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大槌町旧庁舎、解体差し止め要求退ける 解体あす本格化

 東日本大震災の津波で職員28人が犠牲になった岩手県大槌町旧庁舎の解体差し止めなどを求めた住民訴訟の判決で、盛岡地裁(中村恭裁判長)は17日、原告の請求を退けた。町は庁舎外壁の時計を撤去するなど解体の準備を始めており、18日に本格的に解体に着手する方針。
 津波で亡くなった町職員の母親(65)と、住民団体代表(46)の2人が、平野公三町長を相手に住民訴訟を起こした。原告側は、旧庁舎の文化的・経済的な価値を十分検討せず解体工事を決めたのは地方財政法に違反すると主張した。
 旧庁舎を巡っては、前町長が一部保存を表明したが、2015年に当選した平野町長は解体を決め、昨年3月、解体予算案を町議会に提出。賛否は6対6となり、議長裁決で可決された。原告の請求に対し、町長側は、過去に一部保存を決めた際に文化財としての価値を検討し、平野町長も解体を議会に諮ったと反論。また、旧庁舎は町の所有物であり、解体する裁量があると訴えた。
 住民団体は昨年5月以降、住民監査請求や解体差し止めの仮処分を申請。監査請求が退けられた昨年8月に工事差し止めを求め、盛岡地裁に提訴していた。
(2019年1月17日15時32分 朝日新聞)

大槌旧庁舎解体、差し止め認めず…盛岡地裁判決

 東日本大震災で多くの職員が犠牲になった岩手県大槌町の旧役場庁舎を巡り、保存を求める住民が平野公三町長を相手に解体工事の差し止めなどを求めた住民訴訟の判決が17日、盛岡地裁であった。中村恭裁判長は住民側の請求を退けた。
 中村裁判長は、町議会で解体予算が可決されていることなどから「相応の周知と意見聴取が行われ、議会と住民の意思が乖離かいりしている事情は認めがたい。解体すべきとの住民意思があらわされた」と指摘。「被告に裁量権の逸脱や乱用があったとはいえない」などとして、公金の支出差し止め請求を棄却、工事差し止めの訴えは却下した。
 旧庁舎は2階天井まで浸水、当時の町長ら職員39人が犠牲になった。平野町長は「庁舎を見ることが耐え難い人々に寄り添うべきだ」と解体を決めたが、住民側は「震災遺構の価値を考慮していない」と提訴した。
 町は18日から建物を取り壊す方針を示している。
(2019年01月17日 23時24分 読売新聞)

<大槌町旧庁舎>解体差し止め認めず 盛岡地裁、原告の請求却下

 東日本大震災の津波で当時の町長や職員多数が犠牲になった岩手県大槌町旧役場庁舎を解体する判断は違法として、住民団体「おおづちの未来と命を考える会」の高橋英悟代表らが平野公三町長に工事と公金支出の差し止めを求めた住民訴訟の判決で、盛岡地裁は17日、「訴えは住民訴訟の対象にならない」として工事差し止めの請求を却下、公金差し止めの請求を棄却した。
 平野町長は「解体について司法的に認められた」として18日の解体着手を表明。原告側は控訴について「今後、協議する」とした。
 中村恭裁判長は「住民訴訟の提起は地方公共団体の執行機関による財務会計行為に限定されている」と指摘。震災遺構について「自然災害に対する危機防災意識を醸成していく上で一定の意義を有するもの」と定義しつつ、解体は「業者が契約に基づいて行う物理的破壊行為にすぎない」と断じた。
 原告側は「町には旧庁舎の価値を調査する義務がある」と主張したが、判決は「財産の運用方法は地方公共団体の合理的な裁量に委ねられている」として「解体判断に裁量権の範囲の著しい逸脱、乱用はなかった」と退けた。
 震災遺構としての社会的、経済的価値の調査が不十分とする主張には「専門家を交えた委員会や住民説明会も行われていた」と認定。解体予算は住民代表の議会で可決されているとして「住民の意向が十分尊重された上で、解体の住民意思が表された」と結論付けた。
 2018年度一般会計で、解体費を補正予算として当初予算と一括提案した手続きの違法性も訴えたが「議決により予算として有効に成立している」と退けた。
 高橋代表らは18年6月、町監査委員に解体工事差し止めの住民監査を請求したが7月に棄却(一部却下)となり、8月に住民訴訟を起こした。
 [岩手県大槌町旧役場庁舎]東日本大震災の地震発生時、大槌町は災害対策本部を駐車場に開設。避難の指示や勧告を出すことなく、2階の天井付近まで達する津波に襲われた。庁舎周辺では町長と職員の計28人が犠牲になった。当時、総務課主幹(防災担当)だった平野公三町長ら22人は屋上に逃れた。出張先から戻る途中で津波にのまれるなど、職員の犠牲は町長を含めて計39人に上る。
(1/18(金) 9:42 河北新報)

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平成31年1月17日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成30年(行ウ)第8号旧庁舎解体等公金支出等差止請求事件
口頭弁論終結日平成30年12月日
主文
1原告らの訴えのうち,大槌町旧役場庁舎の解体工事の執行の差止めを求める部
分をいずれも却下する。
2原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求の趣旨
1被告は,大槌町旧役場庁舎(所在・岩手県上閉伊郡大槌町新町1番1号)の解
体工事を執行してはならない。
2被告は,前項の旧役場庁舎の解体工事に係る工事代金(平成30年6月日
支出された4万円を除く。)を支出してはならない。
3訴訟費用は被告の負担とする。
第2事案の概要
1訴訟の概要
本件は,岩手県上閉伊郡大槌町の住民である原告らが,大槌町旧役場庁舎(一
部)の解体工事に関して,同解体工事に係る請負契約に地方財政法8条の趣旨に
反して無効事由,解除事由若しくは契約解消事由があるから,又は,解体工事に
係る公金の支出の決定過程に地方自治法218条に反する事由があるから,大槌
町長である被告において上記公金を支出することは違法であると主張して,被告
に対し,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,上記解体工事の執行の差
止めと上記公金の支出の差止めをそれぞれ求める住民訴訟である。
2関係法令等の定め
本件に関係する法令等の定めは,別紙「関係法令等の定め」のとおりである。
3前提となる事実
(1)当事者
ア原告らは,大槌町の住民である。(争いのない事実)
イ被告は,大槌町の執行機関である同町の町長である。(争いのない事実)
(2)東日本大震災の発生
平成23年3月11日午後2時46分,東北地方太平洋沖地震が発生し,引
き続き,平成三陸大津波が発生した。大槌町内も津波に襲われ,町内人口の約
1割の死者を出した。大槌町は,気象庁による大津波警報が発令された地域の
市町村で,唯一,避難勧告・指示が発令されていない自治体である。(公知の
事実,争いのない事実,甲26,27,乙3)
(3)本件旧庁舎
大槌湾河口付近の岩手県上閉伊郡大槌町新町1番1号には,大槌町役場庁舎
(延床面積合計約98屐砲存していたが,津波の被害を受け,一部庁舎
は流失し,残った庁舎も全壊となった。(争いのない事実,乙2)
当時役場庁舎にいた職員の中には,幹部職員に対して高台避難を主張する者
もいたが,大槌町は,役場前駐車場付近に机を並べて災害対策本部を設置し,
役場庁舎内やその周辺には多くの役場職員がいた。そこに津波が到来し,庁舎
内にいた役場職員だけで28名の死者を出した。(争いのない事実,甲26,
乙2,3,)
平成26年2月日から同年7月31日にかけて旧大槌町役場庁舎の一
部解体工事が実施され,旧大槌町役場庁舎は本庁舎(延床面積約662屐ぃ
階建)を残して解体された(以下,この残部を「本件旧庁舎」という。)。(争
いのない事実,甲,乙2,)
(4)本件補正予算
平成30年3月日,大槌町議会3月定例会において,本件旧庁舎の解体
関連費用4700万円に係る議案第7号平成30年度一般会計補正予算(第
1号)(以下「本件補正予算」という。)が可決された。(争いのない事実,
甲14,乙30)
()本件請負契約・本件解体工事
大槌町は,平成30年月29日,有限会社まるたに商事(以下「まるたに
商事」という。)との間で,次の契約(以下「本件請負契約」といい,本件請
負契約に基づいてされる本件旧庁舎の解体工事を「本件解体工事」という。)
を締結した。(甲24,乙7)
々事名町方地区津波復興拠点整備事業基礎等解体工事
工事場所上閉伊郡大槌町
9期平成30年月29日〜同年8月26日
だ蘇藺絛盂曖苅娃坑泳0400円
ヂ絛發了拱Ъ注者は,発注者の工事完成の確認のための検査に合格し
たときに,請負代金の支払を請求することができる(32
条1項)。
Σ鮟権発注者は,工事が完成するまでの間は,必要があるときは
