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渋谷暴動事件 大坂被告かくまった男に実刑判決 大阪地裁

 1971年に警察官が襲われて死亡した渋谷暴動事件を巡り、指名手配されていた中核派活動家、大坂正明被告(68)=殺人罪などで起訴=をかくまったとして、犯人蔵匿罪に問われた同派活動家、鈴木哲也被告(53)に対し、大阪地裁(伊藤寿裁判長)は27日、懲役1年8月(求刑・懲役2年)の実刑判決を言い渡した。
 弁護側は「大坂被告とは認識していなかった」などとして無罪を主張していた。伊藤裁判長は、鈴木被告の部屋から中核派の機関誌が見つかったことなどから「大坂被告の逮捕を免れる目的でかくまった」と指摘した。
 判決によると、鈴木被告は昨年2〜5月、広島市安佐南区のマンションに大坂被告をかくまった。
 大坂被告については、東京地裁で公判前整理手続きが行われている。【遠藤浩二】
(2018年4月27日 19時20分(最終更新 4月27日 19時20分) 毎日新聞)

中核派活動家に実刑 大坂被告かくまった罪、大阪地裁

 1971年の渋谷暴動事件で、過激派「中核派」の活動家、大坂正明被告(68)=殺人などの罪で起訴=をかくまったとして犯人蔵匿罪に問われた中核派活動家、鈴木哲也被告(53)に大阪地裁(伊藤寿裁判長)は27日、懲役1年8月(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。
 判決理由で伊藤裁判長は、DNA型鑑定の結果などから、かくまった相手が大坂被告と認定した上で、鈴木被告について「長期逃亡中と知りつつ同居した。資金援助も受け、組織的犯行の実行犯だ」と判断した。
 マンションの人の出入りを撮影した警察の証拠について、鈴木被告側が違法収集だとして無罪を訴えた点も「撮ったのは周囲の建物からも見える部分で適法」と退けた。
 判決によると、昨年2〜5月、広島市安佐南区のマンションに大坂被告をかくまった。
 渋谷暴動は71年11月、東京・渋谷で発生。米軍駐留を認めた沖縄返還協定を巡り、学生らが暴徒化し、デモの警備に当たっていた新潟県警の巡査(当時21)が火炎瓶などで襲われ死亡した。大坂被告は昨年6月、殺人などの罪で起訴された。〔共同〕
(2018/4/27 18:25 日経新聞)

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平成29(わ)2348  犯人蔵匿被告事件
主文
被告人を懲役1年8月に処する。
未決勾留日数中220日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,氏名不詳者らと共謀の上,Xが殺人事件等の罪を犯した犯人として逮
捕状が発せられ,逃走中の者であることを知りながら,その逮捕を免れさせる目的
で,平成29年2月26日頃から同年5月18日までの間,広島市h区iのj丁目
k番l−m号NビルM号室に前記Xを居住させるなどし,もって犯人を蔵匿したも
のである。
(証拠の標目)
省略。括弧内は,検察官請求証拠番号を示す。
(証拠能力についての補足説明)
1関連性について
弁護人は,検察官が証拠として請求した各写真(甲2ないし59,69ないし
71,75及び78)に加え,判示のNビルM号室(以下「M号室」という。)
を捜索場所とした捜索差押調書(甲64[抄本]),M号室内で発見された通帳
の写し(甲67)及び各封筒の写し(甲79ないし81)について,本件とは関
連性がないと主張する。しかしながら,事実認定の補足説明において摘示すると
おり,当裁判所は,いずれの証拠についても関連性があると判断した。
2違法収集証拠の主張について
(1)甲2号証ないし甲59号証について
弁護人は,M号室に出入りする人物を撮影した写真(甲2ないし59)につ
いて,その撮影は被撮影者のプライバシーを侵害するものであるから,本来は
