報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

ビル型納骨堂の脱税 経営者に猶予付き判決 大阪地裁

 ビル型納骨堂「梅旧院(ばいきゅういん)光明殿」(大阪市浪速区)を巡る脱税事件で、約2億1000万円の納付を免れたとして法人税法違反などの罪に問われた、運営会社「光明殿」(同)社長、山口幸子被告(65)に対し、大阪地裁は12日、懲役2年・執行猶予3年、罰金3000万円(求刑・懲役2年6月、罰金4300万円)の判決を言い渡した。
 増田啓祐裁判長は「会社は実質的に被告が1人で経営していた。脱税したのは高額で悪質だ」と指摘。法人としての同社にも、求刑通り罰金2000万円を命じた。
 判決などによると、山口被告は2010〜15年、架空の業務委託費などを計上して所得を隠し、法人税約1億7000万円と、消費税約4000万円を免れた。
 山口被告は起訴内容を大筋で認める一方、一部については「脱税の認識はなかった」と主張していた。【高嶋将之、松本紫帆】
(3/12(火) 18:01 毎日新聞)

「巧妙に所得秘匿」「梅旧院」社長に有罪判決 大阪地裁

 架空経費を計上したりして法人税など約2億1千万円を脱税したとして法人税法違反罪などに問われた、ビル型納骨堂「梅旧院光明殿(ばいきゅういんこうみょうでん)」(大阪市浪速区)の運営会社「光明殿」社長、山口幸子被告(65)の判決公判が12日、大阪地裁で開かれた。増田啓祐裁判長は「実体のない会社の銀行口座に金を振り込んで引き出すなど、所得の秘匿工作は巧妙で悪質」として懲役2年、執行猶予3年、罰金3千万円(求刑懲役2年6月、罰金4300万円)を言い渡した。
 法人としての同社も同罪などで起訴されており、求刑通り罰金2千万円を言い渡した。
 山口被告は起訴内容を大筋で認めつつ、一部は「架空との意識はなかった」と主張していたが、増田裁判長は判決理由で「実質的に山口被告が1人で会社を経営しており、架空の経費計上を認識していたと認められる」と判断した。
 判決によると、山口被告は平成27年8月期までの5年間で、架空の業務委託費を計上するなどの手口で法人税や消費税など計約2億1千万円を脱税した。
 梅旧院光明殿は、「来て見て便利な梅旧院」のフレーズのテレビCMで関西ではおなじみで、山口被告自らもCMに出演したりテレビのバラエティー番組で取り上げられたりしていた。
(3/12(火) 19:24 産経新聞)

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平成29(わ)4074  各法人税法違反,消費税法違反,地方税法違反
平成31年3月12日  大阪地方裁判所
主文
被告人A株式会社を罰金2,000万円に,被告人Bを懲役2年及び罰金3,000
万円に処する。
被告人Bにおいてその罰金を完納することができないときは,金万円を
1日に換算した期間,同被告人を労役場に留置する。
被告人Bに対し,この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶
予する。
訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人A株式会社(以下「被告会社」という。)は,大阪市a区bc丁目d番e号に本
店を置き,仏壇仏具の販売等を営む資本金の額1,000万円の株式会社,被告人B(以
下,単に「被告人」という。)は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括
していたもの,Cは被告会社の経理事務を担当していたものであるが,被告人は,
第1C及びD株式会社の代表取締役を務めていたEと共謀の上,被告会社の業
務に関し,Dに対する架空の業務委託費を計上するなどの方法により所得を秘匿し
た上,別表1記載のとおり,「事業年度」欄記載の平成22年9月1日から平成27年
8月31日までの事業年度における実際の―蠧清盂曄き△海譴紡个垢詼/誉燃曄
