報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

東京女子高生強殺 2審も無期「犯行は計画的」東京高裁

 東京都江戸川区で2015年、都立小岩高3年の岩瀬加奈さん(当時17歳)を殺害したとして強盗殺人罪などに問われた青木正裕被告(31)の控訴審判決で、東京高裁(栃木力裁判長)は1日、無期懲役とした1審・東京地裁判決(今年5月)を支持し、弁護側の控訴を棄却した。
 2審で弁護側は「計画性はなく、有期刑が相当」と主張したが、高裁は「(同じアルバイト先の)勤務表を見て被害者を待ち伏せし、言葉巧みにだまして自宅に誘い入れており、悪質」として、1審同様、犯行は計画的だったと認定した。
 刑事裁判では例外的に性犯罪の被害者名を伏せて審理できるが、遺族は「法廷で名前が出なければ、事件がなかったことのようになってしまう」と実名審理を望んだ。
 判決後に記者会見した母裕見子さん(49)は「(裁判を通じて)注目を浴び、実名か匿名か選択できることが伝わったのは良かったが、事件(直後の)報道で実名とするか匿名とするかは被害者の声を聞いてほしい」と述べた。
 姉の伊藤咲貴さん(24)は岩瀬さんについて「本来なら今年は20歳の誕生日で、成人式もあるし、来春は就職予定だった。そんな経験もさせてあげられなくてごめんねという気持ちがある」と語った。被告に対しては「控訴審でもう一度、被告の話を聞くのがつらかった。反省していない態度に納得できない」と非難した。【石山絵歩】
(2017年12月1日 20時13分(最終更新 12月1日 20時13分) 毎日新聞)

女子高校生強盗殺人2審も無期懲役

 おととし、東京・江戸川区で、当時17歳の女子高校生を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われたアルバイト先の元同僚の裁判で、2審の東京高等裁判所は「犯行は計画的だった」として被告側の主張を退け、1審に続いて無期懲役を言い渡しました。
 おととし11月、東京・江戸川区のアパートの部屋で、近くに住む高校3年生の岩瀬加奈さん(当時17)が殺害され、現金などが奪われた事件では、アルバイト先の元同僚でこの部屋に住んでいた青木正裕被告(31)が強盗殺人などの罪に問われました。
 被告側は起訴された内容を認め、「懲役30年が妥当だ」と主張しましたが、1審の東京地方裁判所で無期懲役を言い渡されて控訴し、「犯行は計画的ではなく、自首したことも考慮されるべきだ」と主張していました。
 1日の判決で、東京高等裁判所の栃木力裁判長は「被害者を言葉巧みにだまして家に連れて行き、すぐに殺害していることから見て、犯行は計画的だった。被告は自首しているが、警察が自分を探していると聞いたことが理由で、捜査の進展にそれほど貢献したわけではない」として被告側の主張を退け、1審に続いて無期懲役を言い渡しました。
 遺族「もっと重い判決でも」
 判決のあと、亡くなった岩瀬加奈さんの家族が会見し、父親の正史さんは「判決は変わらないと思っていたので、当たり前の結果という印象ですが、法廷で反省していないような態度を取っていたので、もっと重い判決が出てもよかったと感じました」と述べました。
 姉の咲貴さんは「法廷で被告の話を聞く苦しみをまた経験しなくてはならず、ただただつらかったです。反省していない態度を見ると判決は納得できません」と話していました。
 母親の裕見子さんは法廷で加奈さんの名前を出して審理するよう求めたことを振り返って、「これから裁判に臨む被害者遺族に実名と匿名のどちらでも審理できることを伝えられたのはよかったです。社会の人たちには遺族の声を聞いてほしいと強く思いました」と話していました。
(12月1日 19時41分 NHK)

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平成29年12月1日宣告東京高等裁判所第11刑事部判決