令状を必要とするというべきであり,令状なしで撮影された前記写真は違法収
集証拠として証拠能力が否定される旨主張するので,この点について検討す
る。なお,前記写真は,M号室前の廊下をビデオ撮影していたものを,静止画
として切り出したものであるから,以下,当該ビデオ撮影(以下「本件ビデオ
撮影」という。)の適法性について検討する。
関係証拠によれば,以下の事実が認められる。すなわち,捜査機関は,○○
委員会(通称「●●派」。以下「●●派」という。)の活動家として把握して
いた被告人について,兵庫県内のホテルに虚偽の住所と氏名で宿泊したという
旅館業法違反の事実を認知した。そこで,捜査機関は,前記旅館業法違反の事
実の捜査として,被告人の住所について捜査した結果,被告人がM号室に居住
しているのではないかとの疑いを抱くに至った。捜査機関は,被告人がM号室
に居住しているか否かを確認する目的で,平成29年2月14日から,同室へ
の出入りを目視で確認することとした。そうしたところ,同月18日には被告
人が,同月19日には氏名不詳の男が,それぞれM号室に出入りするのを確認
したため,引き続き被告人が同室に居住しているか否かを確認する目的で,同
月26日からは,同室への出入り状況をビデオ撮影して記録に残すこととし,
当該撮影は,同年5月18日まで続けられた。その撮影態様は,捜査機関が,
M号室の玄関ドア付近を見通せる場所にあるマンションの一室を賃借し,望遠
のビデオカメラ2台を同所に設置して,24時間態勢で,M号室の玄関ドアや
その付近の共用廊下を撮影したというものである。
以上の事実関係によれば,本件において撮影対象とされたのは,M号室の内
部ではなく,その出入口である玄関ドア及びその付近の共用廊下にとどまって
おり,かつ,これらの場所は,前記Nビルの周辺の建物から視認され得る状況
にある。そうすると,本件において撮影対象となった場所は,通常,人が他人
から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所といえ,プライ
バシーの保護の合理的期待が高い場所であるとはいえない。したがって,本件
ビデオ撮影は,被撮影者のプライバシーを大きく制約するものとはいえないか
ら,本件ビデオ撮影は強制処分には当たらない。
更に進んで,本件ビデオ撮影が任意捜査として適法といえるかについて検討
する。捜査機関においては,被告人が虚偽の住所と氏名でビジネスホテルに宿
泊した前記旅館業法違反の捜査の一環として,被告人のM号室における居住の
有無及びその実態を明らかにする必要があったと認められる。そして,同室に
は被告人のほかに氏名不詳の男も出入りしていたところ,両名による同室の使
用頻度,状況等を明らかにして被告人の居住実態を確認するためには,相当期
間継続して同室の出入り状況を把握する必要があったといえる。そして,その
撮影態様は,前記のとおり必ずしもプライバシーの保護の合理的期待が高いと
はいえないM号室の玄関付近を撮影したにとどまる上,その撮影期間も3か月
に満たず,前記捜査の目的及び必要性に照らし,不相当に長いとはいえない。
以上によれば,本件ビデオ撮影は,前記捜査目的を達成するため,必要な範囲
において,相当な方法によって行われたものといえ,任意捜査としても適法で
ある。
よって,本件ビデオ撮影は適法であり,弁護人の前記主張は理由がない。
(2)甲69ないし71,75及び78について
弁護人は,銀行の現金自動預払機に設置された防犯カメラにより撮影された
映像を切り出した写真(甲69ないし71)及び店舗内に設置された防犯カメ
ラにより撮影された映像を切り出した写真(甲75及び78)について,いず
れも被撮影者のプライバシーを侵害するものであり,その押収について本来は
令状を必要とするというべきであるのに,令状なしで任意提出されたものであ
るから違法収集証拠である旨主張する。そこで,以下,この点について検討す
