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受刑者の選挙権制限は「合憲」 広島高裁

 受刑者の選挙権を制限している公職選挙法の規定が憲法に違反するか否かが争われた訴訟の控訴審判決が20日、広島高裁であり、生野考司裁判長は合憲との判断を示した。受刑者の選挙権をめぐっては、大阪高裁が2013年に「制限は違憲」としており、両高裁で異なる司法判断となった。
 訴えたのは50代の元受刑者の男性。広島刑務所で受刑中の14年12月にあった衆院選で投票できず、次の国政選挙で選挙権があることの確認と、慰謝料などの賠償を求めていたが、判決はいずれも退けた。
 生野裁判長は大阪高裁判決同様、「選挙権の制限は原則、許されない」とする一方、「自ら選挙制度の公正を害する者」を例外として示した05年の最高裁の司法判断を踏まえて検討。ただ最高裁が在外邦人の選挙権の制限をめぐって判断した05年のケースと、今回の受刑者のケースは事案が異なるとの見解を示した。
 その上で憲法は、有権者の資格を法律で定めるとしていることから、合理的な理由に基づく制限を認めているとした。さらに「法秩序の安定が選挙を適切に行う基盤」と指摘し、法秩序に対する違反の程度が著しい受刑者の選挙権の制限は正当性、合理性があると結論づけた。(小林圭)
(2017年12月20日21時14分 朝日新聞)

元受刑者訴え、二審も認めず=選挙権制限訴訟−広島高裁

 受刑者の選挙権を認めない公選法11条の規定は憲法違反だとして、50代の男性元受刑者が国を相手に違憲確認や損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、広島高裁であり、生野考司裁判長は一審広島地裁に続き、男性の請求を退けた。
 公選法11条は禁錮以上の刑が確定した者について、刑の執行が終わるまで選挙権を認めていない。男性側は「選挙権は憲法で国民に平等に保障されている」と主張していた。
 生野裁判長は「選挙権は公権力の行使と国家意思の形成に参加する『公務』としての性格を持つ」と指摘。公選法の規定について「重大な罪を犯した受刑者を公務不適格として排除するのは、選挙を公明、適正に行うためで、一定の正当性、合理性がある」と述べた。
 判決などによると、男性は2007〜16年まで広島刑務所に服役。14年衆院選で投票の意思を示したが、公選法の規定を理由に認められなかった。
(2017/12/20-16:10 時事ドットコム)

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平成29年12月20日判決言渡
平成28年(行コ)第24号選挙権確認等請求控訴事件(原審広島地方裁判所
平成27年(行ウ)第25号)
主文
1原判決を次のとおり変更する。
2控訴人の,控訴人が次回の衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙において
投票することができる地位にあることの確認を請求する訴えを却下する。
3控訴人のその余の請求を棄却する。
4訴訟費用は,第1,2審を通じ,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2控訴人が,次回の衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙において投票する
ことができる地位にあることを確認する。
3被控訴人は,控訴人に対し,120万円及びこれに対する平成26年12月
14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1本件は,刑務所に収容されて,平成26年当時,懲役刑の執行を受けていた
控訴人が,被控訴人に対し,公職選挙法11条1項2号(以下「本件欠格条項」
ということがある。)は憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条た
だし書に違反し無効である旨主張して,次回の衆議院議員及び参議院議員の各
選挙において投票することができる地位にあることの確認を求めるとともに,
国会議員が本件欠格条項を制定した違法行為及び廃止しなかった違法行為によ
り,同年12月14日に実施された衆議院議員総選挙において選挙権を行使で
きず,精神的苦痛を受けたとして,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償(慰