税額控除後の差引法人税額が,それぞれ「実際額」欄記載のとおりであったにも
かかわらず,「確定申告書提出日」欄記載の各日に,いずれも大阪市浪速区難波中
3丁目13番9号所在の所轄浪速税務署において,同税務署長に対し,そ蠧清盂曄
イ海譴紡个垢詼/誉燃曄き税額控除後の差引法人税額が,それぞれ「申告額」欄
記載の金額である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し,そのまま法定納期限を徒
過させ,もって不正の行為により,「ほ脱法人税額」欄記載のとおり,上記各事業
年度における実際の差引法人税額()と上記申告に係る差引法人税額(Α砲箸
差額である法人税合計1億7,03万4,400円を免れ(別紙1ほ脱税額計算書,同2修
正損益計算書参照(掲載省略)),
第2Cと共謀の上,被告会社の業務に関し,架空の課税仕入れを計上するなど
の方法により,別表2記載のとおり,「課税期間」欄記載の平成22年9月1日から
平成27年8月31日までの課税期間における実際の‐暖饑任硫歙派現牾曄き△海
に対する消費税額,これから控除されるべき消費税額,で蕊佞垢戮消費税額,
ッ羇崘蕊媽燃曄きいらイ鮑垢薫いた後のη蕊嫋暖饑燃曄き地方消費税の課税
標準額となる消費税額,納付すべき地方消費税の譲渡割額,中間納付譲渡割額
及び┐らを差し引いた後の納付譲渡割額が,それぞれ「実際額」欄記載のと
おりであったにもかかわらず,「確定申告書提出日」欄記載の各日に,いずれも前
記浪速税務署において,同税務署長に対し,消費税の課税標準額,これに対す
る消費税額,これから控除されるべき消費税額,納付すべき消費税額,中間
納付税額,からを差し引いた後の闇蕊嫋暖饑燃曄癖棉州家峭罍瓦硫歙粘間に
ついては叡羇崘蕊婀塢媽燃曄法き加亙消費税の課税標準額となる消費税額,廓
付すべき地方消費税の譲渡割額,潅羇崘蕊嫋渡割額及び海ら瓦鮑垢薫いた後
の㉑納付譲渡割額(別表2番号4の課税期間については㉒中間納付還付譲渡割額)
が,それぞれ「申告額」欄記載の金額である旨の虚偽の消費税及び地方消費税確定
申告書を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,「ほ
脱消費税額」欄及び「ほ脱地方消費税譲渡割額」欄記載のとおり,上記各課税期間
における実際の納付消費税額(Α砲半綉申告に係る納付消費税額(亜砲箸虜抗
(別表2番号4の課税期間については実際の納付消費税額(Α法砲任△訃暖饑嚢
計3,170万0,600円及び上記各課税期間の実際の納付譲渡割額()と上記申告に係
る納付譲渡割額(㉑)との差額(別表2番号4の課税期間については実際の納付譲
渡割額())である地方消費税の譲渡割合計814万3,000円を免れるとともに,別
表2番号4の課税期間については,上記虚偽の消費税及び地方消費税確定申告書を
提出することにより,同税務署長をして,上記申告に係る消費税の中間納付還付税
額81万,300円(院傍擇喘亙消費税の中間納付還付譲渡割額24万6,600円(㉒)を
被告会社に還付することを決定させた上,平成26年11月日,大阪市f区gh丁目i番
j号所在の株式会社F銀行G支店に開設された被告会社名義の普通預金口座に還付
加算金6,400円を加算した合計6万8,300円を振込入金させ,もって不正の行為によ
り,上記申告に係る消費税の中間納付還付税額81万,300円及び地方消費税の中間納
付還付譲渡割額24万6,600円の還付を受けた(別紙3ほ脱税額計算書,同4修正控除
対象仕入税額計算書参照(掲載省略))。
(事実認定の補足説明)
第1本件の主要な争点
被告会社が判示(別紙2及び別紙4(掲載省略))の架空業務委託費,架空販売
手数料,架空販売促進費及び架空広告宣伝費を計上したことについては争いがない
ところ,本件の主要な争点は,平成年8月期の有限会社Hに係る3,000万円の架空
広告宣伝費の計上に関して,被告人がほ脱の故意を有していたか否かである(その
他の架空業務委託費等を計上したことについて被告人が犯意を有していたことには