平成29年(う)第1261号強盗殺人,強盗強姦未遂被告事件
主文
本件控訴を棄却する。
当審における未決勾留日数中120日を原判決の刑に算入する。
理由
1本件事案と控訴の趣意
本件は,被告人が,自分の将来を悲観して自暴自棄になっていたところ,
死ぬ前に,首を絞められて苦しむ女性の姿を見て性的興奮を得たいと思い,
かつてのアルバイト先の同僚であった被害者(当時17歳)を殺害して現
金を強奪するとともに強姦しようと考え,被害者を言葉巧みに誘い出し,
当時の被告人方で,殺意をもって,被害者の背後から頸部を右腕で絞め上
げ,さらに,頸部を両手で絞め付けるなどして,被害者を頸部圧迫による
窒息により殺害した上,強姦しようとしたものの,その陰部に自己の陰茎
を挿入することができなかったため,強姦の目的を遂げず,被害者の財布
から現金約7500円及び生徒証1枚を抜き取り強奪したという強盗殺人
と強盗強姦未遂の事案である。本件控訴の趣意は,弁護人大嶋勇樹作成名
義の控訴趣意書及び控訴趣意補充書記載のとおりであり,論旨は,法令適
用の誤り及び量刑不当の主張である。
2法令適用の誤りの主張について
所論は,原判決は,原判示の罪となるべき事実を認定し,被告人の行為
は強盗殺人罪と強盗強姦未遂罪に該当するとしているが,強姦罪の保護法
益は「人」の性的自由であり,「人」が死亡した以上はその保護法益はな
くなるのであるから,被害者の生存中にこれを姦淫しようとしたが,その
前に死亡させてしまったので死体を姦淫したという場合はともかく,当初
より,被害者の殺害後に死体を姦淫する意思であった場合は,死体損壊罪
として論ずべきであるから,被告人には,死体損壊罪が成立し,強盗強姦
未遂罪は成立しないと主張する。
確かに,被告人が,被害者の首を両手で絞め付け,心臓の鼓動音を聞く
などしてその死亡を確認した後,姦淫行為に着手していることからすると,
被告人は,当初から,被害者を殺害した後に姦淫行為に及ぶ意思であった
と認められるが,被害者の死亡と時間的場所的に接着した段階においては,
被害者の性的自由はいまだ保護されていると解されるから,当初から,被
害者の死亡直後に姦淫する意思であった場合でも,強盗強姦未遂罪が成立
すると解すべきである。なぜなら,殺害後に姦淫する意思であったとはい
え,被害者を姦淫するために暴行を加えているのであるから,生存中に姦
淫する意思で暴行を加えた場合と別異に解する理由がない上,所論のよう
に「人」が死亡した以上はその保護法益はなくなると解すると,強姦目的
で暴行を加えて姦淫しても,死亡したと誤解していた場合は,生存中に姦
淫されても強姦既遂罪が成立しないこととなり,不合理だからである(最
判昭和36年8月17日・刑集15巻7号1244頁参照)。
法令適用の誤りの論旨は理由がない。
3量刑不当の主張について
原判決の量刑判断
原判決は,本件は,強盗殺人に強盗強姦未遂を伴う重大な事案であると
した上,被告人は,背後からいきなり被害者の首を絞め上げて失神させ,
心臓の鼓動音を確認しつつ更に首を絞め付けており,執拗で残忍であって,
殺意は強固であるとした。そして,被告人が,被害者の殺害後,直ちにそ
の服を脱がせたり切り裂いたりして全裸にした上,姦淫行為に及ぼうとし
たことや,犯行に先立って,元アルバイト先の勤務表を見て被害者を待ち
伏せし,若年の被害者を言葉巧みに騙して被告人方に誘い込むなど,計画
性も認められることを指摘した上,被害者が受けた身体的・精神的苦痛は
計り知れず,被告人の欲望のために理不尽にも17歳で将来を絶たれた無
念の思いは察するに余りあり,遺族が被告人に極刑を望む心情も十分に理
解できるとした。また,被告人が首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興
