報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

<養子あっせん>業者2人に猶予判決 千葉地裁、営利目的を認定

 特別養子縁組を希望する夫婦に営利目的で乳児をあっせんしたとされる事件で、児童福祉法違反の罪に問われた、千葉県四街道市物井の養子縁組あっせん業者「赤ちゃんの未来を救う会」(解散)の元代表理事で個人事業主、伊勢田裕(32)=札幌市手稲区=と、元理事で会社役員、上谷清志(36)=那覇市=両被告の判決公判が13日、千葉地裁で開かれ、高木順子裁判長は営利目的による特別養子縁組と認め、両被告にそれぞれ懲役1年6月、執行猶予3年、罰金50万円(求刑・懲役1年6月、罰金50万円)の有罪判決を言い渡した。
 判決で高木裁判長は冒頭「営利目的による特別養子縁組としての初の検挙事案で、インターネットを利用しビジネスとして展開しようとした特徴がある」とし「ネット上にマッチングシステムを作り事業を行えば利益につながると考えた。営利目的での特別養子縁組が禁止されていることも十分知っていた」と認定。
 さらに「養親希望者を自分たちへの支払い能力で選別するなど専ら自分たちの利得目的で、児童への配慮は一顧だにしていない。養親希望者や実親を食い物にし身勝手で悪質」と指弾。上谷被告については「事業を発案して伊勢田被告を誘い込み、得意のネットでウェブサイトを作るなど主導者」、伊勢田被告については「代表理事として行政機関への対応や契約書作成など不可欠な役割を果たした」とし「お互いに得手不得手を補い合うパートナーで責任に差はない」と認めた。
 一方で「弁護士の介入により乳児が実親の元に戻されているほか、犯行を認め前科前歴がなく、家族が今後の監督を誓っている」として、執行猶予判決とした理由を述べた。
 伊勢田被告の弁護側は「形式的代表理事で、主要部分は上谷被告が行うなど、主導的役割は果たしていない。あっせんは失敗しており、福祉は害されていない」、上谷被告の弁護側は「非常に甘い見通しで安易に行ったが、営利のみが目的ではなく、恵まれない子どもたちの一助になればとあっせんした。100万円は事業資金に充てられ、実際に利益は得ていない」などと、いずれも執行猶予付き判決を求めていた。
 判決によると、2人は昨年4〜5月、特別養子縁組を希望する東京都内の50代の夫婦から、営利目的で現金225万円を受け取り、同年6月、神奈川県内の20代の女性が出産した乳児を夫婦にあっせんした。
◆「実親ら食い物にした」 千葉地裁が初判断
 営利目的特別養子縁組事件で、初の司法判断が下った。千葉地裁は13日、民間養子縁組あっせん事業者「一般社団法人・赤ちゃんの未来を救う会」(解散)の元代表ら2人の営利目的を認め、「児童福祉法の理念に反する。養親希望者や実親を食い物にした」と非難した。
 千葉県は昨年9月、特別養子縁組で養親を希望する夫婦に「100万円を払えば優先的にあっせんする」などと申し向けて現金を受け取っていたなどとして、同会に事業停止命令を全国で初めて出した。県警は今年3月、2人を同法違反容疑で逮捕していた。
 同法では、営利目的の養子縁組あっせんを禁じている。高木順子裁判長は、同法の立法趣旨について「営利目的のあっせんを許すと、人身売買的風潮を助長し、児童の人権を無視することになる」と指摘。厚労省は2014年5月、あっせん事業者が養親希望者などから受け取る金品などについての通知を都道府県知事などに発出しており、事業者が養親希望者などから受け取ることのできる金品について指導する際の留意点を明記し、事業の適正かつ円滑な運営の実現を求めていた。
 しかし、元代表ら2人は営利目的でのあっせんが禁止されていること、業として行う場合には社会福祉事業として良質なサービスを提供しなければないことなどを十分知っていたにも関わらず、必要な措置を講じないまま事業を展開。高木裁判長は「社会福祉士の配置など必要な人的・物的体制を整えず、養親希望者や実親に対する支援も実施していない」とした上で「実費と称して使途の明らかでない総額225万円もの金を徴収した。児童福祉法の理念や規定に真っ向から反する」と断じた。
 同事件では、2人が受け取った225万円が営利目的か、実費にあたるのかに注目が集まっていた。養親を希望し現金を支払った東京都内の50代の夫婦は、同会を相手取り、実費の返還や慰謝料など総額約600万円の損害賠償を求めた訴訟を千葉地裁に起こし係争中。刑事裁判で事実を認めてきた元理事の上谷清志被告は、同訴訟では現金を受け取ったことを認めた上で「実費以外に100%使っていない」と話している。
(7/13(木) 14:27配信 千葉日報)

