日,同法24条3項の規定に基づき,その決定書を官報で公示した(同法
条2号)(乙第3号証)。本件観察処分の決定書には,本件対象団体の代表
者がBとされ,上記の処分請求書が添付されていた。
ア本件対象団体を,3年間,公安調査庁長官の観察に付する。
イ本件対象団体は,団体規制法条2項号及び3項6号に規定する「公安
審査委員会が特に必要と認める事項」として,次の事項を公安調査庁長官に
報告しなければならない。
(ア)本件対象団体の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家
信徒の位階
(イ)本件対象団体作成のインターネット上のホームページに係る接続業者
名,契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名
(7)平成12年2月4日,宗教団体・アレフが正式に発足された旨及び本件観察
処分当時の本件対象団体の代表代行とされた者がその代表者に就任した旨が
公表された。
(8)平成12年2月8日,宗教団体・アレフは,公安審査委員会に対し,本件観
察処分の取消しを求める訴訟を東京地方裁判所に提起し(乙第44号証),平
成13年6月13日,東京地方裁判所は,宗教団体・アレフ(本件対象団体)
の請求を棄却する旨の判決を言い渡し(甲第43号証の11,乙第4号証),
当該判決は確定した。
(9)平成13年12月13日,公安調査庁は,本件対象団体の主たる事務所(東
京都世田谷区ab丁目c番d号)(原告の現在の住所)に立入検査をし,Bの説
法集のほか,原告代表者の自筆メモを発見したところ,当該メモには,Bを尊
重しつつ状況に対応し絶対化唯一化しない,Aはブッダの化身である,独自の
教団を設立するといった記載があった(乙第9号証別紙2,第49号証)。
()平成14年12月2日,公安調査庁長官は,団体規制法12条1項後段の規
定に基づき,同法26条1項,2項所定の証拠書類等を添付した更新請求書を
提出して,同法条4項の本件観察処分の更新の請求をし,平成年1月2
3日,公安審査委員会は,本件対象団体について同法条1項各号に定める事
由があるとして,同法26条6項,22条1項3号の規定に基づき,次のとお
り,本件観察処分の期間を更新する旨を決定し,同月29日,同法26条6項,
24条1項,2項の規定に基づき,宗教団体・アレフの代理人にこれを通知し,
同日,同法26条6項,24条3項の規定に基づき,その決定書を官報で公示
した(同法26条6項,条2号)(乙第4号証)。なお,上記の更新の決定
書には,本件対象団体の代表者がBとされ,主幹者が原告代表者とされ,上記
の更新請求書が添付されていた。
ア本件対象団体を,3年間,公安調査庁長官の観察に付する処分の期間を更
新する。
イ本件対象団体は,団体規制法条項,3項6号に規定する「公安審査委
員会が特に必要と認める事項」として,次の事項を公安調査庁長官に報告し
なければならない。
(ア)本件対象団体の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家
信徒の位階
(イ)本件対象団体作成のインターネット上のホームページに係る接続業者
名,契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名
(11)平成年2月6日,宗教団体・アレフは,その名称を宗教団体アーレフに
変更した(弁論の全趣旨)。
(12)平成年3月27日,宗教団体アーレフは,公安審査委員会に対し,前記
()の更新の処分の取消しを求める訴訟を東京地方裁判所に提起し,平成16
年月29日,東京地方裁判所は,宗教団体アーレフの請求を棄却する旨の
判決を言い渡し,当該判決は確定した。
(13)平成17年11月日,公安調査庁長官は,団体規制法12条1項後段の
規定に基づき,同法26条1項,2項所定の証拠書類等を添付した更新請求書
を提出して,同法条4項の本件観察処分の更新の請求をし,平成18年1月
23日,公安審査委員会は,本件対象団体について同法条1項各号に定める
事由があるとして,同法26条6項,22条1項3号の規定に基づき,次のと
おり,本件観察処分の期間を更新する旨を決定し,同日,同法26条6項,2
4条1項,2項の規定に基づき,宗教団体アーレフの代理人にこれを通知し,
同月30日,同法26条6項,24条3項の規定に基づき,その決定書を官報
で公示した(同法26条6項,条2号)(乙第号証)。上記の更新の決定
書には,本件対象団体の代表者がBとされ,主幹者が原告代表者とされ,上記
の更新請求書が添付されていた。
ア本件対象団体を,3年間,公安調査庁長官の観察に付する処分の期間を更
新する。
イ本件対象団体は,団体規制法条項,3項6号に規定する「公安審査委
員会が特に必要と認める事項」として,次の事項を公安調査庁長官に報告し
なければならない。
(ア)本件対象団体の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家
信徒の位階
(イ)本件対象団体作成のインターネット上のホームページに係る接続業者
名,契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名
(ウ)本件対象団体(その支部,分会その他の下部組織を含む。以下,この項
において同じ。)の営む収益事業(いかなる名義をもってするかを問わず,
実質的に本件対象団体が経営しているものをいう。)の種類及び概要,事
業所の名称及びその所在地,当該事業の責任者及び従事する構成員の氏名
並びに各事業に関する会計帳簿を備え置いている場所(その会計帳簿が電
磁的記録で作成されている場合には,当該電磁的記録媒体の保管場所)
(14)平成18年4月16日,原告代表者は,説法において,Bの死刑判決の確定
等に備えて,Bに今までほど依存しなくてもやっていける仕組みの必要性を説
いた(平成年9月30日付けの公安調査庁の公安調査官であったIの作成
に係る調査書にその反訳が添付された。)(甲第7号証)。
()平成18年4月19日,後に原告の構成員となるG(原告は,平成19年
月日付けの団体規制法条3項の規定による公安調査庁長官に対する報
告において,当該構成員Gが原告の役職員である旨を報告した(乙第61号
証)。)は,在家の構成員に対し,自分が宗教団体アーレフではなく原告の側に
行ったのはBの意思を実践したいからである旨を話した(平成年月1
日付けの公安調査庁の公安調査官であったIの作成に係る調査書にその反訳
が添付された。)(乙第7号証)。
(16)平成19年1月,Gは,在家の構成員に対し,Bへの帰依を見せつけるよう
なことをすれば多くの人に不安を与える,Bについては世間の人が認めないか
らそういう場合は水面下に潜って個人で帰依して密教でやるしかない,Bが,
2つの団体に分かれるように指示しており,片方の団体はオウム真理教の理念
を全く隠した新教団であり,もう一方の団体はオウム真理教をそのまま継続す
るが在家に戻ってひっそりと密教でやるというものである,原告代表者はBの
このような教えを実践していて,話を聞いてこの人が本当にBの実践を忠実に
している一番帰依のある人であると思った,などと話した(平成26年11月
14日付け及び平成27年8月13日付けの公安調査庁の公安調査官であっ
たFの作成に係る各調査書にその反訳が添付された。)(乙第9号証別紙,
乙第62号証)。
(17)平成19年1月21日,原告代表者は,説法において,原告では釈迦,弥勒,
観音の三尊を重視するという形に流れとしてはなっていると考えてもらって
構わない,Aという名前自体が阿修羅・釈迦という意味で,これからの教団は
釈迦の部分は引き継ぎながら阿修羅の部分は脱却していく必要がある,自分た
ちを純粋に釈迦に,そして釈迦の現在世と未来世の投影である観音と弥勒に帰
依していくということを話している,と話した(平成27年7月22日付けの
公安調査庁の公安調査官であったFの作成に係る調査書にその反訳が添付さ
れた。)(乙第68号証)。
(18)平成19年3月8日,宗教団体アーレフの構成員のうち原告代表者を中心と
する出家した構成員らは,宗教団体アーレフを脱退した旨を発表し,同年月
7日,当該構成員らは,原告を設立した旨を発表した。
(19)平成年月日,宗教団体アーレフは,その名称をAlephに変更
した。
()平成年11月28日付けで,公安調査庁の公安調査官であったKは,本
件対象団体に係る団体規制法条1項1号該当性についての調査書(乙第8
号証)を作成したところ,その内容は後記(29)の本件調査書2の内容とほぼ同
旨であった。
(21)平成年12月1日,公安調査庁長官は,団体規制法12条1項後段の規
定に基づき,同法26条1項,2項所定の証拠書類等を添付した更新請求書を
提出して,同法条4項の本件観察処分の更新の請求をし,平成21年1月2
3日,公安審査委員会は,本件対象団体について同法条1項各号に定める事
由があるとして,同法26条6項,22条1項3号の規定に基づき,次のとお
