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年金引き下げ訴訟 訴え退ける

 年金の支給額が段階的に引き下げられたことなどをめぐり、大阪の年金受給者100人が、最低限度の生活を保障する憲法に違反すると国を訴えた裁判で、大阪地方裁判所は、「年金制度を維持させることが目的で、不合理ではない」として訴えを退けました。
 国民年金や厚生年金の支給額は法改正によって、7年前から段階的に引き下げられ、5年前には「マクロ経済スライド」が初めて発動され、支給額の伸び率が物価や賃金の上昇よりも低く抑えられました。
 これについて、大阪の年金受給者100人が、健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法に違反するなどと主張して大阪地方裁判所に訴えを起こし、年金の減額などを決めた国の決定を取り消すよう求めていました。
 10日の判決で、大阪地方裁判所の三輪方大裁判長は、「年金支給額の引き下げや抑制は、将来世代の給付水準が低下することを回避し、世代間の公平を図るとともに、年金制度を持続させることが目的であり、不合理なものではない」と判断しました。
 そのうえで、「最低限度の生活は、年金だけでなく社会保障制度全体で守られるべきもので、憲法違反ではない」と述べ、原告らの訴えを退けました。
 【支給額の引き下げと抑制】。
 今回の裁判で争われたのは、年金の支給額が、▽平成25年から段階的に引き下げられたことと、▽平成27年度に「マクロ経済スライド」が初めて発動され、年金支給額の伸び率が抑制されたことが妥当かどうかです。
 年金の支給水準は、物価の変動などに合わせて調整されますが、平成12年度からの3年間、物価が下がったものの、景気に配慮して支給額を引き下げない特例措置が取られました。
 その結果、支給額は物価水準にあわせた場合より率にして2.5%高く、総額では1年間でおよそ1兆円多い状態になっていました。
 政府は、「若い世代に負担を先送りさせないため」として、平成24年に法改正を行い、平成25年から3年間かけて段階的に支給額を2.5%引き下げました。
 今回の裁判で原告は、年金の支給額を物価の下落幅にあわせて引き下げる、いわゆる物価スライドにより長引くデフレで支給額が減額される中、特例措置の解消を理由にさらなる減額を行うことは、健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法に違反すると主張していました。
 一方、「マクロ経済スライド」は、年金支給額の伸びを、物価や賃金の上昇よりも低く抑える仕組みで、平成16年の法改正で導入されました。
 年金制度は、現役世代が納める保険料などによって高齢者の年金給付を賄う仕組みになっていますが、少子高齢化により現役世代は減る一方、高齢者は増加する見通しです。
 しかし、現役世代が納める保険料の上限は決められていて、給付水準を抑える調整を行い収支のバランスを保つために、「マクロ経済スライド」が導入されました。
 具体的には、賃金や物価の上昇による伸び率から、公的年金の加入者の減少率や平均寿命の伸びを踏まえた「調整率」を差し引きます。
 これまでに3回発動されていて、▼平成27年度は、2.3%の伸びが0.9%に、▼昨年度は0.6%の伸びが0.1%に、▼今年度は、0.3%の伸びが0.2%に抑えられました。
 このマクロ経済スライドについて原告は「年金受給者の収入や貯蓄、給付金額を一切無視して一律的な実質減額を行うもので、減額によって最低限度の生活すらできない水準となり憲法違反だ」と主張していました。
(07月10日 12時11分 NHK)

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