争いがない。)。
なお,D,有限会社I,株式会社Jに対する架空経費相当額の一部が被告人に還
流されたか否か等についても検察官と弁護人の主張は対立しているが,還流の有無
が納税義務者である被告会社やその代表者である被告人の刑事責任を特段左右する
ものとはいえないから,この点について判断する必要性は認められない。
第2弁護人の主張
弁護人は,被告会社の営業部長であったKの証言やCの証言は信用できず,Kと
Cが協力をすれば被告人に気付かれないままにHに対する支払いをすることが十分
可能であるなどと主張して,Hに対する架空広告宣伝費の計上について被告人にほ
脱の故意があったとすることには合理的な疑いが残ると主張する。
第3裁判所の判断
1振替伝票等について
⑴Hに対し,「(略)『24時間TV』美術セット」「企画制作・運営管理費」
名目で,3,0万円から振込手数料円を控除した3,149万9,47円を振り込む旨の
振替伝票(以下「本件振替伝票」という。)が存在しているところ,本件振替伝票の
「承認印」欄には,被告会社代表者である被告人名義の銀行印(以下「本件銀行印」
という。)による印影が顕出されている。本件銀行印が被告人しか暗証番号を知ら
ない金庫に保管されていたなどの本件銀行印の管理状況等に照らせば,上記印影は,
被告人が自ら本件銀行印を押印したことによって顕出されたと認められる。
そして,被告人が,被告会社の経営を実質的に一人で担っており,口座振込が必
要になった場合には,振替伝票に預金払出票,振込票及び請求書等の根拠資料が添
付されて被告人の決裁が仰がれていたこと,被告会社とHの間では本件振替伝票に
基づく取引が行われるまで取引を行ったことがなかったこと,本件振替伝票記
載の名目が,24時間テレビの美術セットなどという特殊なもので,その金額も3,000
万円と高額であったこと,被告人は,24時間テレビの舞台セットを実際に制作した
のはL塗装店のMであり,その金額は300万円程度であると認識していたこと等に照
らせば,遅くとも被告人が本件振替伝票に押印した時までには,Hに対する架空経
費計上を認識していたと認められる。
⑵これに対し,被告人は,本件振替伝票には記憶がないなどと述べ,弁護人は,
被告人が気付かないまま本件振替伝票等に押印していた可能性があるなどと主張す
る。しかしながら,前記⑴記載の各事情からすれば,被告人が本件振替伝票の内容
を確認せずに本件銀行印を押印したとは考え難いし,本件振替伝票及びこれに対応
する振込受付書等を見てもCが数字を付け足したり書きかえたりするなどの改ざん
をして被告人の決裁金額よりも過大な資金を移動させたような跡はうかがわれず,
平成年頃以降は被告会社の資金を横領した形跡のないCが本件振替伝票等だけ被
告人を欺いて被告人の認識と異なる内容のものを作成する動機も見当たらないこと
等からすれば,Cが被告人の認識と異なる内容の振替伝票及びその根拠資料を添付
するなどの方法を用いて,被告人に本件振替伝票に押印させたとは考え難い。以上
によれば,被告人が気付かないまま本件振替伝票等に押印していた可能性は乏しく,
弁護人の主張は採用できない。
2K証言について
⑴K証言の要旨
Kは,概要,“鏐霓佑,当初,3,000万円の%の割合でMにお金をもうけさせ
てあげたいという話をしていたこと,■佑ら断りの連絡があった後,Kが,被告
人に対し,Mから断られたことを伝えてHを使うことを提案し,被告人が了承した
こと,その後KがHのNに架空請求書を発行することを依頼したこと,J神年
8月日に,被告会社からHに振り込まれた約3,0万円のうち3,000万円をKが受
領した上で被告会社の事務所に持っていき,喫茶店において被告人に対して現金2,
400万円を手渡したと証言する。
⑵K証言の信用性
アK証言は,被告人が,遅くとも本件振替伝票に押印した時までには,Hに対
する架空経費計上を認識していたとの事実(前記1⑴参照)や,被告会社からH名
義の口座に約3,0万円が振り込まれた当日に3,000万円が出金されてKに渡った事