謝料100万円及び弁護士費用20万円)及びこれに対する損害発生日である
同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め
た事案である。
原判決は,本件欠格条項は憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44
条ただし書に違反せず有効であるから,控訴人は次回の衆議院議員及び参議院
議員の各選挙において投票することができる地位にないし,本件欠格条項につ
き国会議員の立法行為及び立法不作為に違法はないと判断して,控訴人の請求
をいずれも棄却した。控訴人は,これを不服として,本件控訴を提起したが,
その後,懲役刑の執行を終えて刑務所を出所した。
2関係法令等の定め
原判決第2,2に記載のとおりであるから,これを引用する。
3前提事実
控訴人の収容関係
控訴人は,日本国民であるが,平成19年に勾留されて刑務所に収容され,
平成20年,岡山地方裁判所において,懲役8年6月に処する旨の判決を言
い渡され,同判決が確定して刑の執行が開始され,平成26年12月当時は
広島刑務所に収容中であったが,平成28年7月31日に刑期が満了し,懲
役刑の執行を受け終えて出所した。(争いのない事実,乙24,25,弁論の
全趣旨)
控訴人の平成26年12月14日施行衆議院議員総選挙に係る経緯
控訴人は,平成26年12月4日,広島刑務所において,担当職員に対し,
願箋をもって,同月14日施行の衆議院議員総選挙における不在者投票の実
施を願い出たが,広島刑務所長は,控訴人が懲役刑の執行中であり,同選挙
の選挙権を有していないため,権利の存在しない出願については,願意取り
計らわないことが相当であると判断し,同月9日,控訴人にその旨告知し,
控訴人は,同選挙において投票することができなかった。(弁論の全趣旨)
本件訴訟の提起
控訴人は,平成27年9月16日,本件訴訟を提起した。
4争点及び争点に対する当事者の主張
における被控訴人の主張を,それぞれ加えるほかは,原判決「事実及び理由」
当審における控訴人の補充的主張
ア選挙権の公務的性質を認めることの当否について
選挙権は,国民の代表者たる国家機関やその構成員を選定する権利であ
ることから,公的性格が付加されているとはいえるものの,憲法が選挙の
棄権に特段の制裁を予定していないこと(自由選挙の原則)からしても,
選挙を公務などと解するのは到底妥当とはいえない。
イ選挙権の公務的性質・性格との関係について
公務員就任,選挙権とも,国家との関係において能動的地位に置かれ
るという共通性を持つとしても,個人が公権力の行使者としての一般公
務員に就任する場合に要求される資質等と,選挙において投票者に要求
される資質等とは,その性質を異にしており,選挙権に公務的性質・性
格が認められるとしても,それは立法府に広い裁量を認める根拠にはな
らない。
選挙における投票者の場合,不正投票に関しては選挙の公正を侵害し
たことに伴う一定の懲罰が設けられる可能性があるものの,どのような
政治的あるいは非政治的意図をもって投票したとしても,いかなるイン
モラルな動機に基づいて投票したとしても,いかに不勉強で自分自身の
投票の意味づけが分からなかったとしても,投票の中身自体について処
罰を受けることはない。選挙における投票には,選挙法原則の1つとし
ての秘密投票が高度に保障されており,憲法上,投票の責任について公
的にも私的にも,法的に問われることがないからである。
このような制度設計を採用する理由は,統治を受け入れる人々に政治
的決定の契機を与えることで国家権力と国民との間の政治的結びつきを
持たせるにあたり,民主主義的な統治体制にあっては,様々な影響から
解放された,あらゆる階層の諸個人の自由な政治的意思表明が等価的に
行われること自体が,権力の正統性を支える大きな根拠となっているか
らである。市民の政治的意思決定能力をめぐっては,せいぜい選挙年齢
に達していない未成年者による投票制限が憲法上示されるくらいであり
(しかもその未成年者の範囲でさえも最小限にすべきことが唱えられ
る),それ以外,投票能力自体の客観的適正さを厳格に求めないこと自
体に近代的な選挙原則の価値がある。
よって,選挙での投票について公務執行的性格が仮にあったとしても,
近代の選挙法公理の下では,その性格を理由とする選挙権ないしその行
使に関する制限を導くことはできない。
また,受刑者の人権をめぐる状況は,憲法制定時と現在とでは大きく
変化しており,いわゆる特別権力関係論は影を潜め,従来の監獄法(明
