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<特別養子縁組あっせん訴訟>業者に340万円賠償命令 地裁「虚偽説明で契約」

 特別養子縁組を希望する夫婦に営利目的で不正に乳児をあっせんしていたとされる事件を巡り、現金を支払ったが特別養子縁組が成立せず「子への強い思いを踏みにじった」などとして、東京都の夫婦が事業者の「一般社団法人・赤ちゃんの未来を救う会」(千葉県四街道市物井、解散)を相手取り、実費の返還や慰謝料など総額約600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、千葉地裁で開かれ、高瀬順久裁判長は同会などに計約340万円の支払いを命じた。
 判決で高瀬裁判長は「適切な体制が整っていないにもかかわらず、虚偽の説明で養子縁組のあっせん契約を結んだ」と認定。実費でないのに支払わせた225万円などを損害額とし、慰謝料は計66万円とした。
 判決によると、夫婦は2016年4月に現金100万円、同年5月に現金125万円を支払った。同年6月に乳児の引き渡しを受けたが、実親への最終意思確認がないまま行われており、返還を求められ同年7月に特別養子縁組を諦めて子を返還した。
 同事件を巡っては今年7月、千葉地裁は児童福祉法違反の罪に問われた、同会の元代表理事の伊勢田裕(33)=札幌市手稲区=と、元理事の上谷清志(36)両被告にそれぞれ懲役1年6月、執行猶予3年、罰金50万円の有罪判決を言い渡した。
 千葉県は16年9月、全国で初めて、同会に対して社会福祉法に基づく業務停止命令を出した。
(12/1(金) 10:30 千葉日報)

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平成28年(ワ)第2440号損害賠償請求事件
平成29年11月30日千葉地方裁判所民事第5部判決
口頭弁論終結日平成29年9月14日
主文
1被告らは,原告らに対し,連帯して278万円及びこれに対する平成28年
7月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2被告らは,原告Aに対し,連帯して33万円及びこれに対する平成28年7
月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3被告らは,原告Bに対し,連帯して33万円及びこれに対する平成28年7
月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
5訴訟費用は,これを10分し,その4を原告らの負担とし,その余を被告ら
の負担とする。
6この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
1被告らは,原告らに対し,連帯して308万3000円及びこれに対する平
成28年7月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2被告らは,原告Aに対し,連帯して150万円及びこれに対する平成28年
7月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3被告らは,原告Bに対し,連帯して150万円及びこれに対する平成28年
7月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要等
1事案の概要
(1)被告法人は,民間養子縁組あっせん業者であり,被告Cはその代表理事,
被告Dはその理事である。
原告らは,被告法人との間で,後述の特別養子縁組あっせん契約(以下
「本件あっせん契約」という。)を締結した者である。
(2)本件は,被告C及び理事である被告Dが,原告らに対し,被告法人の人的
体制に関し虚偽の説明をするなどし,実費として使用する意思がないにもか
かわらずその旨申し向けて,原告らを誤信させて本件あっせん契約を締結さ
せ,実費名目の金銭を受け取ったと原告らが主張して,被告C及び被告Dに
対しては,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般社団法
人法」という。)117条1項又は不法行為責任に基づき,被告法人に対し
