報道等をもとに日本の裁判官の情報を収集、掲載しています。

唐津金塊密輸で初判決 日本人3人に執行猶予

 金塊約206キロを小型船で唐津市鎮西町の名護屋漁港に密輸したとして、9人が関税法違反(無許可輸入)などの罪に問われた事件で、山崎聡被告(42)=青森県むつ市=ら日本人3人に1日、佐賀地裁は懲役1年6月〜2年と罰金50万円、執行猶予3〜4年の判決を言い渡した。佐賀地検が求めた金塊の没収については判断しなかった。事件を巡る判決は初めて。 
 金塊の運搬役の山崎被告と、元中国籍で通訳の伊藤武被告(29)=東京都江戸川区=が懲役1年6月と罰金50万円、執行猶予3年(求刑懲役1年6月、罰金50万円)。甲板員の〓(サンズイにウカンムリにマユ毛のマユの目が貝)本勝治被告(46)=青森県むつ市=が懲役2年と罰金50万円、執行猶予4年(求刑懲役2年、罰金50万円)。
 吉井広幸裁判官は判決理由で「高度の組織性、計画性を有する犯行。いずれも重要な役割を担った」と指摘する一方、「被告らは首謀者ではなく、手足として利用された。反省態度も示している」と述べた。
 金塊の没収を巡っては、金塊の所有権を主張する人物が裁判への参加を申し立てたことを明らかにし、中国籍の3人の公判で可否を判断する考えを示した。
(12/2 9:49 佐賀新聞)

中国の会社代表か、密輸の金塊に所有権を主張

 佐賀県唐津市の漁港に今年5月、金塊約206キロ(約9億3000万円相当)が密輸された事件で、金塊の所有権を主張する人物が、中国人3被告の裁判に参加を申し立てていることがわかった。
 佐賀地裁で1日にあった日本人3被告の判決公判で明らかになった。吉井広幸裁判官は、この人物の主張などを確認するため、判決では金塊の没収についての判断を示さなかった。
 事件で密輸された金塊について、佐賀地検は10月27日から11月10日まで、所有権を主張する人物の裁判への参加申し立てを公告。関係者によると、申し立てを行った人物は、中国で貴金属の取引などを手がける会社の代表とみられるという。
 この日の判決で吉井裁判官は、関税法違反(無許可輸入)などに問われた無職の男(46)(青森県むつ市)に懲役2年、執行猶予4年、罰金50万円(求刑・懲役2年、罰金50万円)、無職の男(42)(同)とアルバイトの男(29)(東京都江戸川区)に懲役1年6月、執行猶予3年、罰金50万円(いずれも求刑・懲役1年6月、罰金50万円)の有罪判決を言い渡した。
 事件では中国人3人を含む計9人が起訴されているが、判決が出たのは初めて。
(2017年12月02日 10時39分 読売新聞)