元理事らに有罪=営利目的で養子あっせん―千葉地裁

 営利目的で特別養子縁組をあっせんしたとして、児童福祉法違反罪に問われた民間事業者「赤ちゃんの未来を救う会」(千葉県四街道市、解散)の元理事上谷清志(36)、元代表理事伊勢田裕(32)両被告の判決が13日、千葉地裁であった。
 高木順子裁判長は2人に懲役1年6月、執行猶予3年、罰金50万円(いずれも求刑懲役1年6月、罰金50万円)をそれぞれ言い渡した。
 高木裁判長は「児童福祉法の理念に真っ向から反し、養子縁組の希望者を食い物にした身勝手で悪質な行為」と非難。一方で、子供がすぐに実親の元に戻されたことなどから執行猶予が相当と判断した。 
(7/13(木) 11:26 時事通信)

養子縁組「あっせん希望者を食い物に」 2人に有罪判決

 営利目的で特別養子縁組をあっせんしたとして、児童福祉法違反の罪に問われた民間団体「赤ちゃんの未来を救う会」(四街道市、解散)のいずれも元理事の伊勢田裕(32)、上谷清志(36)の両被告に対し、千葉地裁は13日、懲役1年6カ月執行猶予3年、罰金50万円(求刑懲役1年6カ月、罰金50万円)の判決をそれぞれ言い渡した。
 高木順子裁判長は「利得を目的として、児童の福祉への配慮など一顧だにしていなかった。あっせん希望者を食い物にした身勝手で悪質な行為」と批判。その上で、子どもが引き渡されて間もなく実の親に戻されたことなどから執行猶予付き判決が相当と判断した。
 判決によると、2人は昨年4〜5月、優先して養子をあっせんするなどとして東京都の夫婦から計225万円を受け取り、同年6月、神奈川県の女性が出産した子どもを引き渡した。
 営利目的で養子縁組をあっせんしたとする容疑での摘発は全国初だった。
 夫婦は代理人の弁護士を通じ、「今後、このような団体が現れないことを切に願いますが、特別養子縁組の制度が後退しないことも切に願います」とのコメントを出した。(滝口信之)
(7/14(金) 0:21配信 朝日新聞)