ては,一般社団法人法78条に基づき,実費名目で支払った費用225万
円,被告法人の登録料2万円,子育てを行うために支出した費用26万円及
び弁護士費用55万3000円の合計308万3000円並びに原告らが子
を実親に返還した日(不法行為の日)である平成28年7月2日から支払済
みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めるととも
に,原告らが,被告らに対し,上記同様の責任に基づき,原告一人当たり慰
謝料150万円及び上記同様の遅延損害金の連帯支払を求める事案である。
(3)被告法人は,適式の呼出しを受けながら,本件の口頭弁論期日に出頭せ
ず,答弁書その他の準備書面も提出しない。また,被告C及び被告Dは,答
弁書を提出し,請求の趣旨に対する答弁(原告らの請求を棄却する判決を求
める旨)をしたのみで,請求の原因に対する認否・反論をしない。
2前提事実(争いのない事実並びに各項目末尾掲記の各証拠及び弁論の全趣旨
により容易に認定することができる事実)
(1)ア原告A(昭和38年3月2日生まれの男性)と原告B(昭和50年8月
5日生まれの女性)は,夫婦である。
イ被告法人は,養子縁組のあっせんを行うことを目的として,平成27年
10月20日に設立された一般社団法人である。被告法人は,千葉県知事
に第二種社会福祉事業の届出をしていた民間養子縁組あっせん事業者であ
る。
[甲10]
ウ被告Cは,被告法人の代表理事を務める者である。
エ被告Dは,被告法人の理事を務める者である。
(2)原告らは,平成27年11月頃より,複数の養子縁組あっせん団体に特別
養子縁組のあっせんの申込みをしたが,いずれの団体からも原告Aの年齢を
理由に断られた。
[甲20]
(3)原告らは,被告法人のウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」とい
う。)を閲覧したところ,「当会としては,養育が問題ないと判断した場合に
限り,50歳以上でも養親になることは可能」という記載があったため,被
告法人に対し,特別養子縁組のあっせんの申込みをした。
[甲1,20]
(4)原告らは,申込みの後,千葉県船橋市所在の被告法人の事務所において,
被告Cと面談した(なお,被告Dもテレビ電話により面談に参加した。)。原
告Aは,上記面談後,被告Cに対し,被告法人の登録料として2万円を支払
った。
[甲16]
(5)被告Dは,平成28年2月10日,原告らに対し,「只今,振り込めば2
番目になります。今,入院中の産みの親が1人いますが多分2週間以内に1
番目の方が決まると思います。そうすると次になります。」,「育ての親で濃
い方が10人面接を待っていただいている状態なのでそこで良い方がいれ
ば,次の順番を決める予定になっています。今なら2番目ですが同じ様に迷
っている方もいるのでお急ぎならご検討宜しくお願いします」等と記載した
メールを送信した。
原告らは,その後も,頻繁に被告C及び被告Dから,100万円を振り込
む意思の有無を確認するメールが送られてきたため,振り込むことを決め,
原告Aは,その名義で,同年4月11日,指定された被告D名義の口座に1
00万円を振り込んだ。
[甲2ないし5]
(6)被告Cは,平成28年4月11日,本件ウェブサイトに登録してきた実親
となる女性(以下「本件実親」という。)から,受任者を被告法人,委任事
項を〕椹勹鐐箸△辰擦鵑鯏会に専属依頼する件,他団体に委託した場
合,損害規定が生じる件,及び,M椰鴇匆雜紂た童◆ν椣藐△箸發吠棄す
る件,並びに,委託者を本件実親とする内容の委任状の交付を受けた。
[甲19]
(7)被告Dは,平成28年4月29日及び同月30日,原告らに対し,「残り
金額125万円を振り込んだら確定となります」,「6月上旬出産で神奈川で
す。順調にすんで,検診も問題ないです。」,「良かったら契約書に判をし
て,1週間以内に残金振込みになりますがいかがでしょうか?」等と記載し
たメールを送信した。
原告Aは,同年5月1日,千葉県船橋市所在の被告法人の事務所におい
て,被告法人との間で,特別養子縁組あっせん契約(本件あっせん契約)を
締結するとともに,被告Cに対し,残金125万円のうち100万円を現金
で支払った。