奮を覚える性癖を有していたこと,被害者を自宅に誘い込み,絞殺した後
すぐに強姦行為に着手していること等からすれば,本件犯行の主たる目的
は被害者を絞殺して強姦することにあったと認められ,その犯行動機は身
勝手極まりないとした。そして,被告人が本件犯行を決意し,実行に移し
た背景には,成育歴に起因する心理的側面からの影響があった可能性も否
定できないが,そのことで被告人に対する責任非難の程度がさほど低下す
るとはいえないとし,以上によれば,被告人の刑事責任は,同種強盗殺人
事案の中でも比較的重い部類に属するとした。
また,被告人が自首したことについては,それは,警察の捜査が被告人
自身に迫っていることを知った後のものである上,自首した後も強姦未遂
につき否認したり供述を変遷させたりしているから,自首したことを量刑
上大きく考慮することはできないとするとともに,本件犯行に至った原因
に関する被告人の考察には,なお他罰的な傾向が見られ,自分自身の問題
性についての深まりは不十分であるとした。
その上で,原判決は,本件は,刑の減軽をした上で有期懲役とすること
が相当な事案であるとはいえないとし,他方,本件の被害者が複数ではな
いこと,自首が成立していること,前科前歴がないこと等を考慮すると,
極刑を選択することがやむを得ない場合であるということはできないとし
て,被告人を無期懲役に処した。
⑵所論と当裁判所の判断
原判決の量刑判断は,考慮した事情及び評価ともに相当であり,当裁判
所も首肯することができる。
これに対し,所論は,仝業酬茲蓮に楫錣魴弉菘犯行とするが,被告人
が犯行の5日前に本件を計画した時は,自殺するか事件を起こして死刑に
なるかという,選択的かつ空想的な計画に過ぎず,具体的な殺害のプロセ
スは考えていなかった上,本件前日に被害者を待ち伏せし,翌日の面会を
約束した時も,確定的な犯行計画や殺意を抱いていたわけではなく,被告
人は,被害者が思いがけず誘いに乗ってくるなど,予想外に事がうまく運
んで空想が現実化したため,「ここまできたらやるしかない」との観念に
とらわれ,若干の逡巡をしながらも本件犯行に至ったもので,本件は突発
的,偶発的犯行である。⊆首が刑の減軽事由となるのは,犯罪の捜査を
容易にし,無実の者を処罰する危険を避ける点にあり,被告人を犯人と同
定する捜査がどこまで進んでいたか,自首の前に被告人が捜査をかく乱す
るような言動をしていなかったかどうかが問われるべきで,自首の動機は
問題にならない原判決は,被告人が供述を変遷させていること
を理由に量刑に大きく反映させないとしているが,被告人が犯人であるこ
とや実行行為の態様などについての供述は一貫しており,少なくとも,強
盗殺人の捜査をかく乱するような供述は一切していない上,供述を変遷さ
せていることが反省悔悟を否定的に受け取る要素となるとしても,自首は
犯人が反省悔悟の念で行ったか否かを要求していないから,原判決の判断
は誤っている原判決は,警察の捜査が被告人に迫っていることを知っ
てからの自首であるとしているが,被告人は,行方不明者の捜索として事
情を聞かれていたにすぎないから,犯人と同定されていたとは言い難い上,
逃亡しようとすれば十分にできたはずであるから,逃亡せずに自首したこ
とは量刑上十分に考慮されるべきである。H鏗下坩簑欧蓮と鏐霓佑紡个
て刑事損害賠償命令の申立てを行っているが,このまま無期懲役刑が確定
すると,被告人の社会復帰が事実上不可能となり,刑事損害賠償命令も意
味がなくなるのであるから,刑事損害賠償命令を少しでも奏功させるには
被告人を有期懲役刑にすることが必要であり,被告人を無期懲役刑に処す
ることは刑事損害賠償命令を申し立てた被害者遺族の意思にも反する上,
臓器ドナー,骨髄提供といった被告人の社会貢献への道を閉ざし,被告人
の更生意欲をそぐことになる。以上によれば,被告人を無期懲役に処した