契約を解除することができ,この場合,受注者に損害を及
ぼしたときは,その損害を賠償しなければならない。(4
4条)
(6)本件解体工事の中断
平成30年6月18日頃,本件解体工事が開始されたが,同月21日頃,ア
スベストの事前調査の不履践などの法令違反が判明し,本件解体工事は中断さ
れた。(甲,17〜19)
(7)公金の支出
平成30年6月日,大槌町は,まるたに商事に対し,4万円を前
金払いした。(乙14)
(8)本件変更契約
大槌町は,平成30年8月16日,まるたに商事との間で,本件請負契約を
変更し,石綿事前調査,アスベスト調査分析等を追加するなどした次の契約(以
下「本件変更契約」という。)を締結した。(甲22,乙1,)
(儿晃紊旅期平成30年月29日〜平成30年12月14日
∧儿晃紊寮蘇藺絛盂曖苅械横綱61円
(9)石綿(アスベスト)含有調査
平成30年9月19日,アスベスト含有調査の結果,本件旧庁舎について,
発じん性の高いレベル2のアスベストが1つの建材に,また,発じん性の比較
的低いレベル3のアスベストが3つの建材に含有されていることが判明した。
同年月30日,大槌町議会は,第2回臨時議会にてアスベスト除去工事
に係る補正予算(00万円)を可決した。
(争いのない事実)
()本件随意契約
大槌町は,平成30年月31日,リックス株式会社(以下「リックス」
という。)との間で,随意契約の方式(地方自治法施行令167条の2第1項
号)で,次の契約(以下「本件随意契約」という。)を締結した。(甲4,
0)
々事名石綿含有建材(レベル2)除去工事
(本件旧庁舎の配管部に使用されている,アスベストが
含まれている水練り保温剤の除去)
工事場所上閉伊郡大槌町
9期平成30年月31日〜同年11月30日
だ蘇藺絛盂曖核7600円
なお,リックスの選定理由(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関す
る法律8条,同法施行令7条2項号参照)は,「元請業者に特別管理産業
廃棄物管理責任者の配置が義務付けられており,かつ,町民の生命,身体に大
きな影響を及ぼす恐れがあることから,早期の実施が必要となる。よって,特
別管理産業廃棄物管理責任者を有する者が所属し,アスベスト事前調査に伴い
本件解体工事の現場に精通しているリックスと随意契約しようとするもので
ある。」との旨である。(甲4)
(11)本件アスベスト除去工事契約
大槌町は,指名競争入札を経て,平成30年11月28日,まるたに商事
との間で,石綿含有建材(レベル3)の除去工事の契約(以下「本件アスベ
スト除去工事契約」という。)を締結した。(争いのない事実)
(12)本件解体工事の再開(差止めの必要性)
本件解体工事中,アスベスト除去工事が平成30年11月末頃に開始された。
(弁論の全趣旨)
本件口頭弁論終結時である平成30年12月日現在,平成31年1月中
旬頃から庁舎躯体の解体工事が着手される予定である。(弁論の全趣旨)
(13)監査請求及び訴訟提起
原告らは,大槌町監査委員に対し,平成30年6月4日付けで,本件解体工
事につき公金の支出等の差止めを勧告することを求める住民監査請求を行っ
た。(争いのない事実,甲16,21)
大槌町監査委員は,平成30年7月日付けで,原告らの監査請求につき,
一部却下・一部棄却の決定をし,原告らは,その頃その結果の通知を受けた。
(争いのない事実,甲21)
原告らは,平成30年8月17日,本件訴えを提起した。(顕著な事実)
4争点
(1)地方財政法8条違反その1(無効事由)
(2)地方財政法8条違反その2(解除事由・契約解消事由)
(3)地方自治法218条1項違反(予算調製後の事由)
争点に関する当事者の主張
1)争点(1)(地方財政法8条違反その1)について
ア原告ら
本件旧庁舎を解体するとした被告の判断には,地方財政法8条の趣旨を没
却する著しい違法があり,その結果,本件請負契約は私法上も無効となる。
したがって,支出負担行為である本件請負契約に基づく本件解体工事に係
る公金支出は,違法である。
(ア)調査義務違反
地方財政法8条は,地方公共団体に対し,公有財産の効率的な運用を求
めているから,そのためには当該財産の属性を踏まえなければならず,す
ると,当該財産の性格,機能を的確に把握することが必要となるから,被
告には公有財産に対する調査義務がある。しかるに,被告は,次の観点か
らされるべき調査,検討を尽くさないままに震災遺構である本件旧庁舎の
解体を決定した。
)楫鏥貭舎の取扱いは,復興に係る事業であるところ,大槌町災害復
興基本条例3条2項,4条2項,3項,6条の規定(別紙の第3)からす
ると,復興のためには,町民等と協働し,適正な合意形成が行われるよう,
適切に関連情報を開示するとともに,町民等から十分に意見を聴取しなけ
ればならない。しかしながら,被告は,本件旧庁舎被災時の資料を住民に
開示しておらず,また,本件旧庁舎を保存した場合の維持管理費用が年当
たり1万円であることを住民に広く周知しなかった。また,被告は,
本件旧庁舎の解体を前提とした発言を繰り返し,説明会も形式的に本件旧
庁舎の解体に反対する住民に発言の機会を与えただけのものであり,被告
が住民から意見を聴取したとはいえない。
∨,琉貳霧饗Г任△詒耄禪饗Гら,不可逆性を伴う本件旧庁舎の解体
を決めるに当たっては,岩手県有化,目隠しの設置などの代替案の可能性
について丁寧かつ慎重に調査をしなければならない。しかしながら,被告
は,代替案を検討することを一顧だにしなかった。
K楫鏥貭舎は,大槌町の震災対応の問題点についての反省とその原因
究明に資するものであり,将来の防災対策につなげることのできる貴重な
震災遺構である。したがって,その経済的,社会的,文化的価値を専門的
見地から調査することが必要である。すなわち,本件旧庁舎の経済的価値
を7億8000万円とする調査結果や本件旧庁舎を訪問した訪問客が約
6年間で総計3万36人に及んでいる事実,また,文化財保護法3条,
4条2項や大槌町文化財保護条例の規定(別紙の第2,第4)の趣旨も踏
まえれば,本件旧庁舎は,文化財又はこれに準じるものとして保護に値す
る価値を有する可能性がある。しかしながら,被告は,専門的見地からの
調査結果を一顧だにせず,また,専門的観点からの調査,検討もしようと
していない。
以上のとおり,被告には,公有財産の運用に関して与えられた裁量の逸
脱又は濫用がある。
(イ)アスベスト対策の不履行
被告及びまるたに商事は,本件請負契約締結前後,大気汚染防止法所定
の各種手続(注文者による届出,受注者による調査,受注者の書面交付に
よる説明,受注者の調査費用の適正負担,特定工事請負契約における不当
条件設定防止)を実施せず,多方面からの指摘を受け,一部の規制措置に
ついて,不十分ながら事後的に対応したのみである。
このように,本件請負契約は,アスベスト除去工事を前提としていない
工事として設計,発注されたものであるから,被告においては,本件請負
契約を解除し,再度,アスベストを含む建物の解体工事として設計,積算
をやり直さなければならないにもかかわらず,被告は本件解体工事を推し
進めようとしている。
本件請負契約は,大気汚染防止法のアスベスト規制を潜脱するもので
あって大気汚染防止法の趣旨を没却し,その結果,本件旧庁舎の適切な管
理という規制に反するものであって地方財政法8条の趣旨も没却するも
のであるから,無効である。
(ウ)本件随意契約の無効
本件随意契約は,住民の安全・安心を確保する緊急の必要性があること
を根拠としているが,本件解体工事を強行することなく,法定手続を適切
に実施すれば住民をアスベスト被害の危険にさらすことはない。早急に本
件解体工事を終えようとしているからこそ住民の安全・安心を確保する必
要性が生じているだけであり,随意契約をすべき緊急の必要性がないのは
明らかである。また,大槌町は,従前,本件旧庁舎のアスベストは封じ込
められていると説明していたし,現に,東日本大震災から7年以上本件旧
庁舎を放置していたのであり,このことからも,随意契約をする緊急の必
要性はないといえる。
本件随意契約は,公正性の阻害防止という地方自治法施行令167条の
2第1項号を積極的に逸脱又は潜脱するものであって同号の趣旨を没
却し,その結果,本件旧庁舎の適切な管理という規制に反するものであっ
て地方財政法8条の趣旨も没却するものであるから,本件随意契約と一体
となる本件請負契約も無効である。
イ被告
(ア)調査義務違反に対して
本件旧庁舎を解体処分するか否かを決するのは所有者である大槌町の
判断によるものであり,これについて大槌町が何らかの制限を受けるわけ
ではない。
もっとも,被告は,原告らの指摘するような要素は考慮の上で,なお,
本件旧庁舎を目にすることを耐えがたいと感じる住民らの意向を尊重し
て,本件旧庁舎を解体することとしたのである。