り,本件観察処分の期間を更新する旨を決定し,同日,同法26条6項,24
条1項,2項の規定に基づき,原告の代理人及びAlephの代理人にこれを
通知し,同月30日,同法26条6項,24条3項の規定に基づき,その決定
書を官報で公示した(同法26条6項,条2号)(乙第6号証)。上記の更
新の決定書には,本件対象団体の代表者がBとされ,主幹事3人のうちの1人
が原告代表者とされ,上記の更新請求書が添付されていた。
ア本件対象団体を,3年間,公安調査庁長官の観察に付する処分の期間を更
新する。
イ本件対象団体は,団体規制法条項,3項6号に規定する「公安審査委
員会が特に必要と認める事項」として,次の事項を公安調査庁長官に報告し
なければならない。
(ア)本件対象団体の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家
信徒の位階
(イ)本件対象団体作成のインターネット上のホームページに係る接続業者
名,契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名
(ウ)本件対象団体(その支部,分会その他の下部組織を含む。以下,この項
において同じ。)の営む収益事業(いかなる名義をもってするかを問わず,
実質的に本件対象団体が経営しているものをいう。)の種類及び概要,事
業所の名称及びその所在地,当該事業の責任者及び従事する構成員の氏名
並びに各事業に関する会計帳簿を備え置いている場所(その会計帳簿が電
磁的記録で作成されている場合には,当該電磁的記録の保存媒体の保管場
所)
(22)平成21年,Alephは,被告(国)に対し,前記(21)の更新の処分の取消
しを求める訴訟を東京地方裁判所に提起し,平成23年12月8日,東京地方
裁判所は,当該処分のうち前記(21)イ(ウ)の報告義務を課す部分を取り消し,A
lephのその余の請求を棄却する旨の判決を言い渡したところ,控訴がされ,
平成年1月16日,東京高等裁判所は,当該判決中被告敗訴部分を取り消
し,原告の請求を棄却する旨の判決を言い渡した(甲第71号証,乙第9号証
別紙22)。
(23)平成21年月,原告の出家した構成員は,会話の相手からBは前世,現世,
来世を全て知ってサリン事件を指示したから全体として正しい指示であると
思うと言われて,「サリン事件ですら正しいというふうに,長い目で見たら正
しいことっていうのはあるかもしれないですから。思ってるから。だから,『グ
ル(B)には深いお考えがあったんでしょう』とかいうふうに言ってるんです
ね」「(前世を)あるとは思いますね」「(前世の幸福とか来世の幸福とか)そう
いうのを考えると,やっぱり,それは,もしかしたら深いお考えがあったんだ
ろうと,そういう心っていうのは生じる可能性はあるわね」「あの事件とか。無
思考に従っちゃうというのも,よく分かると思いますけど,怖いですよね。う
ん。怖いですよね」「現世は幾ら地獄でも,来世良ければいいんだっていうんじ
ゃないけど,そういうふうになってしまうと,ああいった事件になってしまう」
「(Bが来世を全部見通せる)というように言われていた。できるかどうかは
分かりません」「要は,今生,地獄に落ちる者がいたら,ポアして,そして,高
い世界へ上げるというのはそれは,一つの愛なんだとかさ,ってふうになっち
ゃいますからね」と発言し,その反訳が,平成23年7月日付けの公安調
査庁の公安調査官であったIの作成に係る調査書(乙第11号証)に添付され
た。
(24)平成21年7月6日,サリン事件等共助基金,オウム真理教犯罪被害者支援
機構,原告,SPSC有限責任事業組合は,破産者オウム真理教破産管財人で
あった弁護士の立会いの下で,オウム真理教に係る破産手続における国の債権
に関する特例に関する法律(平成年法律第4号)で定められた損害賠償
請求債権者である届出被害者等に対するオウム真理教の損害賠償債務及び破
産手続において届出をしなかった未届被害者に対するオウム真理教の損害賠
償債務を原告が引き受けたことを確認し,原告が,オウム真理教犯罪被害者支
援機構に対し,損害金から給付金を控除した残金を分割して支払い,SPSC
有限責任事業組合がこれを連帯保証する旨の合意をした(甲第43号証の7
6)。
()平成22年8月,Gは,「どの人見ても衝撃でしたね。ハンマーで頭を打ち
のめされたような。私にとっては,Aはそうだったんだけれども。ああいう事
件は絶対許せないし,しちゃいけないことだから。すごかったですよ。もう魂
の嗚咽だったから」「事件のことは絶対否定ですよ,あんなことしちゃいけな
いし。だから,今も苦しいし。(中略)土下座して土下座して土下座しても,あ
の,償えないんだけど。だからそういうことをしたっていうAっていう人は,
許せないですよ。だけど,もう一つの今までの繋がりというか,今生だけじゃ
ないっていうのをものすごくあるので。魂の絆,グルと弟子の関係っていうか。
だから嗚咽なんですよ。はっきり言って嗚咽。魂がうち震えている出会い。」
「(原告代表者とBとの違いについて)器の大きさが違うって感じ。(中略)J
もすごい人ですよ。(中略)でも,違う。(中略)やっぱ出会ってしまっている
から,Aに。(中略)比較できないです。(中略)個性が違うんだけど,やっぱ
りこっち(B)がグルでこっち(原告代表者)が弟子っていう。」と発言し,そ
の反訳が,平成23年8月2日付けの公安調査庁の公安調査官であったFの作
成に係る調査書(乙第号証)に添付された。
(26)平成22年11月,Gは,「だってね,それは私よくわかるんですけど。それ
はA信仰,オウムの時代の考え方としてね,ああいうサリン事件やってもね,
『良かったじゃん』って。私の年くらい前の私の,年くらい前の。『あ
あ,尊師に縁を付けてもらったんだな』って。『来世は尊師と縁が深まるんだ
な』って,そんなふうにしか思ってません。「思ってた。思ってた。それほど洗
脳されてたし。」「やっぱり自我執着ですね,根本。(中略)『自分が信じた教祖
であるA尊師は,最高,絶対の神であって欲しい。なぜなら,自分が信じた人
だから』,全部自分に起因しています。根本分析すると全部そこですよ。それの
極致をいっているわけです。」「旧教団は右に,ぐーんと右。(中略)右にぶれて
たからそれは間違ってたんだ,(中略)ビユーンと今度,こっちにぶれたんです
よ。(中略)だから,J軌道修正してぶーーっとここの真ん中に持っていこう
と,今してる。(中略)だんだん中庸に戻すように一生懸命やってる。その狭間
なんです,今。でも,大半の人は自分で乗り越えていってる。もうA信仰ない,
ないです,ひかりの輪には」「これはほんとにおかしいかもしれないけれども,
ものすごくAに,ものすごく可愛がってもらって,大事にしてもらったので。
もう,それはほんとによくしてもらったんですよ。あそこまではなんかちょっ
と嘘だったとは思えないので。それはそれでそういう部分もあった人というか。
恩返しがしたいなと思ったんです。自分の全てにおける存在になってしまって
てね。父であり,人生の父であり,先生であり,グルであり,全てみたいな感
じで,ほんとに恩返しがしたいって思ったんです。もう,ものすごく苦しかっ
たんですよ,精神的に。(中略)で,そうやっていろんな神秘体験をするように
なって。全部,聞いてたことと全部一致するので。『ああ,これがこういうこと
か,あれがこういうことか』みたいな感じで。(中略)だから感謝の恩返しをし
たいという気持ちと,ほんとに多くの人が,自分,苦しかった,ほんとに苦し
かった。ほんとに苦しかった。だからもう,私の原動力はそこなんですよ」と
発言し,その反訳が,平成23年8月11日付けの公安調査庁の公安調査官で
あったFの作成に係る調査書(乙第16号証)に添付された。
(27)平成22年11月,原告の出家した構成員は,「そういうの(宗教上の神秘
的な体験)でアピールして,人数を増やしてはいけないっていうふうに,代表
は言ってました。」「経営的にはそう(増えた方がいい)ですけど,そういうの
によって増やしてしまったら,再びオウム真理教と同じになっちゃう。だから,
そういう,反省して,だから,そういうのじゃなくて,もともと自分に絶対視
をしないだとか,その結果,利他心というか,(中略)そういうのを培っていく
ための手段として,そういう体験というのがあるならいいんだけども,(中略)
それとは逆の方向に行っちゃうようだったら。昔,事実,俺たちは偉いんだと
いうふうなのになっちゃって,それで,自分たちが殺したら,殺して,悪業多
き魂を殺すことによって,高い世界に上げることが善業なんだっていうふうに
なって,(中略)そういうことが愛なんだっていうふうにまで言ってしまって
いるからね。俺たちによって殺されたのは幸福であるみたいな,俺たちと縁が
付いたんだとかって,そこまで傲慢になっちゃってるから。」「要は,それで,
オウム真理教のね,こういう崇高な団体を弾圧する者というのは悪業を,それ
だけで悪業を積んでることになるっていうことですね,要は。悪業を積んでて,