る。
近時,防犯や犯罪発生時の証拠保全等の目的から,金融機関の現金自動預払
機や小売店の店舗内に防犯カメラが設置されているところ,その必要性は明ら
かである上,このような防犯カメラが設置されていることは,その利用者にと
っても公知の事実であって,これを受忍しているといえるから,本件において,
前記防犯カメラの設置,撮影に違法な点はない。そして,捜査機関は,本件の
捜査遂行上の必要から,前記各防犯カメラの画像の任意提出を受けたものであ
り,これ自体に何ら違法な点はない。よって,弁護人の前記主張は理由がない。
(事実認定の補足説明)
第1争点等
弁護人は,M号室に被告人以外の者が居住していたことは立証されておらず,
仮に同室に被告人以外の者が居住していたとしても,被告人が,その者が,逮捕
状が発せられ逃走中の者であるXであることを認識していたことは立証されてい
ないのであるから,被告人には犯人蔵匿の故意がなく,無罪である旨主張する。
しかしながら,当裁判所は,被告人において犯人蔵匿の故意を有し,判示認定
のとおり,犯人蔵匿罪が成立すると判断したので,その理由を補足して説明する。
第2前提となる事実(以下,特に断らない限り,日付は平成29年のそれを示す。
必要に応じて証人の公判供述を示す際には,速記録における丁数を用いる。)
1関係者
(1)被告人について
被告人は,以前,●●派のいわゆる非公然アジトとされる場所にいたとし
て検挙された者であり(a証人2丁),被告人の住民登録は,東京都n区内に
ある●●派の拠点とされる住所でなされている(b証人18丁)。また,後記
のとおり,M号室における被告人の居室からは,●●派の機関紙である「▲
▲」及び●●派と関係がある団体の新聞である「△△新聞」が多数押収され,
被告人は,当公判廷においても,これらの機関紙等の記載内容に沿う供述を
している。
(2)Xについて
Xは,昭和46年(1971年)11月14日に実行された凶器準備集合,
公務執行妨害,傷害,現住建造物等放火及び殺人の被疑事実(以下「渋谷暴
動事件」という。)により,遅くとも昭和58年5月12日には逮捕状が発付
され,昭和59年10月31日には公開指名手配となり,氏名や顔写真等が
掲載されたポスターが貼られるようになった。また,判示の平成29年2月
26日頃から同年5月18日までの間(以下「本件期間」という。)におい
ても,前記被疑事実に係る有効な逮捕状が発せられている状態であり,Xに
は懸賞金もかけられていた(甲84,85,a証人39,40丁)。
(3)氏名不詳の男(A)について
ア捜査機関は,平成29年5月18日,M号室内において,有印私文書偽
造・同行使,旅館業法違反の被疑事実により,被告人を逮捕するとともに
(甲60),同被疑事実に関してM号室の捜索差押えを実施した。その際,
氏名不詳の男(以下「A」という。)が同室内におり,同人は,浴室におい
て,水溶紙と思料される紙片等を浴槽に投棄していた。警察官がこれを制
止しようとしたところ,Aは,同警察官に体当たりする等の暴行を加えた
ことから,公務執行妨害により現行犯人逮捕された(甲61)。
イその後,捜査機関は,Aの人定を明らかにするため,AのDNA型(S
TR型及びアメロゲニン型)と,Xの母親であるOのDNA型(STR型
及びアメロゲニン型)とを鑑定した。その結果は,両者のDNA型のST
R型15座位全てにおいて,少なくとも一方のDNA型を共有しており,
AとOとの間に,生物学的な親子関係が存在するとしても矛盾しないとい
うものであった(甲92,98,c証人8丁)。
さらに,捜査機関は,母系遺伝,すなわち,母親からその子どもに遺伝
するミトコンドリアDNAの性質を利用して,AのミトコンドリアDNA
型と前記OのミトコンドリアDNA型を,また,AのミトコンドリアDN
A型とXの姉に当たるPのミトコンドリアDNA型を,それぞれ比較・鑑