原告Aは,同月4日,同所において,被告Cに対し,更に現金25万円を
支払った。
[甲6,7,12]
(8)原告らは,平成28年6月19日,本件あっせん契約に基づき,助産院E
において,被告Dから本件実親の子(以下「本件養子」という。)の引渡し
を受けた。
[甲12]
(9)原告らは,平成28年6月24日,F弁護士(以下「F弁護士」とい
う。)に対し,特別養子縁組の申立手続を委任した。他方,本件実親は,同
日,F弁護士に対し,本件養子の返還を求める旨連絡した。
[甲19,20]
(10)原告らは,平成28年7月2日,本件養子との特別養子縁組を断念し,
本件養子を本件実親に返還した。
[甲20,21]
(11)被告法人は,平成28年9月27日,千葉県から,社会福祉法72条1
項に基づき,被告法人が,同法70条に基づく報告の求めに応じないこと,
及び,養子縁組あっせんにおいて,不当な行為(養親希望者に金品を支払わ
せることにより優先的にあっせんをしたこと,実親への相談支援等親子に係
る一連の支援を適切に実施するために社会福祉士等を配置しあっせんに関与
させることをしていないなど)をしたことを理由に,事業停止命令を受け
た。
[甲10]
(12)被告C及び被告Dは,成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外
の者が,営利を目的として,児童の養育をあっせんする行為をしたとして,
児童福祉法違反の罪により千葉地方裁判所に起訴された。同裁判所は,平成
29年7月13日,被告両名をそれぞれ懲役1年6月及び罰金50万円に処
し,裁判が確定した日から3年間,それぞれその懲役刑の執行を猶予する判
決を宣告した。なお,同判決は,情状として,被告人らが社会福祉士等の適
切な人的・物的体制を整えず,養親希望者や実親に対する諸々の専門的な調
査や相談支援を実施していないことも認定している。
[甲12]
3原告らの主張する本件の争点
(1)被告らの不法行為責任の有無(争点1)
(2)原告らに生じた損害の有無及び額(争点2)
4争点に関する原告らの主張
(1)争点1(被告らの不法行為責任の有無)について
【原告らの主張】
被告Cは,被告法人の代表理事として,被告Dは,被告法人の理事とし
て,当初から営利目的で養子縁組あっせんを行うことを意図し,真実は,法
令に沿って養子縁組あっせんを行う意思もなく,社会福祉士や看護師による
支援などのノウハウや人的・物的体制も整備していないにもかかわらず,整
備しているとの虚偽の内容で千葉県に第二種社会福祉事業の届出を行い,被
告法人のウェブサイトを立ち上げるなど養子縁組あっせんの事業の外形のみ
整え,特別養子縁組の希望者を募っていた。原告らはこれを見て申し込み,
被告らは,原告らに対し,被告法人の社会福祉士や看護師などのスタッフの
人件費や育児相談などの各種サポート等の実費がかかるなどと虚偽の説明を
したため,原告らは,被告法人が法令に沿って養子縁組のあっせんを行って
いる団体であり,そのために必要な経費を負担することはやむを得ないと誤
信して,各種費用を支払ったのであるから,被告C及び被告Dは,一般社団
法人法117条1項の責任又は不法行為責任を負う。また,被告法人は,一
般社団法人法78条に基づき,同様の責任を負う。
(2)争点2(原告らに生じた損害の有無及び額)について
【原告らの主張】
ア実費225万円
原告らは,被告らから実費として使用するとの説明を受けて被告Dに
対し,100万円を,被告Cに対し,125万円を支払ったが,実際に
は実費として認められている人件費等の経費には使用していなかった。
したがって,合計225万円が原告らに生じた損害である。
イ登録料2万円
原告らは,被告法人に特別養子縁組あっせんを申し込むに際し,被告
法人に対し,登録料2万円を支払ったが,登録料が実費にあたらないこ
とは明らかである。したがって,登録料2万円が原告らに生じた損害で
ある。
ウ子育てを行うために支出した費用26万円
原告らは,子育てを行うためにチャイルドシート,ベビーベッド,お
むつ,粉ミルク等を購入し,また,助産院で授乳,沐浴等の研修を受け
たところ,これらに要した費用は26万円を下らない。原告らは被告ら
の不法行為により養子縁組ができなかったのであるから,その支出した
