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裁判員裁判10年 名古屋の法曹三者に聞く


 裁判員裁判制度について語る、名古屋地裁の吉井隆平裁判官=名古屋市中区の同地裁で2019年3月27日午後3時10分、野村阿悠子撮影
 「国民の司法参加」を掲げた裁判員裁判制度が21日、開始から10年を迎えた。制度の成果と課題について、名古屋地裁部総括判事の吉井隆平裁判官、名古屋地検公判部の上野暁部長、刑事弁護を多く手がける金岡繁裕弁護士(愛知県弁護士会)の3人にそれぞれ話を聞いた。「裁判員に分かりやすい裁判になってきた」との評価がある一方、「細かい法律論の理解を求めるのは難しく、弁論内容が薄くなるケースもある」との指摘もあった。
 ■法廷での変化
 吉井裁判官は「裁判員が『目で見て耳で聞いて分かる裁判』に向けて努力してきた」と話す。検察側、弁護側ともに「裁判官が後で記録を読むだろう」と考えず「法廷が勝負」という意識に変わったと感じるという。
 上野部長は「(検察は)口頭で分かりやすく主張する技術が向上した」と自己評価。裁判員の表情を見ながら大きな声で話し、写真などをモニターに映す際は時間をかけ、事前にリハーサルをして検察官同士で意見を出し合うこともあるという。金岡弁護士は「裁判員に印象を残すことが求められるため、抑揚を付けて話す工夫をする人もいる」とする一方で「裁判員に細かい法律論の理解を求めるのは難しく、弁論内容が薄くなるケースもある」とも指摘する。
 ■量刑への影響
 制度の目的の一つは判決に市民感覚を取り入れることだが、金岡弁護士は「ほとんど変わっていない」と指摘し、「裁判官が過去の量刑分布データを示して評議するため、落ち着くところに落ち着かされている」と語る。上野部長は「犯行の経緯や態様を検討し、事情を考慮して刑を決めたという過程が分かりやすい内容になってきている」、吉井裁判官は「重要な事実に絞って検討するようになり、コンパクトな判決文になった」と話す。
 ■裁判員への配慮は
 金岡弁護士は「裁判所にとって裁判員は『お客様』で、予定通りに裁判を進めて満足して帰ってもらうことを最優先している」と批判。公判開始後に新たな証拠の取り調べが必要になっても採用されないことがほとんどだと訴え、「判決の日程をあらかじめ決めず、徹底的に議論すべきだ」と主張する。吉井裁判官は自身の裁判で予定変更した経験もあるとし「裁判員に負担がかかるため予定変更が好ましいとは思わないが、必要な審理はやる」と話す。
 ■次の10年は
 吉井裁判官は「まだ制度が定着したとは言えない。裁判員裁判について伝え続けたい」。上野部長は「分かりやすい立証のためにやってきたことを引き続きやる」、金岡弁護士は「公判中に新たに立証が必要なことが出てきたら、態勢を立て直す手続きの保証が必要だ」と語る。【野村阿悠子】
(5/23(木) 23:03 毎日新聞)

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