治41年法律第28号)は全面改正されて「刑事収容施設及び被収容者
等の処遇に関する法律」(平成17年法律第50号)となり,同法では,
受刑者は,単に応報のために移動の自由を奪われた存在ではなくなって
いるのであるから,現時点では,憲法44条の規定が,公職選挙法11
条1項2号のような受刑者一般に対する広範な欠格条項を許容している
とは到底考えられない。
ウ平成17年判決の射程内か否かについて
原判決は,本件が,平成17年判決の厳格な基準が妥当しない例外に該
当するかのような理解もしているが,そもそも,事例が異なるから平成1
7年判決の厳格な審査基準が及ばないとしながら,厳格な審査基準が妥当
しない例外部分についてのみそれを参照するという論法は,論理的整合性
を欠いている。
また,平成17年判決は,「自ら選挙の公正を害する行為をした者等」
を除外しているのみであって,原判決のように抽象的に広く「一定の範囲」
について法律により選挙権の欠格事由が定められていることを許容してい
るとは到底読めない。
エ平成17年判決が本件にも妥当することについて
平成17年判決は,「国民の選挙権又はその行使を制限することは原則
として許されず」と判示しており,本件のような選挙権そのものの制限に
ついても厳格な審査基準が妥当するとしているというべきである。本件欠
格条項のように選挙権そのものが制限される場合,権利の制約の度合いは,
平成17年判決の事例である選挙権があるもののその行使が不可能という
場合と同等かそれ以上であるから,平成17年判決と同等かそれ以上に厳
格な審査が妥当するというべきである。
オ立法内容が目的達成の手段として必要とはいえないことについて
本件欠格条項は,公権力行使に関する意思決定過程への介入とは何ら関
係ない理由により刑に服している者に対する選挙権の剥奪・停止を定める
ものである。
選挙と無関係な理由により受刑中の者は,公明かつ適正な選挙を害し得
る固有の事情を有するものではない。一般の受刑者は公明かつ公正な選挙
の実施に対する国民の信頼を毀損したものではなく,この者らに対する制
裁としての選挙権剥奪・停止は,国民の信頼を回復する意味を持たないか
ら,選挙を含む公権力行使に係る一連の意思決定過程が公明かつ適正に行
われることに資するとは評価できない。
また,犯罪に至る動機形成過程と関係のない選挙権を剥奪・停止したと
ころで,この者らに対する再犯防止の効果があるともいえない。
受刑者一般に対する選挙権剥奪・停止が公明かつ適正な選挙の実施とい
う目的達成の手段として必要であるとは認められない。
カ立法内容が目的達成の手段として合理性を欠くことについて
仮に,受刑者に対する選挙権剥奪・停止が,公明かつ適正な選挙の実
施に何らか資する可能性があるとしても,受刑者の選挙権の行使を認め
ることによる選挙への弊害もなく,公明かつ適正な選挙権行使の確保の
ために,受刑者の選挙権剥奪・停止が必要不可欠なものとまでは認め難
い以上,必要不可欠とまで認められない利益のために,国民の重要な権
利である選挙権を包括的に剥奪・停止することは,あまりに均衡を失し
不合理である。
また,憲法の下においては,選挙権の行使は,国民一人一人の内心の
意思に基づき,何者からも自由に行うことが保障されており,秘密選挙
が原則とされていることからも自明なとおり,選挙人本人の内心の意思
決定を詮索すること自体許されない。選挙権を行使する際の内心の状態
に基づいて選挙権の行使が批判される余地はない。
遵法精神が欠けているか否かということは,内心の状態に他ならず,
遵法精神が欠けているか否かという観点から選挙権行使の主体としての
適格性が否定されることはあり得ない。普通選挙が保障される成年者で
ある以上,選挙権の行使の主体としての適格性に疑いがないことは明白
である。
当審における被控訴人の主張(控訴人の,次回の国政選挙において投票す
ることができる地位にあることの確認の訴えに係る本案前の抗弁)
控訴人は,平成20年10月8日に懲役8年6月(罰金100万円併科)
の判決の言渡しを受けたが,平成28年7月31日には,当該刑の執行を受
け終えている。
したがって,被控訴人としても,控訴人が,現在,「禁錮以上の刑に処せら
れその執行を終わるまでの者」に該当しない以上,控訴人が次回の衆議院議
員の選挙及び参議院議員の選挙において投票することができる地位にあるこ
とを殊更否定するものではない。そうすると,この点に関し控訴人の権利又
は法的地位に現に不安,危険が存在するとはいえず,本件は,即時確定の現
