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在特会元会長、二審も敗訴 有田芳生議員の発言「真実」

 有田芳生参院議員のツイッター発言で名誉を傷つけられたとして、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠元会長が500万円の損害賠償を有田氏に求めた訴訟の控訴審判決が7日、東京高裁であった。杉原則彦裁判長は、請求を棄却した一審・東京地裁判決を支持し、桜井氏の控訴を退けた。
 判決によると、有田氏は2016年4月、桜井氏について「ヘイトスピーチそのもの」「差別に寄生して生活を営んでいるのですから論外」などとツイッターで発言した。
 杉原裁判長は、これらの発言を「ヘイトスピーチは到底許されないという批判的意見、論評」と認定した。また、「桜井氏は収入の大部分が著作物の印税だと自認している」と指摘した上で、「その著作物はヘイトスピーチや差別的扇動と無関係と言えない」と判断。有田氏の発言は真実だと結論づけた。(後藤遼太)
(3/7(水) 19:01 朝日新聞)

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平成29(ネ)4654
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人は,控訴人に対し,500万円及びこれに対する平成28年7月1
4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。
4仮執行宣言
第2事案の概要
1本件は,政治活動家である控訴人が,参議院議員である被控訴人のツイッタ
ーへの投稿記事によって名誉を毀損されたと主張して,被控訴人に対し,民法
709条に基づき,慰謝料500万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日で
ある平成28年7月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅
延損害金の支払を求めた事案である。
原審が控訴人の請求を棄却したので,控訴人が控訴した。前提事実並びに争
点及び争点に関する当事者の主張は,下記2のとおり原判決を補正し,下記3
のとおり控訴人の当審における主張を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」
中の「第2事案の概要」の2及び3に記載のとおりであるから,これを引用
する。
2原判決の補正
原判決4頁15行目から同16行目にかけての「推進に関する法律(」の次
に「平成28年法律第68号,」を加える。
3控訴人の当審における主張
控訴人は,在日朝鮮人や在日韓国人が我が国において享受している特権が合
理的な根拠を欠くものであることを訴え続けてきた。このような控訴人の言論
活動について,被控訴人において,誤りであると考えるのであれば,当該言論の
どこが差別やヘイトスピーチに該当するかを指摘すべきである。にもかかわら
ず,被控訴人は,本件ツイートにおいて,控訴人の存在そのものを否定し,差別
に寄生して生活しているなどという,およそ個人に対して許されない表現をし
た。よって,本件ツイートの言論は,国会議員としての節度ある行動といえない
ばかりか,意見ないし論評の域をはるかに超え,かつ,公益性も真実性もないも
のであるから,違法である。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,控訴人の請求を棄却すべきものと判断する。その理由は,下記
2のとおり原判決を補正し,下記3のとおり控訴人の当審における主張に対す
る判断を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3当裁判所の判
断」に記載のとおりであるから,これを引用する。
2原判決の補正
原判決10頁11行目の「挑戦」を「朝鮮人」に改める。
原判決16頁5行目から同6行目にかけての「本邦出身者」を「本邦外出
身者」に改める。
3控訴人の当審における主張に対する判断
控訴人は,被控訴人は,控訴人の存在そのものを否定し,差別に寄生して
生活しているなどという,およそ個人に対して許されない表現をしたのであ
るから,意見ないし論評の域をはるかに超え,違法であると主張する。
前提事実及び前記認定事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によると,
控訴人は,平成18年12月の在特会設立当初から平成26年頃までの間,
その会長を務め(乙3),行動保守の代表も務めていること(乙2),控訴人
は,「A」の筆名で「大嫌韓時代」や「在特会とは『在日特権を許さない
市民の会』の略称です!」等の著作活動を行っているところ(乙20ないし
22),控訴人の収入の大部分が同著作物に係る印税によることを自認して
いること,行動保守は,平成28年4月17日午後0時30分から岡山市内
で本件デモを行うことを企画し,一般に参加を呼びかけたこと(乙37,4
0),控訴人は,同月8日,被控訴人が本件デモをヘイトデモだと言ってい
