報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

「嫡出否認」めぐる違憲訴訟、女性らの請求棄却 神戸地裁

 明治時代から続く民法の規定「嫡出推定」により、血縁のない男性と法的な父子関係となるのを避けるため無戸籍となった神戸市の30代女性や60代の母親、女性の子2人が、規定の適用を否認する権利が夫にしか認められていないのは男女不平等で違憲とし、国に計220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、神戸地裁であった。冨田一彦裁判長は「憲法に違反していない」とし、女性らの請求を棄却した。
 原告代理人の作花知志弁護士によると、嫡出推定の否認権の違憲性を正面から問う訴訟は全国で初めて。
 訴状によると、母親は元夫に暴力を受け別居し、約1年後に別の男性との間に女性を出産。規定で婚姻中だった元夫との子と推定されるため出生届を出せず、女性は無戸籍となった。
 女性や母親らは「妻や子からの否認を認めるよう国会が民法を改正していれば無戸籍は避けられた」と主張。作花弁護士は「個人の尊重が理念の現憲法に適合しない」としていた。
 女性の子2人も戸籍は作成できず、出生届を提出しても住民票に記載されなかった。子2人は無戸籍を理由に住民票の不記載を続けた神戸市の対応を違法とし、市に計275万円の損害賠償を求めて提訴したが、神戸地裁は10月12日に請求を棄却。代理人弁護士が大阪高裁に控訴している。
 女性と子2人は昨年、母親の元夫が死亡したことなどにより戸籍を得た。
(11/29(水) 13:25 神戸新聞)

<嫡出否認訴訟>民法の規定は合憲、請求棄却 神戸地裁

 生まれた子との父子関係を否定する「嫡出否認」が夫のみに認められている民法の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、兵庫県内の60代女性と娘、孫2人の計4人が国に計220万円の損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁(冨田一彦裁判長)は29日、規定は合憲とし、請求を棄却した。原告代理人によると、無戸籍問題の一因と指摘されている嫡出否認の違憲性に争点を絞った初めての訴訟で、娘と孫2人は長く無戸籍の状態に置かれていた。
 訴状などによると、女性は1980年代、夫から度重なる暴力を受けて別居し、別の男性との間に娘が生まれた。離婚成立後に男性を父とする出生届を提出したが、婚姻中に妊娠した子は元夫の子とみなす民法の「嫡出推定」で不受理となった。嫡出否認の手続きを検討したが、元夫にしか権限がなく、暴力の危険から断念。男性との父子関係を確認する認知調停も申し立てたが、裁判官に「元夫の証言が必要」と指摘され、取り下げた。元夫の死亡が判明した後の昨年まで娘と孫は無戸籍状態となった。
 明治時代の民法を引き継ぎ、妻や子に嫡出否認権を認めない制度について、女性側は法の下の平等、両性の平等などを定めた憲法に反し、国会が民法を改正する立法措置を怠ったと指摘。そのため無戸籍となり、行政サービスを受けられないなど精神的苦痛を受けたと訴えていた。
 一方、国側は、夫のみ否認できる規定を含む現行の嫡出推定制度は「(扶養義務を負う)父を早期に確定させ、子の利益を守り、家庭の平和を尊重する観点から合理性がある」などと反論していた。【小槌大介】
(11/29(水) 13:39 毎日新聞)