定した。その結果は,それぞれ塩基配列の同じ箇所に変異が認められ,A
とOとの間,及び,AとPとの間に,それぞれ母系の関係性があるとして
矛盾しないというものであった(甲99,101,d証人9丁)。
また,捜査機関は,父系遺伝,すなわち,父親からその男性の子どもに
引き継がれるY染色体STR型の性質を利用して,Xの父親の兄弟の孫に
当たるQ(f証人1丁)及びXの父親の弟の息子に当たるR(g証人2丁)
の各DNA型(Y染色体STR型)とAのDNA型(Y染色体STR型)
とを比較・鑑定した。その結果は,Y染色体STR型16部位のうち,D
YS389儀慎擇咤庁截咤械牽広況燭鮟く14部位が全て一致し,Aと
Rとの間,及び,AとQとの間に,それぞれ生物学的な親族関係が存在す
る可能性が否定されないというものであった(甲106,110,c証人
4ないし6丁)。
2M号室について
(1)M号室の管理,使用状況
アM号室は,島根県内に住所を有する「Y」名義で賃借され,同人名義の
水道,電気,ガス等の各契約が締結されており,その家賃や水道光熱費は,
S銀行のY名義の口座(以下「Y口座」という。)から引き落とされていた。
しかしながら,前記Yが本件期間中にM号室に居住していたことはない。
また,同所に住民登録している者は存在しない(甲63,67,a証人3,
40ないし41丁)。
イ捜査機関は,本件期間中,M号室に出入りする人物の入退室状況を24
時間態勢で視察していたところ,その間,同室に出入りしたのは,被告人
とAの2人のみであった。また,本件期間中,被告人が連日ないし1日お
きに短時間の外出を繰り返していたのに対し,Aが外出したのは11回の
みで,それぞれ短時間の外出であった(甲2ないし59,a証人8ないし
37丁)。
ウ被告人は,平成29年4月19日,S銀行T支店の現金自動預払機から
Y口座に27万円を入金している(甲39,67,71,a証人42ない
し43丁。なお,甲69及び70も,Y口座の利用者を特定するための証
拠であり,本件との関連性が認められることは明らかである。)。
(2)M号室内の状況
アM号室内には6畳洋室(以下単に「6畳洋室」という。)と6畳和室(以
下単に「6畳和室」という。)があり,捜査機関による同室の検証時,6畳
洋室には布団が1組敷かれており,6畳和室の押入には布団が片付けられ
ていた(甲64)。同室内には,テレビや冷蔵庫など,一通りの生活用品が
揃えられていた。
イ6畳和室からは,「n区oのp丁目q番r号U(被告人の氏名)」宛て
に送付された平成29年度国保健診無料受診券や,「u(被告人の氏)」と
刻した印鑑が発見された(甲64押収目録番号48,b証人11,12丁)。
また,同室からは,●●派の機関紙である「▲▲」(甲86,b証人10,
11丁)及び●●派と関係がある団体の新聞である「△△新聞」(b証人1
1丁)が多数押収されている。同新聞の記載(2016年11月7日第2
0号参照)と被告人の公判供述に照らせば,「△△新聞」の△△とは,渋谷
暴動事件に関与したとして無期懲役判決を受けたZ氏のことを指すものと
解される。また,同新聞(2016年11月21日第21号)には,「Zさ
んと共に決起し指名手配と闘っているXさんに,警視庁が300万円の懸
賞金をかけた」との記載がある。さらに,「▲▲」第2823号には,Z氏
に関する1面にわたる記事があり,その中で,「X同志に対する300万円
の賞金付き指名手配」との記載がある。なお,発見された「▲▲」には,
多数の箇所に線が引かれている。
さらに,6畳和室において,Y口座に係る総合口座通帳のほか,現金約
46万円(e証人5丁),「FOODS」等と記載された封筒(甲79),「水
光熱」等と記載された封筒(甲80)及び「備品」等と記載された封筒(甲
81)が発見された(甲64,b証人7丁)。
ウ6畳洋室からも,6畳和室に置かれていたのと同じ前記「▲▲」(甲86,
b証人10,11丁)や前記「△△新聞」(b証人11丁)が多数押収され