その上,“鏐陲本件旧庁舎の解体を公約として掲げて町長に当選した
こと,¬鵤嫁半の間,本件旧庁舎の解体に関して専門委員会,意見交換
会等が開催され,賛否に関する様々な意見が出されたこと,3撞聴は,
これら意見を踏まえて議決に臨み,様々な議論を尽くしたこと,に楫鑛
正予算案は,他の予算案と区別されていたことからみて,町議会は,民意
を踏まえて本件旧庁舎を解体することに被告の義務違反はないとして本
件補正予算案を可決したといえる。
これらに鑑みると,本件請負契約には何ら瑕疵がない。
(イ)アスベスト対策の不履行に対して
被告は,本件請負契約に係る入札実施時には,アスベスト関係の項目を
盛り込んではいなかったが,これは,本件旧庁舎以外の旧役場庁舎部分の
解体工事の際の定性分析調査においては,アスベストが含有されないとの
調査結果が出ていたためである。平成30年3月厚生労働省「石綿飛散漏
洩防止対策徹底マニュアル[2.版]」(乙11)によると,契約後に事前
調査を行い変更契約をすることも想定されている。一方,平成27年7月
国土交通省東北地方整備局「工事請負契約における設計変更ガイドライン」
(乙)によると,分離施工できるものについては分離発注ができるこ
とにかんがみると,本件解体工事と一体施工の必要性のないアスベスト除
去工事を別契約にすることも可能である。そうすると,アスベスト規制に
関連する調査や除去工事が本件変更契約,本件随意契約及び本件アスベス
ト除去工事契約に盛り込まれている以上,本件請負契約に違法な点はなく,
再度設計内容を見直し,入札からやり直しをする必要はない。
(ウ)本件随意契約の無効に対して
本件随意契約の違法性の有無と本件請負契約の違法性の有無とは全く
関連しない。
いずれにせよ,本件随意契約を行ったのは,平成28年3月「大槌町遺
構保存調査業務委託報告書」(乙19)で,本件旧庁舎が震度4以下の地
震でも崩落の危険性があるとされ,崩落の際の飛散により,慰霊のために
本件旧庁舎近くを訪れる人や近隣住民に被害を及ぼす可能性が高いこと
や,レベル2のアスベストが飛散する可能性があることからであり,緊急
の必要性がある。
(2)争点(2)(地方財政法8条違反その2)について
ア原告ら
仮に,本件請負契約が私法上無効ではないとしても,次のとおり,本件請
負契約には解除事由又は契約を解消することができる特殊事情があるから,
本件解体工事に係る公金支出は,財務会計法規上の義務に違反する違法なも
のである。
したがって,支出負担行為である本件請負契約に基づく本件解体工事に係
る公金支出は,違法である。
(ア)解除権
本件請負契約44条には,「必要があるとき」には,被告において本件
請負契約を解除できる旨が定められている。
)楫鐇蘇薹戚鵑鯆結するに際し,地方財政法8条が求める調査の在り
方を前提にした情報の入手ができているとはいえず,同条が求める財産の
運用を行うために必要な考慮事項を適切に考慮できていないこと,▲▲
ベスト関連事項を本件請負契約に組み込まなかったこと,K楫鐇蘇薹戚
における大気汚染防止法所定のアスベスト規制措置が同法の趣旨に反す
るものであること,に楫鐃鎔娵戚鵑無効であること,ゲ鮟により大槌
町がまるたに商事に対して賠償をすれば同社が損害を被らないこと,Δ
るたに商事には石綿作業主任者がおらず,アスベスト事前調査を行う資格
はないので,本件請負契約の解除を求められればそれに応じざるを得ない
立場にあることに鑑みると,被告が本件請負契約を解除し,再度,アスベ
ストを含む建物の解体工事として設計積算をやり直し,石綿作業主任者を
配置できるという入札参加資格を付して入札するなど他の選択肢を選ぶ
ことは可能である。
(イ)契約を解消すべき特殊事情
a看過し得ない瑕疵
(a)被告は,本件請負契約を締結するに際し,財産の運用を行うために
必要な考慮事項を考慮しないままに本件請負契約を締結しているか
ら,看過し得ない瑕疵がある。
(b)アスベストの規制に関連する調査や工事をしないままに建物解体
工事をすることは,工事作業員や工事現場周辺住民にアスベストによ
る健康被害を生じさせる危険性のあるものである。本件請負契約は,
アスベストの規制に関連する調査や工事を契約内容に含まないまま
締結されたものであり,看過し得ない瑕疵がある。
b契約解消に応じる蓋然性
(a)住民訴訟において被告が敗訴したときには,工事代金の支払が差し
止められたり,被告が個人として大槌町に対して本件請負契約の工事
代金相当額の損害賠償責任を負う危険性がある。まるたに商事がこの
ような債権回収の確度の低下した状況を知った場合には,まるたに商
事は,本件請負契約の解消に応じる蓋然性が高い。
(b)アスベストによる健康被害が生じたときには,被害者から,大槌町
のみならず,まるたに商事も損害賠償責任を負う可能性がある。まる
たに商事が,このようなリスクを抱えながら解体工事を強行すること
は経営判断として不合理であるから,まるたに商事は,本件請負契約
の解消に応じる蓋然性が高い。
イ被告
(ア)解除権に対して
上記ア(ア)の原告の主張は,争う。
(イ)契約を解消すべき特殊事情に対して
a看過し得ない瑕疵につき
アスベスト規制に関連する調査や工事については,本件変更契約,本
件随意契約及び本件アスベスト除去工事契約に盛り込まれている。これ
らの対応は,厚生労働省のマニュアルに沿った適切なものである。
b契約解消に応じる蓋然性
上記ア(イ)bの原告の主張は,争う。
(3)争点(3)(地方自治法218条1項違反)について
ア原告ら
地方自治法218条1項によれば,補正予算を提出することができるのは,
当初予算の調製後に生じた事由に基づく場合に限られている。
しかしながら,被告は,平成29年12月には旧庁舎解体関連予算を平成
30年3月定例会に予算として計上すると明言しておきながら,同定例会に
は,旧庁舎解体関連予算を補正予算として,当初予算と併せて提出した。
したがって,上記補正予算は「予算調製後に生じた事由」に基づいたもの
ではなく,旧庁舎解体関連予算を単独で提出しようとした政策的判断に基づ
くものであることは明らかである。
イ被告
予算の調製とは,地方公共団体の長が議会に提出すべき予算案を作成する
行為を意味する。
平成30年度当初予算については,平成29年11月6日に副町長により
各部課長に対し,同年12月日午後時を締め切りとして予算要求を行う
よう指示があり,ヒアリング等を経て,平成30年2月上旬には内容が確定
している。これに対し,本件旧庁舎の解体関連予算を議会に諮ることについ
ては,同月13日の庁議において決定し,この時点から積算等の作業を開始
したが,財源及び事業費の積算に時間がかかり,当初予算提出の同年3月2
日には間に合わず,同月12日になって積算が完了した。この状態で初めて
予算への計上が可能になるのであるから,この積算が完了したことが,「予
算調製後に生じた事由」に該当する。
第3当裁判所の判断
1本件解体工事の執行の差止めを求める訴え(請求の趣旨第1項)の適法性につ
いて
地方自治法242条の2第1項1号の規定による住民訴訟は,地方財務行政の
適正な運営を確保することを目的とする民衆訴訟(行政事件訴訟法条)であっ
て,特定個人の権利又は利益を保護するものではないから,法所定の範囲内での
み提起できるものであるところ,同項に定める住民訴訟は,その対象とされる事
項を,普通地方公共団体の執行機関又は職員が行う公金の支出,財産の取得,管
理若しくは処分,又は,契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負
担との財務会計行為に限定している。
原告らは,地方自治法242条の2第1項1号の規定に基づき,本件解体工事
の差止めを求めているが,本件解体工事は,本件請負契約に基づいて工事業者が
行う物理的破壊行為,すなわち,財務会計行為に係る相手方が行う事実行為にす
ぎないから,同号が対象とする事項ではない。
したがって,本件旧庁舎の解体工事の執行の差止めを求める訴えは,住民訴訟
の対象とならないものを対象としているから,不適法である。
2認定事実
争いのない事実と下記掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる本件請
負契約締結に至るまでの経緯は,次のとおりである。
(1)平成24年11月日,本件旧庁舎を震災遺構として保存すべきか,ある
いは解体すべきかについて検討を行うために,学識経験者,職員遺族,町議会
議員,高校生,役場職員組合員の合計11名から成る大槌町旧役場庁舎検討委
員会の第1回会議が開催された。同会議では,職員遺族及び職員に対するアン
ケート調査結果,他の被災自治体における震災遺構の取扱いなどについての報
告や,論点及びこれに関する主な意見の開示が行われた。(甲2,3)