そのまま積み続けるんだったら,ポワしてしまった方がいいということにもな
ってるわけですよね。」「要は,低い世界に落としたら,もう,何十カルパもね
え,苦しまなければいけないというのがあるから,ここでそれを少しでも,ポ
ワしてしまうということによって楽にしてしまうっていうというのが,それこ
そ愛だって思ってるわけだから。すごい,救いようがないでしょ。ない。」「元
代表自身はもう,思い詰めてたんでしょうね。自分の見るヴィジョンというの
によると,もう,未来ヴィジョンによると,ハルマゲドンっていうのが迫って
て,もう時間がないと。それの,限られた時間の中で,こう,多くの(中略)
生きようとしている魂をいかにして救済するかっていうのでもう,焦りまくっ
たっていうので,そういうヴァジラヤーナをやってしまった,曲解したヴァジ
ラヤーナですけど。だから,あの人はあの人なりの善意っていうのがあって,
やってるのは確かなんだけれども,かなり曲解しています。」「(原告の目的に
ついて)要は自分の善っていうものにもとらわれずに,利他に生きるっていう
ことができるようになるというのが,昔のタントラ・ヴァジラヤーナの,あれ
ですよね,ポリシィですよね。」「(ヴァジラヤーナを)輪廻転生というところま
で視野を広げると,ポワというものが出てきちゃうんですけども,(中略)来世
を,どうなるのかを見通せると言ってしまったのは過信だし,しかも,(中略)
自分ではもう,見通す力があると信じ切っていたから,そういうことができち
ゃったんでしょうね。」「だから,前から,私も同じ立場にいたら絶対にね,事
件はやったっていう。」「絶対に私は,私はやらなかったというのは,絶対に言
えないなというのは自分では思ってるんで。」「(輪廻転生は)あるんだろうな
っていうのは,あるけれども,ただ,それを拡大解釈して,ちゃんと,この人
は来世,いつでもどこでも,このままでは落ちるから,それを変えるためには
殺しちゃってもいいんだとか,そこまでは絶対視しちゃいけないと思う。」と
発言し,その反訳が,平成23年7月日付けの公安調査庁の公安調査官で
あったCの作成に係る調査書(乙第13号証)に添付された。
(28)平成23年11月日付けで,公安調査庁の公安調査官であったC及びD
は,本件対象団体に係る団体規制法条1項4号該当性についての調査書(乙
第号証)(これが本件調査書1に当たる。)(甲第1号証はその抜粋である。)
を作成したところ,本件調査書1には,本件対象団体においてはBの説く教義
の根幹をなす衆生救済の実現が最終目的とされ,徹底した布教による3万人の
解脱者を輩出する方針及び日本シャンバラ化計画(オウム真理教の教義に沿っ
た理想郷を我が国に建設することを目的とする計画)の実践が打ち出され,殺
人を勧める内容を含むタントラ・ヴァジラヤーナ(衆生救済に至る最速の道で
ある秘密金剛乗)及びその具体的規範である五仏の法則にのっとって行動する
ことがその目的,計画,方針を実践する上での行動規範とされている旨,原告
の構成員については,タントラ・ヴァジラヤーナ及びその具体的規範である五
仏の法則にのっとり,マハームドラーの修行(Bが説いた苦しみの限界に自己
を置き一切乱れない心を形成する修行)の実践としてBに絶対的に帰依しその
教義を広めBの意思を実現することを目的としながら,外形上Bの影響力を払
拭したかのように装ういわゆるA隠しを実行し,現在もタントラ・ヴァジラヤ
ーナの教えにのっとって行動することを行動規範としている旨が記載され,併
せて,原告代表者のみならず他の原告の構成員も「タントラ・ヴァジラヤーナ
の実践が社会的に必要であるとの認識を説いたり,タントラ・ヴァジラヤーナ
の実践として実行された両サリン事件について,正しいものであったなどと述
べている。」(この記載が本件調査書記載1の一部に当たる。)と記載され,続け
て,前記(27)の反訳(乙第13号証)に基づき,平成21年月の出家した構成
員の発言として「サリン事件ですら正しいというふうに,長い目で見たら正し
いことっていうのはあるのかもしれないですから。」(この記載が本件調査書記
載1の一部に当たる。)と記載され,続けて,平成21年8月13日の原告代表
者の説法の内容(仏教では殺生を最大の悪業とはしていなく生きていくために
必要な殺生がある,よい目的のためには他を殺してもよいというのが昔のオウ
ム真理教でいうヴァジラヤーナの考え方である,これは全ての人が実践してい
る,必要悪の殺生を肯定して必要悪ではないものと区別するという実践をヴァ
ジラヤーナの教えの枠組みで常にみんなが既にやっている)(乙第26号証が
その反訳である。)が記載され,続けて,平成21年月23日の原告代表者
の説法の内容(サリンを散布した弟子たちは他人を苦しめるという悪い動機で
やったわけではない,悪いことをする者にもその人なりの善,真実といったも
のがある)が記載され,続けて平成22年11月の出家した構成員の発言内容
(Bは思い詰めて焦ってヴァジラヤーナをやった,BにはBなりの善意という
ものがあった,「私も同じ立場にいたら絶対にね,事件はやったっていう。絶対
に私は,私はやらなかったというのは,絶対に言えないなというのは自分では
思ってるんで」)が記載され,続けて,平成22年12月の在家の構成員の発言
内容(Bは逆縁を大切に思っていたからサリンで多くの人を殺してしまった)
が記載されていた。
(29)平成23年11月日付けで,公安調査庁の公安調査官であったE及びF
は,本件対象団体に係る団体規制法条1項1号該当性についての調査書(乙
第14号証に添付された調査書)(これが本件調査書2に当たる。)(甲第6号
証はその抜粋である。)を作成したところ,本件調査書2には,原告が,Bの意
思に従いその意思を実現するために原告の設立を始めとするA隠しを実施し,
教義等においてBの説く教義等の根本的な部分を変更,除去することなく維持
している,その活動実態からみてBの化身とするシヴァ神を崇拝の対象として
いる,「原告の構成員等が,現在もAを『グル』と認識し,Aに対する帰依心を
保持している」(この記載が本件調査書記載2の一部に当たる。)と記載され,
続けて,Gが公安審査委員会に提出した陳述書において「今後は,現実のA,
現実のひかりの輪を受け入れ,そして,何よりも,Aに帰依しておらず,Aに
帰依しない,現実の自分をそのままに自分として,それに基づいて,被害者遺
族への賠償を含めた,ひかりの輪の活動を行っていく」と述べた旨が記載され
(この記載が本件調査書記載2の一部に当たる。),続けて,平成23年9月3
0日の出家した構成員の発言として,GがまだBに対する執着,未練を断ち切
れないと言い心が揺れている様子であった旨が記載され,併せて,前記()の
反訳(乙第号証)に基づき,平成22年8月のGの発言として,「事件のこ
とは絶対否定ですよ,あんなことしちゃいけないし。だから,今も苦しいし。
(中略)土下座しても,あの,償えないんだけど。だからそういうことをした
っていうAっていう人は,許せないですよ。だけど,もう一つの今までの繋が
りというか,今生だけじゃないっていうのをものすごくあるので。魂の絆,グ
ルと弟子の関係っていうか。だから嗚咽なんですよ。はっきり言って嗚咽。魂
がうち震えている出会い。」「(原告代表者とBとの違いについて)器の大きさ
が違うよねって感じ。(中略)Jもすごい人ですよ。(中略)でも,違う。(中略)
やっぱ出会ってしまっているから,Aに。(中略)比較できないです。(中略)
個性が違うんだけど,やっぱりこっち(B)がグルでこっち(原告代表者)が
弟子っていう。」と記載され,前記(26)の反訳(乙第16号証)に基づき,同年
11月のGの発言として,「これはほんとにおかしいかもしれないけれども,
ものすごくAに,ものすごく可愛がってもらって,大事にしてもらったので。
もう,それはほんとによくしてもらったんですよ。あそこまではなんかちょっ
と嘘だったとは思えないので。それはそれでそういう部分もあった人というか。
恩返しがしたいなと思ったんです。自分の全てにおける存在になってしまって
てね。父であり,人生の父であり,先生であり,グルであり,全てみたいな感
じで,ほんとに恩返しがしたいって思ったんです。もう,ものすごく苦しかっ
たんですよ,精神的に。(中略)で,そうやっていろんな神秘体験をするように
なっていって。全部,聞いてたことと全部一致するので。『ああ,これがこうい
うことか,あれがこういうことか』みたいな感じで。(中略)だから感謝の恩返
しをしたいという気持ちと,ほんとに多くの人が,自分,苦しかった,ほんと
に苦しかった。だからもう,私の原動力はそこなんですよ」と記載され,加え
て,Bに肯定的な他の原告の構成員の発言等が記載されていた。
(30)平成23年11月28日,公安調査庁長官は,団体規制法12条1項後段の
規定に基づき,同法26条1項,2項所定の証拠書類等(本件調査書1及び本
件調査書2を含む。)を添付し,更新の理由となる事実(法条1項号該当
性)として「幹部構成員が両サリン事件等を正当化するような発言を行ったり」
