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比で妻射殺、夫に懲役17年 「主導的立場」と神戸地裁

 フィリピン中部セブ島で昨年8月、実行役と共謀して現地在住の会社社長、浜田純子さん(当時71)を射殺したとして、殺人罪に問われた無職の夫慎一被告(78)の裁判員裁判で、神戸地裁(川上宏裁判長)は11日、「殺害を主導した立場で責任は重い」として懲役17年(求刑懲役20年)の判決を言い渡した。
 川上裁判長は判決理由で、2014年に雑貨の販売・輸出会社の経営権を純子さんに譲って帰国し、家賃を滞納するなど生活に困窮したと認定。殺害して経営権を取り戻せば、愛人関係にあった実行役のフィリピン人の女(28)へ生活費を送金できると考えたとして「動機は身勝手だ」と指摘した。
 実行役に報酬を約束して、殺し屋を雇って確実に殺害するよう日本から電話で指示しており「強固な殺意があった」とも述べた。
 判決によると、昨年8月24日夜、現地の男女と共謀し、セブ島の路上で車を運転していた純子さんを拳銃で数発撃って殺害した。〔共同〕
(2019/12/11 18:34 日経新聞)

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令和元年12月11日宣告
令和元年(わ)第720号 殺人被告事件
判決
主文
被告人を懲役17年に処する。
未決勾留日数中100日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,自身がフィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)に設立し経
営してきたA社の株式を,妻であるBに譲渡したところ,その関係で同人との間
に金銭トラブルが生じるなどし,また,同人がA社の資金等を横領しているので
はないかと考えて同人に恨みを募らせるとともに,同人を殺害すれば,A社の経
営権を取り戻せるなどと考え,フィリピンに居住するBを殺害しようと決意し,
C及びDと共謀の上,平成▲年▲月▲日午後8時30分頃(現地時間同日午後7
時30分頃),フィリピン共和国セブ州セブ市所在の交差点付近路上において,同
所に停車中の自動車の運転席に乗車していたB(当時71歳)に対し,殺意をも
って,拳銃で弾丸数発を発射して同人の右側胸部,右下顎部等に命中させ,よっ
て,その頃,同所において,同人を心臓右心室銃創により死亡させて殺害した。
(法令の適用)
罰条刑法60条,199条
刑種の選択有期懲役刑を選択
未決勾留日数の算入刑法21条
訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
1本件は,被告人が,フィリピンに居住する妻を殺害しようと考え,日本におい
て,電話で,フィリピンに居住する不倫相手であるCに殺し屋を探すよう依頼し,
C及びCが依頼したDが,フィリピンの路上で,被害者に拳銃を撃って3発の弾
丸を命中させ,被害者を殺害したという事案である。
2本件の動機及び経緯についてみると,被告人は,平成26年4月頃,被害者に
A社の株式を約2000万円で譲渡し,被告人はフィリピンを出国して日本国内
で生活するようになったが,その代金のうち約1000万円が支払われず,その
一方で,被告人は,長年不倫関係を続けてきたCに対し,同人及び同人の子らの
生活費等として多額の送金を続けていたため,次第に家賃を滞納して住居からの
立ち退きを余儀なくされるほど経済的に困窮するようになり,自分が生活に困窮
しているのは,株式の売買代金を支払わない被害者のせいだなどと考え,被害者
に恨みを募らせるとともに,被害者が死亡すれば,A社の経営権を取り戻すこと
ができ,自身の生活費及びCへの送金資金等を得られるなどと考えて本件犯行に
及んだものである。しかしながら,被告人が生活に困窮したのは,不倫相手への
多額の送金が原因というべきであって,かかる動機は身勝手というほかなく,前
記の株式売買代金の一部未払の点を考慮しても,被害者に殺されなければならな
いような落ち度があったとは到底認められず,動機に酌むべき点はないというほ
かない。被告人は,公判廷において,被害者はA社の資金を被害者名義の口座に
移し替えるなどして横領しており,本件の動機はむしろその点が中心であるとい
う趣旨の供述もするが,被告人自身も認めるとおり,そもそも何ら被害者の横領
行為を裏付ける客観的な証拠があるわけではないし,既に被告人がA社の株式を
被害者に譲渡していたことなどからすれば,この点が量刑を左右するような酌む
べき事情となるものではない。
3被告人は,Cに対し,相応の報酬の支払を約束して殺し屋(gunman)を探すよ
う依頼し,被害者を確実に殺害するよう指示するなどしたものであり,被告人が
強固な殺意を有していたことは明らかである。そして,銃での殺害という本件の
態様は,弁護人が主張する日本とフィリピンとの銃に関する意識の差等の事情を
踏まえても,悪質な態様というべきである。被告人は,実行行為には及んでいな
いが,本件を計画し,被告人に経済的に依存しているCらに依頼して被害者の殺
害を遂げたものであり,本件を主導した立場であって,その責任は重い。
4本件犯行により,被害者のかけがえのない命が失われており,もとより結果は
重大であって,娘ら被害者遺族の被告人に対する処罰感情が厳しいのも当然であ
る。
5以上を前提にすると,本件は同種事案(凶器として銃器が使用された,共犯者
のいる,被害者1名の殺人の事案)において重い部類に属する事案であるといえ
る。
6その上で,被告人が当初から本件犯行を認めていること,前科が見当たらない
こと,被告人がすでに高齢といえる年齢に達していることなども考慮し,被告人
には主文の刑を科すのが相当であると判断した。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑・懲役20年)
令和元年12月11日
神戸地方裁判所第4刑事部
裁判長裁判官 川上宏
裁判官 市原志都
裁判官 宮村開人

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