る等の被控訴人を批判する内容のツイートをしたこと(乙40),被控訴人
は,同月10日,本件デモに関する第三者のツイート上の発言(乙42,引
用発言ゝ擇唹用発言◆砲鯑Г泙┐董に楫錺張ぁ璽箸鬚靴燭海函聞達院法に
件ツイートのうち,本件発言1は,大要「控訴人の存在がヘイトスピーチ=
差別煽動そのものです。」との記載であり,本件発言2は,本件発言1に続
けて,「差別に寄生して生活を営んでいるのですから論外です。」との記載
であること,本件ツイートに対して,「リツイート」及び「いいね」等の具体
的な反響があったほか(甲1),その性質上,不特定多数人による閲読がさ
れたことがうかがわれること,同年5月24日,差別的言動解消法が国会で
成立し,同年6月3日,公布され,同日施行されたこと(乙36),同法は,
その前文において,「我が国においては,近年,本邦の域外にある国又は地
域の出身であることを理由として,適法に居住するその出身者又はその子孫
を,我が国の地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動が行わ
れ,その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるとともに,当該地域
社会に深刻な亀裂を生じさせている。もとより,このような不当な差別的言
動はあってはならず,こうした事態をこのまま看過することは,国際社会に
おいて我が国の占める地位に照らしても,ふさわしいものではない。ここに,
このような不当な差別的言動は許されないことを宣言するとともに,更なる
人権教育と人権啓発などを通じて,国民に周知を図り,その理解と協力を得
つつ,不当な差別的言動の解消に向けた取組を推進すべく,この法律を制定
する。」と述べるとともに,第3条において,「国民は,本邦外出身者に対す
る不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに,本邦外
出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなけ
ればならない。」と定めていること(乙36),被控訴人は,参議院法務委員
会理事として同法の成立に関与するとともに,平成29年4月20日開催の
参議院法務委員会の質疑において,本件デモの実施状況に触れ,本件デモに
おいて,拉致問題の解決というテーマを掲げつつも実際にはひどいヘイトス
ピーチを繰り返したことを指摘し,これを批判したこと(乙51)等の事実
が認められる。
以上について,前記認定に係る本件ツイートが投稿された経緯に加えて,
控訴人と被控訴人の関係を考慮し,一般の閲読者において従来の控訴人及び
被控訴人のツイートの内容等を閲読し得たことを踏まえ,一般の閲読者の普
通の注意と読み方を基準にすると,本件発言1及び本件発言2の記載は,控
訴人がこれまで在特会や行動保守の活動を通じて在日朝鮮人及び在日韓国人
に対するヘイトスピーチや差別を扇動する言動を繰り返しており,同ヘイト
スピーチや差別的扇動の中心的ないし象徴的存在であり,同ヘイトスピーチ
や差別的扇動による収入に依拠して生活を営んでいるものであるとの事実を
摘示しているものと解することができる。
そして,被控訴人は,本件ツイートによって,控訴人による同ヘイトスピ
ーチや差別的扇動が到底許されないものであるという批判的意見ないし論評
を表明したものと認められる。
そうすると,本件発言1及び本件発言2は,その発言内容から控訴人の社
会的評価を客観的に低下させるものと一応いうことができるものの,前記認
定事実によると,本件発言1について,その発言が前提とする事実の重要な
部分について真実であると認められる。また,本件発言2についても,控訴
人がその生活を営むに際しての収入源及び収入金額について詳らかでない点
はあるものの,控訴人において,その収入の大部分が「大嫌韓時代」などの
著作物の印税によることを自認しているところ,同著作物は控訴人の言論活
動において中核を占めるものであって,ヘイトスピーチや差別的扇動と関係
がないとはいえないから,結局のところ,その発言が前提とする事実の重要
な部分について真実であると認められる(また,仮に,そうでないとしても,
被控訴人において真実であると信ずるにつき相当な理由があると認められ
る。)。
そして,被控訴人の国会議員としての立場や言論内容,これまでの控訴人
と被控訴人の関係等を踏まえると,本件発言1及び本件発言2は,専ら人身
攻撃に及ぶことを目的としてされたとは認められず,意見ないし論評の域を
超えるものとはいえない。
以上のとおり,本件発言1及び本件発言2は,いずれも違法とは認められ
ない。
4以上のとおりであるから,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は正当であっ
て,本件控訴は理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第12民事部
裁判長裁判官 杉原則彦
裁判官 山口均
裁判官 井上泰人

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