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嘱託殺人の夫に猶予刑 青森地裁八戸支部

 今年6月、八戸市内の自宅アパートで妻=当時(64)=に頼まれ、包丁で胸を刺し、殺害したとして、嘱託殺人の罪に問われた同市新井田丑鞍森、無職馬場勝美被告(60)の判決公判が21日、青森地裁八戸支部であり、橋本修裁判長は「命が失われた結果は重大だが、被告は精神的に不安定で入通院を繰り返し、判断能力が減退していた」とし、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役4年)の有罪判決を言い渡した。
 橋本裁判長は判決理由で「妻と心中するつもりだったようだが、人の生命が失われた結果は重く、客観的に見れば極めて短絡的でむごい事件だ」と指摘。
 一方で「被告は精神的に不安定で、妻に生き続けてもらう方策を考えられなかったのはやむを得ない部分もある」とし、一貫して罪を認めていることや殺害を後悔していることも考慮して執行猶予が相当と判断した。
 判決によると、同被告は6月1日夕方、市内のアパートで妻から「死にたい。自分を刺してから死んでほしい」などと依頼され、刃渡り約18センチの文化包丁で妻の胸部を1回突き刺し、殺害した。
(9/22(土) 10:44配信 デーリー東北新聞社)

「自殺する前に私を」妻に頼まれ刺殺 嘱託殺人の男有罪 執行猶予5年、精神障害を考慮 青森地裁八戸支部判決

 同居する妻(64)に頼まれて刺殺したとして、嘱託殺人罪に問われた青森県八戸市新井田、無職馬場勝美被告(60)の裁判で、青森地裁八戸支部は21日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役4年)の判決を言い渡した。
 橋本修裁判長は「犯行は極めて短絡的でむごい」と指摘しつつ、精神障害による馬場被告の判断能力の低下を考慮。「妻に生き続けてもらう方法を考えることができなかったやむを得ない面がある。悪質と言えない」と判断した。
 判決によると、馬場被告は5月下旬、体調不良により再入院させられるのではないかという不安から自殺を考えている旨を妻洋子さんに話したところ、「自分を刺してから死んでほしい」などと頼まれ心中を決意。6月1日夕方ごろ、自宅で洋子さんの左胸を包丁で刺して殺害した。
 ◎患者夫婦の悲劇 専門家「社会支援必要だった」
 青森地裁八戸支部で21日にあった嘱託殺人事件の判決。公判では統合失調症に長年苦しんできた無職馬場勝美被告(60)と、被害者となった妻洋子さん(64)が厳しい環境で暮らしていたことが浮かび上がった。専門家は「夫婦は社会的支援が必要な状態だった」と指摘する。
 判決などによると、夫婦は精神障害者の集会で出会って結婚した。だが、15年以上にわたる2人の暮らしは統合失調症による入退院の繰り返しだった。
 統合失調症などの患者が共同で生活する「べてるの家」(北海道浦河町)を創設した向谷地生良北海道医療大教授(看護福祉学)は「事件の背景には病気を抱えた夫婦の孤独感があるのではないか」と指摘する。
 2013年に障害者総合支援法が施行され、精神障害者らが尊厳ある社会生活を営むことができるよう公的にサポートすることとなった。就労なども含めた支援策は整ったが、夫婦がともに患っているケースでは、悩みを抱え込んでしまうこともあるという。
 今回の事件でも、馬場被告が暮らしていたアパート周辺の住民は「夫婦とほとんど関わりがなかった」と口をそろえる。公判でも夫婦が地域から孤立していた様子が垣間見えた。
 近年、精神障害者の自助グループの活動が盛んになり、出会いの場が増えているという。患者同士が結婚、出産することへの偏見もかつてに比べれば弱まっているとされる。
 向谷地教授は「お互いが病気だと、周囲は悩みを抱え込んでいるかどうかも分からない。地域が病気への理解を深め、積極的に関わっていくことも重要だ」と強調した。(青森総局・八巻愛知)
(2018年09月22日 河北新報)

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