費用26万円が原告らに生じた損害である。
エ慰謝料各150万円
原告らは,一旦は子の引渡しを受けて14日間養育していたにもかか
わらず,被告C及び被告Dの不法行為が原因で,本件実親に子を返還せ
ざるを得なくなり,精神的苦痛を被ったものであり,これに対する慰謝
料は,各150万円が相当である。
オ弁護士費用55万3000円
5被告C及び被告Dの主張
争点1及び争点2のいずれも各主張事実は否認ないし争う。
第3当裁判所の判断
1争点1(被告らの不法行為責任の有無)について
(1)法令の定め等
ア児童福祉法34条1項8号は,何人も,成人及び児童のための正当な職
業紹介の機関以外の者が,営利を目的として,児童の養育をあっせんする
行為をしてはならないと規定しており,同法60条2項は,同法34条1
項8号に違反した者について,3年以下の懲役若しくは100万円以下の
罰金に処し,又はこれを併科することを定めている。
イ養子縁組あっせんを業として行う際には,社会福祉法2条3項2号にお
いて,「児童の福祉の増進について相談に応ずる事業」に該当し,第二種
社会福祉事業としての規制に服することとされている。
ウ厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知である平成26年5月1日付け
「養子縁組あっせん事業の指導について」(雇児発0501第3号)(以下
「本件局長通知」という。)においては,養子縁組あっせんに係る指導の
留意事項について,営利を目的として養子縁組あっせんを行うことは,厳
に禁止されるものであるが,交通,通信等に要する実費又はそれ以下の額
を徴収することは差支えないと指摘されている。
また,本件局長通知においては,養子縁組あっせんを行う者に対し指導
を行うべき事項として,ー多討養子縁組に関し意思決定を行う前に,実
親に対して,その経済的な問題や子育ての問題を解決するための児童相談
所や福祉事務所等からの公的な支援を受けながら自ら養育することができ
る可能性や,自ら養育しない場合に子の里親委託などの選択肢をとりうる
可能性について説明を行うこと,及び,⊆多討蓮じ饗Г箸靴突椹勹鐐叛
立の審判が確定するまで養子縁組の同意を撤回することができるとされて
おり,実親の熟慮や養子縁組の同意の撤回を妨げる行為として,実親に対
し養子縁組の同意の撤回を禁止することなどの行為をしてはならないこと
等も指摘されている。
さらに,本件局長通知においては,社会福祉事業としての養子縁組あっ
せん事業の適正な運営に係る指導の留意事項について,養子縁組あっせん
事業を適切に実施するため,社会福祉士,児童福祉法13条2項に定める
児童福祉司となる資格を有する者,医師,保健師,助産師又は看護師であ
る相談員を2名以上(うち1名は社会福祉士であることが望ましい。)配
置するように指導すること等が指摘されている。
[甲8]
エ厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長通知である平成26年5
月1日付け「養子縁組あっせん事業を行う者が養子の養育を希望する者等
から受け取る金品に係る指導等について」(雇児福発0501第5号)(以
下「本件課長通知」という。)においては,本件局長通知における「交
通,通信等に要する実費」について,個別的に金額の計上が可能な費用と
して,ー多討悗料蠱漫支援に要した交通及び通信に要した費用,⇒椰
希望者への研修,家庭調査及び相談・支援の実施,児童の安全確保や家庭
調査の実施等の活動に要した交通及び通信に要した費用,出産に要した
費用,ね椰憧望者の児童の引き取りまでの間の養育等に要した費用,
家庭裁判所への提出書類作成費,κ現颪遼殘料及びビザ申請書類作成
費,Ю長後の児童の相談・支援等に必要な養子縁組あっせんに係る文書
の保存に要する費用については,実際にかかった費用を,個別的に金額の
計上が困難な費用として,養子縁組が成立しなかったケースにおける実
親への相談・支援に要した交通及び通信に要した費用,人件費又は物件
費等の事業運営に必要な費用については,前年度の費用や養親希望者等の
延べ数を参考に,当該年度の養親希望者等の数の推計により按分する等,
適切な方法によってあらかじめ算定した額を積算しても差し支えないと指
摘されている。
