報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

シンドラー訴訟で和解成立 男子高校生死亡のエレベーター事故、東京地裁

 東京都港区のマンションで平成18年、住人の男子高校生=当時(16)=がシンドラーエレベータ社製のエレベーターに挟まれて死亡した事故で、遺族が同社などに損害賠償を求めた訴訟は24日、東京地裁(岡崎克彦裁判長)で和解が成立した。
 遺族は20年、安全確保を怠ったとして、シンドラー社や建物を所有する港区などに2億5千万円の賠償を求め提訴。東京地裁が今年9月に和解を勧告していた。和解は同社や港区などが「遺憾の意」を示し、和解金を支払う内容。
 事故は18年6月に発生。高校2年の市川大輔さんが、突然上昇したかごの床と外枠の上部に挟まれ死亡した。消費者安全調査委員会は昨年8月、ブレーキ部品の摩耗などが事故原因とする報告書を公表した。
 刑事裁判ではシンドラー社の社員らが業務上過失致死罪に問われ、東京地裁は27年、同社社員1人を無罪、保守管理会社側の3人を有罪とした。いずれも東京高裁で公判中。
(2017.11.24 12:44 産経ニュース)

エレベーター事故で和解 異例の再発防止策も

 11年前、東京・港区で、男子高校生が死亡したエレベーター事故をめぐり、遺族がメーカーや設置者の港区などに賠償を求めた裁判は、区などが再発防止に取り組むことや和解金を支払うことなどを条件に和解が成立しました。また、港区は遺族と「覚書」を交わし、区のエレベーターすべてに2重ブレーキなどを設置する異例の再発防止策に取り組むことになりました。
 平成18年、東京・港区のマンションで、高校2年生だった市川大輔さん(当時16)が、扉が開いたまま突然上昇したエレベーターに挟まれて死亡し、遺族はメーカーのシンドラーエレベータや保守会社のほか、設置者の港区などに賠償を求めました。
 事故について国土交通省は、エレベーターのブレーキ部分がすり減って効かなくなったことが原因だとする報告書をまとめましたが、裁判で区などは責任を争い、和解の話し合いが進められた結果、24日、東京地方裁判所で和解が成立しました。
 遺族側によりますと、和解の条件には、メーカーや保守会社それに港区がエレベーター事故の防止に取り組むことや区などが和解金を支払うことが盛り込まれたということです。
 また、港区は、亡くなった高校生の母親の市川正子さんと「覚書」を交わし、区が所有・管理するすべてのエレベーターに2重ブレーキなどを設置する異例の再発防止策に取り組むことになりました。
 再発防止策条件に和解受け入れ
 事故は平成18年6月、東京・港区のマンションで起きました。
 高校2年生だった市川大輔さん(当時16)が、扉が開いたまま突然上昇したエレベーターに挟まれて亡くなりました。
 大輔さんは甲子園を目指して野球に打ち込んでいた高校球児でした。
 息子を突然失った母親の市川正子さんはエレベーターを使うことができなくなり、12階の自宅まで階段で上り下りするようになりました。
 事故の2年後、市川さんは、事故の責任を追及するため、メーカーの「シンドラーエレベータ」や保守会社、それにエレベーターの設置者の港区に賠償を求める訴えを起こしました。
 捜査も進められ、事故の3年後、メーカーの点検責任者や保守会社の幹部などが業務上過失致死の罪で起訴されました。
 国土交通省も事故原因の調査を進め、エレベーターのブレーキ部分がすり減って効かなくなったことが原因だとする報告書をまとめました。
 一方、刑事裁判では、事故の責任をめぐって検察と被告側の主張が対立し、裁判の争点を絞り込む手続きに3年余りかかるなど、長期化しました。
 市川さんが起こした民事裁判も、重要な証拠が刑事裁判の証拠として押収されたため、進行が遅れました。
 こうした中、市川さんは、事故の真相を知るため、刑事裁判の傍聴を続けました。さらに、弁護士や業界の関係者などに加わってもらい、エレベーターの安全性について考える勉強会を立ち上げ、国土交通省に点検方法の見直しを提言するなど再発防止の取り組みに力を入れてきました。
 刑事裁判では、おととし、保守会社の会長ら3人に執行猶予の付いた有罪判決が言い渡されました。
 一方、メーカーの点検責任者には無罪が言い渡され、双方が控訴しました。
 その後、民事裁判も審理が進み、裁判所からは和解が勧告されました。和解の条件には謝罪は盛り込まれず、市川さんは、和解を受け入れるかどうか、悩み続けたと言います。しかし、同じような事故を二度と繰り返さないことが何よりも大切だと考え、再発防止策を具体的に進めることを条件に和解を受け入れることを決断しました。