たほか,現金約72万円が押収された(甲64)。なお,発見された「▲▲」
には,多数の箇所に線が引かれている。また,Aは,現行犯人逮捕されて
M号室を退出する際,6畳洋室に掛けてあったジャンパーを取り,それを
着て出て行った(e証人6丁)。
第3当裁判所の判断
1はじめに
弁護人の前記第1の主張に照らせば,本件の主要な争点は,“鏐霓佑Aを
M号室に居住させていたといえるか,■舛Xであるといえるか,H鏐霓佑,
Xについて,殺人事件等の罪を犯した犯人として逮捕状が発せられ,逃走中の
者であることを認識していたといえるか,と鏐霓佑砲いて,AがXであると
認識していたといえるかの点にある。以下,これらの点について検討する。
2“鏐霓佑AをM号室に居住させていたといえるか
前記認定したM号室内の状況や,本件期間中に同室に出入りしたのは被告人
及びAの2人のみであり,前記捜索差押え時に同室内にいたのも被告人及びA
の2人のみであることなどからすれば,本件期間中,被告人及びAが,M号室
に居住していたことは明らかである。そして,6畳和室及び6畳洋室にはそれ
ぞれ布団やパソコン,テレビ等が置かれていたところ,6畳和室には被告人の
国保健診無料受診券や「u(被告人の氏)」と刻した印鑑があったこと,6畳洋
室にはAのジャンパーが掛けられていたことからすれば,6畳和室を被告人が,
6畳洋室をAが,それぞれ使用していたと認められる。
そして,Aがほとんど外出しないのに対し,被告人は,連日ないし1日おき
に外出し,食料品の購入を行ったり,M号室の家賃や水道光熱費が引き落とさ
れるY口座に入金をしたりしていること,被告人の使用する6畳和室から,「水
光熱」,「FOODS」,「備品」等と書かれ,それぞれ数字が記載された封筒が
発見されていることなどからすれば,専ら被告人がM号室の維持管理を担って
いると認められる。そうすると,そのような立場にある被告人が,AをM号室
に居住させていたものと認められる。
3■舛Xであるといえるか
前記DNA型鑑定の結果によれば,AがXであると考えて矛盾はしない。こ
れに加えて,Aが,●●派の人物である被告人と同居し,かつ,前記「△△新
聞」や「▲▲」を,これに線を引くなどして熱心に読んでいることなどに照ら
し,Aも●●派又はこれに近い思想を持つ人物であること,Aは,前記捜索差
押えの際,水溶紙と思料される紙片等を浴槽に投棄し,これを制止しようとし
た警察官に対し妨害行為に出て,罪証隠滅工作をしていることも考慮すると,
Aは,渋谷暴動事件で逮捕状が発付され,指名手配されているXであると認め
られる。
4H鏐霓佑,Xについて,殺人事件等の罪を犯した犯人として逮捕状が発せ
られ,逃走中の者であることを認識していたといえるか
前記第2の1(1)で認定した事実に照らせば,被告人は●●派の活動家であ
ると認められる。そして,Xは,●●派の活動家として渋谷暴動事件に関与し
たとされ,指名手配中の人物であるところ,被告人は,前記「△△新聞」や「▲
▲」を定期的に読んでおり,Z氏が関与したとされる渋谷暴動事件についても
相応の知識を有していると認められる。さらに,前記認定のとおり,被告人が
使用していた6畳和室から発見された「△△新聞」及び「▲▲」には,Z氏の
記載と共にXが指名手配されている旨の記載があることも併せ鑑みれば,被告
人は,Xが,渋谷暴動事件に関与し,殺人事件等の罪を犯した犯人として逮捕
状が発せられ,逃走中の者であることを認識していたと認められる。
5と鏐霓佑砲いて,AがXであると認識していたといえるか
前記認定のとおり,被告人は,東京都内に住民登録しているにもかかわらず,
他人名義で賃借された広島市内のM号室に,少なくとも約82日間(本件期間)
の長期間にわたり,他人であるAと同居していたものである。その上,前記の
とおり,AはほとんどM号室から出ることはない一方で,専ら被告人がM号室