「嫡出否認」の規定は憲法に違反せず 神戸地裁

 妻が産んだ子どもを法律上自分の子どもではないと求める手続きを、夫にだけ認めた民法の規定が、憲法に違反するかどうかが初めて争われた裁判で、神戸地方裁判所は「法律的に子どもの身分の安定を保つもので、合理性がある」として、憲法に違反しないという判断を示しました。
 民法では、結婚している妻が妊娠した場合、夫以外の男性との間の子どもだとしても法律上の父親は夫と推定すると定められ、父と子の間に親子関係が無いと裁判所に求める「嫡出否認」という手続きは、夫しかできないことになっています。
 神戸市に住む60代の女性やその子どもや孫たちは、この規定が、男女平等を定めた憲法に違反するなどとして、国に賠償を求める訴えを起こしました。
 女性は「暴力を振るう前の夫から逃げて、別の男性との間に子どもを出産したが、離婚が成立する前の子どものため夫の戸籍に入るのを避けようと出生届を出せなかった。嫡出否認の規定が原因で、子どもたちが無戸籍になった」と主張し、この規定が憲法に違反するかどうかが初めて争われました。
 29日の判決で、神戸地方裁判所の冨田一彦裁判長は「この規定を妻に認めたとしても、夫とは別の生物学上の父から子どもの認知を得られないことがあり得るほか、成長した子どもにこの規定を認めた場合でもこれまでの法律関係が覆され、身分の安定を害するおそれがある」と指摘しました。
 そのうえで「規定は、法律的に子どもの身分の安定を保つもので、合理性がある」として憲法に違反しないという判断を示し、訴えを退けました。
 一方で、判決は「夫とは別の父による認知が得られることなどを要件に、妻にも嫡出否認を認めるなどの制度を築くことは不可能とは言えず、こうした補完的な制度により、子どもが無戸籍となる事態を防止する余地がある」と指摘して、一定の制約の下で妻にも嫡出否認を認めることは選択肢の1つとなり得るという考えを示しました。
 原告の女性「30年前と変わらず 失望した」
 民法の規定が憲法に違反しないとする29日の裁判所の判断について、原告の60代の女性は「娘が無戸籍になった30年前と何も変わらず、これまでに私が何度も何度も行政の窓口で言われてきたことと同じで失望した」と述べました。
 一方、判決の中で、夫から暴力を受けた妻への支援制度の整備が必要という言及があったことについては、「娘らが無戸籍になった背景に、夫からの暴力があったと裁判所が理解を示してくれたことには一定の意義があった」と述べました。そのうえで、「判決をきっかけに、無戸籍の問題について議論が進むのではないかという未来への希望を感じた」と話していました。
 専門家「民法改正の議論につながる」
 家族法が専門の早稲田大学の棚村政行教授は29日の判決について、「問題を先送りする形になり残念だ。120年も前にできた明治時代の民法をそのまま踏襲している規定を問題にしなかった点では、大きな課題を残した」と指摘しています。
 一方、判決の中で、一定の制約のもとで妻にも嫡出否認を認めることは選択肢の1つとなりえるという考えが示されたことについては、「裁判所が妻や子どもの嫡出否認について議論を促しているようにも捉えられ、今後の民法改正の議論につながる」と評価しています。
(11月29日 17時55分 NHK)

嫡出否認訴訟判決、賠償認めず 夫限定の民法、「違憲ではない」と判断 神戸地裁

 子どもの父親であることを法的に否定する「嫡出否認」の訴えが起こせる権利を男性のみに認めている民法の規定は性別による差別に当たり、憲法に反するとして、神戸市の60代女性らが国に計220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁(冨田一彦裁判長)は29日、請求を棄却した。民法の嫡出否認規定が憲法違反かどうかについて、同地裁判決は違憲ではないと判断した。
 原告は女性のほか30代の娘、孫2人の計4人。民法の規定が原因となり、娘と孫が昨年まで無戸籍の状態になる不利益を受けたとして「妻や子も嫡出否認の訴えを起こせるよう法改正されていれば、無戸籍は避けられた」と主張していた。
 訴状などによると、女性は1980年代、暴力を理由に当時の夫と別居し、別の男性との間に娘を出産。民法は「婚姻期間中に妊娠した子どもは夫の子と推定する」と規定しており、離婚成立前だった夫が法律上の父となるのを避けるため、出生届を出さなかった。
 さらに民法上、夫しか手続きできない嫡出否認の訴えも起こせないため、娘は無戸籍となり、娘が生んだ孫2人も無戸籍となったとして精神的苦痛があったとしていた。孫には就学通知や健康診断の案内が届かなかったりした。
 原告4人のうち孫2人は神戸市に対する損害賠償訴訟も神戸地裁に起こし、無戸籍を理由として住民票に記載されなかった精神的苦痛を訴えたが、10月の判決で全面敗訴し、控訴している。
(2017.11.29 13:26 産経WEST)

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

もくじ

名前で検索


 あ行

 か行

 さ行

 た行

 な行

 は行

 ま行

 や行

 ら行?

 わ行

 

管理人/副管理人のみ編集できます