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<大阪高裁>ハンセン病遺族の賠償請求棄却 除斥期間理由に

 ハンセン病患者に対する強制隔離政策で人権を侵害されたとして、男性患者(73歳で死亡)の孫ら4人が、国に計約3000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は13日、訴えを退けた1審・神戸地裁判決を支持し、遺族側の控訴を棄却した。藤下健裁判長は、損害賠償請求権が消滅する民法の「除斥(じょせき)期間」(20年)が過ぎていると判断した。
 判決によると、岡山県瀬戸内市の国立療養所「邑久(おく)光明園」に入所していた男性は1979年に死亡。遺族が2016年3月に提訴した。
 遺族側は、隔離政策の根拠となった「らい予防法」が廃止された96年3月まで人権侵害は継続し、除斥期間の起算点は同年4月以降だと訴えていた。
 藤下裁判長は「死者への不法行為が死亡後も継続するとは認められない」とした1審判決を支持し、起算点は男性が死亡した79年と判断した。
 孫の男性(53)は「情報や知識がなかった我々には、死後20年以内に提訴するのは無理だった。残念な判決だ」と話した。
 ハンセン病を巡っては、01年5月に熊本地裁判決が強制隔離政策を違憲と判断し、国に賠償を命令。国は02年までに元患者や遺族が提訴した場合、和解一時金を支払うことで、元患者側と合意している。【遠藤浩二】
(11/13(火) 21:52 毎日新聞)

ハンセン病国賠訴訟、元患者遺族2審も敗訴 大阪高裁

 らい予防法(平成8年廃止)に基づく強制隔離政策によって人権を侵害されたとして、約40年前に死亡したハンセン病の元患者の男性の遺族らが国に計2970万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が13日、大阪高裁であった。藤下健裁判長は請求を棄却した1審神戸地裁判決を支持し、原告の控訴を棄却した。
 藤下裁判長は判決理由で、1審と同様、提訴時点で男性の死亡から20年がたち、不法行為の損害賠償請求権が消滅する「除斥(じょせき)期間」の20年が過ぎていたと判断。原告らは男性が死亡したことを知っており、平成10年には元患者や遺族が同様の訴訟を起こしていたなどとして「男性の死亡後から20年以内(平成11年3月28日まで)に訴えを起こすことが不可能だったとはいえない」とした。
 男性は昭和23年に国立療養所邑久(おく)光明園(岡山県瀬戸内市)に入所。昭和54年に73歳で死亡するまで、家族と離れて過ごした。原告は男性の孫(53)=兵庫県在住=ら計4人で、28年に提訴していた。
(11/13(火) 18:22 産経新聞)