実とよく整合し,加えて,Mが24時間テレビの舞台セットの製作について高額での
受注を断念し,結局300万円で引き受けたとのM証言ともその限度で整合する上,そ
れ自体の内容にも特段不自然な点はない。したがって,前記⑴のK証言は信用でき,
被告人が,KからのHを用いた脱税の提案を了承し,平成年8月日に,被告会
社からHに振り込まれた約3,0万円のうち現金2,400万円をKから手渡されたとの
事実が認められる。
イこれに対し,弁護人は,Kの証言のうち被告人に2,400万円を渡した場所に
関する証言及び3,000万円の現金を二つに分けた経過に関する証言に変遷があるた
め,K証言は信用できないなどと主張する。しかしながら,K証言は,Kが平成
年8月日に被告人に2,400万円を渡したことについては一貫している。弁護人が主
張する証言の変遷は,瑣末な点の変遷にすぎず,これらの点に変遷があったからと
いって,Kが平成年8月日に被告人に2,400万円を渡したとする証言の根幹部分
の信用性が失われるとはいえない。この点についての弁護人の主張は採用できない。
また,弁護人は,平成年8月日には,多忙な大供養会が開催されている
ため,その合間を縫って喫茶店に赴くことは考え難いと主張するが,本件全証拠を
精査しても,被告人及びKが同日に喫茶店等で現金の授受をすることが不可能であ
ったといえるような事情はなく,多忙な大供養会が開催されていたことを前提とし
ても,被告人及びKが現金の授受をすることは十分可能であったというべきである。
弁護人の主張する事情は,前記⑴のK証言の信用性を失わせるほどの事情とはいえ
ない。
3結論
以上によれば,被告人は,平成年8月期のHに係る3,000万円の架空広告宣伝費
の計上に関して,ほ脱の故意を有していたものと認められる。
(法令の適用)
【被告会社】
罰条
判示第1の各所為
別表1の各番号ごとに,いずれも法人税法163条1項,平成26年法律第号附
則164条により同法による改正前の法人税法9条1項
判示第2の別表2番号1から3まで及びの各所為のうち
各消費税ほ脱の点
別表2の各番号ごとに,いずれも消費税法67条1項,64条1項1号
各地方消費税譲渡割ほ脱の点
別表2の各番号ごとに,いずれも地方税法72条の9第6項,1項1号
判示第2の別表2番号4の所為のうち
消費税ほ脱及び同不正受還付の点
包括して消費税法67条1項,64条1項(消費税ほ脱の点は同項1号に,消
費税不正受還付の点は同項2号に,それぞれ該当するが,両者は包括一罪
と解されるため,刑法条により,犯情の重い消費税ほ脱の罪の刑で処断)
地方消費税譲渡割ほ脱及び同不正受還付の点
包括して地方税法72条の9第6項,1項(地方消費税譲渡割ほ脱の点は同
項1号に,地方消費税譲渡割不正受還付の点は同項2号に,それぞれ該当
するが,両者は包括一罪と解されるため,刑法条により,犯情の重い地
方消費税譲渡割ほ脱の罪の刑で処断)
科刑上一罪の処理
判示第2の別表2各番号について
各番号ごとに,いずれも刑法4条1項前段,条(別表2の各番号の所為ご
とに1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,それぞれ1罪として,
いずれも犯情の重い消費税ほ脱の罪の刑で処断)
併合罪の処理刑法4条前段,48条2項(各罪所定の罰金の多額を合
計)
【被告人】
罰条
判示第1の各所為
別表1の各番号ごとに,いずれも刑法60条,平成26年法律第号附則164条に
より同法による改正前の法人税法9条1項
判示第2の別表2番号1から3まで及びの各所為のうち
各消費税ほ脱の点
別表2の各番号ごとに,いずれも刑法60条,消費税法67条1項,64条1項
1号
各地方消費税譲渡割ほ脱の点
別表2の各番号ごとに,いずれも刑法60条,地方税法72条の9第6項,1
項1号
判示第2の別表2番号4の所為のうち
消費税ほ脱及び同不正受還付の点
包括して刑法60条,消費税法67条1項,64条1項(消費税ほ脱の点は同項
1号に,消費税不正受還付の点は同項2号に,それぞれ該当するが,両者