原判決は重過ぎて不当であると主張する。
しかしながら, 米揚的,偶発的犯行)は,記録によれば,被告人は,
本件犯行の前日に,元アルバイト先の勤務表を見て被害者を待ち伏せし,
化粧品の新商品のサンプルが多量にあるので貰ってくれないかなどと虚偽
の事実を申し向け,被害者を言葉巧みに騙して翌日に会う約束をし,犯行
当日に被害者が待ち合わせ場所に来ると,そのままタクシーを利用するな
どして被告人方に誘い入れ,被害者が被告人方に入るや,直ちに本件犯行
に及んでいるのであるから,本件犯行には計画性が認められるとした原判
決の判断に誤りはない。また,被告人のこれら一連の行為は,本件犯行を
確実に実行するためのものと認められ,少なくとも,本件犯行前日に被害
者を待ち伏せした時点では,被告人の犯行計画は確定的なものであったと
認められるから,本件は,予想外に事がうまく運んで空想が現実化したた
め実行されたもので,突発的,偶発的犯行であるとする所論は理由がない。
そして,将来を悲観して自暴自棄になっていたとはいえ,被告人は,死ぬ
前に,首を絞められて苦しむ女性の姿を見て性的興奮を得たいと思い,自
分と全く無関係な被害者を殺害した上で姦淫し,自分も死のう,あるいは
死刑になりたいなどと考えて本件犯行を行ったもので,その動機は身勝手
極まりなく,犯情は極めて悪質である。原判決が,被告人の刑事責任は,
同種強盗殺人事案の中でも比較的重い部類に属すると評価したことは正当
であり,同種事案の量刑傾向を踏まえて無期懲役刑を選択したことは誠に
相当である。◆兵首)は,自首が刑の減軽事由とされている理由は所論
指摘のとおりであるが,自首は任意的減軽事由に過ぎない上,原審甲53
によれば,捜査機関は,本件犯行の翌日である平成27年11月13日に
被害者の行方不明者届を受理すると,直ちに,被害者の携帯電話機に位置
探索を実施するなどしてその捜索に着手し,翌14日には防犯カメラの解
析により被害者が行方不明になる前に接触した人物を被告人と特定し,被
告人の祖母に電話をして所在を尋ねたり,被告人の勤務先に聞き込み捜査
を実施して被告人の住居を確認し,さらに,被告人方を訪問するなどして
その行方を追っていたところ,祖母から警察が被告人を探しているという
ことを聞いた被告人が,同日午後5時7分頃に,警察に電話して自首した
もので,被告人が自首した時点では捜査も相当進捗していたと認められる
上,被告人は,自首した後も,強姦未遂を否認したり供述を変遷させたり
していたのであるから,自首による捜査への貢献の程度はそれほど大きく
なく,また,被告人がどれだけ本件について反省悔悟しているのかについ
ても疑問が残るから,自首したことを量刑上大きく考慮することはできな
いとした原判決の判断に誤りはない。(遺族の意向等)は,所論の趣旨
は必ずしも明らかではないが,刑事損害賠償命令が奏功するかどうかは量
刑に無関係である上,被害者遺族が刑事損害賠償命令の申立てをしたこと
が,有期刑を望んでいることを意味するものでもなく,また,臓器提供等
の社会貢献への道が閉ざされることになってもやむを得ないことであるか
ら,所論は理由がない。
以上によれば,原判決の量刑が重過ぎて不当であるとはいえず,量刑不
当の論旨は理由がない。
4よって,刑事訴訟法396条により本件控訴を棄却することとし,刑法
21条を適用して当審における未決勾留日数中120日を原判決の刑に算
入し,当審における訴訟費用については刑事訴訟法181条1項ただし書
を適用して被告人に負担させないこととし,主文のとおり判決する。
(検察官松山佳弘出席)
平成29年12月1日
東京高等裁判所第11刑事部
裁判長裁判官 栃木力
裁判官 佐藤晋一郎
裁判官 日野浩一郎

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