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平成30(ネ)1473  違憲国家賠償請求控訴事件
主文
1本件各控訴をいずれも棄却する。
2控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人は,控訴人Aに対し,990万円及びこれに対する昭和28年8月
15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3被控訴人は,控訴人Bに対し,660万円及びこれに対する昭和28年8月
15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4被控訴人は,控訴人Cに対し,660万円及びこれに対する昭和28年8月
15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5被控訴人は,控訴人Dに対し,660万円及びこれに対する昭和28年8月
15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1本件は,Eの相続人である控訴人らが,Eの父であるFは,らい予防法(昭
和28年法律第214号)等に基づく被控訴人の誤った強制隔離政策によって
人権侵害を受け,これによる損害賠償請求権をFの唯一の相続人であるEが承
継し,さらに控訴人らが承継した旨主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1
条1項に基づき,それぞれ損害賠償金(控訴人Aにつき990万円,その余の
控訴人らにつき各660万円)及びこれに対する昭和28年8月15日(らい
予防法の施行日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金
の支払を求めた事案である。
2原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したので,これを不服として,控訴
人らが本件各控訴を提起した。
3前提事実,争点及びそれに関する当事者の主張は,次のとおり補正し,後記
4に当審における控訴人らの補充主張を加えるほかは,原判決の「事実及び理
由」中「第2事案の概要」の2及び3に記載のとおりであるから,これを引用
する。
原判決3頁7行目の「同人は,」の次に「妻であるGとの間にH及びEをも
うけたが(この両名以外にも「I」をもうけたか否かについては争いがある。),」
を加え,8行目の「a」を「b」に改め,9行目の「甲12」の次に「,14,
弁論の全趣旨」を加える。
原判決7頁6行目の「同人の妻」の次に「であるG及び2人の子のうちの
1人であるH(「I」と同一人物である。)」をそれぞれ加え,7行目の「唯
一の子であった」を削り,9行目冒頭から8頁10行目末尾までを「イ仮に
Fの死亡以前にHが死亡していなかったとしても,EがFの有していた債権
の2分の1を相続したことは明らかである。」に改める。
原判決8頁12行目冒頭から10頁2行目末尾までを「Eには,H以外
にもIという名前の姉がいる可能性があり,HとIを同一人物であると断定
することはできない。そして,HないしIがFの死亡以前に死亡していたこと
を示す的確な証拠はないから,EがFの唯一の相続人であるということはで
きない。」に改める。
4当審における控訴人の補充主張
死者に対する名誉権の侵害は観念できるから,強制隔離政策の根拠となっ
た「らい予防法」が廃止された平成8年3月末日まではFの名誉権に対する侵
害が継続していたというべきである。また,被害者死亡後もいわば国家のお墨
付きの下での差別や偏見が継続していたという本件のような事案において,
除斥期間の起算点を形式的に解すると,明らかに不当な結果を招くことにな
る。したがって,本件における除斥期間の起算点は平成8年4月1日と解すべ
きであり,本件訴えが提起された平成28年3月31日の時点では,いまだ除
斥期間は経過していないものというべきである。
仮に本件における除斥期間の起算点が昭和54年3月28日(Fが死亡し
た日)であったとしても,最高裁平成10年判決及び最高裁平成21年判決に
よれば,加害者が除斥期間の経過前後において一貫して自身の賠償義務を任
意に承認しており,他方で,加害者による加害行為の不当性が高く被害者の受
けた被害が甚大で救済の必要性が高いなどの特段の事情があるときは,少な
くとも加害者が自ら賠償義務を負うと表明している期間までについては,民
法724条後段の効果は生じないものと解すべきところ,被控訴人が平成1
1年3月28日の前後に自身の損害賠償義務を任意に承認していたこと,被
控訴人による加害行為の不当性が大きく被害者の受けた被害が甚大で救済の
必要性が高いこと,被控訴人は自ら被害者らに対して平成28年3月31日
までの提訴を促していたことに照らせば,本件(同日に本件訴え提起)ににつ
いては,除斥期間の適用が制限されるべきである。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断する。
その理由は,当審における控訴人の補充主張に対する判断を後記2のとおり
加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3
次に「ら」を,14行目の「原告ら」の次に「又はE」をそれぞれ加える。),
これを引用する。
2当審における控訴人らの補充主張に対する判断
控訴人らは,らい予防法が廃止された平成8年3月末日まではFの名誉権
に対する侵害が継続していたというべきことや,被害者死亡後もいわば国家
のお墨付きの下での差別や偏見が継続していたという本件のような事案にお
いて除斥期間の起算点を形式的に解すると,明らかに不当な結果を招くこと
になることに照らすと,本件における除斥期間の起算点は同年4月1日と解
しかしながら,Fの死後である昭和54年3月28日以降については,Fに
対する不法行為を観念することができず,遅くとも同日が「不法行為の時」
(民法724条後段)として除斥期間の起算点となることは,前記引用に係る
原判決の「第3
も,控訴人らの請求は,Fが被控訴人に対して有していた不法行為債権を,F
の死亡によってEが相続したことを前提とするものであり,Fの死亡後にお
ける名誉権侵害をいう控訴人らの主張は,これと矛盾するものというほかな
い(Fが死亡時に有していなかった債権をEが相続により取得する余地はな
い。)。
したがって,控訴人らの前記主張は,採用することができない。
控訴人らは,本件における除斥期間の起算点が昭和54年3月28日で
あったとしても,最高裁平成10年判決及び最高裁平成21年判決によれば,
加害者が除斥期間の経過前後に一貫して自身の賠償義務を任意に承認してお
り,他方で,加害者による加害行為の不当性が高く,被害者の受けた被害が甚
大で救済の必要性が高いなどの特段の事情があるときは,少なくとも加害者
が自ら賠償義務を負うと表明している期間までについては,民法724条後
段の効果は生じないものと解すべきところ,本件においては,上記特段の事情
が認められるから,除斥期間の適用は制限されるべきである旨主張する(前記
しかしながら,最高裁平成10年判決は,不法行為の被害者が不法行為の時
から20年を経過する前6箇月内において上記不法行為を原因として心神喪
失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合において,その後当該被
害者が禁治産宣告を受け,後見人に就職した者がその時から6箇月内に上記
損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは,民法158条の法
意に照らし,同法724条後段の効果は生じないものと解するのが相当であ
るとしたものであり,最高裁平成21年判決は,被害者を殺害した加害者が,
被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出
し,そのために相続人はその事実を知ることができず,相続人が確定しないま
ま上記殺害の時から20年が経過した場合において,その後相続人が確定し
た時から6箇月内に相続人が上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求
権を行使したなど特段の事情があるときは,民法160条の法意に照らし,同
法724条後段の効果は生じないものと解するのが相当であるとしたもので
あって,いずれも,被害者等による権利行使が客観的に不可能な場合であり,
かつ,それが加害者の行為に起因していたという事情があるときに,民法15
8条又は同法160条の法意に照らし,同法724条後段の効果が生じない
旨判示したものである。ところが,本件においては,前記引用に係る原判決の
「第3Eが,F
のハンセン病によるbへの収容の事実やFの死亡の事実を知らなかったなど
の事実は認められず,また,熊本地裁平成13年判決の原告らが平成10年な
いし平成11年に当該訴訟を提起することができた以上,Fの死亡後から2
0年以内(平成11年3月28日まで)に本件訴えを提起することが客観的に
不可能であったということはできない。本件は最高裁平成10年判決及び最
高裁平成21年判決とは事案を異にするものであり,控訴人らの主張する事
情をもって,民法724条後段の効果が生じないものと解すべき特段の事情
とみることはできないというべきである。
したがって,控訴人らの上記主張は,採用することができない。
第4結論
以上によれば,控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり,
これと同旨の原判決は相当である。
よって,本件各控訴はいずれも理由がないから棄却することとして,主文の
とおり判決する。
大阪高等裁判所第5民事部
裁判長裁判官 藤下健
   裁判官 黒野功久
   裁判官 木太伸広

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