平成年1月12日,大槌町旧役場庁舎検討委員会の第2回会議が開催さ
れた。同会議では,昨年12月に町内32か所に設置された意見・提言箱に寄
せられた全1回答の内容の報告や解体又は保存するとした各場合の跡地利
用方法若しくは保存方法についての報告と,上記論点や利用・保存方法に関し
て各委員からの意見聴取が行われた。(甲3)
(2)平成年2月23日,大槌町旧役場庁舎検討委員会の第3回会議(最終)
が開催され,同年3月頃,大槌町旧役場庁舎検討委員会の報告書が大槌町に提
出された。
大槌町は,上記報告書の内容を踏まえて検討をした結果,平成年4月2
日,大槌町旧役場庁舎の正面部分(本件旧庁舎)を一部保存する方向で検討
を進めることを決定した。
(甲4,弁論の全趣旨)
(3)平成27年8月9日,大槌町長選が実施され,被告が町長に当選した。(争
いのない事実)
選挙には,現職のA大槌町長と新人で同年4月まで大槌町会計管理者であっ
た被告等が立候補したが,大槌新聞・おおちゃんラジオが共同で実施した立候
補予定者に対するアンケートでは,本件旧庁舎について,現職のA町長は,「維
持管理のかからない玄関入り口部分を記念碑として残したい。」と,被告は,
「旧役場庁舎は本年度中に解体。」とそれぞれ回答した。(甲2,乙22)
被告は,平成27年月2日,当選後初の大槌町議会における所信表明演
説で年度内に本件旧庁舎の解体を実施するとの方針を明らかにした。(甲40)
(4)平成27年11月3日,旧役場庁舎保存調査技術専門委員会の第3回会議が
開かれ,本件旧庁舎を補修の上保存した場合,初期整備費用は最大9000万
円,維持管理費は年当たりに換算すると最大1万円であることが示された。
(甲41)
平成28年3月大槌町震災遺構保存調査業務委託報告書(乙19)にも,本
件旧庁舎に長期保存を前提とした補強をした場合,初期整備費用が8400〜
8900万円(外構整備費は除かれる。),維持管理費は,年ごとに補修
した場合その際に約万円を要すること(年当たりに換算すれば1
万円)が示されている。(乙19)
()平成27年11月6日,大槌町は,大槌町中央公民館大会議室において,中
心市街地と本件旧庁舎の在り方に関する地域復興協議会長・町方同窓会幹事と
被告との意見交換会を開催した。本件旧庁舎の保存又は解体について,出席者
ら個人の見解若しくは出席者らの周囲の住民の意向などに関して,意見や報告
が述べられた。(乙32)
(6)大槌町は,大槌町役場大会議室において,平成27年11月13日午後1時
30分から午後3時までの間,商工観光関係者と町長との意見交換会を開催し,
同日午後4時から時分までの間,アーカイブ関係者と町長との意見交換
会を開催したが,その中で,出席者らから本件旧庁舎の保存又は解体について
の意見が述べられた。(乙33,34)
(7)平成27年11月16日,大槌町は,大槌町役場大会議室において,訪問客
への受入れを行っている一般社団法人おらが大槌夢広場と町長との意見交換
会を開催したが,出席者らから,本件旧庁舎の保存又は解体について意見が述
べられた。(甲44,乙3)
(8)平成27年11月19日,大槌町は,岩手県庁復興局長室において,岩手県
との間で,本件旧庁舎の保存又は解体について意見交換をした。岩手県からは,
県としては市町村の判断を尊重するとの方針であること,県有化や年間の維持
管理費を補助するのは難しいこと,大規模改修が必要になったときに岩手県が
補助するのは確約はできないが可能性はあるとの回答がされた。(乙37)
(9)平成27年11月23日,大槌町は,大槌町役場多目的会議室(旧大槌小学
校体育館)において,本件旧庁舎の解体についての考え方やこれまでの経緯を
説明する説明会を開催した。町内外の住民約0名が出席し,復興協議会代
表,岩手県復興局,ふるさと大槌会及び一般社団法人おらが大槌夢広場等から
の個別報告や,参加者らからの意見聴取が行われた。(甲,42,乙38)
()平成27年12月8日,大槌町議会全員協議会において,被告は,本件旧
庁舎の解体費用を盛り込んだ補正予算を平成27年12月定例会に提出する
ことを表明したが,同月日,大槌町議会東日本大震災復興まちづくり特別
委員会(委員13名,以下「復興特別委員会」という。)は,被告に対し,提
出の先送りを求める意見書を提出した。(甲7)
同月日,被告は,平成27年度中の本件旧庁舎の解体の断念を表明し,
関連予算の平成27年12月定例会への提出を見送る方針を表明した。(甲1,
8)
(11)平成28年11月18日,被告は,平成28年度の本件旧庁舎の解体を断
念する旨を表明し,関連予算の平成28年12月定例会の提出を見送る方針を
表明した。(甲1,9)
同年12月22日,復興特別委員会は,町内各所での意見交換や有識者3名
からの意見聴取などを踏まえて,本件旧庁舎の存廃に関し,個々の議員の意見
を集約した調査報告書を提出し,本件旧庁舎の存廃に関する委員会の見解を示
さないまま調査活動を終えた。(甲8)
(12)平成29年12月8日,被告は,平成29年12月定例会において,本件
旧庁舎の解体関連予算を平成30年3月定例会に提案する意向を表明した。
(甲1,12)
(13)平成30年2月17日,大槌町は,本件旧庁舎の解体の方針に関して,大
槌町中央公民館において説明会を開催した。説明会には被告も出席し,町内外
の一般参加者71名,報道関係者14社名が出席した。(甲23,乙31)
(14)平成30年3月2日発行の河北新報には,大槌町民のおよそ7割が本件旧
庁舎を解体すべきと考えているとの記事が掲載された。調査方法は,電話帳か
ら無作為抽出した町民を対象に平成30年2月〜28日にかけて電話で
聴き取りをしたものであり,回答を得られたのは0人で,うち7人が
60歳以上であった。調査結果は,2名(68%)が「全部,解体すべき
だ」であり,その理由は,「維持管理費がかかる」(42名),「目にするの
が苦痛」(24名),「復興まちづくりの妨げになる」(24名),「町長が
選挙で公約した」(11名),「その他」(1名)である。(乙21)
()平成30年3月2日,大槌町議会3月定例会が開会し,議案第43号平成
30年度一般会計予算案が大槌町議会に提出された。(乙)
(16)平成30年3月6日,大槌町議会における一般質問の中で,本件旧庁舎の
解体に反対する立場からの質問又は意見陳述と,これに対する被告の回答がさ
れた。(乙29,弁論の全趣旨)
(17)平成30年3月日,大槌町議会3月定例会で議案第43号平成30年
度一般会計予算案等の採決が行われ,可決された。その後,追加議事として提
出されていた本件旧庁舎の解体に関して熟慮を求める請願についての審議が
行われ,本件旧庁舎の解体に賛成する意見,解体に反対する意見が述べられ,
採決に入ったが,可否同数となり議長の決するところにより不採択となった。
その後,追加議事として提出されていた本件補正予算案について審議され,ま
ず補正予算として提出することの理由が問われた後,採決となったが,可否同
数となり,議長の決するところにより(地方自治法116条1項参照),可決
となった。(甲14,21,乙30)
3前提となる法律解釈
(1)公金支出の違法性
支出負担行為と支出命令は互いに独立した財務会計上の行為であるから,普
通地方公共団体が支出負担行為となる契約を締結して債務を負担をした場合
には,相手方に対する債務を解消することができる場合でない限り,支出命令
により債務の履行をしなければならない。
そうすると,債務の履行として行う支出命令が違法となるのは,”當銘亙
公共団体が締結した支出負担行為たる契約が私法上無効であるとき,∋拿佗
担行為たる契約が違法に締結され,さらに,[1]普通地方公共団体が当該契約の
取消権又は解除権を有しているとき,又は,[2]当該契約が著しく合理性を欠き
そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,
かつ,当該普通地方公共団体が当該契約の相手方に事実上の働きかけを真しに
行えば相手方において当該契約の解消に応ずる蓋然性が大きかったというよ
うな,客観的にみて当該普通地方公共団体が当該契約を解消することができる
特殊な事情があるときに限られるものと解される(最高裁平成17年(行ヒ)第
304号同年1月18日第二小法廷判決・民集62巻1号1頁,同裁判所
平成23年(行ツ)第406号同年3月21日第一小法廷判決・民集67巻
3号37頁,同裁判所平成23年(行ヒ)第42号同年3月28日第一
小法廷判決・集民243号241頁参照)。
(2)本件随意契約に関して
地方自治法234条は,「売買,貸借,請負その他の契約は,一般競争入札,
指名競争入札,随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。」(1