 和解と「覚書」 内容は
 今回の和解や「覚書」は、母親の市川正子さんの思いを反映して、再発防止に向けた取り組みに重点が置かれています。
 遺族側によりますと、和解条項では、市川大輔さんが亡くなったことについて、区などが「何の落ち度もなく、わずか16歳でこの世を去ることになった大輔さんと母親の無念の思いを重く受け止め、深く遺憾の意を表する」としています。また、「この事故を教訓とし、扉が開いたままエレベーターが動く事故は重大事故につながるおそれがあることに改めて思いを致し、それぞれが置かれた立場から、その社会的・道義的責任を果たすべく、不断の意思をもってエレベーター事故の再発防止のために全力を挙げて取り組むことを確約する」としています。
 具体的には、「シンドラーエレベータ」は、自社製品の保守作業などに必要な情報を点検を行っている会社に提供し、事故が起きたエレベーターの保守点検を行っていた「エス・イー・シー エレベーター」は、不具合の状態がわかるような報告書を作成し、所有者や管理者に提出するということです。
 そして港区は、市川さんとの間で「覚書」を交わすことになりました。「覚書」には、事故の風化を防ぐため、大輔さんが亡くなった6月3日を「安全の日」と定め、区民が安全を考える日になるよう取り組むことが盛り込まれています。
 また、区が所有・管理するすべてのエレベーターに「2重ブレーキ」など扉が開いたまま動き出しても自動的に停止する装置を設置することなど異例の対策も盛り込まれています。
 2重ブレーキなどの対策は、港区の事故を受けて平成21年に法律が改正され、新設のエレベーターには設置が義務づけられましたが、既存のエレベーターは対象になりませんでした。
 国土交通省が昨年度民間施設のエレベーターを対象に行った調査によりますと、2重ブレーキなどが設置されているのは全体のおよそ17%にとどまっているということで、市川さんは、既存のエレベーターにも設置すべきだと訴えてきました。
 今回の「覚書」によって、港区が所有・管理するエレベーターおよそ200台のうち、法改正による義務化の対象外となっている100台余りの既存のエレベーターについても、2重ブレーキなどの対策が行われることになります。
 母親「再発防止の第一歩」
 和解が成立したあと、原告の市川正子さんは弁護団とともに会見を行いました。
 市川さんは「『息子を返して』『許さない』という思いは今も変わりません。しかし、判決になるとどうしても思いをかなえることはできないことがわかってきて、和解を選びました。和解は終わりではなく、エレベーターの安全や再発防止のために、息子が16歳で亡くなったことを教訓として生かすための通過点、第一歩だと思っています」と語りました。
 そして、「メーカーや区などには息子の命と遺族の思いにもっと早く向き合ってほしかったですが、やっと安全協力という形で向き合ってもらうことができました。これからも支援者とともに教訓が生かされるよう訴え続けていきます」と述べました。
 弁護団の前川雄司弁護士は、再発防止に取り組んでいる市川さんを支援する基金が設立され、今回の和解金の一部がその活動に充てられることを説明しました。前川弁護士は「この裁判は単に金銭を求めるものではなく、遺族の『なぜ事故が起きたのか』『安全な社会に変えていってもらいたい』という気持ちから起こされたもので、区などが自主的に再発防止に取り組むことを約束した非常に貴重な和解だ」と話していました。
 メーカー「安全のため最善尽くす」
 和解の成立についてシンドラーエレベータは「法的責任はないものと考えていますが、人道的見地、メーカーとしての社会的な立場を考慮して和解に応じることとしました。改めて市川大輔氏に深く哀悼の意を表し、国内の自社製エレベーターの安全のために最善を尽くす所存です」というコメントを出しました。
 保守会社のエス・イー・シー エレベーターの弁護士は「和解条項で述べられているとおりなので、特にコメントすることはありません」としています。
 港区長「事故を風化させない」
 港区の武井雅昭区長は「改めて市川大輔さんのご冥福をお祈りし、ご遺族に対し、心より哀悼の意を表します。事故を決して風化させることなく区民の生命を守るため、全職員に人命の大切さと安全を最優先とする意識を徹底させ、二度とこうした事故が起きることがないよう引き続き安全・安心の確保に全力で取り組みます」というコメントを出しました。
(11月24日 18時09分 NHK)

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