実的利益があるとはいえない。
第3当裁判所の判断
1控訴人の,次回の国政選挙において投票することができる地位にあることの
確認の訴えについて
被控訴人は,当審第1回口頭弁論期日においても,当審の口頭弁論終結時に
おいても,原判決後に刑の執行を終えた控訴人が次回の国政選挙において投票
することができる地位にあることを争っていない。当審において,弁論を継続
中であった平成29年10月22日の衆議院議員選挙において,控訴人の投票
が妨げられなかったことは控訴人の自認するところである。したがって,控訴
人の,次回の国政選挙において投票することができる地位にあることの確認の
訴えは,即時確定の利益を欠き,不適法である。
2控訴人の国家賠償請求について
当裁判所も,控訴人の国家賠償請求は理由がないと判断する。その理由は,
するほかは,原判決「事実及び理由」第3,1及び2に記載のとおりである
から,これを引用する。
補正

れば,」を「私人である候補者を公権力を行使する公務員である議員や首
長に就任させる効果をもつ権利であり,かかる選挙権の法的性格と行使の
結果に鑑みれば,選挙権は,」に,同頁4行目の「公務」を「公権力の行使
及び国家意思の形成に参画する公務」に,同頁7行目「法律が合理的な理
由に基づき」を「法律が,上記公務に携わることへの適格性(以下「公務
適格性」という。)に係る合理的な理由に基づき」に,それぞれ改める。
イ原判決19頁9行目末尾の後に,改行の上,次のとおり加える。
これに対し,控訴人は,民主主義的な統治体制にあっては,様々
な影響から解放された,あらゆる階層の諸個人の自由な政治的意思
表明が等価的に行われること自体が,権力の正統性を支える大きな
根拠となっており,市民の政治的意思決定能力をめぐっては,未成
年者であること以外に,投票能力自体の客観的適正さを厳格に求め
ないこと自体に価値があるから,選挙での投票について公務執行的
性格が仮にあったとしても,近代の選挙法公理の下では,その性格
を理由とする選挙権ないしその行使に関する制限を導くことはでき
ない旨主張する(控訴人の当審における主張イ)。
しかし,前記アに示したとおり,憲法は,公務適格性に係る合理
的な理由に基づく選挙権の制限を要請し認めていると解されるので
あって,憲法は,普通選挙原則等の近代的な選挙諸原則も,選挙権
を制限するに際し配慮を要するものの,上記制限を伴うものとして
採用していると解するのが相当であるから,控訴人の上記主張は採
用できない。」
ウそして,」に改める。
エ原判決19頁17行目末尾の後に,改行の上,次のとおり加える。
「この点,控訴人は,憲法が選挙の棄権に特段の制裁を予定していな
いこと(自由選挙の原則)からしても,選挙を公務などと解するのは
到底妥当とはいえない旨主張する(当審における控訴人の主張ア)。
しかし,自由選挙の原則は,選挙権行使が義務ないし責務であると解
することを妨げるものではない。そして,公務ないし公務員の職務の
概念について,その遂行が法的に義務づけられ,かつ,遂行しない場
合に制裁が予定されているものに限定すべき理由はなく,いわゆる職
務権限があり,その遂行が義務ないし責務であるといえるにもかかわ
らずそれを公務と解しない理由はないから,自由選挙の原則と選挙権
の公務性とが相容れないということはできず,控訴人の上記主張は失
当である。」
オ原判決19頁18行目及び20頁13行目の各「選挙人の」の前に,「公
務適格性等という,選挙権に内在する制約を理由に」をそれぞれ加える。
カ原判決21頁2行目末尾の後に,「そして,平成17年判決が,選挙権
に内在する制約を理由にする資格制限の典型例である「自ら選挙制度を害
する行為をした者」を例示していることに照らせば,平成17年判決は,
公務適格性等の,選挙権に内在する制約を理由にする資格制限については,
同判決の射程の外にあるものとして例示したに止まるということができ,
本件は,まさに,平成17年判決がその射程の外にある(事案を異にして
いる)ものとして位置づけているということができる。」を加え,さらに,
改行の上,次のとおり加える。
「また,控訴人は,「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」
が制定されるなど,受刑者の権利をめぐる事情が大きく変化し,立法事
る事情変化は,もっぱら刑事収容施設内の被収容者の自由権の制限の内
容やその程度に関するものであって,選挙権における公務適格性とは別