また,本件課長通知においては,養親希望者等に対し,実費以下の額を
「養子縁組あっせんに必要な負担金」として請求することは差し支えない
が,請求にあたっては,請求する実費の呼称については,「養子縁組あっ
せんに必要な負担金」とし,請求されている金品がどの実費に充当される
ものであるかが容易に理解できるものとするとともに,その内訳をあらか
じめ養親希望者等に説明すること等の事項の遵守を求めること等も指摘さ
れている。
[甲9]
(2)認定事実
証拠(各項目末尾掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が
認められる。
ア被告法人の事務所は,アパートの一室に所在しており,法人名の看板も
なく,室内にはパソコンが設置されているのみで,乳幼児を保育するベッ
ド等の備品は一切なかった。
[甲18]
イ被告C及び被告Dは,被告法人について,千葉県知事に第二種社会福祉
事業の届出をする際,インターネットを介し,看護師3名及び社会福祉士
1名を募集し,被告法人の構成員として届け出た。被告法人は,これらの
者に対し,顧問料名目で毎月1万円を支払っていたものの,被告法人の養
子縁組あっせん事業における活動は一切なかった。
[甲16]
ウ被告C及び被告Dは,原告らに対し,本件実親とのマッチング以前に,
優先的に養子縁組あっせんを受けることができる旨告げて,明細を一切説
明しないで養子縁組あっせんに要する実費名目で225万円の支払を受け
た(前記前提事実のとおり,平成28年4月11日に100万円,5月上
旬に2回に分けて125万円)。被告C及び被告Dは,現在に至るまで,
原告らに対し,実費の明細を明らかにしていない。
被告Dは,原告Aから支払を受けた100万円を被告C及び被告Dの引
っ越し費用,被告法人のウェブサイトの外注費用,広告費等に支出し,被
告Cは,原告Aから支払を受けた125万円をインターネット上で商品を
安く仕入れて高く売る事業(いわゆる「せどり」)の仕入費等に支出し
た。
[甲13ないし16]
エ本件実親は,同年4月上旬頃,被告法人のウェブサイトの妊婦専用の問
い合わせフォームを経由して登録し,同月11日付けで,前記前提事実の
とおり,被告法人に養子縁組あっせんを専属委任する旨の委任状を提出し
た。
その際,被告Cは,本件実親に対し,被告法人には,看護師の資格を有
する職員や子供の面倒を見る資格を有する職員がいること,子供を預かる
スペースがあること等を説明した。
被告Dは,原告らに対し,本件実親の承諾なく,本件実親の個人情報が
記載された本件養子の出生届を交付した。本件実親は,このような被告法
人の不誠実な対応に不信感を抱き,特別養子縁組の同意を撤回しようと考
え,被告Cに対し,本件養子の返還を申し出た。
結局,原告らは,本件養子を本件実親に返還した。
[甲19]
(3)前記前提事実及び認定事実のとおり,“鏐陦探擇喩鏐陦弔蓮と鏐靄/佑
養子縁組あっせん事業を適切に行う人的・物的体制がないにもかかわらず,
活動の実体のない看護師や社会福祉士の資格を有する者が,被告法人におい
て,養子縁組あっせん事業に関与するかのように装って,千葉県知事に第2
種社会福祉事業の届出を行った上,被告C及び被告Dは,原告ら及び本件
実親に対しても,被告法人が養子縁組あっせん事業を適切に行う人的・物的
体制を備えているかのように装って,養子縁組あっせんを行い,K楫鐚多
に対しても,看護師や社会福祉士等の専門家による指導・助言等が一切行わ
れず,また,被告Dが本件実親の承諾なく本件養子の出生届を原告らに交付
し,結果として本件実親をして被告らに対し不信感を抱かせ,原告らが本件
実親に子を返還せざるを得なくなったものであり,い泙拭と鏐陦探擇喩鏐
Dは,原告らに対し,本件課長通知が定める交通,通信等に要する実費が何
ら具体的に発生していない段階で,優先的に養子縁組あっせんを受けられる
という勧誘方法により,内訳明細を一切説明することなく,合計225万円
もの実費名目の金員の支払を要求し,その支払を受け,ゼ柁駝礁椶濃拱Г
受けた金員の大半を交通,通信等に要する実費には明らかに該当しない費用
に支出したものである。
以上を総合すると,被告C及び被告Dは,共謀の上,法令に沿った適切な
養子縁組あっせん事業を行い得るだけの人的・物的体制を整備していないに