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平成29年12月1日宣告
平成29年(わ)第134号,同第136号関税法違反(変更後の訴因関税法違反,消費税法違反,地方税法違反)
主文
被告人Aを懲役2年及び罰金50万円に,被告人B及び被告人Cをそれぞれ
懲役1年6月及び罰金50万円に処する。
被告人らに対し,未決勾留日数中各120日を,それぞれその懲役刑に算入
する。
被告人らにおいて上記罰金を完納することができないときは,金5000円
を1日に換算した期間,その被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から,被告人Aに対し4年間,被告人B及び被告人C
に対し3年間,それぞれその懲役刑の執行を猶予する。
佐賀地方検察庁で保管中の汽船D1隻を没収する。
訴訟費用中,国選弁護人福島和代に関する分は被告人Aの,国選弁護人小野
紗矢香に関する分は被告人Bは被告人C
の負担とする。
(罪となるべき事実)
被告人3名は,E,F,G,H,I,J,K及び氏名不詳者と共謀の上,不正
に金地金を日本国内に輸入し,これに対する消費税や地方消費税を免れようと企
て,平成29年5月30日午後4時42分頃,東シナ海公海上において,国籍不
明の船舶から日本国外で積載された金地金206塊(重量合計205.50765
)を被告人A他4名が乗船する汽船Dに積み替え,同月31日午後3時頃,同船
を佐賀県唐津市a町b番地c所在のL協同組合a町統括支所地先岸壁に接岸させ
て上記金地金を陸揚げし,もって,税関長の許可を受けないで,貨物を輸入する
と共に,上記不正の行為により上記金地金(課税価格9億3016万8727円相
当)に対する消費税5860万0500円及び地方消費税1581万2800円を
免れたものである。
(適用した罰条)(以下の適条関係は被告人3名ともに共通である。)
判示行為関税法違反の点につき,刑法60条,関税法111条
1項1号,67条
消費税法違反の点につき,刑法60条,消費税法64
条1項1号
地方税法違反の点につき,刑法60条,地方税法72
条の109第1項
科刑上一罪の処理刑法54条1項前段,10条(一罪として刑及び犯情
の最も重い消費税法違反の罪の刑で処断)
刑種の選択懲役刑及び罰金刑を併科
未決勾留日数刑法21条
労役場留置刑法18条
刑の執行猶予刑法25条1項
没収関税法118条1項本文
訴訟費用の処理刑事訴訟法181条1項本文(負担)
(量刑の理由)
被告人らは共犯者らと共謀し,重量合計205塒召蠅龍皺遙横娃恐瑤鯔榾に
密輸すると共に,これに対する消費税5860万0500円及び地方消費税15
81万2800円,合計7441万3300円を免れたものである。本件は被告
人らを含む日本人と中国人が緊密に連絡を取り合い,周到な準備や役割分担をす
るなどして実行された高度の組織性・計画性を有する犯行である上,密輸に係る
金塊の価格は9億3000万円余りであり,逋脱税額も多額に上っている。
被告人Aは海上で金塊を運んできた相手の船から自船にこれを積み替えさせる
ために相手の船に自船を接舷させ,これを陸揚げするなどの本件密輸の実行行為
自体を担当し,被告人Bは本件密輸に係る種々の連絡や準備行為に従事し,日本
人と中国人間の通訳をも担当しており,被告人Cは金塊を陸揚げしただけでなく,
陸揚げした金塊を直ぐに搬送できるようにするなど,いずれも本件の遂行につい
て重要な役割を担ったものである。
本件の犯情は芳しくなく,被告人らは厳しく戒められる必要がある。
しかしながら,被告人らは本件の首謀者ではなく,本件の上位者にいわば手足
として利用されたという面がある上,いずれの被告人も被告人なりに反省の態度
を示している。また,被告人Aは平成17年12月に覚せい剤取締法違反の罪に
より懲役1年6月,3年間執行猶予に処された前科を有しているものの,本件と
は罪質を異にしている上,猶予期間は既に満了し,猶予期間満了後本件までに8
年以上が経過していることに徴すると,これを過度に重視するのは相当ではない。
被告人Bには前科・前歴はなく,被告人Cは平成10年12月に業務上過失傷害
及び道路交通法違反の罪により懲役1年4月の実刑に処せられた前科を有してい
るが,これも本件と罪質を異にしている上,刑執行終了後既に17年が経過して
いるのであるから,これを特に問題視する必要性は存しない。
そこで,被告人らについてそれぞれ主文掲記の刑を定めた上で,懲役刑につい
てはその執行を猶予して社会内更生の機会を与えるのが相当と判断した。
なお,検察官は,刑法19条に基づき金塊を没収することも求めているが,こ
の規定は必要的没収ではなく任意的没収を定めたものである上,本件とは別に審
理している中国人が被告人になっている刑事事件について,金塊の所有者と称す
る者が裁判への参加の申立てをしており,当該事件に上記の者の参加が許された
場合にその主張立証を踏まえて金塊の没収の可否・当否の判断を行うことが相当
と考えられることに鑑み,本件ではその判断は示さないこととした。
平成29年12月18日
佐賀地方裁判所刑事部
裁判官 吉井広幸

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