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大分地裁「裁判所をだました」 「知らぬ間裁判」男性に178万円賠償命令

 大分市内の女性が知らない間に裁判で負けて預金を差し押さえられた問題を巡り、女性が差し押さえをした男性に対し慰謝料など約500万円の損害賠償を求めた訴訟で、大分地裁(伊藤拓也裁判官)は10日、男性に約178万円の支払いを命じた。
(2021/02/11 03:01 大分合同新聞)

知らぬ間に敗訴、差し押さえ 原告が虚偽主張で裁判所だます

 大分市の女性が、自身が訴えられたことも知らず、判決書さえ受け取らないまま敗訴判決の確定を知り、銀行預金を差し押さえられる被害に遭った。女性は訴えた男性が裁判所をだまして被害を与えたとして、大分地裁に賠償を求める訴訟を起こし、同地裁は10日、女性の請求を認めた。伊藤拓也裁判官は「虚偽の事実を主張して裁判所をだまし、本来ありうべからざる内容の確定判決を取得した」と男性を批判した。なぜ、こんな事態が起きたのか。【河慧琳】
 ◇大分簡裁が「付郵便送達」手続き
 大分地裁の判決などによると、女性は飲食店を経営しており2019年6月、元従業員の男性から金銭の支払いを求める訴訟を熊本簡裁に起こされた。
 熊本簡裁に係属する訴訟で、女性が住む場所と異なる、女性とは全く関係のない大分市内の住所を、男性は訴状の送達先に指定した。これを受けて熊本簡裁はその住所に訴状を送ったが、女性は住んでおらず、居住者もいないため、返送され、送達ができなかった。
 このため熊本簡裁が男性に確認を取ると、男性は「夜に電気がついている」「水道メーターも動いている」などと、送達先の住所に女性が住んでいると思わせる虚偽の報告書を提出したという。
 また、住民票記載の住所や職場である飲食店についても、男性側が「住民票の住所に女性は住んでいない」「店は閉店し、もう働いていない」などとうその報告をしたという。
 このため、熊本簡裁は「付郵便送達」という送達方法を決めた。
 女性が訴状を受け取らなくても訴訟が始まり、敗訴した理由は、この「付郵便送達」にあった。
 この「付郵便送達」を選択すれば、訴状を女性が受け取らなくても送達が完了したとみなしていいと民事訴訟法が規定しているからだ。
 送達が完了したとみなした熊本簡裁は、司法手続きを続行。女性は男性から訴えられたことを知らず、反論の機会もないまま男性の訴えが認められる判決が言い渡された。
 男性は20年8月、熊本簡裁の確定判決に基づいて大分地裁に女性の債権の差押えを申し立てた。確定判決に基づいて大分地裁は20年9月、女性の銀行口座の預金を差し押さえた。
 銀行の預金通帳を見て女性がようやく気付いた。女性は被害者は自分だとして大分地裁に賠償請求訴訟を起こす流れとなった。
 10日の判決で伊藤拓也裁判官は「著しく正義に反し、確定判決の既判力による法的安定性を考慮しても容認できないような特別の事情がある」と男性の不正行為を批判した。
 元裁判官の佐藤歳二弁護士は「裁判所は基本的に性善説に基づいて司法手続きを進めている。制度が悪用された場合は、司法は厳格な対応を取ることも考慮しなければならない」と話した。
 ◇送達
 裁判所で適正に受理された訴状は相手方に送り届けられる(送達される)ことで原告がどんな権利を主張しているかが知らされる。送達は必須の裁判手続きとなる。一般的に当事者本人や同居人が受領しないと送達が完了したと認められない。例外的に相手がずっと不在である場合などに書留郵便(付郵便送達)を送った時点で、住所が分からない場合に裁判所の掲示板に一定期間、公示することで送達が完了したとみなされる。
(2/11(木) 8:51 毎日新聞)

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