項),「前項の指名競争入札,随意契約又はせり売りは,政令で定める場合に
該当するときに限り,これによることができる。」(2項)と定め,地方自治
法施行令167条の2は,「地方自治法第234条第2項の規定により随意契
約によることができる場合は,次に掲げる場合とする。」(1項の各号列記以
外の部分),「緊急の必要により競争入札に付することができないとき。」(同
項号)と定める。
地方自治法施行令167条の2第1項号の規定は,専ら一般的抽象的な見
地に立って普通地方公共団体の締結する契約の適正を図ることを目的として
契約の締結方法について規制を加えるものと解されるから,これに違反して契
約が締結されたということから直ちにその契約の効力を全面的に否定しなけ
ればならないとまではいえない。また,これに該当するか否かが必ずしも客観
的一義的に明白とはいえない場合もあるから,契約が違法とされた場合にその
私法上の効力が当然に無効であるとすれば,契約の相手方において不測の損害
を被ることにもなりかねない。
そうすると,同号に当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約
の相手方において当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかり
し場合のように,当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を
加える同号の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合
に限り,同号に違反する契約が私法上無効になるものと解される(最高裁昭和
6年(行ツ)第144号同62年月19日第三小法廷判決・民集41巻4号
687頁参照)。
4争点(1)(地方財政法8条違反その1)について
(1)判断基準
地方財政法8条は,「地方公共団体の財産は,常に良好の状態においてこれ
を管理し,その所有の目的に応じて最も効率的に,これを運用しなければなら
ない。」と定めており,地方自治法2条14項は,「地方公共団体は,その事
務を処理するに当っては,住民の福祉の増進に努めるとともに,最少の経費で
最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と,同法238条の2第1
項は,「普通地方公共団体の長は,公有財産の効率的運用を図るため必要があ
ると認めるときは,委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関で権限
を有するものに対し,公有財産の取得又は管理について,報告を求め,実地に
ついて調査し,又はその結果に基づいて必要な措置を講ずべきことを求めるこ
とができる。」と定めているから,これら規定によると,普通地方公共団体の
執行機関には公有財産たる建物(地方自治法238条1項1号参照)を効率的
に運用すべき義務が課されているといえる。
もっとも,効率的利用といっても,その内容,程度を一義的に決することは
困難である上に,それぞれの地方公共団体が置かれた固有の社会的,経済的,
地域的諸事情にも左右されるから,効率的な公有財産の運用方法は,地方公共
団体の執行機関の合理的な裁量に委ねられていると解するほかない。
そうすると,本件請負契約が地方財政法8条に反して私法上も無効となるの
は,本件旧庁舎を解体するとした被告の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱又は
濫用があり,本件請負契約を無効としなければ地方財政法8条の趣旨を没却す
る結果となる特段の事情が認められるという場合に限るものと解するのが相
当である。
(2)調査義務違反について
ア震災遺構
震災遺構とは,震災により損壊を被った構造物,建築物又は自然物であっ
て,現地における被災の痕跡を残すことにより,鎮魂や震災による惨禍の伝
承の役割を果たし,自然災害に対する危機意識や防災意識を醸成していく上
で一定の意義を有するものと理解される。
震災遺構は上記意義を有するものではあるが,この意義のまさに反面とし
て,被災した地域住民に対してその震災における悲惨な被災状況を思い起こ
させる物ともなり,中にはその存在によって直接的又は間接的に精神的苦痛
を与えられ続ける住民がいることは容易に推察される。このことは,その場
で多数の人命が失われている震災遺構については,より強くあてはまる。そ
して,防災研究に対する高度な学術的貢献性をも併有しているごく例外的な
場合を除けば,震災遺構は,通常,本来的効用を喪失している物であって,
それ自身だけに着目して価値を測ることができるものではなく,これを社会
がどのように受け止めるべきかによってその価値が左右されるものといえ
る。
このような震災遺構の性質を踏まえれば,その存廃は,単に当該震災遺構
が有する防災,減災に対する意義の有無,程度のみでこれを決することは相
当とはいえず,関係者を含む地域住民の意向を十分に尊重して決せられるべ
きものと解される。原告らの調査義務違反の主張は,この趣旨の限度におい
て採用することができる。
なお,復興庁の「震災遺構の保存に対する支援」では,震災遺構の所在す
る各市町村につき,震災遺構1か所の初期整備費用に限り復興交付金の交付
対象となっているが,復興庁も,交付に当たり,住民及び関係者間の合意形
成を求めているところである。(公知の事実,弁論の全趣旨)
イ検討
前記2の認定事実によると,仝約として位置付けられるものであるかは
ともかくとして,被告は,本件旧庁舎を解体する方針を明言して町長として
当選したものであり(前記2の認定事実(3)),その後も一貫して本件旧庁舎
の解体方針を明言していたところ(同(3)()(12)(13)),△海譴紡个靴董ぢ
槌町議会は,被告の解体方針に対して異論を向け,被告も2度にわたり本件
旧庁舎の解体に係る予算の提出を断念したこと(同()(11)),しかしなが
ら,大槌町議会の復興特別委員会は委員会としての結論を出さないまま両論
併記の報告書を提出して調査活動を終えたこと(同(11)),に楫鑛篝詰住
は単体で補正予算案として提出されたものであるところ(同(17)),大槌町
議会では,本件旧庁舎の存廃について審議がされ,その上で本件補正予算が
可決されたことが認められるのであり(同(16)(17)),これによると,本件旧
庁舎を解体すべきとの被告の提案に対して,被告と議会との相互作用を経過
した上で,大槌町議会は本件旧庁舎を解体すべきとの最終意思を明確に表明
したといえるのである。そして,ニ楫鏥貭舎を震災遺構として保存すべき
か否かにつき,専門家を交えた委員会や説明会,意見交換会等での意見聴取,
関係機関との間で協議,専門的見地からの調査も行われていたのであり(同
(1)(2)(4)〜(9)。なお,一部保存を決定するに当たって参酌された調査,検討結
果は,解体に当たっても参酌できるものであるから,調査,検討を被告が町
長に当選した後のものに限定する理由はない。),上記説明会等における
住民らの意見は賛否両論に分かれているが,本件旧庁舎の解体に反対である
住民が町内で多数を占めているとする事情を見出すことはできず,住民間で
も意見が相半ばしているものとうかがわれるのであり,住民に対する相応の
周知手続と意見聴取手続がされていた中で,住民代表たる議会の意思と住民
意思とがかい離しているとの事情は認め難いのである。
以上からすると,住民の意向が十分に尊重された上で,本件旧庁舎は解体
すべきとの住民意思が顕されたものといえるのであり,本件旧庁舎を解体す
べきとの判断に基づき本件請負契約を締結した被告の行為について,裁量権
の範囲の著しい逸脱又は濫用があるということはできず,本件請負契約を無
効としなければ地方財政法8条の趣旨を没却する結果となる特段の事情が
あるとはいい難い。
ウ原告らの主張に対して
(ア)原告らは,被告において,情報の開示や町民等からの十分な意見聴取を
していないと主張する。
前記アのとおり,震災遺構の保存のための初期整備費用は各市町村につ
き1か所に限り復興交付金の対象となり,前記2(4)のとおり,本件旧庁舎
を保存した場合の維持管理費は1年当たりに換算すると年間1万円
にすぎないが,それにもかかわらず,同(14)のとおり,本件旧庁舎を解体
すべきと回答した者の約半数が「維持管理費がかかる」と回答をしている
点にはやや違和感を禁じ得ない。しかしながら,それ以上に被告において
情報開示の不足があることをうかがわせる事情は認められず,また,実際
には年ごとに約万円が支出されること,前記2(14)の調査も,
対象者に具体的にどのような質問等をしてされた調査なのか詳細が不明
であることに鑑みると,同(14)の回答内容のみから,被告の情報開示が不
十分であったことを認めるには足りない。