の維持管理を担い,Aとの共同生活を維持していたことが認められる。
さらに,M号室における生活資金の原資についてみると,被告人及びAが就
労により収入を得ていた形跡はうかがわれない。また,M号室からはY口座に
係る前記通帳以外の預金通帳等は発見されておらず,被告人又はAがそれぞれ
の預貯金等により生活資金を拠出していた形跡もうかがわれない。そうである
にもかかわらず,M号室には多額の現金があった上,およそ2か月に1回の頻
度で,18万円ないし27万円がY口座に入金され,光熱費等の支払も滞りな
くなされているのである。このような事情に加え,被告人及びA(X)がいず
れも●●派の活動家であることも併せ鑑みれば,被告人及びAは,第三者から,
M号室における生活資金の提供を受けていたと認められる。
このように,被告人は,M号室において極めて特異な生活を送っていたとい
えるところ,前記諸事情に照らせば,被告人は,このような形でAと同居生活
を送る理由ないし必要性やAの素性について認識していたとみるのが自然で
あり,被告人が,これらの点について全く認識していなかったとみるのは不自
然というほかない。よって,被告人は,AがXであると認識していたと認めら
れる。
6まとめ
以上検討したところによれば,被告人において,AがXであって,同人が殺
人事件等の罪を犯した犯人として逮捕状が発せられ,逃走中の者であることを
認識していたと認められる。以上の認識に加え,前記認定したM号室における
生活状況も考慮すると被告人は,Xが逮捕されるのを免れさせる目的で同人を
M号室に匿っていたものと認められる。そして,Y名義で賃借されたM号室を
被告人及びXの利用に供することを許可した人物や,M号室における生活資金
を援助していた人物の存在がうかがわれることからすると,本件犯人蔵匿の犯
行は,被告人が,氏名不詳者らと共謀の上,実行したものと認められる。
以上によれば,判示認定のとおり,被告人には犯人蔵匿罪が成立する。
(法令の適用)
罰条刑法60条,103条
刑種の選択懲役刑を選択
未決勾留日数の算入刑法21条
訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
本件は,●●派の活動家である被告人が,氏名不詳者らと共謀の上,同じく●●
派の活動家であり,殺人等の被疑事実で逮捕状が発付されていたXを,マンション
の一室に住まわせて匿ったという犯人蔵匿の事案である。
まず,犯情について検討する。被告人は,殺人等の疑いがかけられているXが事
件発生から約45年以上の長期にわたって逃亡し続けていることを認識しながら,
2か月半余りもの長期間,同人を前記マンションの一室に匿ったものである。被告
人及びXは,他人名義で賃借されたマンションの一室で同居し,第三者から資金援
助を受けながら生活していたところ,本件犯行が組織的な犯行であることは明らか
であり,被告人は,その実行犯として重要な役割を果たしたといえる。以上によれ
ば,本件犯行により,刑事司法作用の適正な運営が大きく妨げられたものといえ,
被告人よりも上位の共犯者が存在することを考慮に入れても,犯情は悪質であり,
被告人の刑事責任は重い。
一般情状をみても,被告人は,自己の主義主張について述べて,犯行を正当化す
る態度を示しており,規範意識は乏しい。そうすると,被告人に前科がないことな
ど,被告人のために酌むべき一般情状を考慮しても,相当期間の実刑は免れず,被
告人を主文の実刑に処するのが相当と判断した。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑懲役2年)
平成30年5月1日
大阪地方裁判所第2刑事部
裁判長裁判官 伊藤寿
裁判官 三宅由子
裁判官荒金慎哉は転任のため,署名押印することができない。
裁判長裁判官 伊藤寿

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