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市役所で無断撮影禁止 住民、職員に「仕事しろ」 千葉地裁判決

 千葉県船橋市役所で規則に反して動画を撮影し、職員を侮辱する発言を繰り返した市内の男性に、千葉地裁(高瀬順久(よしひさ)裁判長)が市の許可なく撮影することを禁じる判決を言い渡した。市の代理人を務めた弁護士によると、住民による過剰な動画撮影を禁止した判決は初めてとみられ「対応に苦慮する自治体が断固たる姿勢を取る根拠になる」と評価している。毎日新聞が動画投稿サイトを調べたところ、この男性によるもの以外に少なくとも7自治体の無断撮影動画がアップされるなど同様の問題が起きている。
 判決は6月に言い渡され、男性側が控訴せず確定した。判決などによると、男性は2016年4月〜18年12月、「市職員の不正を監視する」などとして職員や来庁者を撮影し、動画投稿サイト「ユーチューブ」に少なくとも65本投稿するなどしていた。制止する職員には「暇なやつらだ、仕事しろ」「ばかな職員」などと暴言を吐いていた。
 市は16年8月に市庁舎管理規約を改正し、無許可での撮影を禁止した。しかし男性は撮影をやめず、市は19年1月に「平穏に業務を遂行する権利を侵害している」として、庁舎内での撮影禁止を求めて提訴した。
 男性は裁判で「知る権利の行使である」と主張したが、判決は「知る権利といえども無制限ではない」とした上で、男性の撮影した映像は「権利行使として認められる限度を超えている」として市側の主張を認めた。
 毎日新聞がユーチューブで、自治体の庁舎内で無許可撮影したとみられる動画を確認し、各自治体に取材したところ、船橋市以外に七つの自治体で同様のケースがあることが分かった。
 近畿地方のある自治体では19〜20年、男性が庁舎内で職員に「仕事してんのか」「研修受け直せ」などと言いながら撮影した動画が複数投稿されていた。自治体の担当者によると、弁護士と撮影を規制する方法を検討したが、庁舎内で動画撮影を禁じた判例がなかったことから、対応を断念していたという。
 近畿地方の別の自治体では、関係者専用区域で職員らを無断で撮影し、その様子を複数投稿する男性が現れた。自治体は動画を見た住民から「専用区域で撮影していいのか」という問い合わせを受け、男性に動画の削除を依頼したが、拒否されたという。
 無断撮影の動画を確認した他の自治体にも取材したが、どの自治体も撮影行為がエスカレートすることを恐れ、匿名で応じた。
 市の代理人を務めた横山雅文弁護士は「従来は行政に対する苦情や要求は、暴力行為などを伴って金品を要求する暴力団などの反社会勢力によるいわゆる行政対象暴力が主流だった。ただ、ここ10年ほどは、一般市民による不当要求行為が目立ち始めている」と話す。
 警察庁などが19年、全国の自治体や行政機関を対象に実施したアンケート(回答数7226)によると、309機関・部門が過去1年間に不当要求を受けていた。このうち相手を暴力団や暴力団関係者と答えた割合は11・3%だったが、一般市民と答えた割合は67・3%に上った(複数回答)。
 横山弁護士は「インターネットなどの普及で専門的な知識を得やすくなったことに加え、権利意識の向上も背景として職員に不当な要求をする一般市民が増えた。船橋市のようなケースでは、弁護士に相談して法的手段をとるなど毅然(きぜん)とした対応が必要だ」と話す。【秋丸生帆、長沼辰哉】
(2020年8月1日 毎日新聞)

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