(これが本件更新請求書記載1に当たる。)と記載した更新請求書(甲第68
号証)(これが本件第4回更新請求書に当たる。)を提出して,同法条4項の
本件観察処分の更新の請求をし(これが本件第4回更新請求に当たる。)(同年
12月6日,団体規制法17条1項,2項の規定に基づき,本件第4回更新請
求書は官報で公示された(甲第70号証)。),平成24年1月23日,公安審査
委員会は,本件対象団体について同法条1項各号に定める事由があるとして,
同法26条6項,22条1項3号の規定に基づき,次のとおり,本件観察処分
の期間を更新する旨を決定し(これが本件第4回更新決定に当たる。),同日,
同法26条6項,24条1項,2項の規定に基づき,原告の代理人及びAle
phの代理人にこれを通知し,同月30日,同法26条6項,24条3項の規
定に基づき,その決定書(これが本件第4回更新決定書に当たる。)を官報で公
示した(同法26条6項,条2号)(甲第2号証,乙第7号証)。本件第4
回更新決定書には,本件対象団体の代表者がBとされ,主幹事3人のうちの1
人が原告代表者とされ,その理由中に「幹部構成員らに両サリン事件を正当化
する発言が認められること」(法条1項1号該当性),「構成員の言動にもB
に対する深い帰依や同人の説くオウム真理教の教義に従う意思を示すものが
随所に認められること」(法条1項1号該当性),「構成員の言動に,両サリン
事件を正当化したりBに対する深い帰依やBの説くオウム真理教の教義に従
う意思を示すものが随所に認められること」(法条1項4号該当性),「幹部
構成員の中には,現在においても,両サリン事件等を正当化する発言をする者
もあること」(法条1項号該当性)(これらが本件決定書記載に当たる。)と
記載され,その理由中に本件第4回更新請求書が添付されていた。
ア本件対象団体を,3年間,公安調査庁長官の観察に付する処分の期間を更
新する。
イ本件対象団体は,団体規制法条項,3項6号に規定する「公安審査委
員会が特に必要と認める事項」として,次の事項を公安調査庁長官に報告し
なければならない。
(ア)本件対象団体の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家
信徒の位階
(イ)本件対象団体作成のインターネット上のホームページに係る接続業者
名,契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名
(ウ)本件対象団体(その支部,分会その他の下部組織を含む。以下,この項
において同じ。)の営む収益事業(いかなる名義をもってするかを問わず,
実質的に本件対象団体が経営しているものをいう。)の種類及び概要,事
業所の名称及びその所在地,当該事業の責任者及び従事する構成員の氏名
並びに各事業に関する会計帳簿を備え置いている場所(その会計帳簿が電
磁的記録で作成されている場合には,当該電磁的記録の保存媒体の保管場
所)
(31)平成24年1月24日,読売新聞紙上に,「教団観察3年延長決定」という
タイトルで「『ひかりの輪』側は『B死刑囚と決別し,教団の教義から脱却し
た』とし,『無差別大量殺人の首謀者が団体の活動に影響力を有する』ことを要
件とする観察処分の対象にはならないと主張したが,公安審は,『信者は地下
鉄,松本両サリン事件を正当化するなど,現在も危険な教義に従う意思を有し
ている』と退けた。」との記載を含む本件第4回更新決定についての記事が掲
載された(これが本件新聞報道に当たる。)。(甲第3号証)
(32)平成24年から26年にかけて,原告は,高齢者の構成員から年金が振り込
まれる金融機関の口座の通帳等を預かり,その収支を管理し,一部の金員を寄
付金として受け取っていた(乙第36号証,第126号証,第127号証)。
(33)平成24年2月3日,公安調査庁は,原告の住所にある施設を立入検査し,
原告は,公安調査庁の求めに応じて,原告の会計データを任意で提出した(甲
第24号証)。
(34)平成24年9月26日,公安調査庁は,原告の住所にある施設を立入検査し,
原告は,公安調査庁の求めに応じて,原告の会計データを任意で提出した(甲
第24号証)。
(3)平成年6月,オウム真理教の原告代表者の派(J派)の出家信徒は,公
安調査庁の公安調査官Lに対し,自分でさえいまだにBを偉大な人であったと
思うことがあるから,Bのそばにいた原告代表者や原告の指導員らは自分以上
にBの偉大さを感じていると思う,Bが説いた教義や修行の記憶がなくなるこ
とはない,と述べた(乙第21号証)。
(36)平成年6月18日,公安調査庁は,原告の住所にある施設を立入検査し,
原告は,公安調査庁の求めに応じて,原告の会計データを任意で提出した(甲
第24号証)。
(37)平成年7月27日から29日,原告は,平成年の聖地巡礼ツアーと
して,出羽三山の体験山伏修行の旅行を実施し,これに先立ち,原告のホーム
ページ上で当該旅行への参加を有償(1泊2日3万円,2泊3日4万3000
円)で一般に募集した。(乙第8号証,第144ないし第146号証)
(38)平成年9月,原告の在家の構成員は,Bがカリスマで人を解脱させる超
能力がある,と発言した(平成26年7月17日付けの公安調査庁の公安調査
官であったFの作成に係る調査書にその反訳が添付された。)(乙第23号証)。
(39)平成年11月,原告の出家した構成員は,Bが慈愛に満ちていた,事件
を起こしたのは大変惜しい,Bが刑事裁判で闘わないのは弟子がしたことは自
分の責任だと思ったのかもしれない,オウム真理教はヴァジラヤーナを実行し
てしまった,Bに殺されたら普通は地獄に行かないと思うが,遺族にとっては
現世が全てなので悲しむから,Bは弟子が勝手に実行したとしても責任をとら
なければならない,死ねば輪廻でいいところに行けるとは言えないが自分は内
心ではそう思っている,殺されたらBと縁ができるので縁がなくて死ぬよりは
よほどいいのではないか,と発言した(平成26年8月18日付けの公安調査
庁の公安調査官であったFの作成に係る調査書にその反訳が添付された。)(乙
第22号証)。
(40)平成26年1月3日から日,原告は,平成26年の聖地巡礼ツアーとして,
草津温泉で湯巡り聖地巡りの旅行を実施し,これに先立ち,原告のホームペー
ジ上で当該旅行への参加を有償(2泊3日3万00円,1泊2日1万8
00円,日帰り1万円)で一般に募集した。(乙第8号証,第144ないし
第146号証)
(41)平成26年1月,原告の在家の信徒は,公安調査庁の公安調査官であったM
に対し,同月31日の時点で,大阪府東大阪市にある原告が管理する施設の祭
壇の壁面に,弥勒菩薩と観音菩薩の仏画が釈迦牟尼の仏画の両脇に掲示されて
いた旨を述べ,これを撮影したとする写真を提出した(乙第18号証)。なお,
平成19年月から平成年6月までの間,公安調査庁は,立入検査におい
て,上記の三仏の仏画が上記のとおり掲示されていたことを確認した(乙第8
4号証)。
平成26年2月3日,公安調査庁は,上記の施設に立入検査をしたところ,
上記の祭壇の壁面には釈迦牟尼の仏画のみが掲示されていた(乙第18号証)。
平成26年2月,原告の信徒は,公安調査庁の公安調査官であったNに対し,
同月8日の時点で,上記の祭壇の壁面に,弥勒菩薩と観音菩薩の仏画が釈迦牟
尼の仏画の両脇に掲示されていた旨を述べ,これを撮影したとする写真を提出
した(乙第18号証)。
なお,平成14年11月頃,原告代表者は,説法において,B(A)の彰晃
が釈迦を表すとし,また,平成18年月14日頃,原告代表者は,観音菩薩
が衆生を救済する千の手段を持ち,Bの手段もある,33の化身を持ち,Bの
姿もあるとし,さらに,Bは,その著書の中で,自分が弥勒菩薩の化身である
としていた(乙第19号証,第64号証)。
(42)平成26年1月,原告の在家の信徒は,公安調査庁の公安調査官であったO
に対し,自分は原告が仮にAlephが解散した際に信者の受け皿になりBの
教えを存続させるための団体であると認識している,と述べた(乙第号証)。
(43)平成26年2月3日付けで,原告は,「オウムの教訓−オウム時代の反省・
総括の概要」と題する文書(甲第43号証の2)を公表した(当該文書は平成
年7月日に公表され(甲第43号証の3),その後,平成24年時点ま
での反省,総括の概要がまとめられたものである)ところ,当該文書のうち原
告の団体としての「総括」,原告代表者の「総括」(乙第6号証資料1)及
び他の原告の構成員8人らの「総括」(乙第6号証資料2から資料9まで
等)には,いずれも両サリン事件の後もB及びオウム真理教の教義から脱却す
ることができなかったが,Bによる神秘体験は薬物使用等の影響があり,Bが
極度の誇大妄想と被害妄想の人格障害であって,Bによる自己と他者を区別す
る善悪二元論が大きな問題で仏教本来の一元論に立脚すべきでありBを崇拝
対象とするグルイズムも間違いであると気付き,B及びオウム真理教から脱却
した旨及びAlephの活動を批判する旨の記事が掲載されていた。
