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「身体拘束され死亡」 遺族が病院提訴も棄却 金沢地裁

 精神科病院へ入院中の大畠一也さんが亡くなったのは病院の不当な身体拘束が原因であるとして、両親が病院を経営する社会福祉法人金沢市民生協会(石川県野々市市、片岡正子理事長)に約8630万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、金沢地裁(押野純裁判長)は1月31日、原告の訴えを棄却した(事件の詳細は、本誌1月31日号に掲載)。2016年12月、一也さん(当時40歳)は入院先の「ときわ病院」のベッドで6日間身体拘束を受けたうえ、下肢深部静脈血栓による肺動脈血栓塞栓症、すなわちいわゆるエコノミークラス症候群で死亡した。
 今回、主な争点となったのは一也さんの身体拘束の開始及び継続の違法性についてである。精神保健福祉法による厚生労働省の告示において、その対象となる患者は「ア 自殺企図又は自傷行為が著しく切迫している場合、イ 多動又は不穏が顕著である場合、ウ ア又はイのほか精神障害のために、そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶおそれがある場合」と定められている。
 これについて原告は、「対象となる患者に関する事項が定める切迫した状態ではなかった」と主張したが、判決は、身体拘束の開始時においては「医療行為に対する強い拒絶の様子が見られたものである」と認め、継続の違法性についても「『多動又は不穏が顕著な場合』がいまだ継続していると判断したとしても不合理とはいえない」と原告の訴えを退けた。
 今回の判決を受けて、一也さんの父親・正晴さんは、「身体拘束の違法性が認められず、棄却判決となりましたが、私たちには納得できません。長時間の身体拘束による苦痛の中で亡くなった息子のことを思うと無念でなりません。あの子がこの世に生きた証かなと思って闘い続けます」と控訴する考えを示した。
 「精神科医療の身体拘束を考える会」代表で、身体拘束に詳しい長谷川利夫杏林大学教授は、「数日間興奮もない患者を身体拘束し続けても違法でないとする極めて問題のある判決だ。世界の動きに逆行し、身体拘束を減らす日本の現場の取り組みにも水を差すことになる。裁判所は身体拘束が人身の自由を制限し命を奪った現実を直視して欲しい」と述べている。(秋山晴康・編集部、2020年2月14日号)
(3/3(火) 19:24 週刊金曜日)

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