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失職回避嘆願書の飲酒運転職員に有罪判決…香川

 酒を飲んで車を運転したとして、道路交通法違反(酒気帯び運転)に問われた香川県三木町の男性職員(39)に対し、高松地裁は12日、懲役8月、執行猶予2年(求刑・懲役8月)の有罪判決を言い渡した。町長を含む町職員の4分の1にあたる約120人が寛大な判決を求めて地裁に嘆願書を提出していたが、湯川亮裁判官は判決で「危険な運転行為だった。同種の事案の中でも犯情は良くない」と述べ、失職が免れられる罰金刑を求めた弁護側の主張を退けた。
 判決などによると、職員は2月4日夜、同僚らと飲食店で飲酒した後、町内で乗用車を運転。信号待ちの車に追突する事故を起こした。地方公務員法では、執行猶予を含め禁錮刑以上が確定すると公務員は失職する。このため、同僚らが失職の回避を求める嘆願書を提出。筒井敏行町長や副町長、教育長も署名していた。
(2017年09月12日 読売新聞)

禁固刑以上なら失職、町長ら嘆願も罰金適用せず…酒気帯び運転の町職員、有罪 高松地裁

 同僚との飲み会後に酒気帯びの状態で車を運転したとして、道交法違反罪に問われた香川県三木町職員松家俊樹被告(39)に高松地裁は12日、懲役8月、執行猶予2年(求刑懲役8月)の判決を言い渡した。禁錮以上の刑が確定すれば地方公務員法の規定で失職するため、筒井敏行町長を含む同僚らが罰金刑以下を求める嘆願書を地裁に提出しており、物議を醸していた。
 湯川亮裁判官は判決理由で、呼気から基準値の3倍を超えるアルコールが検出され、事故も起こしていたため「危険な運転行為だ」と指摘。刑の選択に当たっては「被告自身の行為に関する責任を問う量刑の枠組みを踏まえると、罰金刑は選択できない」と判断した。
 さらに、多くの職場関係者が加わった嘆願書の提出については被告に有利な一つの事情として考慮するにとどめ、最終的な量刑は「比較的短期間の執行猶予を付けた懲役刑とするのが相当だ」と結論付けた。
 判決によると、2月4日午後11時半ごろ、同町の県道で酒気を帯びた状態で乗用車を運転した。嘆願書を巡っては検察側も論告で「強い違和感がある」と言及していた。
(2017.9.12 11:08 産経WEST)