(44)平成26年2月13日,公安調査庁による原告の管理する施設の立入検査の
際,原告の構成員らは,公安調査庁の公安調査官であったFに対し,86歳で
認知症の症状を示している原告の在家の構成員の名義の年金が振り込まれる
金融機関の口座の通帳を管理している他の原告の構成員から介護等の費用と
して毎月2万円程度受け取っている,年金のうち毎月万円以上が原告への
布施になっている,と述べた。(乙第113号証)
(4)平成26年2月,原告の在家の構成員は,Bが最終解脱者で安らぐとともに
神秘力があった,だれもがその力を信じて妄信した,オウム事件の波紋で日本
人全員がBとの縁ができた,と発言した(平成26年8月28日付けの公安調
査庁の公安調査官であったPの作成に係る調査書にその反訳が添付された。)
(乙第31号証)。
(46)平成26年3月日,公安調査庁は,原告の住所にある施設を立入検査し,
原告は,公安調査庁の求めに応じて,原告の会計データを任意で提出した(甲
第24号証)。
(47)平成26年7月,原告の構成員は,公安調査庁の公安調査官であったQに対
し,原告と現在のAlephとの分裂が決定的になった時期に,原告代表者か
ら自分はBからBの名前を出さない団体を作ってもよい,グルを否定してでも
真理を残すように,と言われたと聞いて安心したと述べた(乙第24号証)。
(48)平成26年8月1日,公安調査庁は,原告の住所にある施設を立入検査し,
原告は,公安調査庁の求めに応じて,原告の会計データを任意で提出した(甲
第24号証)。
(49)平成26年9月24日,原告の外部監査委員の1人は,東北公安調査局の公
安調査官であったR及びSに対し,原告が主催する旅行ツアー(聖地巡礼ツア
ー)について自分が費用を支払った旨の発言をした(乙第1号証)。
(0)平成26年7月26日から27日,原告は,出羽三山の体験山伏修行の旅行
を実施し,これに先立ち,原告のホームページ上で当該旅行への参加を有償(4
万円等)で一般に募集した。(乙第8号証,第144ないし第146号証)
(1)平成26年8月,オウム真理教の原告代表者の派(J派)の幹部信徒は,公
安調査庁の公安調査官であったMに対し,解脱,悟りを目標としている点では
自分の考え方ではオウム真理教のときから今まで変わっていない,Aleph
も目指しているものが同じで原告とは方法が違うだけである,今でもBの霊的
な力は本物だと思っている,と述べた(乙第号証)。
(2)平成26年8月6日,警視庁公安部は,旅券業法違反の被疑事実により,原
告が管理する施設の捜索差押えをした(乙第38号証)。
(3)平成26年8月23日,原告の在家信徒の長男は,公安調査庁の公安調査官
であったTに対し,父が原告の管理する施設で生活していた際,原告の構成員
から父が認知症で介護認定を受けたと聞いた,原告から介護費用を介護保険と
年金から支払っていると聞いたが,具体的な額や明細等の説明を受けたことは
ない,父は不動産の売却で得た金員と退職金をどうしたのか分からない,と述
べた(乙第112号証)。なお,同長男の平成26年12月日付けの陳述書
(甲第16号証)には,父の介護費用についての原告の取扱いを聞いて老人ホ
ームに入れた場合の費用と同程度なので原告でも金銭的な余裕がないとの事
情を理解した,その後原告の担当者との間で介護報酬額を決めて定期的に会計
報告(甲第39,第40号証)をしてもらい,大きな問題を感じない,当面は
このままで進めていくとの陳述部分があり,原告の構成員らの陳述書(甲第3
6ないし第38号証,第41号証)にも同旨の陳述部分がある。
(4)平成26年月日,原告代表者は,報道機関に対し,原告が管理する
施設の内部を公開し,これを受けて報道機関の一部は,公安調査庁に取材を申
し入れ,Hは,報道機関に対し,「このタイミングで,施設公開に踏み切ったの
は,来年11月に満了する,観察処分を免れるための,『脱Aアピール』という
ふうにみております。」「少なくとも,今年の初め,すなわち春先までは,Aと
同一視される仏画が,『ひかりの輪』の祭壇に掲示されているのを確認してい
ます。幹部信徒から末端の信徒まで,Aへの帰依心を,いまだ保持している,
というふうにみています。」と発言した(この発言が本件取材発言に当たる。)。
同日,フジテレビの報道番組(FNNスーパーニュース)において,「“脱A”
をアピールか『ひかりの輪』」というタイトルで,原告がその管理する施設を
報道機関に公開した背景としてHが本件取材発言をしている動画が発言のテ
ロップ付きで報道され,同月16日,フジテレビのウェブサイトに同じ動画が
配信された(これが本件テレビ報道に当たる。)(甲第11号証,乙第17号証)。
()平成26年11月6日,公安調査庁は,原告の住所にある施設を立入検査し,
原告は,公安調査庁の求めに応じて,原告の会計データを任意で提出した(甲
第24号証)。
(6)平成26年11月日付け,公安調査庁の公安調査官であったPは,原告
の団体規制法条1項4号該当性についての調査書(乙第39号証)を作成し
たところ,その内容は本件調査書1と同旨であった。
(7)平成26年11月27日,原告の外部監査委員会(当時の委員長は松本サリ
ン被害者)は,原告には団体規制法条所定の観察処分の適用要件に該当する
事実は何ら認められなかった,原告が平成26年8月以降警視庁により捜査を
受けている旅行業法違反容疑については,事案の性質等や改善措置及び関係官
庁や弁護士等の意見を総合した結果,団体規制法条所定の要件なしとの結論
に影響を与えるものではないと判断する等の外部監査の結果を報告書(甲第2
1号証)で公表した。
(8)平成26年11月28日,國學院大學神道文化学部の教授は,公安調査庁の
公安調査官であったCに対し,原告はAlephよりも危険性が一段と低くな
っていると思われるものの自分自身が原告代表者や信徒に対する直接の調査
をしたわけではないからその危険性がどの程度のものかは判断できない,原告
はオウム真理教から踏襲した教義を修正した旨主張しているが観察処分下に
あるため修正したふりをしなければならないという面がありその修正が真実
かどうかは分かり得ない,と述べた(甲第44号証)。
(9)平成26年12月1日,公安調査庁長官は,団体規制法12条1項後段の規
定に基づき,同法26条1項,2項所定の証拠書類等を添付し,更新の理由と
なる事実(法条1項)として「『ひかりの輪』は,未入会者でもセミナー等に
参加できる旨宣伝して,巧妙な勧誘活動を展開し,その過程で,旅行業法に抵
触する『聖地巡り』と称した企画旅行を実施するなどの資金獲得活動も行って
いる」(活動概況)(これが本件更新請求書記載2に当たる。),「『ひかりの輪』
は『外部監査』と称する取組を実施しているが,以下のとおり,外部監査とは
言えないものである。すなわち,外部監査委員の中に,就任以前から『ひかり
の輪』の活動に協力するなど,既に接点を有している者が存在するなど,その
独立性も確保されていない上,監査の重要な要素である帳簿書類の検査がなさ
れておらず,認知症の高齢者から悪質な手段を用いて寄付金を徴収したり,旅
行業法に抵触する手法を用いて資金獲得を図っている『ひかりの輪』の実態に
対しても,外部監査委員会が,勧告するなどした事実は認められない(中略)
したがって,『外部監査』と称する取組によって『ひかりの輪』の組織体質が改
善されたとは認められず,その在り方自体を変化させていくものとはなってい
ないことは明らかである」(同法条4項所定の引き続き当該団体の活動状況
を継続して明らかにする必要性)(この一部が本件更新請求書記載3に当たる。)
と記載した更新請求書(甲第12号証)(これが本件第回更新請求書に当た
る。)を提出して,同法条4項の本件観察処分の更新の請求をし(これが本件
第回更新請求に当たる。)(同月8日,団体規制法17条1項,2項の規定に
基づき,本件第回更新請求書は官報で公示された(甲第13号証)。),平成2
7年1月23日,公安審査委員会は,本件対象団体について同法条1項各号
に定める事由があるとして,同法26条6項,22条1項3号の規定に基づき,
次のとおり,本件観察処分の期間を更新する旨を決定し(これが本件第回更
新決定に当たる。),同日,同法26条6項,24条1項,2項の規定に基づき,
原告の代理人及びAlephの代理人にこれを通知し,同月30日,同法26
条6項,24条3項の規定に基づき,その決定書を官報で公示した(同法26
条6項,条2号)(乙第8号証)。本件第回更新決定の決定書には,本件
対象団体の代表者がBとされ,主幹事3人のうちの1人が原告代表者とされ,
その理由中に本件第回更新請求書が添付されていた。
ア本件対象団体を,3年間,公安調査庁長官の観察に付する処分の期間を更
新する。
イ本件対象団体は,団体規制法条項,3項6号に規定する「公安審査委
員会が特に必要と認める事項」として,次の事項を公安調査庁長官に報告し
なければならない。
(ア)本件対象団体の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家