は包括一罪と解されるため,刑法条により,犯情の重い消費税ほ脱の罪
の刑で処断)
地方消費税譲渡割ほ脱及び同不正受還付の点
包括して刑法60条,地方税法72条の9第6項,1項(地方消費税譲渡割ほ
脱の点は同項1号に,地方消費税譲渡割不正受還付の点は同項2号に,そ
れぞれ該当するが,両者は包括一罪と解されるため,刑法条により,犯
情の重い地方消費税譲渡割ほ脱の罪の刑で処断)
科刑上一罪の処理
判示第2の別表2各番号について
各番号ごとに,いずれも刑法4条1項前段,条(別表2の各番号の所為ご
とに1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,それぞれ1罪として,
いずれも犯情の重い消費税ほ脱の罪の刑で処断)
刑種の選択いずれも懲役刑及び罰金刑の併科
併合罪の処理刑法4条前段
懲役刑につき刑法47条本文,条(犯情の最も重い判示第1の別表
1番号3の罪の刑に法定の加重)
罰金刑につき刑法48条2項(各罪所定の罰金の多額を合計)
労役場留置刑法18条
刑の執行猶予刑法条1項(懲役刑につき)
【被告会社及び被告人】
訴訟費用の負担刑事訴訟法181条1項本文,182条
(量刑の理由)
年度分のほ脱税額は,法人税については合計約1億7,000万円と高額であり,消
費税及び地方消費税については合計約4,000万円(不正受還付に係る金額を含む。)
と少ない額ではない。法人税のほ脱率は年度分平均約77%と高率で,消費税及び
地方消費税のほ脱率(不正受還付に係る金額を含む。)も平均約8%と低くない。
また,本件脱税に係る所得等の秘匿工作は,実体のない会社の銀行口座に金を振り
込んで引き出すなど,資金移動の外観を作出するような巧妙な手法によるものが中
心であり,悪質である。
被告人の供述を踏まえて検討しても,動機等に酌量すべき事情は見当たらない。
なお,前記のとおり,架空経費相当額の被告人への還流の有無や金額は,被告会社
や被告人の刑事責任を特に軽減するような事情ではない。
弁護人は,本件ほ脱所得の大半を占めるDに対する架空業務委託費の計上につい
て,かつて被告会社の実権を握っていた被告人の元夫にその振込額が流れており,
その計上は被告人が元夫の要求に応じざるを得なかったためであるから,刑事責任
を被告人のみに問うのは酷であるなどと主張する。しかしながら,被告人が元夫の
要求に応じざるを得なかったとまでいえるような事情はうかがわれず,最終的には,
納税義務者である被告会社において名実共に経営者を務めていた被告人が,自らの
意思で本件脱税に及んでいるのであるから,元夫の存在が本件脱税に一定の影響を
与えたとしても,酌量すべき事情とはいえない。
また,弁護人は,Jに対する架空販売手数料については,同社を設立したKが被
告会社で実際に稼働していた期間の限度では全くの架空とは言い切れないなどと主
張する。しかしながら,Kは稼働していたことの対価として業務委託費を受領して
おり,販売手数料の中に稼働していたことの対価は含まれていないというべきであ
るから,弁護人の主張はその前提を欠く。
他方,被告人は,被告人個人の資産を用いるなどして被告会社につき本件各本税
を全額納付したことが認められる。また,当公判廷において,本件脱税を一部の犯
意を除いていずれも認めて反省の態度を示し,延滞税・加算税の支払いのために被
告会社の財産を換価する準備もしている。これらは被告人及び被告会社にとって有
利に考慮すべき事情である。
以上の事情に加え,被告会社の現状等も踏まえて,被告会社の罰金刑を主文のと
おりとするほか,被告人にも懲役刑に併せて相応の罰金刑を科し,被告人の懲役刑
についてはその執行を猶予するのが相当と判断した。
(求刑被告会社につき罰金2,000万円,被告人につき懲役2年6月及び罰金4,300
万円)
平成31年3月18日
大阪地方裁判所第12刑事部
裁判長裁判官 増田啓祐
裁判官 棚村治邦
裁判官 水谷翔

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