「刑を軽く」飲酒運転の職員に町長らが嘆願書…町民から非難殺到、裁判の結末は

 香川県三木町の男性係長(39)が飲酒運転で事故を起こし、道交法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた高松地裁での裁判が、にわかに世間の注目を集めた。町長をはじめ職員ら約120人が減刑を求める嘆願書を弁護士を通じ、地裁に提出したためだ。飲酒運転撲滅の先頭に立つべき役所がトップ以下集団で飲酒事故の身内をかばい立てする行為。しかも町長は罪が確定した際に行政処分を下す立場とあって、町内外から批判が殺到。学識者からは「飲酒運転を容認する町と言われても仕方ない」との意見も出た。「子供を思う親の気持ちだ」。町長はこう釈明したが、異例の展開をたどった裁判と町をめぐる事態はどんな結末を迎えたか−。
 「コンビニでお茶を買おうと」
 飲酒運転の経緯はこうだ。起訴状などによると、男性係長は2月4日午後4時ごろから、職場の同僚らとの飲み会で飲食店2軒をはしご。同11時ごろに同僚が呼んだ代行運転の車に同乗し、いったんは町内の自宅に帰った。
 ところがその後、コンビニへお茶を買いに行くため自分の車を運転して自宅を出て、同11時半ごろに町内の県道交差点で信号待ちをしていた乗用車に追突。110番で駆けつけた警察官が酒のにおいがするのに気づき、飲酒検知したところ基準値の3倍以上に当たる呼気1リットル当たり約0・5ミリグラムのアルコールが検出され、酒気帯び運転で現行犯逮捕。その後、在宅起訴された。事故によるけが人はなかった。
 禁錮刑以上なら自動失職
 7月12日の初公判で男性係長は起訴内容を認めた。検察側は「酒気帯びの程度が大きく、危険が現実化している」として懲役8月を求刑、弁護側は「常習性はなく、更生のためには罰金刑が相当」として罰金50万円を求めた。
 地方公務員法では禁錮刑以上が確定すれば執行猶予付きでも失職となる。懲役刑か罰金か。司法判断が男性係長のその後の生活を左右する事態となった。
 刑事裁判では、一般的に量刑が争点となった場合、弁護側はできるだけ刑を軽くするため、家庭環境や職場での働きぶりなどを情状証拠として示すケースが多い。今回の場合、弁護側は男性係長の職場の同僚らが集めた嘆願書約120人分を提出した。120人は全職員の4分の1にあたるという。
 しかし、税金を預かる公務員が飲酒事故の同僚を集団でかばい立てするような行為に多くの住民が違和感を覚えた。その中に筒井敏行町長が含まれていたからなおさらだ。
 町内外から批判殺到
 「飲酒運転を容認するのか」「公職にあるものがなぜ嘆願書を出すのか」
 8月下旬、報道で嘆願書の存在が伝わると住民から批判の声があがり、町役場には1週間で約300件の抗議の電話やメールが寄せられた。筒井町長は「個人としての心情に基づき、あくまで個人として行動したもの」とのコメントを出したが、飲酒運転に対する世間の認識とのギャップが際立つ事態となった。
 町長のこうした対応に、同志社大政策学部の太田肇教授(組織論)は「行政処分の決定者である町長が、嘆願書を出すのは公正さを保つ立場として問題がある。自治体のトップは組織のトップであると同時に町民の代表。町自体が飲酒運転を容認しているといわれてもしかたがない」と指摘する。
 平成23年に飲酒運転事故で当時16歳の長男を亡くして以来、全国の自治体などで飲酒運転撲滅を呼びかける講演活動を行っている山本美也子さん(49)も「『飲酒運転は犯罪』という認識がいまだに薄いのではないか。飲酒運転撲滅を推進する立場である町長が、身内を許してほしいと嘆願をするのは全くの時代錯誤だ」と憤る。
 判決は「罰金刑を選択することはできない」
 小さな町を舞台にした裁判はこうしてにわかに注目を浴びたが、9月12日の判決公判で湯川亮裁判官は男性係長に懲役8月、執行猶予2年(求刑懲役8月)を言い渡し、罰金刑など減刑の嘆願を一蹴した。
 湯川裁判官は「危険な運転行為でその態様は悪い。代行運転で帰宅したにもかかわらず、自宅の車であえて本件に及んだ意思決定は非難をまぬがれない」と断じた。
 さらに、飲酒運転の撲滅に向けさまざまな対策が講じられているものの、犯行が後を絶たないという社会情勢を踏まえ、「同種犯罪を抑止する一般予防の観点を無視できない」と指摘。「基本とすべき量刑の枠組みを踏まえると、本件で罰金刑を選択することはできない」とした。
一方、職員らによる嘆願書や判決次第で失職する可能性があることについては、「本件において罰金刑か懲役刑を決める決定的な要素にならない」と述べ、量刑は「比較的短期間の執行猶予を付けた懲役刑とするのが相当だ」とした。
 「子を思う親の気持ちで」と釈明
 判決が出た後の町長の“変わり身”は早かった。まだ男性係長が控訴する可能性も残っていたが、町は判決当日に早々と男性係長を懲戒免職処分にした。
 記者会見した筒井町長は「このような事態を2度と起こさないよう法令順守を徹底するとともに、公務員としての自覚を強く促し、住民皆様の信頼回復に取り組む」と述べた。
 嘆願書を出したことについては、「失職となる禁錮刑以上の量刑を防ぐためだった」と改めて説明。その心境について「職員は子供のようなもの。あくまで個人としての心境に基づき提出したが、子を思う親の気持ちが強すぎた」と釈明した。
 飲酒運転という罪の悪質さを考慮しなかったのかという問いには、「そこがちょっと判断の間違ったところで、議会でも盛んに逮捕された時点で悪いと言われた。振り返ってみればそう思ってもよかった」と説明。「飲酒運転への認識の薄さ、甘さがあるのでは」と聞かれ、「公人と私人のラインが甘かった。そこが子を思う親の部分が出過ぎたということ」と述べた。
 今後同様の事案が起きた場合は、「嘆願書で住民から相当批判を受けたので、もっと慎重に考えていきたい」といい、自身を含む管理職の処分については、職務時間外での事案のため責任を問わないとした。
 香川県警によると、平成28年の県内の交通事故死亡者数は61人で、人口10万人当たりでは全国ワースト3位。県内では交通死亡事故の撲滅に向けてさまざまな取り組みを行っており、自治体の長は率先して取り組みを進める立場だ。
 高松地検も論告求刑で「県下を挙げて啓発活動に動いており、(町長らの嘆願書は)驚きと強い違和感を覚える」と述べている。
 地検が抱いた違和感、そして嘆願書が招いた町内外からの批判は、町長の説明で払拭されたとはいえない。
(2017.9.20 12:00 産経WEST)

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