信徒の位階
(イ)本件対象団体作成のインターネット上のホームページに係る接続業者
名,契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名
(ウ)本件対象団体(その支部,分会その他の下部組織を含む。以下,この項
において同じ。)の営む収益事業(いかなる名義をもってするかを問わず,
実質的に本件対象団体が経営しているものをいう。)の種類及び概要,事
業所の名称及びその所在地,当該事業の責任者及び従事する構成員の氏名
並びに各事業に関する会計帳簿を備え置いている場所(その会計帳簿が電
磁的記録で作成されている場合には,当該電磁的記録の保存媒体の保管場
所)
(60)平成26年12月,原告は,その構成員らに対し,原告の構成員がBへの帰
依心を保持していると公安調査庁が主張していると伝え,あるいは,オウムを
完全に払拭したなどと伝えた上で,アンケートを実施したところ,アンケート
の回答は全てBへの帰依心やオウム真理教との関連性を否定する内容であっ
た(甲第号証,第43号証の1の1から3まで,第43号証の2,
甲第43号証の4から8まで)。
(61)平成27年2月日,公安調査庁は,原告の住所にある施設を立入検査し,
原告は,公安調査庁の求めに応じて,原告の会計データを任意で提出した(甲
第24号証)。
(62)平成27年7月29日,警視庁公安部は,原告が聖地巡礼ツアーと称する旅
行ツアーを旅行業法の登録をせずに主催したという旅行業法違反の被疑事実
による原告の副代表に対する旅行業法違反被疑事件を,身柄を拘束せずに検察
官に送致した(乙第111号証)。
(63)平成27年8月日,東京地方検察庁公安部検察官は,前記(62)の旅行業
法違反被疑事件を不起訴処分とし,同年9月28日,同検察官は,被疑者(原
告の副代表)の弁護人にこれを通知した(甲第76号証)。
(64)平成27年6月1日,原告は,公安審査委員会に対し,主位的に本件第回
更新決定が原告に対して存在しないことの確認を求め,予備的に本件第回更
新決定のうち原告を対象とした部分の取消しを求める訴訟を東京地方裁判所
に提起し,平成29年9月日,東京地方裁判所は,主位的請求を棄却し,
予備的請求を認容して本件第回更新決定のうち原告を対象とした部分を取
り消す旨の判決を言い渡したところ,被告が控訴をした(甲第71号証,乙第
3号証)。
(6)平成29年11月27日,原告の外部監査委員会は,原告には団体規制法
条所定の観察処分の適用要件に該当する事実は何ら認められなかった等の外
部監査の結果を報告書(甲第76号証)で公表した。
(66)平成31年2月28日,東京高等裁判所は,前記(64)の判決中被告敗訴部分
を取り消し,原告の請求を棄却する旨の判決を言い渡したところ,原告は,上
告及び上告受理の申立てをした(甲第80ないし第91号証,乙第4号証
ないし第6号証)。
2争点(1)について
(1)団体規制法26条1項は,公安調査庁長官は,法12条1項後段の観察処分
の期間の更新の請求をするときは,更新の理由となる事実(すなわち対象団体
が同法条4項所定の同条1項各号に掲げる事項のいずれかに該当する場合
であって引き続き当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要があると
認められること)その他公安委員会で定める事項を記載した更新請求書を公安
委員会に提出して行わなければならないと規定し,同条2項は,更新請求書に
は,更新の理由となる事実を証すべき証拠書類等を添付しなければならないと
規定しているところ,前記1で認定したところによれば,公安調査庁長官は,
公安審査委員会に対して本件第4回更新請求をするに当たり,同法26条2項
の規定に基づいて,本件第4回更新請求書に,同法条1項4号該当性に関す
る本件調査書1を添付したことが認められる。そして,団体規制法26条4項
は,公安審査委員会は,対象団体の意見陳述に係る陳述書の提出期限の7日前
までに,当該団体に対し,更新の理由となる事実(同項2号)等を当該団体に
対し通知しなければならないと規定し,同法26条項が準用する同法17条
2項によれば,当該通知は,官報に公示して行うこととされているところ,前
記1で認定したところによれば,公安審査委員会は,これらの規定に基づいて
本件第4回更新請求書を官報で公示したことが認められる。このように,団体
規制法は,団体の構成員等が無差別大量殺人行為(法4条1項)を行った団体
につきその活動状況を明らかにし又は当該行為の再発を防止するために必要
な措置を定め,もって国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与すると
いう目的に立って,更新の理由となる事実に係る情報が,国民の生活や社会の
治安に直結する極めて影響が大きくかつ緊急性の高いものであることを踏ま
え,これを更新請求書の記載事項としているところ,このように,極めて影響
が大きくかつ緊急性の高い情報が更新請求書に記載されることに鑑みれば,本
件第4回更新請求書に添付された本件調査書1の中に,原告の社会的な評価を
低下させ得る記載が含まれていたとしても,公安調査庁長官が第4回更新請求
時において把握していた各種の情報に基づき,更新請求書に記載すべき更新の
理由となる事実の立証として当該記載を含む調査書を添付するという判断が
不合理であるといえる事情がないのであれば,国家賠償法1条1項の適用上違
法であるということはできないと解するのが相当である。
(2)前記1でみたとおり,本件調査書1には,原告が「タントラ・ヴァジラヤー
ナの実践が社会的に必要であるとの認識を説いたり,タントラ・ヴァジラヤー
ナの実践として実行された両サリン事件について,正しいものであったなどと
述べている。」という記載及びこれに対応する発言の反訳として「サリン事件
ですら正しいというふうに,長い目で見たら正しいことっていうのはあるのか
もしれないですから。」という記載があり,これが本件調査書記載1に当たる
ところ,前記1で認定したところによれば,これらの発言は,その文脈からみ
て,サリン事件当時の過去の認識を表したものであると解する余地が全くない
とまではいえないが,前記1でみた過程において本件第4回更新請求の時点で
公安調査庁が把握していた情報や,本件調査書1に記載されている原告代表者
や構成員の他のBや殺生に対する一種の肯定的な発言内容からみて,本件調査
書記載1をもって,本件第4回更新請求の時点においても原告の構成員らがサ
リン事件を正当化する発言をしているとみて,これを更新の理由となる事実の
立証として本件第4回更新請求書に添付したという判断が不合理であるとい
える事情があるということはできず,これが,国家賠償法1条1項の適用上違
法であるということはできない。
(3)なお,公安審査委員会による本件第4回更新決定が,団体規制法条4項所
定の要件が認められないにもかかわらず更新した違法なものであれば,これと
相当因果関係がある損害についての賠償の可否,更には本件第4回更新請求書
の記載(添付書類を含む)による名誉毀損が当該損害に含まれるかが問題とな
り得るところ,前記1で認定したところ,とりわけ,原告の構成員らのBに対
するある種の肯定的ともみられる言動等に鑑みれば,本件第4回更新決定が同
法所定の要件を欠くものであったとまでいうことはできない。
(4)以上でみたところによると,請求1は,その余の点について判断するまでも
なく,理由がない。
3争点(2)について
(1)前記1で認定したところによれば,公安調査庁長官は,公安審査委員会に対
して本件第4回更新請求をするに当たり,団体規制法26条2項の規定に基づ
いて,本件第4回更新請求書に,同法条1項1号該当性に関する本件調査書
2を添付したことが認められるところ,前記2(1)で説示したところによると,
本件第4回更新請求書に添付された本件調査書2の中に,原告の社会的な評価
を低下させ得る記載が含まれていたとしても,公安調査庁長官が第4回更新請
求時において把握していた各種の情報に基づき,更新の理由となる事実の立証
として当該記載を含む調査書を添付するという判断が不合理であるといえる
事情がないのであれば,国家賠償法1条1項の適用上違法であるということは
できないと解するのが相当である。
(2)前記1でみたとおり,本件調査書2には,「原告の構成員等が,現在もAを
『グル』と認識し,Aに対する帰依心を保持している」という記載及び原告の
構成員であるGが公安審査委員会に提出した陳述書において「今は,現実のA,
現実のひかりの輪を受け入れ,そして,何よりも,Aに帰依しておらず,Aに
帰依しない,現実の自分をそのままに自分として,それに基づいて,被害者遺
族への賠償を含めた,ひかりの輪の活動を行っていく」と述べた旨の記載があ
り,これが本件調査書記載2に当たるところ,前記1で認定したところによれ
ば,当該陳述書の陳述部分は,その文言上は,Bへの帰依を否定しているもの