次元の問題であるから,控訴人の主張は採用できない。」
キ原判決21頁3行目「原告の主張は」を「控訴人の主張は,当審におけ
ク原判決21頁9行目ないし10行目「ことに着目して,そのような者に
対する制裁として」を「こと及び法秩序の維持や社会秩序の安定が選挙を
公明かつ適正に行うための不可欠の基盤であること等に着目して,そのよ
うな者を公務不適格者(公務不適格性につき,国家公務員法38条2号,
地方公務員法16条2号参照。)として排除すると共に,制裁を図るべく」
に改める。
ケ原判決21頁16行目「遵法精神の欠如も著しい」を「遵法精神の著し
い欠如を具体的行為をもって露呈したもの」に改める。
コ原判決22頁1行目「選挙権」の前に「受刑を終了し,更生したものと
みなされて社会復帰するまでは」を加える。
サ原判決22頁3行目末尾の後に,改行の上,次のとおり加える。
「さらに,犯罪等の不正が社会に蔓延しないように法秩序を維持し,
選挙を含む社会の制度が安定的に運営できるように社会秩序が安定す
ることが,選挙を公明かつ適正に行うための不可欠の基盤であるとこ
ろ,受刑者は,法秩序を著しく侵害し,もって上記の基盤を少なから
ず損なったものであり,選挙制度の維持ないし公明,適正な公職選挙
の実施の観点からも看過できないものとして,受刑を終了するまで制
裁として選挙権の行使を制限することに一定の正当性,合理性が認め
られる。」
シ原判決22頁11行目「定められており,」の後に「一般の公務就任の
欠格事由と対比して,制限される権利の内容・性質に応じた適切な限定が
なされており,」を加える。
ス原判決22頁23行目「主張する。」を「主張する(当審における主張
オを含む。)。」に,同頁25行目「無関係なもの」を「直接の関係はない
もの」に,それぞれ改める。
セ原判決23頁12行目「伴う。」を「伴い,刑の執行が終わるか又は刑
の執行を受けることが無くなるまでの権利制限としての」に改める。
ソ原判決24頁4行目「憲法改正の国民投票と」から同頁8行目末尾まで
を,次のとおりに改める。
「証拠(乙26の1,26の3,26の4)によれば,憲法改正の国民投
票において受刑者であることを欠格事由としなかったのは,選挙権の主
体としてではなく憲法制定の主体として関与する日本国の根本規範の改
正の手続であり,それに基づき国家のあり方が決まるという,憲法改正
の国民投票の権利としての性質や,憲法改正の国民投票は頻繁又は定期
的に行われるものではないから,少なくとも一定の任期毎に定期的に行
われ,その都度国民の意思形成を求めることになる一般の国政選挙とは
異なるという憲法改正の特性に照らし,一定期間後に社会復帰すること
になる者を,憲法改正の国民投票による国民の意思決定から外すのは相
当でないとの考慮に基づくものと認められ,このように憲法改正の国民
投票においては受刑者を欠格事由としていないのは,憲法改正の国民投
票に固有の性質と状況によるものということができるから,控訴人の主
張は前提を欠く。」に改める。
タ原判決24頁15行目末尾の後に,改行の上,次のとおり加える。
「加えて,控訴人は,憲法の下においては,選挙権の行使は,秘密選
挙が原則とされていることからも自明なとおり,選挙人本人の内心の
意思決定を詮索すること自体許されないと主張し,同主張を前提に,
遵法精神が欠けているか否かという内心の状態に他ならない観点か
ら,選挙権行使の主体としての適格性が否定されることはあり得ない
とも主張する(当審における主張カ)。しかし,秘密投票は,選挙権
を有する者の投票行動についての原則であって,選挙権の有無自体と
は問題の次元を異にしているし,本件の制限は,選挙人本人の内心を
問題とするのではなく,前記のとおり法秩序に対する違反の程度が著
しい受刑者となり,受刑中であるという外形的な状況に基づいて定型
的に定められたものであって,控訴人の上記主張は前提を欠いており,
採用できない。」
3結論
以上によれば,控訴人の,控訴人が次回の衆議院議員の選挙及び参議院議員
の選挙において投票することができる地位にあることの確認を請求する訴えは
不適法であるから却下すべきであり,その余の請求は理由がないから棄却すべ
きところ,これと異なり,控訴人の請求を全部棄却した原判決は一部失当であ
るから,原判決を変更することとして,主文のとおり判決する。
広島高等裁判所第3部
裁判長裁判官 生野考司
裁判官 佐々木亘
裁判官 宮本博文

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