また,原告らは,被告が当初から解体を前提とした発言を繰り返してい
たことをもって住民からの意見聴取が不十分である旨主張するが,首長が
一定の見解をもって町政に当たってはいけないものではなく,住民として
は,被告個人の意見の変更がないとするならば,議会を通じて,その統制
をはかることができるのであるから,被告個人の意見の変更の有無と意見
聴取の手続の十分性とは直接の関連性がない。前記説示のとおり,住民に
対する周知手続と意見聴取手続については,相応のものが行われたと認め
られるところである。
原告らの上記主張は,採用することができない。
(イ)原告らは,被告において,代替案の可能性について十分に検討していな
いと主張する。
しかしながら,原告らのいう上記代替案とは,本件旧庁舎を保存すると
した場合の一類型をいうにすぎず,保存することを決しなければ,そもそ
も検討の俎上にあがらないものである。まず保存するか解体するかのいず
れかを決しなければならないのであるから,解体するかどうかを決めるに
当たって被告が保存方法の在り方を検討しなかったからといって,被告の
判断に裁量権の著しい逸脱又は濫用が生じるものとはいい得ない。
原告らの上記主張は,採用することができない。
(ウ)原告らは,被告において,専門的見地から本件旧庁舎の経済的,社会的,
文化的価値の調査,検討をしていないと主張する。
前記イに説示したとおり,専門家からの意見聴取が全く行われていない
ものではなく,また,震災遺構の経済的価値,社会的,文化的価値を分析
する確定した手法があることを示すに足りる証拠はない(甲第29号証に
顕れている7億8000万円は,訪問客が得られる価値を金銭換算したと
いうものであり,また,その算定手法の詳細も本件証拠上明らかではな
い。)。前記アにて説示したとおり,まず住民意思が尊重されるべき震災
遺構の存廃の判断について,被告が更なる専門的見地からの調査,検討を
しなかったからといって,被告の判断に著しい裁量権の逸脱又は濫用があ
るとはいい得ない。
原告らの上記主張は,採用することができない。
(3)アスベスト対策の不履行について
原告らは,本件請負契約はアスベスト除去工事を前提としない工事として設
計,発注されたものであるから,設計,積算からやり直すべきものであると主
張する。
アスベストの毒性に鑑みて,その飛散防止の対策は強化が図られているとこ
ろであり,解体工事におけるアスベスト対策の概要は,原告らの主張に対応す
る形でごく一部を掲記しても,別紙「関係法令等の定め」の第から第に
列記したとおりである。本件請負契約はこれらを全く履行しないことを前提に
されたものであるから,その瑕疵は大きいものといえる。
しかしながら,前記第2,3(8)〜(11)のとおり,被告は,事後的にせよ,法
定の手続を履践するため本件変更契約,本件随意契約及び本件アスベスト除去
工事契約を締結して法定のアスベスト対策を履践し,その内容として適正でな
い点をうかがうことはできないから,上記瑕疵は治癒していることになる。そ
うすると,現時点において,本件請負契約を無効ということはできない。
したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。
(4)本件随意契約の無効について
原告らは,本件随意契約は,地方自治法167条の2第1項号の要件を満
たさないのにされたものであるから無効であると主張する。
アスベストにより住民の健康に影響を及ぼすおそれは本件解体工事を続行
することにより生じるから,本件解体工事を緊急に行わなければならない必要
がない限り,本件随意契約を緊急に締結する必要も生じないところ,本件解体
工事を緊急に行わなければならない必要性につき,被告からはその理由が明確
に示されていない。また,地震による倒壊のおそれについても,前記第2,3
(3)のとおり,本件旧庁舎は平成26年8月頃から現在の状態のままであったと
ころ,本件旧庁舎の倒壊のおそれが高まったという事情につき,被告からはそ
の理由が明確に示されていない。
しかしながら,前記3(2)にて説示したとおり,仮に,本件随意契約が地方自
治法施行令167条の2第1項号の随意契約ができる要件を満たさないと
しても,本件随意契約が無効となるのは,同号の規定の趣旨を没却する結果と
なる特段の事情が認められる場合に限られる。本件随意契約をした理由がいか
にもとってつけた感が否めないとしても,現に毒性の強いアスベストの存在が
確認され,本件旧庁舎が震度4以下の地震でも崩落の危険性がある(乙19)
以上,本件随意契約の対象となる工事の緊急性は首肯できないわけではないか
ら,上記特段の事情があるとまではいえない。
そうすると,原告らの上記主張は,採用することができない。
したがって,本件請負契約がアスベスト対策を欠いたままの契約であるとの
原告らの主張は,前提を欠くことになる。
()まとめ
以上のとおり,本件請負契約が地方財政法8条に反して無効であるとの原告
らの主張は,採用することができない。
争点(2)(地方財政法8条違反その2)について
(1)解除事由の有無について
前記4(2)にて説示したとおり,本件請負契約が地方財政法8条に違反するも
のとはいえず,また,同4(3)に説示したとおり,本件請負契約はアスベスト対
策において瑕疵を有するものではないから,原告らの主張は,主要な前提をい
ずれも欠くものであって,その余の点について判断するまでもなく採用するこ
とができないことが明らかである。
(2)契約を解消すべき特殊事情
前記4(3)に説示したとおり,現時点において本件請負契約に看過し得ない瑕
疵があると認めることはできない。この前提の下においては,まるたに商事が
本件請負契約の解消の申入れに応ずる蓋然性が大きいということもできない。
したがって,原告らの主張は,その余の点について判断するまでもなく採用す
ることができないことが明らかである。
(3)まとめ
以上のとおり,本件請負契約を解消できるとの原告らの主張は,採用するこ
とができない。
6争点(3)(地方自治法218条1項違反)について
(1)原告らは,本件補正予算は,当初予算の調製後に生じた事由に基づいたもの
ではないから,違法なものであると主張する。
証拠(乙,17)及び弁論の全趣旨によると,平成30年度一般会計予算
については,平成29年11月6日,副町長により各部課長に対し,同年12
月日午後時を締め切りとして予算要求を行うよう指示があり,ヒアリング
等を経て,平成30年2月上旬に内容が確定し,同年3月2日,議案(議案第
43号)が提出されたことが認められ,また,証拠(甲32,乙6,18)及
び弁論の全趣旨によると,本件旧庁舎の解体工事の予算案については,同年2
月13日の庁議において決定したことは認められる。
前記2(12)に認定のとおり,被告は,平成29年12月8日には本件旧庁舎
の解体工事に関する予算を提出する意向を表明しており,また,本件補正予算
の追加提案理由につき,町幹部から「解体予算単独での提案をすべきという政
策的な判断であります。」,「今進めなければならない復興事業の経費等…に
影響させたくないというのがそれが政策的な判断です。」との説明が議会にさ
れているから(乙29の219頁,234頁参照),本件補正予算案が当初予
算調製後に生じた事由に基づき調製されたか否かは定かではない。
(2)しかしながら,仮に,本件補正予算案が当初予算調製後に生じた事由に基づ
き調製されたものではないとしても,その補正予算としての効力に影響はない
というべきである。
すなわち,まず,補正予算の性質上,補正予算は当初予算議決後に議決され
なければならないものではあるが,地方自治法218条は,当初予算成立前に
補正予算案を提出することを禁止しているものではないから,本件旧庁舎の解
体関連に係る補正予算案が当初予算と同じく3月定例会で審議されたことに
違法はない。
そして,当初予算と補正予算とはその成立のための事務手続において異なる
ところはなく,議会は,補正予算として提出されたことを前提に,当初予算と
同じく,補正予算の必要性及び妥当性について審議をするのであって,これに
より,地方公共団体の財政に関する執行機関に対する統制が尽くされる関係に
ある。そうすると,仮に,本件補正予算が当初予算調製後に生じた事由に基づ
いたものではないとしても,議会の議決により予算として有効に成立している
ものというべきである。
(3)したがって,いずれにせよ,本件補正予算が違法であるとはいえず,そうで
あれば,その余の点について判断するまでもなく,原告らの上記主張は採用す
ることができない。
7まとめ
以上のとおりであるから,原告らの公金支出の差止めを求める請求(請求の趣
旨第2項)は,いずれも理由がない。
第4結論
よって,原告らの本件旧庁舎の解体工事の執行の差止めを求める訴えをいずれも