と解する余地が全くないとまではいえないが,一方で,前記1でみた過程にお
いて本件第4回更新請求の時点で公安調査庁が把握していた情報や,本件調査
書2に記載されているGがBへの執着を断ち切れないと言っていたという他
の構成員の発言内容や,サリン事件を非難しつつもBへの肯定的な感情を示す
Gの発言内容からみて,本件調査書記載2をもって,本件第4回更新請求の時
点においても原告の構成員らがBに対する帰依心を保持していることを示す
発言とみて,これを更新の理由となる事実の立証として本件第4回更新請求書
に添付したという判断が不合理であるといえる事情があるということはでき
ず,これが,国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできない。
なお,公安審査委員会による本件第4回更新決定が団体規制法条4項所定の
要件を欠く違法なものであったことを前提とする請求2に係る損害の賠償が
認められないことは,前記2(3)で説示したとおりである。
(3)以上でみたところによれば,その余の点について検討するまでもなく,請求
2は理由がない。
4争点(3)について
(1)前記1で認定したところによれば,公安調査庁長官は,公安審査委員会に対
して本件第4回更新請求をするに当たり,団体規制法26条2項の規定に基づ
いて,本件第4回更新請求書に,更新の理由となる事実(法条1項号該当
性)として「幹部構成員が両サリン事件を正当化するような発言を行ったり」
という記載(本件更新請求書記載1)をしたことが認められるところ,前記2
(1)で説示したところに鑑みると,本件第4回更新請求書の記載の中に,原告
の社会的な評価を低下させ得る記載が含まれていたとしても,公安調査庁長官
が第4回更新請求時において把握していた各種の情報に基づき,更新の理由と
なる事実として当該記載をするという判断が不合理であるといえる事情がな
いのであれば,国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできない
と解するのが相当である。
(2)そして,前記2(2)で説示したところに照らすと,本件第4回更新請求の時
点においても原告の構成員らがサリン事件を正当化する発言をしているとみ
て,本件更新請求書記載1を更新の理由となる事実として第4回更新請求書に
記載したという判断が不合理であるといえる事情があるということはできず,
これが,国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできない。なお,
公安審査委員会による本件第4回更新決定が団体規制法条4項所定の要件
を欠く違法なものであったことを前提とする請求3に係る損害の賠償が認め
られないことは,前記2(3)で説示したとおりである。
(3)以上でみたところによれば,その余の点について判断するまでもなく,請求
3は理由がない。
争点(4)について
(1)団体規制法26条6項が準用する22条1項によれば,公安審査委員会は,
公安調査庁が提出した更新請求書及び証拠書類等並びに対象団体の意見及び
その提出した証拠書類等につき審査を遂げた上,更新の請求が理由があるとき
はその更新をする決定(同項3号)をしなければならないとされ,同法26条
6項が準用する23条によれば,当該決定は,文書(決定書)をもって行い,
かつ,理由を付さなければならない等とされ,同法26条6項が準用する24
条3項によれば,当該決定(決定書)は,官報で公示しなければならないとさ
れているところ,前記1で認定したところによれば,公安審査委員会は,同法
26条6項,22条1項3号の規定に基づき,本件対象団体の代表者がBとさ
れ,主幹事3人のうちの1人が原告代表者とされ,その理由中に「幹部構成員
らに両サリン事件を正当化する発言が認められること」(法条1項1号該当
性),「構成員の言動にもBに対する深い帰依や同人の説くオウム真理教の教義
に従う意思を示すものが随所に認められること」(法条1項1号該当性),「構
成員の言動に,両サリン事件を正当化したりBに対する深い帰依やBの説くオ
ウム真理教の教義に従う意思を示すものが随所に認められること」(法条1
項4号該当性),「幹部構成員の中には,現在においても,両サリン事件等を正
当化する発言をする者もあること」(法条1項号該当性)(これらが本件決
定書記載に当たる。)と記載され,本件第4回更新請求書を添付した本件第4
回更新決定書により,本件第4回更新決定をし,同法26条6項,24条3項
の規定に基づき,本件第4回更新決定書を官報で公示したことが認められる。
そして,前記2(1)でみたところに鑑みると,団体規制法は,観察処分の更新に
係る情報が,国民の生活や社会の治安に直結する極めて影響が大きくかつ緊急
性の高いものであることを踏まえ,これを広く国民に伝えるべく,更新決定を
理由を付した文書により行い,これを官報で公示することとしたものと解され
るのであって,このような同法の趣旨に鑑みれば,本件第4回更新決定書の中
に,原告の社会的な評価を低下させ得る記載が含まれていたとしても,公安審
査委員会において,更新決定の決定書に更新の理由としてそのような記載をす
るという判断が不合理であるといえる事情がないのであれば,国家賠償法1条
1項の適用上違法であるということはできないと解するのが相当である。
(2)そして,前記2(2)及び3(2)で説示したところに照らすと,公安審査委員会
において,本件第4回更新決定書に理由(団体規制法条1項各号に該当する
事実)として本件更新決定書記載,すなわち「幹部構成員らに両サリン事件を
正当化する発言が認められること」(法条1項1号該当性),「構成員の言動
にもBに対する深い帰依や同人の説くオウム真理教の教義に従う意思を示す
ものが随所に認められること」(法条1項1号該当性),「構成員の言動に,両
サリン事件を正当化したりBに対する深い帰依やBの説くオウム真理教の教
義に従う意思を示すものが随所に認められること」(法条1項4号該当性),
「幹部構成員の中には,現在においても,両サリン事件等を正当化する発言を
する者もあること」(法条1項号該当性)を記載したという判断が不合理
であるといえる事情があるということはできず,これが,国家賠償法1条1項
の適用上違法であるということはできない。
(3)なお,公安審査委員会による本件第4回更新決定が,団体規制法条4項所
定の要件が認められないにもかかわらず更新した違法なものであれば,これと
相当因果関係がある損害についての賠償の可否,更には本件第4回更新決定書
の記載(本件決定書記載)による名誉毀損が当該損害に含まれるかが問題とな
り得るところ,本件第4回更新決定が同法所定の要件を欠く違法なものである
ということができないことは,前記2(3)で説示したとおりである。
(4)以上でみたところによれば,その余の点について判断するまでもなく,請求
4は理由がない。
()原告は,平成29年6月19日付けの訴えの変更申立書により,本件請求4
につき訴えの追加的変更をし,当該申立書は翌日に被告に送達され,被告
は,当該変更を許さない旨の決定の申立てをしたところ,請求4は,本件第4
回更新決定書に記載された本件決定書記載(原告の構成員が両サリン事件を正
当化する発言をしている,原告らの構成員の言動にBに対する深い帰依を示す
ものがある,との記載)による名誉毀損に係る訴えであって,本件第4回更新
決定に対応する本件第4回更新請求書の記載(本件第4回更新請求書に添付さ
れた本件調査書1及び本件調査書2の記載である本件調査書記載1(幹部構成
員が両サリン事件を正当化するような発言をした旨の記載)及び本件調査書記
載2(原告の構成員等がBに対する帰依心を保持している旨の記載)による名
誉毀損に係る訴えである請求1及び請求2との間で,請求の基礎に変更がない
と認められ,当該変更により著しく訴訟手続を遅滞させることにもならないか
ら,当該申立てを却下する。
6争点()について
(1)前記1で認定したところによれば,原告代表者は,報道機関に対し,原告が
管理する施設の内部を公開し,これを受けて,報道機関の一部は,公安調査庁
に取材を申し入れ,Hは,報道機関に対し,「このタイミングで,施設公開に踏
み切ったのは,来年11月に満了する,観察処分を免れるための,脱Aアピー
ルというふうにみております。」「少なくとも,今年の初め,すなわち春先まで
は,Aと同一視される仏画が,ひかりの輪の祭壇に掲示されているのを確認し
ています。幹部信徒から末端の信徒まで,Aへの帰依心を,いまだ保持してい
るとみています。」と発言し(この発言が本件取材発言に当たる。),同日,フジ
テレビの報道番組(FNNスーパーニュース)において,「“脱A”をアピール
か『ひかりの輪』」というタイトルで,原告がその管理する施設を報道機関に
公開した背景としてHが本件取材発言をしている動画が発言のテロップ付き
で報道され,同月16日,フジテレビのウェブサイトに同じ動画が配信された
(これが本件テレビ報道に当たる。)ことが認められるところ,本件取材発言