もかかわらず,故意に,原告らに対し,本件ウェブサイトや口頭で虚偽の説
明をして,適切な体制を整備しているものと原告らに誤信させて,営利目的
で原告らと被告法人との間で,本件あっせん契約を締結させ,実際は実費で
ないのに実費名目の金員225万円を原告Aに支払わせたほか,原告らにそ
の他の費用を支出させて損害を与えたと認めるのが相当である。
(4)したがって,被告C及び被告Dの上記行為は違法であり,原告らに対し,
詐欺による不法行為責任又は一般社団法人法117条1項の賠償責任を負
う。
また,代表理事である被告Cは,被告法人の職務を行うについて上記詐欺
による不法行為を行ったものであるから,被告法人は,原告らに対し,一般
社団法人法78条に基づく賠償責任を負う。
2争点2(原告らに生じた損害の有無及び額)について
(1)実費225万円
証拠(甲5,12,15,16)及び弁論の全趣旨によれば,原告Aは,
前記欺罔行為により,実際には実費ではないのに実費名目で,平成28年4
月11日,指定された被告D名義の口座に100万円を振り込み,同年5月
1日及び同月4日,被告Cに対し,125万円を現金で支払ったことが認め
られるから,上記合計225万円を被告らの不法行為と相当因果関係のある
原告らの損害と認める。
なお,本件あっせん契約の当事者となったのは原告Aのみであり,上記2
25万円を現実に交付し,あるいはその名義で振り込んだ行為者も原告Aで
あるものの,原告らは夫婦であり,本件あっせん契約は原告ら夫婦が本件養
子の養親となるもので,原告ら両名が前記欺罔行為により錯誤に陥り上記実
費を出捐したというべきであるから,不法行為責任ないし一般社団法人法の
責任の関係では,これらはいずれも原告らの損害と認める。
(2)登録料2万円
証拠(甲16)及び弁論の全趣旨によれば,原告らは,適法かつ適切な養
子縁組あっせんを受けられるものと誤信して,被告Cに対し,被告法人の登
録料2万円を支払ったことが認められ,これは実費にあたらないことから,
被告らの不法行為と相当因果関係のある原告らの損害と認める(これらが原
告らの損害と認められることは,前記(1)で述べたとおりである。)。
(3)子育てを行うために支出した費用26万円
証拠(甲20,22,23(枝番を含む。))及び弁論の全趣旨によれば,
原告らは,本件養子の子育てを行うために,チャイルドシート,ベビーベッ
ド,おむつ,粉ミルク等を購入し,その費用として22万4076円を支払
ったこと,原告らは,助産院において,授乳,沐浴等の研修を受け,その費
用として10万1566円を支払ったことが認められるから,民事訴訟法2
48条の趣旨にも鑑み,原告らが請求する26万円を被告らの不法行為と相
当因果関係のある原告らの損害と認める。
(4)慰謝料各30万円
原告らが特別養子縁組を希望するに至った経緯,原告らが子育てを行った
期間,本件養子を家族の一員として迎え,我が子のように子育てをしていた
こと,その他本件に顕れた諸般の事情を考慮すれば,原告らに生じた精神的
苦痛の慰謝料としては,原告一人当たり30万円をもって相当と認める。
(5)まとめ
被告らが原告らに連帯して支払うべき金額は,実費,登録料及び子育てに
要した費用253万円となり,これに本件に現れた一切の事情を考慮し,弁
護士費用として25万円を加算すると,278万円となる。
被告らが原告Aに連帯して支払うべき金額は,慰謝料30万円となり,こ
れに本件に現れた一切の事情を考慮し,弁護士費用として3万円を加算する
と,33万円となる。
被告らが原告Bに連帯して支払うべき金額は,慰謝料30万円となり,こ
れに本件に現れた一切の事情を考慮し,弁護士費用として3万円を加算する
と,33万円となる。
第4結論
よって,原告Aの請求は主文第1項及び第2項の限度で理由があるからその
限度で認容し,原告Bの請求は主文第1項及び第3項の限度で理由があるから
その限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとし,主文のとおり
判決する。
(裁判長裁判官 高瀬順久 裁判官 本間陽子 裁判官 吉元祥太郎

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