却下し,原告らの公金支出の差止めを求める請求をいずれも棄却することとし,訴
訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,6条1項本文を
適用して,主文のとおり判決する。
盛岡地方裁判所第2民事部
裁判長裁判官 中村恭
   裁判官 睇祐未
   裁判官 三富彰太郎
(平成30年(行ウ)第8号事件判決別紙)
関係法令等の定め

第1地方財政法(昭和23年法律第9号)
第1条(この法律の目的)
この法律は,地方公共団体の財政(以下地方財政という。)の運営,国の財政
と地方財政との関係等に関する基本原則を定め,もつて地方財政の健全性を確
保し,地方自治の発達に資することを目的とする。
第8条(財産の管理及び運用)
地方公共団体の財産は,常に良好の状態においてこれを管理し,その所有の
目的に応じて最も効率的に,これを運用しなければならない。
第2文化財保護法(昭和年法律第214号)
第1条(この法律の目的)
この法律は,文化財を保存し,且つ,その活用を図り,もつて国民の文化的
向上に資するとともに,世界文化の進歩に貢献することを目的とする。
第2条(文化財の定義)
1この法律で「文化財」とは,次に掲げるものをいう。
〃造物,絵画,彫刻,工芸品,書跡,典籍,古文書その他の有形の文化的
所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一
体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古
資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
こづか,古墳,都城跡,城跡,旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上
又は学術上価値の高いもの,庭園,橋梁
りょう
,峡谷,海浜,山岳その他の名勝地
で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地,繁
殖地及び渡来地を含む。),植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然
の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの
(以下「記念物」という。)
第3条(政府及び地方公共団体の任務)
政府及び地方公共団体は,文化財がわが国の歴史,文化等の正しい理解のた
め欠くことのできないものであり,且つ,将来の文化の向上発展の基礎をなす
ものであることを認識し,その保存が適切に行われるように,周到の注意をも
つてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない。
第4条(国民,所有者等の心構)
1一般国民は,政府及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するために行う
措置に誠実に協力しなければならない。
2文化財の所有者その他の関係者は,文化財が貴重な国民的財産であることを
自覚し,これを公共のために大切に保存するとともに,できるだけこれを公開
する等その文化的活用に努めなければならない。
3政府及び地方公共団体は,この法律の執行に当つて関係者の所有権その他の
財産権を尊重しなければならない。
第3大槌町災害復興基本条例(平成23年条例第号)(甲3)
第2条(用語の定義)
∧襪蕕靴良興災害により大規模な被害を受けた町民の暮らしの安定・向
上を図ることを第一義の目的とし,被災前の地域社会にできる限り復旧し,
生活の再建,再度の災害の防止及び生活・経済環境の向上を目指した復興を
総合的に進めることをいう。
I興対策被災後の暮らしの復興を図るための各種対策をいう。
第3条(復興の基本理念)
2町長は,暮らしの復興に際して,被災者及び町民との協働のもと,医療,保
健福祉,産業,教育文化,まちづくり等の復興の課題を,総合的かつ計画的に
取り組み,歴史,文化や景観を生かした安全で住みやすい快適な環境創造を図
るものとする。
第4条(町長の責務)
2町長は,暮らしの復興を実現するために,町の組織及び機能を挙げて最大の
努力を払い,必要な施策を実施しなければならない。
3町長は,計画の策定に当たっては,町民及び事業者(以下「町民等」という。)
並びに復興町民組織の意見を聴くように努めるとともに,復興対策の実施に当
たっては,町民等及び復興町民組織の適正な合意形成に努めなければならない。
第6条(町民等の参画と協働による復興の推進)
町長は,災害からの復興に関して,町民等の参画と協働を保障し,地域住民の
力を最大限に活かした復興を推進するものとする。
第4大槌町文化財保護条例(昭和2年条例第11号)(甲30)
第1条(目的)
この条例は,文化財保護法(昭和年法律第214号。以下「法」という。)
第182条第2項の規定に基づき,法の規定による指定を受けた文化財又は岩
手県文化財保護条例(昭和1年岩手県条例第44号。以下「県条例」という。)
の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で,町の区域内に存するものの
うち重要なものについて,その保存及び活用のため必要な措置を講じ,もって
町民の文化的向上に資するとともに,我が国文化の進歩に貢献することを目的
とする。
第2条(定義)
この条例において「文化財」とは,法第2条第1項第1号から第4号までに
掲げる有形文化財,無形文化財,民俗文化財及び記念物をいう。
第4条(指定)
1教育委員会は,町の区域内に存する有形文化財(法第27条第1項の規定に
より重要文化財に指定されたもの及び県条例第4条第1項の規定により岩手
県指定有形文化財に指定されたものを除く。)のうち重要なものを大槌町指定
有形文化財(以下「町指定有形文化財」という。)に指定することができる。
第条(解除)
1教育委員会は,町指定有形文化財が町指定有形文化財としての価値を失った
とき,その他特別の理由があるときは,その指定を解除することができる。
第大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)
第1条(目的)
この法律は,工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴
うばい煙,揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制し,水銀に関する水俣
条約(以下「条約」という。)の的確かつ円滑な実施を確保するため工場及び事
業場における事業活動に伴う水銀等の排出を規制し,有害大気汚染物質対策の
実施を推進し,並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により,
大気の汚染に関し,国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し,並びに
大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害
賠償の責任について定めることにより,被害者の保護を図ることを目的とする。
第2条(定義等)
7この法律において「粉じん」とは,物の破砕,選別その他の機械的処理又は
堆積に伴い発生し,又は飛散する物質をいう。
8この法律において「特定粉じん」とは,粉じんのうち,石綿その他の人の健
康に係る被害を生ずるおそれがある物質で政令で定めるものをいい,「一般粉
じん」とは,特定粉じん以外の粉じんをいう。
11この法律において「特定粉じん排出等作業」とは,吹付け石綿その他の特定
粉じんを発生し,又は飛散させる原因となる建築材料で政令で定めるもの(以
下「特定建築材料」という。)が使用されている建築物その他の工作物(以下
「建築物等」という。)を解体し,改造し,又は補修する作業のうち,その作業
の場所から排出され,又は飛散する特定粉じんが大気の汚染の原因となるもの
で政令で定めるものをいう。
第18条の14(作業基準)
特定粉じん排出等作業に係る規制基準(以下「作業基準」という。)は,特定
粉じんの種類及び特定粉じん排出等作業の種類ごとに,特定粉じん排出等作業
の方法に関する基準として,環境省令で定める。
第18条の(特定粉じん排出等作業の実施の届出)
1特定粉じん排出等作業を伴う建設工事(以下「特定工事」という。)の発注者
(建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者をいう。以下同じ。)
又は特定工事を請負契約によらないで自ら施工する者(次項において「特定工