PDF

平成29年(わ)第516号児童福祉法違反被告事件
平成29年7月13日千葉地方裁判所刑事第1部判決
主文
被告人両名をそれぞれ懲役1年6月及び罰金50万円に処する。
被告人両名においてその罰金を完納することができないときは,金5000
円をそれぞれ1日に換算した期間,その被告人を労役場に留置する。
被告人両名に対し,この裁判が確定した日から3年間,それぞれその懲役刑
の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人両名は,いずれも一般社団法人「A」(以下「A
」という。)の理事として,そのウェブサイトを利用して特別養子縁組を希望す
る養親及び実親を募っていたものであるが,共謀の上,成人及び児童のための正当
な職業紹介の機関ではないのに,営利を目的として,特別養子縁組の養親となるこ
とを希望し前記ウェブサイトの「養親(育ての親)申し込みフォーム」に登録をし
たB(以下「養親希望者」という。)及び自己が出産する予定の子を特別養
子縁組の養子とすることを希望し前記ウェブサイトの「妊婦・実親(産みの親)申
込フォーム」に登録をしたC(以下「実親」という。)との間で特別養子縁
組をあっせんしようと企て,平成28年4月11日,養親希望者に優先して養子を
あっせんするとの趣旨で養親希望者から被告人甲名義のD銀行株
式会社E支店の普通預金口座に,あっせん料総額225万円のうち100万円
の振込みを受ける一方,被告人乙が,同日,川崎市(以下省略)
FコーヒーショップG店において,実親から出産予定の子の特別養
子縁組のあっせんを「A」に専属的に依頼するとの内容の委任状の交付を受け,
被告人甲が,同月29日及び翌30日,名古屋市(以下省略)
当時の被告人甲方(以下「被告人甲方」という。)において,
同所に設置されたパーソナルコンピュータから,インターネットを利用して,養親
希望者が使用する携帯電話機に,「残り金額125万を振り込んだら確定となりま
す」「6月上旬出産で神奈川です。順調にすんで,検診も問題ないです。」「良か
ったら契約書に判をして,1週間以内に残金振込みになりますがいかがでしょう
か?」などと記載したメッセージを送信するなどして,養親希望者に,養子となる
者として実親が出産する予定の子を紹介し,養親希望者がこれを承諾するや,同月
30日,被告人甲が,被告人甲方において,その使用するスマートフォンから,
アプリケーションソフト「LINE」を利用して,実親が使用する携帯電話機に,
「本日,ほぼ決まりました。明日最終契約します。」と記載したメッセージを送
信するなどして,実親に,養親希望者を出産する予定の子の養親となる者として紹
介した上,同年5月1日,被告人乙が,千葉県船橋市(以下省略)
の「A」事務所(以下「A事務所」という。)に
おいて,養親希望者との間で,特別養子縁組あっせん契約を締結するとともに,残
金125万円のうち現金100万円の交付を受け,さらに,同月4日,被告人乙
が,A事務所において,養親希望者から,更に現金25万円の交付を受け,
同年6月19日,川崎市(以下省略)H助産院におい
て,被告人甲が,養親希望者に対し,実親が出産した子を引き渡し,もって成人
及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が,営利を目的として,児童の養
育をあっせんする行為をしたものである。
(量刑の理由)
1本件は,営利目的による特別養子縁組あっせん事業の初の検挙事案として広く
報道され社会的な関心を引いたものであり,被告人らが,インターネットを利用
したビジネスとして展開しようとした点に現代的な特徴がある。
児童福祉法は,成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が,営利
を目的として,児童の養育をあっせんする行為を禁じ(同法34条1項8号),
これに違反した者は懲役刑等に処せられる(同法60条2項)。この立法趣旨は,
営利を目的としてあっせんすることを許すと,人身売買的風潮を助長し,児童の
人権を無視することになりやすいからである。児童福祉法のこれらの規定を受け,
厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知である「養子縁組あっせん事業の指導に
ついて」(平成26年5月1日雇児発0501第3号)及び同省同局家庭福祉課
長通知である「養子縁組あっせん事業を行う者が養子の養育を希望する者等から
受け取る金品に係る指導等について」(平成26年5月1日雇児福発0501第
5号)が都道府県知事等にあてて発出され,事業者が養親の希望者等から受け取
ることのできる金品について指導する際の留意点を明記し,養子縁組あっせん事
業の適正かつ円滑な運営の実現が図られていた。
2しかるところ,被告人両名は,インターネット上にマッチングシステムを作成
して特別養子縁組あっせん事業を手広く行えば利益につながると目論み,行政担
当者から上記通知等に基づく指導を受け,養子縁組あっせん行為を営利目的によ
って行うことが禁止されていること,業として行う場合には社会福祉事業として
良質なサービスを提供しなければならないことなどを十分知悉していたにもかか
わらず,ウェブサイトを立ち上げ,募集に応じた養親の希望者の中から,養親と
しての適格性ではなく,自分たちへの支払いを確保する都合上その年収の額を,
トラブルを回避する都合上おとなしそうな人柄を重視して養親希望者を選別し,
実親からは「A」に専属的にあっせんを委任する旨の委任状を徴取して養子
となるべき子の確保を図るなどして,マッチングの効率性を第一とする一方で,
社会福祉士等の配置など必要な人的・物的体制を整えず,養親希望者や実親に対
して行われるべき諸々の専門的な調査や相談支援を実施していないのに,実費と
称して金額の根拠や使途の明らかでない総額225万円もの金員を養親希望者か
ら徴収したのである。このようなあっせん行為からは,被告人らにおいてもっぱ
ら自分たちの利得を目的として行い,児童の福祉に対する配慮など一顧だにして
いなかったことが明らかで,児童福祉法の理念や規定に真っ向から反し,養子縁
組あっせんを希望する養親希望者や実親を食い物にした誠に身勝手で悪質な行為
というほかない。
次に,各被告人が果たした役割をみると,被告人甲は,特別養子縁組あっせ
ん事業を発案して被告人乙を誘い込み,事業の方向性の決定権限を有し,得
意としていたウェブサイト作成を手掛けるなどしており,本件の主導者というべ
きである。また,被告人乙も,その経歴から福祉事業の前面に立てなかった
被告人甲に代わって「A」の代表理事に就任し,行政機関への対応や提出
書類の作成,養親希望者との間での契約書の作成を行うなどして,本件犯行に不
可欠な役割を果たしている。このような被告人両名の役割分担に照らすと,被告
人甲と乙は,得手不得手を補い合うパートナーであり,その責任の程度に
量刑を左右するほどの差異をつけがたい。
3以上によれば,被告人両名の刑事責任はいずれも軽視できず,懲役刑を選択す
るとともに,被告人両名がそれぞれ利欲的な動機から主体的に本件犯行に関与し
ていることからして,この種事犯が経済的に見合わないことを知らしめるために
罰金刑を併科することが相当であり,各弁護人が指摘するように,結果として収
益を得られなかったことは,罰金刑の併科を不当とする事情には当たらない。
その上で,実親が出産した子が養親希望者に引き渡されて間もなく,弁護士の
介入によって実親の元に戻されたこと,被告人両名が事実関係を認めていること,
被告人両名に前科前歴がないこと,家族がそれぞれ情状証人として出廷し,今後
の監督を誓約していることなどの被告人らに有利な情状も考慮し,被告人両名に
対しては,主文の懲役刑及び罰金刑を科した上で,その懲役刑の執行を猶予する
のが相当と判断した。(求刑被告人両名につき,懲役1年6月及び罰金50万
円)
(裁判長裁判官 睫攴膸 裁判官 佐藤傑 裁判官 津田葉月

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

もくじ

名前で検索


 あ行

 か行

 さ行

 た行

 な行

 は行

 ま行

 や行

 ら行?

 わ行

 

管理人/副管理人のみ編集できます