は,Hが,政府の機関として,その職務の遂行として報道機関に対して公表し
たものであって,その公表について法令上直接の根拠がないものであるから,
公表の目的が政府の活動として正当なものであり,公表の内容,方法,必要性
や緊急性に照らして,公表することにより確保すべき利益と原告が被るべき不
利益とを比較考量し,公表することが相当であるといえる場合には,本件取材
発言の中に,原告の社会的な評価を低下させ得る記載が含まれていたとしても,
Hが本件取材発言をしたことが,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとい
うことはできないと解するのが相当である。
(2)そして,前記1でみたとおり,本件取材発言は,団体規制法に基づく観察処
分に付されていた原告の活動状況に関するものであり,原告代表者が原告の管
理する施設を報道機関に公開し,これを取材した報道機関が,原告を観察すべ
き職責を有する公安調査庁に対し取材を申し入れ,これを受けて,公安調査庁
において,取材に応じる必要があると判断して,原告が施設を公開した背景に
ついての見解を述べたものであって,その内容も,観察処分を免れるためのい
わゆる脱Aアピールとみている,Bと同一視される仏画が原告祭壇に掲示され
ているのを確認し,幹部信徒から末端の信徒までBへの帰依心を保持している,
というものであり,団体規制法に基づく観察処分に付されている原告の活動状
況という国民生活や治安に直結し得る極めて公益性,緊急性が高い情報を広く
国民に公表するものである一方で,公表の内容は,前記1でみた経過から公安
調査庁が把握していた情報に基づく判断として不合理であるとまでいうこと
はできず,既に観察処分に付されていた原告の活動状況について依然として団
体規制法に基づく観察処分の要件が消滅したということはできないという限
度のものにすぎないといえる。このようなことから考えると,本件取材発言は,
政府の活動として正当な目的によるものであり,公表の内容,方法,必要性や
緊急性に照らして,公表することにより確保すべき利益と原告が被るべき不利
益とを比較考量し,公表することが相当であるといわなければならず,これが
国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできないと解される。原
告は,Bと同一視される仏画が原告の祭壇に掲示されていなかった旨,原告の
構成員がBに対する帰依心を有していない旨を主張立証するが,上記の判断に
影響するものではない。
(3)以上でみたところによると,その余の点について判断するまでもなく,請求
は理由がない。
7争点(6)について
(1)前記1で認定したところによれば,公安調査庁長官は,公安審査委員会に対
して本件第回更新請求をするに当たり,団体規制法26条2項の規定に基づ
いて,本件第回更新請求書に,更新の理由となる事実(法条1項)として
「『ひかりの輪』は,未入会者でもセミナー等に参加できる旨宣伝して,巧妙な
勧誘活動を展開し,その過程で,旅行業法に抵触する『聖地巡り』と称した企
画旅行を実施するなどの資金獲得活動も行っている」という記載(本件更新請
求書記載2)をし,本件第回更新請求書が官報で公示されたことが認められ
るところ,前記4(1)で説示したところによると,本件第回更新請求書の記
載の中に,原告の社会的な評価を低下させ得る記載が含まれていたとしても,
公安調査庁長官が第回更新請求時において把握していた各種の情報に基づ
き,更新の理由となる事実として当該記載をするという判断が不合理であると
いえる事情がないのであれば,国家賠償法1条1項の適用上違法であるという
ことはできないと解するのが相当である。
(2)前記1でみたとおり,原告の聖地巡り等の旅行の企画は,有償で参加者を一
般に募集したものであって,これが旅行業法2条所定の旅行業に当たり,旅行
業法に基づく観光庁長官又は都道府県知事の登録(旅行業法3条,67条)を
受けなかったとして刑罰の対象(同法74条1号)となる可能性があると判断
されたとしてもやむを得ないところであって,実際にも,原告の副代表が当該
被疑事実により検察官に送致された上で,不起訴処分になったというのであっ
て,このようなことから考えると,被告による本件第回更新請求書に更新の
理由として本件更新請求書記載2を記載するという判断が不合理であるとい
える事情があるとまでいうことはできず,これが,国家賠償法1条1項の適用
上違法であるということはできない。原告は,上記の旅行の企画が旅行業法に
抵触しない旨を主張立証するが,上記の判断に影響するものではない。
(3)なお,公安審査委員会による本件第回更新決定が,団体規制法条4項所
定の要件が認められないにもかかわらず更新した違法なものであれば,これと
相当因果関係がある損害についての賠償の可否,更には本件第回更新請求書
の記載(本件更新請求書記載2)による名誉毀損が当該損害に含まれるかが問
題となり得るところ,前記1で認定したところによれば,本件第回更新決定
も,本件第4回更新決定と同じく,同法所定の要件を欠くものであったとまで
いうことはできない。
(4)以上でみたところによれば,その余の点について判断するまでもなく,請求
6は理由がない。
8争点(7)について
(1)前記1で認定したところによれば,公安調査庁長官は,公安審査委員会に対
して本件第回更新請求をするに当たり,団体規制法26条2項の規定に基づ
いて,本件第回更新請求書に,更新の理由となる事実(同法条4項所定の
引き続き当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要性)として「『ひか
りの輪』は『外部監査』と称する取組を実施しているが,以下のとおり,外部
監査とは」言えないものである。すなわち,外部監査委員の中に,就任以前か
ら『ひかりの輪』の活動に協力するなど,既に接点を有している者が存在する
など,その独立性も確保されていない上,監査の重要な要素である帳簿書類の
検査がなされておらず,認知症の高齢者から悪質な手段を用いて寄付金を徴収
したり,旅行業法に抵触する手法を用いて資金獲得を図っている『ひかりの輪』
の実態に対しても,外部監査委員会が,勧告するなどした事実は認められない
(中略)したがって,『外部監査』と称する取組によって『ひかりの輪』の組織
体質が改善されたとは認められず,その在り方自体を変化させていくものとは
なっていないことは明らかである」という記載(この一部が本件更新請求書記
載3に当たる。)をし,本件第回更新請求書が官報で公示されたことが認め
られるところ,前記4(1)で説示したところによると,本件第回更新請求書
の記載の中に,原告の社会的な評価を低下させ得る記載が含まれていたとして
も,公安調査庁長官が第回更新請求時において把握していた各種の情報に基
づき,更新の理由となる事実として当該記載をするという判断が不合理である
といえる事情がないのであれば,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとい
うことはできないと解するのが相当である。
(2)前記1でみたとおり,原告は,高齢者の構成員から年金が振り込まれる金融
機関の口座の通帳等を預かり,その収支を管理し,一部の金員を寄付金として
受け取っていたというのであるから,実際に原告が高齢者の構成員から金員を
寄付金の名目で不当に受け取っていたとまでいえるかどうかはともかくとし
て,被告による本件第回更新請求書に更新の理由として本件更新書記載3を
記載するという判断が不合理であるといえる事情があるということはできず,
これが,国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできない。原告
は,認知症の高齢者である構成員から悪質な手段を用いて寄付金を徴収したこ
とはない旨を主張立証するが,上記の判断に影響するものではない。
(3)なお,公安審査委員会による本件第回更新決定が,団体規制法条4項所
定の要件が認められないにもかかわらず更新した違法なものであれば,これと
相当因果関係がある損害についての賠償の可否,更には本件第回更新請求書
の記載(本件更新請求書記載3)による名誉毀損が当該損害に含まれるかが問
題となり得るところ,本件第回更新決定が同法所定の要件を欠く違法なもの
であるということができないことは,前記7(3)で説示したとおりである。
(4)以上でみたところによれば,その余の点について判断するまでもなく,請求
7は理由がない。
9以上によれば,その余の点(争点(8)及び争点(9))について判断するまでもな
く,原告の請求はいずれも理由がない。
東京地方裁判所民事第48部
裁判長裁判官 氏本厚司
裁判官 長井清明
裁判官 西條壮優
当事者の表示,別紙及び別表については,記載を省略

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