事の発注者等」という。)は,特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前ま
でに,環境省令で定めるところにより,次に掲げる事項を都道府県知事に届け
出なければならない。ただし,災害その他非常の事態の発生により特定粉じん
排出等作業を緊急に行う必要がある場合は,この限りでない。
〇疚硝瑤鰐松竜擇喀蚕衒造咾頬/佑砲△弔討蓮い修梁緝充圓了疚
特定工事を施工する者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては,そ
の代表者の氏名
F団蟾事の場所
て団衒瓦犬麈喀佚作業の種類
テ団衒瓦犬麈喀佚作業の実施の期間
ζ団衒瓦犬麈喀佚作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材
料の種類並びにその使用箇所及び使用面積
特定粉じん排出等作業の方法
第18条の17(解体等工事に係る調査及び説明等)
1建築物等を解体し,改造し,又は補修する作業を伴う建設工事(当該建設工
事が特定工事に該当しないことが明らかなものとして環境省令で定めるもの
を除く。以下「解体等工事」という。)の受注者(他の者から請け負つた解体等
工事の受注者を除く。次項…において同じ。)は,当該解体等工事が特定工事
に該当するか否かについて調査を行うとともに,環境省令で定めるところによ
り,当該解体等工事の発注者に対し,当該調査の結果について,環境省令で定
める事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。この場合におい
て,当該解体等工事が特定工事に該当するときは,第18条の第1項第4
号から第7号までに掲げる事項その他環境省令で定める事項を書面に記載し
て,これらの事項について説明しなければならない。
2前項前段の場合において,解体等工事の発注者は,当該解体等工事の受注者
が行う同項の規定による調査に要する費用を適正に負担することその他当該
調査に関し必要な措置を講ずることにより,当該調査に協力しなければならな
い。
4第1項及び前項の規定による調査を行つた者は,当該調査に係る解体等工事
を施工するときは,環境省令で定めるところにより,当該調査の結果その他環
境省令で定める事項を,当該解体等工事の場所において公衆に見やすいように
掲示しなければならない。
第18条の(発注者の配慮)
特定工事の発注者は,当該特定工事を施工する者に対し,施工方法,工期,
工事費その他当該特定工事の請負契約に関する事項について,作業基準の遵守
を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない。
第6大気汚染防止法施行令(昭和43年11月政令第329号)
第2条の4(特定粉じん)
法第2条第8項の政令で定める物質は,石綿とする。
第3条の3(特定建築材料)
法第2条第11項の政令で定める建築材料は,次に掲げる建築材料とする。
/疉佞雲侈
∪侈覆魎淪する断熱材,保温材及び耐火被覆材(前号に掲げるものを除く。)
第3条の4(特定粉じん排出等作業)
法第2条第11項の政令で定める作業は,次に掲げる作業とする。
‘団蠏築材料が使用されている建築物その他の工作物(以下「建築物等」
という。)を解体する作業
特定建築材料が使用されている建築物等を改造し,又は補修する作業
第7大気汚染防止法施行規則(昭和46年6月厚生省,通商産業省令第1号)
第条の4(特定粉じん排出等作業の実施の届出)
2法第18条の第3項の環境省令で定める事項は,次のとおりとする。
‘団衒瓦犬麈喀佚作業の対象となる建築物等の概要,配置図及び付近の状

特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要
F団蟾事を施工する者の現場責任者の氏名及び連絡場所
げ疾蘇蘓佑特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場
責任者の氏名及び連絡場所
第16条の4(作業基準)
石綿に係る法第18条の14の作業基準は,次のとおりとする。
‘団衒瓦犬麈喀佚作業を行う場合は,見やすい箇所に次に掲げる事項を表
示した掲示板を設けること。
イ法第18条の第1項又は第2項の届出年月日及び届出先,届出者の
氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては,その代表者の氏名
ロ特定工事を施工する者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては,
その代表者の氏名
ハ特定粉じん排出等作業の実施の期間
ニ特定粉じん排出等作業の方法
ホ特定工事を施工する者の現場責任者の氏名及び連絡場所
∩姐罎膨蠅瓩襪發里里曚,別表第7<省略>の中欄に掲げる作業の種類ご
とに同表の下欄に掲げるとおりとする。
第8労働安全衛生法(昭和47年法律第7号)
第14条(作業主任者)
事業者は,高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要と
する作業で,政令で定めるものについては,都道府県労働局長の免許を受け
た者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者
のうちから,厚生労働省令で定めるところにより,当該作業の区分に応じて,
作業主任者を選任し,その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚
生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
第9労働安全衛生法施行令(昭和47年8月政令第318号,平成30年4月政令
第6号による改正前)
第6条(作業主任者を選任すべき作業)
法第14条の政令で定める作業は,次のとおりとする。
㉓石綿若しくは石綿をその重量の0.1パーセントを超えて含有する製剤そ
の他の物(以下「石綿等」という。)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱
う作業を除く。)又は石綿等を試験研究のため製造する作業
第石綿障害予防規則(平成17年2月厚生労働省令第21号,平成30年4月
厚生労働省令第9号による改正前)
第1条(事業者の責務)
1事業者は,石綿による労働者の肺がん,中皮腫その他の健康障害を予防する
ため,作業方法の確立,関係施設の改善,作業環境の整備,健康管理の徹底そ
の他必要な措置を講じ,もって,労働者の危険の防止の趣旨に反しない限りで,
石綿にばく露される労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度
を最小限度にするよう努めなければならない。
第2条(定義)
この省令において「石綿等」とは,労働安全衛生法施行令(以下「令」とい
う。)第6条第23号に規定する石綿等をいう。
第19条(石綿作業主任者の選任)
事業者は,令第6条第23号に掲げる作業については,石綿作業主任者技能
講習を修了した者のうちから,石綿作業主任者を選任しなければならない。
第条(石綿作業主任者の職務)
事業者は,石綿作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
〆邏箸暴昌する労働者が石綿等の粉じんにより汚染され,又はこれらを吸
入しないように,作業の方法を決定し,労働者を指揮すること。
局所排気装置,プッシュプル型換気装置,除じん装置その他労働者が健康
障害を受けることを予防するための装置を1月を超えない期間ごとに点検
すること。
J欷邏颪了藩兢況を監視すること。
第11地方自治法(昭和22年法律第67号)
第2条(総計予算主義の原則)
一会計年度における一切の収入及び支出は,すべてこれを歳入歳出予算に編
入しなければならない。
第211条(予算の調製及び議決)
1普通地方公共団体の長は,毎会計年度予算を調製し,年度開始前に,議会の
議決を経なければならない。この場合において,普通地方公共団体の長は,遅
くとも年度開始前,都道府県及び第2条の19第1項に規定する指定都市
にあつては30日,その他の市及び町村にあつては日までに当該予算を議
会に提出するようにしなければならない。
2普通地方公共団体の長は,予算を議会に提出するときは,政令で定める予算
に関する説明書をあわせて提出しなければならない。
第218条(補正予算,暫定予算等)
1普通地方公共団体の長は,予算の調製後に生じた事由に基づいて,既定の予
算に追加その他の変更を加える必要が生じたときは,補正予算を調製し,これ
を議会に提出することができる。
(以上)

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